中央競馬徹底研究!

2022年は客観的な予想を心がけます。

天皇賞・秋(GI)最終結論

2011-10-29 17:21:40 | 最終結論
東京11R 天皇賞・秋(GI)
◎ペルーサ
〇ダークシャドウ
▲ローズキングダム
△トーセンジョーダン
×ブエナビスタ
×エイシンフラッシュ

 4歳秋を迎え、急成長を遂げたペルーサを本命に推す。昨秋の天皇賞はトモの緩さから発馬で行き脚がつかず、最後方からの競馬を強いられた。結局、ラスト1ハロンから一気にエンジンが掛り、凄い脚で追い込むも宿敵ブエナビスタを差すことはできなかった。あれから一年。久々にはなるが、中間は本馬場と坂路で速い時計を6本出している。一週前には、藤沢厩舎にしては珍しくテンからびっしりと追われ最後はステッキが入るほど意欲的に追われている。それだけ体質が強化されたということだろう。最終追い切りは、横山典を背に本馬場で終いを伸ばす程度だったが、手前を替えてからグーンと凄い伸び脚で併走馬を一気に突き放した。終い重点だけに過大評価は禁物だが、それを差し引いても凄い脚だった。500㌔を超す大型馬だけに体に掛る負担は大きいし、まだトモの緩さと頭の高いところは残っている。それでも、昨年よりは間違いなく上向いているし、今回は馬群から離されずに追走できるはずだ。コーナー2回で直線の長い府中2000㍍は最高の舞台。決め手ならブエナビスタにも負けない。初のGIタイトルへ態勢は整った。


単勝:⑧ペルーサ

3連単:⑧⇒⑦⇒⑪⑫⑤④

天皇賞・秋(GI)徹底研究!

2011-10-25 17:14:10 | 見解
ダークシャドウ
前走の毎日王冠1着は、久々になるが、この中間は負荷の掛るWコースで入念に乗り込まれ下見どころでは身のこなしの柔らかい姿が目に付いた。今春のエプソムC時は大阪杯激走の反動で腰に不安を抱え、負荷の少ないポリトラックでしか追えなかったのとは雲泥の差だ。レースでは発馬後から無理することなくスッと後方に控える。レースの流れは超スロー。これを道中は後方3番手から追走する。気負うことなくリラックスした追走姿で鞍上との呼吸はピタリ。3,4角でも流れは一向に速くならなかったが、鞍上は無理することなくジッと我慢する。直線を向いて右手綱を引いてシンゲンの外めに進路を求める。だが、外のミッキードリームに締められる。立て直して追い出すと坂上で今度は前のアクシオンがフラついたために一瞬手綱を引っ張るシーンはあった。正味1ハロンから追い出しを開始した時にはまだ中団より後ろ。そこからグーンと豪快な末脚で差し切った。今春の大阪杯2着では、長距離輸送で16㌔馬体を減らし、決して万全のデキとはいえなかった。道中は一貫した厳しい流れを後方のインを追走する。3角から外めに進路を見出し、前のエイシンフラッシュを目標に動いて行く。この時の脚力は十分で、外のドリームジャーニーを弾くほどのもの。直線は大外から一完歩毎にグイッと迫り、首の上げ下げで僅かに屈したが、勝ちに等しい内容だった。スローでも底力勝負でも対応でき、高速決着も歓迎。府中コースは5戦5勝。ベスト舞台に疑いはない。疲れの残りやすい体質で中2週を懸念したが、すぐにWで時計を出せているし、ブックのフォトパドックを見る限り、全く心配はいらない。むしろトモに丸みが出て更に上昇している。

ローズキングダム
前走の京都大賞典1着は、中間の攻め馬では完歩の小さい走りで決してデキは良くは見えなかった。加えて59㌔。メンバーに恵まれたとはいえ、不安要素はあった。レースでは7番枠から馬任せでポディションを取りに行く。各馬の出方を見ながら1角からスッと4番手のインに落ち着く。ペースの落ち着いた2角から少し行きたがる面と内へモタれたが、問題ない程度。向こう正面ではスムーズに折り合う。3角の上り坂に差しかかるところで内へモタれる。悪い癖を見せかけたが、鞍上がすぐに修正し4角から直線にかけてはスムーズに加速する。直線は鞍上の右ステッキと体と左手綱で真っすぐ駆け抜ける。首を水平に使い、グーンと加速する。最後は外から詰め寄られたが、着差以上に差を感じさせる切れ味で差し切った。開幕週のパンパン馬場で持ち味の切れ味を存分に発揮できたし、右回りで課題だった内へモタれる点も鞍上の渾身の騎乗でカバーできた。ここは相手に恵まれたのは確かだが、天皇賞へ向けて視界の明るい内容だった。前々走の宝塚記念4着は、宝塚記念4着は、ナムラクレセントの作る一貫した淀みない流れを好発から好位を取りに行く。少し気合いは乗り過ぎている感はあった。1角に差しかかるところで少し内へモタれる面を見せるも、至極順調な道中。道中は5番手のインからの追走。三分三厘で前のアーネストリーを目標に外から早めに進出する正攻法の競馬。だが、4角から直線にかけての手応えは良くない。直線入口で手綱を動かすも反応は鈍く、前のアーネストリーと脚色は同じになり外からブエナビスタに差されてしまった。タフな馬場と底力勝負を正攻法で押し切れるほどの力はなかった。3走前の天皇賞・春11着は、レース前から少し気負っていた。レースへ行っても発馬後から掛ってしまい、鞍上が制御できていなかった。正面スタンド前では頭を上げてモロに掛ってしまった。更に、ペースの落ち着いた向こう正面でナムラクレセントがハナを奪いに行ったのに反応してしまい、一気にポディションを上げてしまう。流れを考えれば我慢させるべきだった。これだけ気負ったキングダムは初めて見た。これでは直線で伸びるはずもなく、馬群に沈んでしまった。小柄な馬体から繰り出す瞬発力が武器。パンパンの良馬場が理想で、時計勝負や底力勝負になると他馬に比べて若干劣る。右回りではコーナーや直線で内へモタれてしまうため、どうしても追いづらくなってしまう。その点、左回りではスムーズな走りを見せている。府中替わりは歓迎だ。

