北京・胡同窯変

北京。胡同歩きが楽しい。このブログは胡同のあんな事こんな事を拙文と写真で気ままに綴る胡同お散歩日記です。本日も歩きます。

第51回 北京・かつての遊郭街「八大胡同」の近く、観音寺街でホオズキを食べた!!

2015-09-22 13:35:00 | 北京・胡同散策
それは本年9月中旬に大柵欄の奥、かつての遊郭街・八大胡同にほど近い観音寺跡地を訪れた時のこと。







「胡同会」会員の心優しき某女性から、有り難いことに食用のホオズキを頂戴しました。



口の中にはフルーティーな優しい甘さ、心にはうれしい心遣いが広がった。
(食用ホオズキについては『食用ほおずき/鬼灯/ホオズキ:旬の野菜百科』をご覧ください。)
    

売っていたのは、観音寺跡地のすぐ前のお店。




そうして私は、このホオズキの姿に1900年代初期の民国期を生きた二人の女性を見た。

一人は、この観音寺跡地に程近い、かつて北京における最大の遊郭街・八大胡同にあって、
革命に身を捧げた蔡鍔を命がけで助けた十代の妓女・小鳳仙。

(小鳳仙にご興味のある方は、多田麻美さんの次の記事をご覧ください。)
http://www.shukousha.com/column/tada/2310/

もう一人は、老舎の『駱駝祥子』(『ラクダのシァンツ』)の主人公シャンツが密かに心を
寄せた小福子。貧しさゆえに家族のために、かつて「暗娼」(あるいは「野鶏」)と呼ばれた
私娼となり、ついには首を吊ってしまった小福子。

それがたとえ過酷な「生」を生きざるを得なかった彼女たちに対する甘い感傷だと笑われようと、
ホオズキの可憐な姿が、小鳳仙と小福子に重なってしまったのは、まごうかたなき確かなことだ。



八大胡同からほど近い観音寺街。その日からそこは私にとってホオズキのよく似合う街になった。


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