北京・胡同窯変

北京。胡同歩きが楽しい。このブログは胡同のあんな事こんな事を拙文と写真で気ままに綴る胡同お散歩日記です。本日も歩きます。

第131回 通州・周倉庵胡同(その二) “突き上げ戸 ”から北端まで

2017-02-07 11:04:54 | 通州・胡同散歩
今回は「突き上げ戸」の前からこの胡同の北端まで歩きます。







突き当りを左へ。



直進し突き当りを左に進むと、この胡同の西端に通じる道に出る。
北端に行くには、ここはもちろん右折だが、直進した場合の写真を次にアップしておきます。



左側のお宅。
隅きりと言うのだろうか、建物の角が切り取られたようになっている。



右側には「福」の字。



ここ数年の間に通州の胡同でも清掃員の方たちの姿をよく見かけるようになった。



それでは元に戻って。
アパートの3号棟。





このようなアパートが北方向に3棟並ぶ。前回紹介済みだが、これらのアパート群を
周倉庵胡同小区という。



新しく貼られた「春聯」。



逆さまに貼られた「福」の字。「倒福(daofu・ダオフー)」。
「倒(dao)」は、上下や前後を逆にする意味を持つが、この「倒」がある状態に達することを
意味する「到(dao)」に通じるので縁起の良いデザインとなった。「到福(daofu)」で幸福に
なる、という意味を持つ。

真偽のほどは分からないが、この「倒福」誕生には歴史上実在する人物が絡む。
明の創立者・朱元璋とその后の馬皇后、清末の最高権力者・西太后、そして、もう一人
は恭親王だ。もっとも、「真偽」というもののそもそも民間に伝わる伝説のようなもの
なので、「真偽」などという堅苦しい話とは別に、「倒福」とこれらの人物との関係に
違う角度から照明をあててみると興味深い事柄をあぶり出すことが出来るやも知れない。
伝説がたとえ事実そのものではないにせよ、そこには庶民にとって重要なメッセージが
込められているに違いない。

夜の胡同に光を投げかける洒落た街灯。





アパート3号棟の入り口。



門柱に理髪店の看板。



「中老年理髪」
東京などでは見かけたことはないが、アパート内自宅での「理髪店」営業という点が興味深く、
なんといってもネーミングが楽しい。

この「中老年理髪」という看板、人通りの多い南大街沿いのこのアパートに通じる道の入り口
にも貼られている。



理髪店の看板を後にして進む。
左に見えるのが2号棟。







右側。



角度を変えて。



門前停車禁止とあるが、二重にブロッキング。



体勢を戻して進むと、道が二方向に分かれる。



このまま直進すると南大街。この道の左右の住所も「南大街」。
左に進む。



やはり「福」の字の貼られた玄関。





上のお宅の前。



もう少しで北端だ。



写真手前のお宅の物置の扉に「福」の字が貼られていた。





隣。





軒下の唐辛子が印象的だった。



アパート1号棟。





1号棟の前。
やはり春聯。





いよいよ北端。



北端の左側は1号棟への出入り口になっている。



清朝の末期まで旧通州城には幾つかの倉があった。もちろん京杭運河を利用して運ばれた物資
をおさめておく施設だが、清光緒時代の地図では三ヶ所確認できる。規模の大きい順に書くと
「西倉」「中倉」「南倉」。上の二枚の写真に塀が見えるが、地図その他の資料によるとこの
塀の向こう側北から西へかけての一帯には三ヶ所の倉の中の一つである「中倉」が置かれてい
たようだ。

次回は、西端及び南端まで歩くと共にこの胡同の名前の由来となった場所をご紹介いたします。


  
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