トーセンジョーダン
前走の札幌記念1着は、短期放牧を経て入厩10日目で迎えた一戦。元来、叩き良化タイプでもあるため決して万全の態勢ではなかった。しかし、絞りづらい体質を考えれば冬場の休み明けよりは汗をかく夏場は良かった。レースでは13番枠から少し気合いを付けて前々へ。鞍上としてはハナを切ってもいいくらいの気持ちだったが、大外枠とそれほどテンのダッシュ力はないために4番手の外めに取り付く。道中の折り合いはスムーズで、レースの流れが極端に緩んだ3角で外めからジワッとポディションを上げる。4角から12秒6-11秒9と一気にギアチェンジする流れに戸惑いを見せ、手綱は動いてズブさを見せる。直線に入ってもハミを掛け直されても反応は鈍く、外のレッドディザイアに飲み込まれそうになる。馬体を併せられたことで闘志に火が付いたのか、そこからグンとひと伸び。最後は内々で粘るアクシオンをゴール前で差し切った。パワーのある実績馬で洋芝向きではあるものの、緩急の激しい流れは得意とはしない。そのなかで格好を付けたのはさすがだ。前々走の宝塚記念9着は、半年ぶりの実践。発馬で煽り気味になり、行き脚がつかず。その後も内へモタれる仕草を見せて1角からは後方のインに潜り込む。インのポケットに入ったことで勝負どころで動くことができず。ようやく4角で外めに持ち出すも、重心の高い走りで伸び切れなかった。3走前のAJCC1着は、厳寒期の坂路調教ということで太め残りが懸念されたが、当日はマイナス6㌔。下見どころではスッキリとした馬体で外めを気分よく周回していた。レースでは、出が今ひとつで少し気合いを付けて前へ。ゴール版前で態勢が落ち着き、前から5番手の位置で内のコスモファントムを見ながらの競馬。ミヤビランベリの作る緩い流れにも動じることなく折り合う。3角手前でペースアップする流れだったが、そこではジッと我慢。三分三厘から手綱をしごいてスパートすると、4角では先頭から2馬身差まで迫る。そこでバテたサンライズと接触し、直線入口では前が壁になっているために左手綱を引いて外めに進路を変える。そこで左手前に替えて猛追。楽なペースで行っているので先行勢もなかなか脚色が衰えなかったが、坂上の右ステッキでグンともうひと伸び。ゴール前で抜け出す時にフワッとしたが危なげなく差し切った。前半のペースが遅かっただけに勝ち時計は平凡だが、正攻法の強い競馬だった。右回りでは内へモタれる面があり、3戦2勝の府中替わりは歓迎。大トビで器用さがないだけに広くて直線の長いコース形態も合っている。時計勝負に対応できるが、馬場が渋って時計は掛ったほうが一線級相手ではいい。瞬発力勝負では分が悪いので、シルポートがある程度引っ張ってくれれば。1週前に長めから追われて四肢を目一杯に伸ばした迫力あるストライドを見せてくれた。普段は坂路追い中心だけに2週続けて意欲的に追われているのは好感が持てる。攻めの良さが実践に繋がるタイプ。楽しみだ。

アーネストリー
前走のAJCC1着は、中間に一頓挫あり札幌記念を回避しての一戦。加えて12㌔減で59㌔。メンバーに恵まれたとはいえ、厳しい条件が揃っていた。レースでは、シャドウゲイトの作る流れをスッと3番手の外めを追走する。馬との呼吸を大事にし、慎重に運ぶ道中。向こう正面からシャドウゲイトが持久力勝負に持ち込む流れを、深追いすることなく3番手でジッと我慢する。三分三厘で楽な手応えのまま前との差を縮め、直線で早めに先頭に並びかける。59㌔を背負っている分、最後は思ったほど弾けなかったが、貫録の違いで押し切った。前々走の宝塚記念1着は、2番枠からスッと馬場の良い3分どころへポディションを移し、馬の集中力を切らさないように慎重に運ぶ。最内のナムラクレセントがハナを主張したため、競ることなく2番手に控える。1角からは先頭とは少し間隔を置き、折り合いに専念する。3角からジワッとポディションを上げて行き、4角では逃げ馬の直後まで迫る。直線に入るとあっさり突き抜けて後続を引き離し、ラスト1ハロンも坂がありながら12秒0としっかりと踏ん張って押し切った。勝ち時計2分10秒1は文句なしのレコード。3走前の金鯱賞3着は久々でもほぼ仕上がっていた。レースでは9番枠からスーッと先手を奪いにいく。2番手ですんなりと折り合い、息を入れる。3角でキャプテントゥーレがペースアップした際にズブさをみせて置かれてしまう。4角でも手応えが今ひとつ。直線に入り、手綱をしごいて追われうも前脚の出が今ひとつ。伸びずバテずといった感じで最後は差を縮めたが、完敗の3着だった。久々を考えれば及第点か。休養前の天皇賞3着は、発馬後にすぐに2角を迎える府中2000㍍。12番枠から先手を奪うにはかなりのリスクが伴う。鞍上は発馬後に馬にスイッチが入らないように慎重に誘導する。2角でできればもうひとつ前のポディションを取りたかったが、道中は5番手の馬込みから追走する。懸念された折り合い面もクリアし、道中はスムーズ。4角から直線にかけて外めに持ち出す。だが、鞍上が手綱をシェイクさせてハミを掛け直すも、反応が鈍い。結局、最後まで手前を替えないままジワジワとしか伸びなかった。結果は3着でも、上位2頭とはかなりの差を感じさせる内容だった。昨年のこのレースは3着だが、完敗の内容。直線でもずっと左手前のままでギアチェンジができなかった。決め手勝負では分が悪いのは鞍上も分かっている。ベストは右回りの底力勝負。今年は自らペースを作ることも考えられる。疲れが残りやすい体質だけに、一週前の動きが案外だったのは気になる。前走で59㌔を背負い、12㌔減で激走した疲れを懸念する。

