同じ胡同を繰り返し歩いていると「変化」に遭遇することがございます。
今回は、回民胡同・劉菜園・熊家胡同・蓮華寺・中街の五つの胡同で見かけた「変化」
の一端をご紹介。
〇回民胡同
2013年12月の時の「通州区民族小学」。
「清真寺」北門のまん前にございます。
2016年5月。
洗ったのでしょうか、塀に貼られたタイルに艶があり、「通州区民族小学」と刻まれた文字も
以前と同色ではありますが、新たに塗り替えられ、一段と輝いていました。
この界隈に居住する回民の子弟が通う学校にふさわしい校門。
ただし、実際に通っているのは回民の子供たちだけではありません。
学校案内の一部を見ますと次の通り。
「・・・・・始建于1938年,时为穆光小学。1957年更名为民族小学,并一直沿用至今。学校现有教学班8个,
教师27人,学生220人,其中回、满、蒙古、撒拉、瑶、土家等少数民族学生55人占总数的近25%。借读生163人,
占74.1%,其中进城务工人员随迁子女97人」。
1938年創立ということですが、その時の名前は「穆光小学」。ここには出ていませんが、もとは回民の有志たちが
創った学校です。
興味のおありの方は、学校のホームページをご覧下さい。
www.tzqmzxx.com/
次も「回民胡同」。
東端にあります数件のお店。2013年12月。
2016年4月。
「烟酒茶」という看板を残し、それ以外の看板が消えていました。2013年の時点では
ペット用品などの看板があったのですが・・・。また、それぞれのお店の正面が新しく
なっていました。今後どのように変貌するのか、ちょっと気になるところです。
なお、以前ご紹介した「鳥」と「鳥かご」は健在でした。
「鳥」の種類は「画眉」。目の周りをご覧下さい。
〇劉菜園(胡同)
劉菜園(胡同)の東端は上の「回民胡同」東端のまぢか。
2013年12月に見た「劉菜園(胡同)」の東端。
西方向から東を撮影。
翳っていて見えづらいかもしれませんが、写真真ん中のやや上に石がかたまって置かれています。
どうやらクルマ除けのようなのですが、2016年4月には本格的なものに変わっていました。
東端から西方向を撮影。
胡同における道は、単なる交通の場所ではなく、生活の一部。
道端に置かれたイスにゆったりと腰を下ろし、お茶を喫しながらくつろぎ、時に娯楽に興じ、
時に情報を交換する。それは「お茶の間」のような場所で、ご近所さんたち同士の大切な交流の場所。
そして忘れてならないのは、ここが子供たちの遊び場所だということ。クルマが置かれることによって、
たとえそれが胡同在住者のクルマであっても、今後さまざまな問題が生じることが予想されます。
いや、問題はすでに生じているのかも。クルマ除けの設置自体がその証拠ですよね。
〇熊家胡同
この胡同の東端。2015年9月。
ここは残念にも物置場所のようになっていたのですが・・・。
それが2016年4月には新しいレンガ造りの建物が出現。
そして、同年6月。
いったい用途は何?
花壇にしては壁が高すぎるような。しかし、見方によっては花壇
のような・・・? これからも注目していきたいと思います。
〇蓮華寺(胡同)
この胡同はまだ紹介はしておりませんが、馬家胡同の東端にあります「蓮華寺(胡同)」の一部の
お宅が建て替えられていました。ちなみに、この胡同にはあの「李卓吾」が住んでいたんですよ。
2013年12月の時。
これはこれで壁の模様が素敵だったのですが・・・。
2016年4月。
そして、6月。
やはり北向きということで、窓がだいぶ小さくなっていたのが印象的でした。
それはそうと、レンガの色、屋根の傾斜に見とれてしまいましたね。
〇中街(胡同)
この胡同もまだ当ブログでご紹介していないのですが、私が歩いている胡同を南北に
貫いております。
本年6月にたまたま通りかかった時に遭遇。部分的に改築。
すぐ目につきましたのは、ガラス部分の多い部屋が増築されていること。採光を良くするための
工夫だといって良いと思います。このような改築をこの界隈の胡同でよく見かけるようになったこと
については繰り返し書いたのですが、それが一時の流行なのか、それとも今後も増えつづけるのか、
今後も見守って行きたいと思います。
また、「雨どい」詳しくは「竪樋」が取り付けてあるのが印象的。
前にも書きましたように、胡同では日本で見かけるような「軒樋(のきどい・のきとい)」を見る事は
ほとんどない、皆無といってよいのではないでしょうか。今後、胡同を歩く際にはこのような点に
ついても注意を払いたいと思います。お蔭さまで楽しい課題が増えました。
〇再び、熊家胡同。
胡同歩きの際にいつも私の目を楽しませてくれる花壇のあるお宅。
熊家胡同と中街(胡同)が交差する東北角にございます。
今まで何回となくご紹介したお宅ですが、たとえば2015年4月の写真では、こんな感じです。
