東京大学大気海洋研究所 共同利用研究集会
「水族館とは?日本の水族館を考える」 ポスター発表 募集
以下の要領で、ポスター発表を募集いたします。
シンポジウム開催趣旨
四方を海に囲まれた日本国内には、70以上の水族館が存在し、海なし県であっても世界各地の水生生物の生きた姿を身近に見ることができる。国内水族館の年間総来館者数は三千万人を超え、実に日本人の四人に一人が毎年水族館へ行っている計算になる。水族館の有する海洋と水生生物に関する情報発信能力、普及啓発効果は計り知れない。日本の水族館の飼育展示に関連した技術は世界最高であり、希少種の域外保全、増養殖業への技術転嫁をはじめ、学術面でも、水生生物の生きた姿を手軽に観察できる強みを生かした研究で貢献している。博士号を取得した飼育技術者も大勢存在する。展示生物の採集活動に併せて地域の水辺に生息する生物に関する情報も収集している。このように、水族館は単に水生生物を展示するレクリエーション施設にとどまらず、地域に根差した水生生物研究の拠点としての役割を果たしている。
水族館関係者と、大学、博物館、関連分野の研究機関の研究者が集い、忌憚のない意見交換を行う場を提供すべく、2005年から隔年開催でこれまでに9回、毎回テーマを変えて水族館シンポジウムを開催してきた。一連の講演を基に、二冊の単行本、『水族館の仕事』と『研究する水族館』を世に出すことが出来た。水族館関係者の間では、広く認識された、評価の高いシンポジウムに育っている。
日本の水族館をめぐる環境は、過去20年ほどの間に、指定管理者制度の導入、いわゆるイルカ問題、展示生物の輸入規制、ABS、動物福祉問題など、大きく様変わりしてきている。加えて、2020年からの新型コロナウィルスの蔓延によって休館する水族館が相次ぎ、中には閉館に追い込まれる施設も現れた。このような状況の中で「水族館は何ができるのか?」「水族館の社会的責務とはなにか?」について、それぞれの水族館で真摯な検討がなされている。
そこで本シンポジウムでは、全国の水族館関係者はじめ水族館に関心を持つ幅広い分野の研究者の参加を得て、最新の研究成果のほかに、現在直面している問題についての取組状況などを報告してもらう。そして、水族館の抱える課題を整理し、今後の水族館の進むべき道について議論し、日本の水族館の将来像を描くことを目的とする。
募集する研究
水生生物に関する研究全般。対象分類群、飼育実験、野外観察、教育普及活動など、内容は問いません。
シンポジウム詳細
コンビーナー
猿渡敏郎 (東京大学大気海洋研究所)・西 源二郎(元東海大学海洋科学博物館)
植田育男 (神奈川大学)・栗田正徳(名古屋港水族館)・杉野 隆(葛西臨海水族園)
後援
日本動物園水族館協会、日本水族館協会、自然史学会連合、全日本博物館学会
開催日時
令和5年 12月 4日(月) 09:00~18:00
令和5年12月 5日(火) 09:00~17:30 (時刻は予定)
会場
東京大学 大気海洋研究所 講堂 (ポスター掲示:エントランスホール)
千葉県柏市柏の葉 5-1-5
最寄駅: つくばエキスプレス 柏の葉キャンパス駅
アクセス方法はこちらをご覧ください。
http://www.aori.u-tokyo.ac.jp/access/index.html
募集件数
25題。応募件数多数の場合は、抽選といたします。抽選結果は9月第一週中にご連絡いたします。
各種締め切り
演題・演者 8月21日(日)
右のQRコードにあるGoogle formにご記入ください。
講演要旨 9月22日(金)
ポスター作成要領
ポスターは縦長、横90×縦160 cmで作成してください。会期中にポスター発表のコアタイムを設けます。演者の方はその時間帯にはポスターの前で説明をお願いいたします。会場でのポスターの印刷には応じられません。
講演要旨作成要領
以下の指示に従って講演要旨を作成してください。
一行目: 演題
二行目: 空欄
三行目: 演者氏名(所属) 共同研究者全員を記入。発表者の左前に〇 。所属は省略せずに記入。
一行空けて、要旨本文を記入。
要旨本文は12ptで1,000字程度。全体でA4 1ページ。 学名はイタリックで。図表や画像も利用可能です。印刷は白黒となります。
講演要旨送付先
MSWordのファイルとpdfをtsaruwatあッとaori.u-tokyo.ac.jp(あッとを@に)までお送りください。お送りいただいた原稿をpdf化して印刷します。
懇親会
12月4日18:00から東大大海研のエントランスホールにて懇親会を開催します。会費は一般5,000円、学生3,000円です。準備の関係上参加される方は発表申し込み時にご連絡いただけますと助かります。
旅費の支給は致しません。宿泊等の手配は各人でお願いいたします。
申し込み、問い合わせ先
猿渡敏郎
東京大学大気海洋研究所
〒277-8564千葉県柏市柏の葉 5-1-5
04-7136-6263
tsaruwatあッとaori.u-tokyo.ac.jp(あッとを@に)
講演要旨作成例
タイトル 12pt強調文字 中央寄せ |
演者氏名(所属) 発表者の左前に〇 所属は省略しない |
駿河湾におけるオメンダコの生態
竜宮五郎(東京大学大気海洋研究所)・深海太郎(中央海産研究所)・
波野華子(ふくやま海洋科学館)
波野華子(ふくやま海洋科学館)
要旨本文は12ptで1000字程度。A4 1ページ 学名はイタリックで。 図表や画像も利用可能です。印刷は白黒となります。 MSWordのファイルとpdfをお送りください。 お送りいただいた原稿をpdf化して印刷します。 |
【緒言】深海に生息する生物に対する関心が、ここ10年程の間に高まっている。なかでもダしかし、メンダコ類の生物学に関する情報は、日本国内では断片的な分類学的情報を除くとほとんど存在しない。そこで、日本最深の駿河湾でメンダコ類を採集し、出現するメンダコ類の種の同定とその生活史の解明を試みた。
【材料と方法】深海トロール網漁船日之出丸に2011年1月から2015年10月の間に、原則として月一回乗船し、漁獲物中からメンダコを拾い研究材料とした。外部形態の観察、体重、内臓、生殖腺重量の測定、投影面積を算出した。腕の筋肉組織からDNAを抽出しPCR法によりCO1領域の配列を決定し、近隣接合樹を求めた。
【結果と考察】形態観察から駿河湾には、二種のメンダコ類が存在することが判明した。湿重量50 g以下の個体は、分類形質である支持軟骨の観察が難しく、種の同定はDNAの比較に頼らざるを得なかった。近隣接合樹から、駿河湾には形態観察の結果同様、二種のメンダコ類が生息していることが判明した。メンダコ(Opisthoteuthis depressa)と、センベイダコ(O. japonica)の二種である。