ダノンヨーヨー
前走の毎日王冠5着は、発馬後から内へモタれ、それを修正しながらの道中。直線を向き、一旦は馬場の5分どころへ持ち出そうとするも、進路がない。残り2ハロンを切ったところでインに突っ込む。鞍上が常に右手綱を引きながらの誘導で満足に追えない。それでも、差を詰めているのだから脚力は相当だ。ステッキが入った瞬間の反応も良かった。トモが緩くズブいため緩急のある流れだとエンジンが掛るのに時間を要するタイプ。それだけにラスト4ハロンから12秒0-10秒9の急流は厳しかった。前々走の宝塚記念7着は、発馬機内で前掻きをしていたが、行き脚がついて楽に中団に取り付く。距離の忙しかったマイル戦とは違い、余裕十分の手応えで追走する。三分三厘で有力各馬と共に進出を開始させ、4角では前を射程圏内に入れる。だが、上位勢とは決め手の違いを見せ付けられて伸び切れなかった。3走前の安田記念10着は例によって発馬で行き脚がつかず。直後に手綱をしごいて馬群に取り付いて行くが、終始手綱が動き通しでアクションに余裕がない。この手応えだけに馬込みに突っ込むことができず、直線は大外へ。だが、ここで内へモタれてしまいそれを矯正しながらの追い。これでは伸びることができず惨敗した。内へモタれる癖は相変わらずだが、前走で見せた決め手はここでも通用する力がある。中距離の経験を積み、叩いた上積みも期待できる。一貫した流れで上手く馬群を捌ければ。Bコース替わりでどこまで内の馬場が回復しているかだが、外差し馬場なら面白い存在。

トゥザグロリー
前走の宝塚記念13着は、夏負けの兆候が見られ、本来のデキにはなかったし、一貫した流れで追走に脚を使わされて見せ場を作れなかった。前々走の天皇賞・春13着は、発馬後から鞍上と喧嘩し、終始首を上げて嫌がっていた。業を煮やした四位が1周目の正面スタンド前で2番手までポディションを上げる。2角から向こう正面入口にかけては我慢できずにハナを奪う。ここで一旦は折り合いを付けたかに見えたが、そこは1番人気を背負った宿命。マイネルキッツが徹底マークの構えで掛り気味に競りかけられる。しかも、折り合いに専念するためにペースを落とした向こう正面中盤でナムラクレセントにハナを奪われる入れ替わりの激しい競馬。更に掛ったローズキングダムが外からマイネルキッツに被せたことでマイネルキッツが反応。キッツが更に仕掛けてポディションを上げたことでレースが壊れてしまった。結局は道中で下手に動かなかった各馬が上位を占めるレースになった。3走前の日経賞1着は、1番枠から馬任せでジワッとした出方。緩い流れとインのコーナーワークを利して1角では4番手のインをキープする。向こう正面では抑えるのに苦労するほどの行きっぷりで、もの凄い手応え。3角でも制御するのに苦労していたが、外のミヤビが仕掛けて行ったことでレース流れが速くなった。ここで手綱をグッと抑えて脚をタメる。4角手前で少し手綱を緩めてインから進出開始。4角で先頭から1馬身圏内まで進出すると、直線入口で馬なりのまま先頭へ。レースのラップが10秒8のところだから、すごい脚力だ。直後に外のローズキングダムに迫られたが、坂上で左手前に替えるとグンともうひと伸び。最後は手綱を抑えてフィニッシュした。抜け出した時にフワッとするし、まだ頭の位置も高い。道中も行きたがるところがあり、気性はまだ若い。逆にいえば、それでこの強さ。大きなフットワークでノビノビ走れるかがポイント。もう少し距離はあったほうがいいし、底力勝負よりもスローの流れで先行して早めに押し切る競馬を得意とする。久々というのもハンデがある。

