- 行動経済学(behavioral economics)
経済活動もまぎれもなく人間が深く関与する社会的な活動である。したがって、そこに人々の心が反映されるのも当然である。しかし、これまでの標準的な経済学では、人々の心は、計算合理的で自己の利益の最大化をはかる存在として仮定されて、モデルに組み込まれていた(実際は排除されていたとうほうがふさわしい扱いであった)。しかし、認知科学、認知心理学の影響もあり、人の心の「非合理的」な面の研究が進み、経済活動もそうした人の心の特性を組み込んだモデル化をしないと現実的なものになりえないことの認識が支配的になり、1978年にノーベル賞を受けたH.サイモン、およびノーベル賞の受賞は2002年と遅れたもののD.カーネマンとA.トヴエルスキーの「プロスペクト理論」(――>)の影響もあり、1980年頃から研究が活発になった。
なお、領域や立場は微妙に異なるが、行動ファイナンス(finance),経済心理学(economic psychology)という言葉も使われる。