それが、2016年5月。
ご覧のように一段とその魅力がパワーアップ。
塀や壁沿いに造られた花壇や植え込み、そして軒から下がる鉢植えの花々。それらはその育て主を
楽しませるものであると共に道行く人々の目をも楽しませ、心を和ませてくれます。
断るまでもなく、胡同は植物園。別名・緑の楽園。
北京の胡同「百花深処」はその昔、グリーンパラダイスでした。四季折々の花が咲き乱れ、そこには
素敵な池もあり、築山だってあったそうです。
このお宅は、ひょっとしたら現代版「百花深処」かもしれません。
ご覧下さい、次の写真を。
写真左の謎の物体は、花壇に水を与える仕掛け、給水装置のようなのですが、
よくよく見ると、
そこには、水車があり、アヒルやカエルだっているのです。そして、
築山さえもが。
ここは、まさしく「百花深処」を再現した盆景なのです。
そして、今回私が遭遇した変化の中でも特筆に値するのは、これ。
「愛護樹木花草」。
以前には掛けられていなかった標語。
このお宅を、胡同の力強い植物園化・緑の楽園化推進への、そして環境の美化への貢献度ナンバーワンと
いっても過言ではありません。
そして、現代版「百花深処」を造りだしたこのお宅の玄関脇に置かれた竹には、
次のフダが下がっていました。
「迎賓竹」。
異邦人であり、しかも胡同の部外者でもある私にとって胸中の琴線に触れた言葉でした。
(追記)
今回の記事を書いた後、何か書き残しているような気がしていたのですが、胡同を歩く時に
いつも持ち歩いているメモ用紙に次のように書いてあるのを見つけ、ほっとしました。
次に書き出しておきます。
「けっして観光地でもなく、ましてやレストランでもない生活の場である胡同の
一隅でこのような言葉(「迎賓竹」)に出会ったことの意味は、重い。」
「胡同を歩こう。」(6月25日記)
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今回は、回民胡同・劉菜園・熊家胡同・蓮華寺・中街の五つの胡同で見かけた「変化」
の一端をご紹介。
〇回民胡同
2013年12月の時の「通州区民族小学」。
「清真寺」北門のまん前にございます。
2016年5月。
洗ったのでしょうか、塀に貼られたタイルに艶があり、「通州区民族小学」と刻まれた文字も
以前と同色ではありますが、新たに塗り替えられ、一段と輝いていました。
この界隈に居住する回民の子弟が通う学校にふさわしい校門。
ただし、実際に通っているのは回民の子供たちだけではありません。
学校案内の一部を見ますと次の通り。
「・・・・・始建于1938年,时为穆光小学。1957年更名为民族小学,并一直沿用至今。学校现有教学班8个,
教师27人,学生220人,其中回、满、蒙古、撒拉、瑶、土家等少数民族学生55人占总数的近25%。借读生163人,
占74.1%,其中进城务工人员随迁子女97人」。
1938年創立ということですが、その時の名前は「穆光小学」。ここには出ていませんが、もとは回民の有志たちが
創った学校です。
興味のおありの方は、学校のホームページをご覧下さい。
www.tzqmzxx.com/
次も「回民胡同」。
東端にあります数件のお店。2013年12月。
2016年4月。
「烟酒茶」という看板を残し、それ以外の看板が消えていました。2013年の時点では
ペット用品などの看板があったのですが・・・。また、それぞれのお店の正面が新しく
なっていました。今後どのように変貌するのか、ちょっと気になるところです。
なお、以前ご紹介した「鳥」と「鳥かご」は健在でした。
「鳥」の種類は「画眉」。目の周りをご覧下さい。
〇劉菜園(胡同)
劉菜園(胡同)の東端は上の「回民胡同」東端のまぢか。
2013年12月に見た「劉菜園(胡同)」の東端。
西方向から東を撮影。
翳っていて見えづらいかもしれませんが、写真真ん中のやや上に石がかたまって置かれています。
どうやらクルマ除けのようなのですが、2016年4月には本格的なものに変わっていました。
東端から西方向を撮影。
胡同における道は、単なる交通の場所ではなく、生活の一部。
道端に置かれたイスにゆったりと腰を下ろし、お茶を喫しながらくつろぎ、時に娯楽に興じ、
時に情報を交換する。それは「お茶の間」のような場所で、ご近所さんたち同士の大切な交流の場所。
そして忘れてならないのは、ここが子供たちの遊び場所だということ。クルマが置かれることによって、
たとえそれが胡同在住者のクルマであっても、今後さまざまな問題が生じることが予想されます。
いや、問題はすでに生じているのかも。クルマ除けの設置自体がその証拠ですよね。
〇熊家胡同
この胡同の東端。2015年9月。
ここは残念にも物置場所のようになっていたのですが・・・。
それが2016年4月には新しいレンガ造りの建物が出現。
そして、同年6月。
いったい用途は何?