エイシンフラッシュ
前走の宝塚記念3着は、4番枠から道中は馬任せで後方のインに落ち着く。終始、経済コースを立ち回りロスのない誘導。三分三厘ではバテたアサクサキングスを回避するために一頭分空ける。4角から直線にかけても馬場の内めに突っ込む。前のアーネストリーを目標に懸命に脚を伸ばしたが、脚色は同じになってしまい、ゴール前ではブエナビスタにも差されてしまった。天皇賞・春2着は、ひと叩きされて中間の動きがグンと良化。ダービー時に近い雰囲気だった。レースでは15番枠から好発を決め、内の各馬の出方を見ながら慎重に運ぶ。行きたがる気性なだけに鞍上も相当な神経を使っていた。直後に迎える下り坂をクリアするべく、ジワーッとリズムを崩さないように後方へ下げる。内枠ならここまで神経を使う必要はなかったが、外枠が痛かった。何とか前に壁を作ることはできたが、そこは歴史的な超スローの流れ。正面スタンド前では首を上げて掛ってしまった。それでも、ガツンと掛ることはなかったし、タメはできていた。1角からかなり入れ替わりの激しい流れとなるも、内田博は焦ることなくジッと我慢。3角の上りから下り坂も慎重に運び、4角で一気に手綱をしごく。直線は大外へ持ち出すと、一気に末脚で先団へ。ラスト1ハロン地点で勝ち馬に並びかけるも、そこから脚色が同じになり差し切ることはできなかった。大トビだけに上滑りする馬場も影響したか。鞍上の判断は絶妙だった。前々走の大阪杯3着は、大外枠発走で好発を決めたものの、内の先行馬を行かせて後方馬群に潜り込む。向こう正面から一気にペースが速くなる流れで課題の折り合いはクリア。59㌔を背負っていることもあり、3角では大外から早めにスパートする形。4角手前で中団まで押し上げたところで一旦手綱を抑える。4角で再び加速し直線へ。大きなフットワークで一完毎歩毎に詰め寄ったが、2馬の脚色が勝り、競り負けた。休み明けで59㌔を背負っていたし、外々を通らされる苦しい形。格好はつけた。大トビでエンジンの掛りは遅く、その意味では府中の長い直線は魅力的。瞬発力勝負より底力勝負を望むタイプ。少し決め手が強化できればいいのだが。久々でも乗り込まれており、力は出せるデキだろう。

ブナビスタ
前走の宝塚記念2着は、発馬後に少し気合いを付けて中団を取りに行く。1角からは無理することなく後方のインに潜り込む。レース巧者で道中の折り合いは完璧。3角手前から馬場の3分どころへ持ち出す。だが、小回りの多頭数で馬群は凝縮し、3角では外からルーラーシップに被されて仕掛けどころを失う。4角でも前にトゥザとルーラーがおり、進路はない。仕掛けが遅れたうえに直線は大外。加えてレコード決着と極めて厳しい条件だったが、最後は大外から粘り強い脚で追い込んで地力を示した。前々走のヴィクトリアM2着は、中間の攻め馬では気負って掛ったりしていたが、下見どころでは落ち着き十分だった。返し馬では前脚の出が硬く、推進力には欠けていた。レースでは、ゲートはすんなりと出たが、二の脚がつかず自然と後方からの競馬に。道中はすぐ前のアパパネをマークする形。4角から直線にかけて大外へ持ち出す。坂上で左ステッキが入った時に僅かに外へ膨らむ。そこで勝ち馬とは差を広げられる。一完歩毎に力強く差を詰め、末が鈍ったゴール前で急追したが僅かに届かなかった。久々の実践と距離不足のマイル戦を考えれば十分すぎる内容だった。暮れの有馬記念2着は、テンは無理に前へ行くことなく後方でじっくりと構える。鞍上は決め手に絶対の自信を持っていた。だが、向こう正面でもびっしりと馬込みに包まれる苦しい展開。インの経済コースを立ち回れたが、仕掛け遅れは否めなかった。3角手前でエイシンフラッシュとメイショウベルーガの間を割ってスパートを開始させる。三分三厘で馬込みをスムーズに捌いて4角では前のルーラーシップを目標に加速させる。スムーズに馬込みを捌けたのは瞬時に加速できる脚力があるからであり、ズブいタイプは馬込みでゴチャついて加速できない。直線でスッと左手前に替え、鞍上のステッキが唸る。坂上からグーンと凄まじい末脚で猛追する。坂を上がってからゴール前までの30㍍で更に伸びる。最後は差し切ったかに思えたが、首の上げ下げで僅かに屈した。内容的には勝ちに等しい内容だった。瞬発力、底力勝負、どちらも対応できる決め手を持ち、府中の長い直線ならじっくり構えて持ち味を存分に発揮できる。右手前のほうがより強烈な瞬発力を発揮でき、その意味でも左回りは歓迎。1週前追い切りで闘争心が衰えていないことを確認でき、視界は明るい。

ペルーサ
前走の天皇賞8着は、まだトモがパンとしていないだけに、やや重の力の要る馬場での長距離戦は厳しかったか。たしかに正面スタンド前では前に壁を作れずに折り合いを欠いていた。トモが緩いだけに馬場に脚を取られた危険性もある。トモが緩く、急がせる競馬は良くない。その証拠に、暮れの有馬記念では珍しく好位から正攻法の競馬をしたが、勝負どころの緩急に戸惑いを見せ、伸び切れなかった。直線のが長くコーナー2回の府中2000㍍は今のペルーサにとって間違いなくベスト。それは、急がせず直線一気の競馬ができからである。流れに関係なく終いは確実に差してくる。追い込み脚質だけに前々で競馬できて決め手のあるブエナビスタやダークシャドウとは分が悪い。極端な外差し馬場になれば。

ジャガーメイル
前走の京都大賞典3着は、下見どころから気負いが目立っていた。レースではスッと後方に控えて外めに持ち出す。道中の折り合いはスムーズで4角の下り坂から理想的にスパートする。直線は2着馬を被せに行き、一気に前を捕えるかの勢いだったが、外へ膨れる。そこから立て直して末を伸ばすも、ゴール前で内へ切れ込んでしまい、そこを2着馬に差し返されてしまった。久々を考えればいい内容だった。本来ならもう少し距離があったほうがいいタイプ。スローでも底力勝負でも対応できる。

