北京・胡同窯変

北京。胡同歩きが楽しい。このブログは胡同のあんな事こんな事を拙文と写真で気ままに綴る胡同お散歩日記です。本日も歩きます。

第188回 北京・鋪陳市胡同(中) 観音禅寺と『乾隆京城全図』における寺廟数

2018-05-01 13:52:07 | 北京・胡同散策
鋪陳市胡同を南口から入ってしばらく行くと“観音禅寺”というお寺の跡地がありました。



創建がいつなのかは分からなかったのですが、1750年頃に作られたといわれる乾隆『京城
全図』を見ますと「観音庵」(地図では旧字体)という寺院があり、仮にその観音庵を観音
禅寺の前身だとすると、その時からでもすでに250年以上は経っていることになります。

今回は、この観音禅寺におじゃましてみました。



住所は、鋪陳市胡同115号。



“保護院落”と書かれたプレートが貼ってありました。



ちなみに「院落」とは、屋敷、中庭という意味ですが、ここでは屋敷のこと。


おじゃましました。



奥が深そうです。







おじゃましたのはよいものの、内部が複雑でどちらに行ってよいやら手探りならぬ目探り状態。

この自転車の置かれているお宅の前を右折。



うえの写真奥に見えます建物の屋根が、かつて観音禅寺の一部であったのではないかと思われます。

道沿いに前進してみました。









よかった、見えてきました。





「おめでとう!!」
ワンちゃんが歓迎してくれました。



保護の対象であることを示す“保護院落”と印刷された青色のプレート。
このプレートが北京の内城外城にはじめて登場したのは、2003年7月16日。場所は、東四十二条39号
でした。







私の目にした2007年の報告では、2003年の11月末までに658ヵ所の院落にこのプレート
は貼られています。







保護院落のプレートの貼られた658ヵ所の内訳を区域ごとに見ますと次の通りになっています。
東城区 333
西城区 154
宣武区 91
崇文区 80
以上、『北京胡同志』(主編段柄仁。北京出版社)など、胡同関係の著書を参考にしました。

次の写真は、直前の場所を角度を換えて撮ったもの。
右の軒が、昔のお寺の名残りです。





この辺になりますと、どうやってここまで辿り着いたのやら、まったくといっていいほど
わからなくなっている状態です。







先にこの観音禅寺が、乾隆十五年(1750)『京城全図』では観音庵という名称であったことを
書きました。そこで、ついでといってはなんですが、『京城全図』にはどのくらいの数の寺廟
があったのかを調べたところ、次のことが分かりましたのでご報告。

『北京城市歴史地理』(主編/侯仁之。北京燕山出版社)によりますと、『京城全図』に記載のある
寺廟数は、1320。

比較的多い寺廟名とその数を次に書いておきました。
関帝廟(116)、観音庵(108)、土地廟(42)、真武廟(41)、火神廟(30)、白衣庵(27)
伏魔庵(26)、天仙庵(24)、五聖廟(23)、地蔵庵(22)、三官廟(20)、五聖庵(18)
三元庵(11)、娘娘廟(10) 

上の数字を見ますと、「関帝廟」と「観音庵」が他の寺廟数を圧倒していることがわかります。
なお、「伏魔庵」とありますが、祀られていたのは「関羽」、「白衣庵」には「観音菩薩」が祀ら
れていました。

ほかに名称は違いながら祀られている神仏が同じものをあげますと、次の通りです。
「天仙庵」と「娘娘廟」、「五聖廟」と「五聖庵」、「三官廟」と「三元庵」。



次回は、鋪陳市胡同の北端まで歩きます。
もう少しお付き合いいただけたら嬉しいです。



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