花壇にしては壁が高すぎるような。しかし、見方によっては花壇
のような・・・? これからも注目していきたいと思います。
〇蓮華寺(胡同)
この胡同はまだ紹介はしておりませんが、馬家胡同の東端にあります「蓮華寺(胡同)」の一部の
お宅が建て替えられていました。ちなみに、この胡同にはあの「李卓吾」が住んでいたんですよ。
2013年12月の時。
これはこれで壁の模様が素敵だったのですが・・・。
2016年4月。
そして、6月。
やはり北向きということで、窓がだいぶ小さくなっていたのが印象的でした。
それはそうと、レンガの色、屋根の傾斜に見とれてしまいましたね。
〇中街(胡同)
この胡同もまだ当ブログでご紹介していないのですが、私が歩いている胡同を南北に
貫いております。
本年6月にたまたま通りかかった時に遭遇。部分的に改築。
すぐ目につきましたのは、ガラス部分の多い部屋が増築されていること。採光を良くするための
工夫だといって良いと思います。このような改築をこの界隈の胡同でよく見かけるようになったこと
については繰り返し書いたのですが、それが一時の流行なのか、それとも今後も増えつづけるのか、
今後も見守って行きたいと思います。
また、「雨どい」詳しくは「竪樋」が取り付けてあるのが印象的。
前にも書きましたように、胡同では日本で見かけるような「軒樋(のきどい・のきとい)」を見る事は
ほとんどない、皆無といってよいのではないでしょうか。今後、胡同を歩く際にはこのような点に
ついても注意を払いたいと思います。お蔭さまで楽しい課題が増えました。
〇再び、熊家胡同。
胡同歩きの際にいつも私の目を楽しませてくれる花壇のあるお宅。
熊家胡同と中街(胡同)が交差する東北角にございます。
今まで何回となくご紹介したお宅ですが、たとえば2015年4月の写真では、こんな感じです。
それが、2016年5月。
ご覧のように一段とその魅力がパワーアップ。
塀や壁沿いに造られた花壇や植え込み、そして軒から下がる鉢植えの花々。それらはその育て主を
楽しませるものであると共に道行く人々の目をも楽しませ、心を和ませてくれます。
断るまでもなく、胡同は植物園。別名・緑の楽園。
北京の胡同「百花深処」はその昔、グリーンパラダイスでした。四季折々の花が咲き乱れ、そこには
素敵な池もあり、築山だってあったそうです。
このお宅は、ひょっとしたら現代版「百花深処」かもしれません。
ご覧下さい、次の写真を。
写真左の謎の物体は、花壇に水を与える仕掛け、給水装置のようなのですが、
よくよく見ると、
そこには、水車があり、アヒルやカエルだっているのです。そして、
築山さえもが。
ここは、まさしく「百花深処」を再現した盆景なのです。
そして、今回私が遭遇した変化の中でも特筆に値するのは、これ。
「愛護樹木花草」。
以前には掛けられていなかった標語。
このお宅を、胡同の力強い植物園化・緑の楽園化推進への、そして環境の美化への貢献度ナンバーワンと
いっても過言ではありません。
そして、現代版「百花深処」を造りだしたこのお宅の玄関脇に置かれた竹には、
次のフダが下がっていました。
「迎賓竹」。
異邦人であり、しかも胡同の部外者でもある私にとって胸中の琴線に触れた言葉でした。
(追記)
今回の記事を書いた後、何か書き残しているような気がしていたのですが、胡同を歩く時に
いつも持ち歩いているメモ用紙に次のように書いてあるのを見つけ、ほっとしました。
次に書き出しておきます。
「けっして観光地でもなく、ましてやレストランでもない生活の場である胡同の
一隅でこのような言葉(「迎賓竹」)に出会ったことの意味は、重い。」
「胡同を歩こう。」(6月25日記)
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