菊花賞(GI)回顧

2011-10-23 18:03:51 | 回顧
12.7 - 12.2 - 12.0 - 12.0 - 11.7 - 12.3 - 12.7 - 12.6 - 12.4 - 12.1 - 12.9 - 12.1 - 11.5 - 11.6 - 12.0=3:02.8
(60.9-62.1-60.1)

 苦労に苦労を重ね、オルフェーヴルと池添が史上7頭目の三冠馬に輝いた。前哨戦の神戸新聞杯で16㌔馬体を増やし、この日は更に6㌔増。下見どころではボリューム感満点の馬体が目に付き、大観衆にも動じることなく威風堂々と周回していた。レースでは14番枠から好発を切り、内の各馬の出方を見ながら少し出して行く。課題だった最初の下り坂。口を割って行きたがり掛ってしまう。ここで我慢できなければガツンと前に行ってしまうそうな気配。ここで池添は4角から直線にかけて内側に入れて前に壁を作る。これによっえ平静を取り戻し、いつものオルフェーヴルになった。向こう正面では少しポディションを下げ、完璧に折り合うことに成功する。3角の上り坂でレースの流れは一気に緩み、馬群は凝縮する。ここで前を6馬身圏内に入れ、下り坂で少し手綱を緩めるとグーンと加速し、4角から直線入口にかけて一気に先頭へ並びかける。直線はこの馬の独壇場。右ステッキで内へモタれるのを矯正し、最後は少し苦しくなって右手前に替えたが、大きくバテることなく強い競馬で押し切った。強いのひと言。特に4角から馬なりでグーンと伸びた姿は、ディープインパクトの引退レースを彷彿とさせるほど凄かった。緩みない締まったレースを正攻法で押し切る、文句ない競馬だった。この後は、ジャパンCか暮れの有馬記念か。古馬相手でも十分に通用する。

 2着はダービーに続きウインバリアシオン。下見どころではリラックスした姿で馬体を大きく見せ、デキの良さを窺わせた。レースではトモに力が付いたことで発馬を決めたが、無理することなくスッと控えて最後方に控える。安藤勝の腹を括った騎乗。道中の折り合いは完璧で、大きなフットワークで気持ち良さそうに追走する。3角の上り坂でレースの流れが極端に緩み一気に馬群は凝縮して自然と前とのポディションを縮める。ここでも安藤勝の手綱は持ったまま。4角で馬場の3分どころに進路を求め、初めて手綱が放たれる。直線入口でバテたベルシャザールを捌くのに少し苦労したが、そこからは一完歩毎にグイグイ伸びる。勝ち馬の派手な瞬発力には敵わなかったが、長くいい脚を使って追い込んできた。トモがパンとして今は痛いところがない。飛躍あるのみ。

 3着にはここまで苦杯をなめていたトーセンラーが入った。この日は8㌔増。小柄な同馬にとって心強い材料だった。レースでは1番枠から気合いを付けて中団を取りに行くが、行き脚がつかず後方の位置取りに。最初の下り坂では、少し下の緩い最内を避け、3分どころを通る。正面スタンド前では前のオルフェーヴルの後方にぴったりと張り付き、徹底マークする。3角手前で一瞬、手綱が動いてズブさを見せるが、すぐに落ち着く。下り坂から大外へ持ち出し、いつでも仕掛けられるポディションに移る。オルフェーヴルと共に4角で早めに動いて行くが、馬なりでポディションを上げた勝ち馬に対し、ラーは手綱を動かしても一瞬にして3馬身の差を付けられてしまう。直線はジリジリと伸びて何とか3着を確保した。自ら勝ちに行く強い競馬だったが、4角での動きが勝ち馬との地力の差を印象付けた。もう少し、トモに力が付けば。

 4着には人気薄のハーバーコマンドが入線した。発馬ではそれほど行き脚はつかなかった。直後に兵庫の鞍上・木村が低い姿勢で気合いを付けて先団を取りに行く。気合いを付けたことで最初の下り坂で掛って行きたがる素振りを見せたが、木村が何とかなだめる。その後は好位の外めで我慢の競馬。4角の下り坂で外めから有力どころが一気に仕掛けるも、慌てず内でじっくりと我慢する。このあたりの判断は素晴らしい。直線は木村の剛腕が炸裂し、懸命に脚を伸ばす。外からトーセンラーが競りかけてきたことでフワッとすることなく最後まで集中して走ることができた。収穫たっぷりの競馬だった。

 サダムパテックはひと叩きしたことでデキはグンと上向いていた。好発を決めて馬なりで先団へ。だが、そこから下り坂を迎えたところで行きたがり、鞍上は手綱を引っ張って懸命に抑える。正面スタンド前では何とか平静を取り戻すも、常に手綱は引っ張り通し。向こう正面では前に壁がなくなり、気分良く行き過ぎて2番手までポディションを上げてしまう。4角までは手応えに余裕があったが、直線入口で急に怪しくなる。直線は脚が上がってしまい、5着を確保するのがやっとだった。向こう正面から気分良く行き過ぎたことでなし崩しに脚を使わされてしまった。元々が長い距離。タメがほしかった。

 6着には穴馬で推奨したゴッドマスタングが入った。道中は例によって最後方の位置取り。これは予定どおりだった。残念だったのは4角の下り坂からの鞍上の手綱捌き。手綱を押しては引き、馬群を上手く捌き切れていない。元々がトモが緩くてエンジンの掛りの遅いタイプ。下り坂を上手く利用すれば理想的な形で直線を迎えられたはず。4角を捌けなかったことで加速するのが直線入口まで遅れてしまい、結果として勢いが付いたのがゴール前となってしまった。勿体ない一戦だった。トモの強化待ちだが、長丁場が合っている。

 フレールジャックはこれまでで一番の落ち着きを見せていたし、デキは良かった。17番枠からスーッと馬なりでポディションを上げる。正面スタンド前ではサンビームを交わし、ハナを奪う。折り合い自体は付いていたが、回転の速いピッチ走法と前向きな気性。自然と速いラップを刻み、1000㍍通過が60秒9の締まった流れ。本来なら息を入れる2角で外からロッカヴェラーノに絡まれ、苦しい形に。4角で早々と手応えがなくなり、直線はバテてしまった。敗因は距離と明白。落ち着いていたのは収穫。

 ベルシャザールは発馬で飛び上がる感じになってしまい、行き脚がつかず中団から。最初の下り坂でも行きたがり、その後も力んでいた。スタンド前から少しづつポディションを上げて行くも、終始外々を通らされる苦しい競馬。4角の下り坂では正攻法の競馬で勝ちに行くが、早々と脱落。出負けしたことで余分なロスが発生し、距離自体も長かったか。

菊花賞(GI)最終結論

2011-10-22 20:04:26 | 最終結論
京都11R 菊花賞(GI 芝・3000㍍)
◎オルフェーヴル
○ベルシャザール
▲ウインバリアシオン
△ダノンマックイン
×フェイトフルウォー
×ゴッドマスタング

 史上7頭目の三冠馬誕生へオルフェーヴルが万全の態勢でレースを迎える。前走の神戸新聞杯1着は、好発を決めて中団へ。発馬後から久々の実践とスローということもあり、ハミを噛んで力んでしまう。向こう正面に入っても気を許せばガツンと行ってしまいそうな手応え。4角で外からウインバリアシオンが迫ってきたところで外めから進出を開始する。そこで左手前に替えてしまったことで4角で外へ膨れてしまう。直線に入ると馬なりのままグングン加速し、一気に先頭へ躍り出る。そこで内へモタれて坂上では右手前に替える。最後は内ラチを頼るような感じになったが、危なげなく差し切った。馬なりでポディションを上げられる凄い瞬発力だ。馬体もダービーから16㌔増やし、力強さも加わっている。今回は距離が600㍍伸びて3000㍍に替わる。確かに手綱を短く持ち、ハミを噛んでしまうタイプ。3000㍍はベストではないのは確か。それでも、前走の神戸新聞杯で超スローのなかで我慢することができたし、テンに折り合いに専念できれば克服可能と見る。あとは14番枠発走で最初の下り坂をどう乗り切るかがポイントになる。この中間は2週続けて坂路で併走馬を子供扱いした。凄い脚力でひと叩きされて更に上向いている。右回りはまだモタれる癖はあるが、それをカバーできる脚力がある。不動の本命へ。

 ひと叩きしてベルシャザールが急上昇を描いている。前走のセントライト記念はダービー以来の実戦。540㌔前後の超大型馬だけに久々は得意ではない。レースでは、ロイヤルクエストが大逃げする縦長のハイペースの流れを3番手から追いかける形。仕掛けどころが難しかったし、後続の目標にされる苦しい形。それでも大崩れはしなかったし、最後まで粘り強い走りを見せてくれた。ひと夏を越し、トモに実が入ったことで首の位置が低くなり、それが推進力に繋がっている。この中間は3週続けて坂路でびっしりと追われ、ひと叩きした効果は絶大。大幅な上積みが期待できる。長距離輸送だと発汗で大幅に馬体を減らしてしまうケースも考えられるが、近距離輸送の京都ならその心配もない。何よりスッと先行できるのは強み。4角の下り坂を利してロングスパートできれば。

 ウインバリアシオンも爪の不安が解消し、それと共にトモに実が入って首を上手く使えるようになった。それがダービー2着好走の要因。ひと夏を越し、馬体は更にボリューム感を増している。前走の神戸新聞杯は4角で外めから動き、オルフェーヴルと同じ位置から末脚を計ったが、あっさりと突き放されてしまった。逆転するには少し前で運ぶか、4角でインに突っ込むかだろう。今は折り合いに不安がないし、距離も大丈夫だろう。

 穴はダノンマックイン。坂路では見た目のスピード感は今ひとつでも、それ以上の時計が出る。これはトビが大きいからで、走る馬の証拠。走りはステイヤーのもの。ロングスパートができる持久力があり、中団待機から早めに動ければ。

 ゴッドマスタングも不気味な存在。トモが緩くテンに前へ行けないし、勝負どころでもズブい。攻めでは鞍上に反抗する面も見せ、気性面にも課題を残す。ただし、前走の500万戦1着は、最後方待機から一気の差し切り勝ち。スローで馬群が凝縮したなか、3,4角はかなりの大外を通らされ、距離ロスは相当あった。それでも、直線は後続を突き放した。相手が弱かったとはいえ、強い競馬だった。後方一気が決まるメンバーではないが、4角でインに突っ込むことができれば面白い存在。スタミナには自信を持つ。

菊花賞(GI)調教診断!

2011-10-22 15:59:44 | 調教診断
トーセンラー】○ 順調
蛯名を背にCWで2頭併せ(外ネオヴァンドーム)の内を6ハロンから追走。直線で馬体を併せ、ゴール前で僅かに先着できたものの、乗り手の体重差がありながら手応えで若干見劣った。グンと重心を沈め、四肢を目一杯に伸ばした馬体以上に大きな走りをする。前走で仕上がっていたので大幅な上積みは見込めないが、順調に来ている。

ルイーザシアター】○ 迫力感じさせ
坂路で2頭併せ。前脚をピンと張り出したメリハリのあるフットワーク。大トビで迫力があるし、首も上手く使えて集中力にも富んでいる。

スーザングレート】○ 併走馬突き放す
栗Pで2頭併せの外を6ハロンから。テンから飛ばし、3,4角は抑えるのに苦労するほどの行きっぷり。ラスト1ハロンから軽く気合いを付けられると、頭は高いが四肢を目一杯に伸ばした迫力あるストライドで併走馬を突き放した。好調。

ユニバーサルバンク】○ 迫力ひと息も
CWでブエナビスタの外を6ハロンから終いサッと伸ばす。女王には軽く突き放されてしまったが、追われてからグンと重心を沈めていつもの動き。ただ、トモの送りは甘く迫力という点ではひと息。

フェイトフルウォー】◎ 力強い脚捌き
長距離輸送を控えており、最終追い切りは坂路でサッと。首を水平に使い、集中力に富んだ走り。大きなフットワークで脚捌きも実に力強い。イレ込むことなく精神面もしっかりしている点にも好感が持てる。

シゲルリジチョウ】▲ アラアラ一杯で
坂路で2頭併せ。ビシビシ追われて先着できたものの、最後は完全に脚が止まってしまいアラアラ一杯に。ビッシリられている点には好感は持てるが、強調はできない。

ゴッドマスタング】○ 気性に課題残すも、脚力示す
CWで馬場の5分どころを回り、ナリタクリスタルと2頭併せで6ハロンから。ラスト1ハロンから追い出されると、フワッとして鞍上に反抗するように止まってしまう。決してバテてはおらず、気性面に課題を残す。脚捌き自体は力強く目を見張るストライドをしている。

ベルシャザール】◎ 今が充実期
坂路で2頭併せを追走し、終いびっしりと。ゴール前は馬体を接触させて迫力のある追い比べに。迫力満点のフットワークでラスト1ハロン12秒6も実に優秀。何より春先に比べてトモに実が入り、首の位置が低くなったため終いもしっかりと踏ん張れるようになっている。540㌔前後の超大型馬だけに脚元に掛る負担は相当だろうが、今は充実期で痛いところがなくなっているのだろう。3週続けてびっしりと攻め馬を積み、ひと叩きした上積みは相当見込める。

ダノンミル】▲ 全体的に硬く
ジョッキー騎乗で坂路を終い重点。ゴール前はステッキが入り左手前に替えるも、全体的に硬さのある走りで迫力はひと息。もう少し首を柔らかく使えるようになれば。

ロッカヴェラーノ】○ デキ万全
川田を背に坂路で半マイルからびっしりと追われる。独特の前脚のフォームに目がいくが、スピード感のある走りで首も水平に使えている。52秒1-12秒4も優秀だ。3週続けて速い時計を出し、デキは万全。

サダムパテック】○ 首を使えるようになり
岩田を背に坂路で単走。馬場の真ん中を回っただけに時計は強調できないが、春先よりは首を上手く使えるようになっている。フットワークも柔らかくスピード感十分の走り。

ハーバーコマンド】○ 気性に課題残すも、フットワーク良し
CWで2頭併せの外を6ハロンから。3,4角は少し行きたがって掛る。直線で追い出された時に内へモタれていたし、頭も位置も高い。ゴール前で抜け出す時にフワッとして更に頭の位置は高くなるなど、気性面に課題を残す。それでも、フットワーク自体は大きくて伸びやか。2週続けてびっしりやれている点にも好感が持てる。もう少しトモがパンとすれば。

ウインバリアシオン】○ デキ絶好
安藤勝を背にCWで3頭併せの大外を7ハロンからびっしりと。直線は大きなフットワークでグングン加速し、貫録の違いで楽に先着。動きは実にパワフルで迫力満点。今は爪の不安はなく、ビシビシやれている。ダービー時からトモに実が入ったことで首を上手く使えるようになっている。春先とは別馬と考えてほうがいい。2週続けて速い時計を出し、デキは絶好。

オルフェーヴル】◎ 文句なし
池添を背に坂路で2頭併せ。直線入口は引っ張り切りのもの凄い手応えで馬なりのままグーンと加速。ラスト1ハロン手前から鞍上が手前を替えるように促すと、スッと左手前に替える。ゴール前で軽く追われると更に脚の回転が速くなって古馬の準オープン馬を子供扱いして突き放してしまった。ゴール前で内へモタれたが、それを覆う脚力がある。春先の切れ味に力強さが加わり、凄いことになっている。三冠へ向けて文句なし。

サンビーム】△ 煽られ
坂路を2頭併せでびっしりと。持ったままの相手に対し、アラアラ一杯で遅れてしまう。頭の位置も高く、強調できる動きではない。まだ体が緩い分、頭の位置が高いのだろう。

ダノンマックイン】○ ステイヤーの走り
小牧太を背に坂路で2頭併せ。見た目のスピード感は今ひとつだが、それ以上の時計が出る。これはトビが大きいからで走る馬の証拠。ゴール前でステッキを入れられるとグイッと突き抜けて先着した。グンと重心を沈めて首を上手く使えている点にも好感が持てる。走りはステイヤーのもの。不気味だ。

フレールジャック】○ バネのあるフットワーク
一週前に福永を背に速い時計を出し、最終追い切りはCWでサッと流す。身のこなしが柔らかく、体全体を使ったバネのあるフットワーク。特に右手前の時に瞬発力は凄い。直線で何度も手前を替えていた点と気性が前向き過ぎるところに課題を残す。

ショウナンマイティ】◎ 動きダイナミック
武豊を背にCWを単走で6ハロンから。首を柔らかく使い、大きなフットワークでダイナミック。見た目以上の時計が出るようになっている。ひと夏を越し、トモがパンとしたことで重心が低くなり、フォームも伸びやかになっている2週続けてコースで追われ、デキは絶好。

秋華賞(GI)最終結論

2011-10-16 10:42:41 | 最終結論
京都11R 秋華賞(GI)
◎カルマート
〇デルマドゥルガー
▲アヴェンチュラ
△ホエールキャプチャ
×キョウワジャンヌ
×マイネイサベル

 今年の秋華賞は荒れる可能性は十分ある。例年、主力となるローズS組のレベルには疑問符が付く。超スローのため勝ち時計も平凡で、勝ったホエールキャプチャは内々をロスなく立ち回って先行できた恩恵は大きかった。それなのに最後に外から詰め寄られたのには不満を残す。

 桜花賞馬マルセリーナは前走で再び掛って折り合い面に不安を残す。2回目の騎乗となる福永は、今回は何が何でも抑えて折り合いに専念するだろう。元々、器用なタイプではなく京都内回りへの適性に疑問が残り、その上に「折り合いに専念する」というハンデも付く。前走で増えた馬体がどこまで絞れているのかもポイントだが、絞れたら今度は体が軽くなって更に掛ってしまう危険性も考慮しないといけない。いずれにしても厳しい戦いには違いない。
 
 本命はカルマート。前走の紫苑S1着は、テンから締まった流れを道中は中団インから追走する。三分三厘で自ら動いて4角では先行馬を捉えにかかる。直線で外から2着馬に被されて坂上では一旦差されてしまう。そこで怯んでもおかしくなかったが、抜群の勝負根性で首の上げ下げを制した。勝ち時計も優秀だが、底力勝負を自ら動いて押し切った正攻法の競馬は高く評価できる。今週の攻め馬では、全身を大きく伸ばしたストライドで迫力満点だった。とくに前脚の使い方は素晴らしく、デキは万全と見ていい。今回はスプリントの逃げ馬メモリアルイヤーが参戦し、ピュアブリーゼも積極的に行くことを考えれば、再び底力勝負になるのは必至だ。流れは向くので、あとは長距離輸送で馬体を維持できるかの点と外枠でロスなく立ち回れるかがポイントになる。

秋華賞(GI)調教診断!

2011-10-14 00:59:05 | 調教診断
カルマート】◎ 不気味
南Wを単走でサッと。四肢を目一杯に伸ばした大きなフットワークは迫力満点。特に前捌きは超一級品。首も水平に使えて集中力も抜群だった。3週続けてコースで意欲的に乗られ、攻め量も十分。時計平凡で目立たないが、不気味な存在だ。

スピードリッパー】◎ 動きだけは文句なし
北村宏を背に南Pで3頭併せの外を5ハロンから先行する形。負荷の少ないPコースをサッと流す程度なので過大評価はできないが、引っ張り切りの手応えで全身を柔らかく使った抜群の動き。動きだけは文句なし。ジャパンCを制した同厩舎のスクリーンヒーローを彷彿とさせる。とても前走で1秒5差の13着に沈んだ馬の動きではない。前走は勝負どころで包まれた時に怯んでしまったのを見る限り、オークスでエリンコートと接触した際の精神的な後遺症が残っている可能性は高い。でなければあれだけ大敗することは考えづらい。揉まれなければ、能力は発揮できる逃げるか

ホエールキャプチャ】◎ 渾身の仕上げ
池添を背に坂路を単走で強めに。終いの反応は1週前には劣るも、キビキビとしたフットワークで全身を使った迫力ある動きだった。前走後も栗東に残って稽古を積み、坂路で熱心に乗り込んで質・量ともに文句なしの調教過程だ。ここ目標で渾身の仕上げ。

アヴェンチュラ】○ 万全の態勢
最終追い切りはCWで3頭併せの内を6ハロンから。道中から引っ張り切りの痺れる手応え。終始、馬任せで併入して6ハロンから83秒9-12秒5。手綱が激しく動いていた併走馬を手応えで完全に圧倒した。もう少しトモの踏み込みに力強さが出ればいいが、首を上手く使った集中力に富んだ動き。この中間はコースで長めから4本乗られ、仕上りは万全。本番に向けてデキに不安なし。

アカンサス】○ 無駄のない動き
一週前にビッシリやられており、最終追い切りは長距離輸送を控えていることもあり、横山典を背に坂路でサッと。前脚をピンと張り出し、全身を柔らかく使った無駄のない動き。首も上手く使えており、集中力も感じさせた。

エリンコート】△ 動き今ひと息
最終追い切りは坂路を単走でサッと。前脚の出は硬く、推進力に欠ける動き。鞍上が何度も手前を替えるように促しても反応しなかったように、集中力にも欠けていた。春の弾むようなスピード感は鳴りを潜めている。上積みは見込めないだろう。

キョウワジャンヌ】○ 好調キープ
飯田を背に坂路を単走でサッと。例によって内へモタれていたが、これはいつものこと。グンと重心を沈め、キビキビとしたフットワークで好調キープ。

ゼフィランサス】○ 動き力強いも
柴原を背に坂路を単走で目一杯に。馬場を強く叩きつけてフットワーク自体は力強いが、ゴール前は脚が上がって筒一杯に。このあたりに久々を感じさせ、いきなりのGIでは厳しい。叩いて息ができれば上を狙えそうな動き。

デルマドゥルガー】○ 力強いトモの蹴り
武豊を背にCWを単走で終い重点。例によってフワッとして頭は高いが、顎を引いて首を使えるようになっているし、トモの蹴り自体は力強い。これで首の位置が低くなれば凄い馬になるだろう。

ピュアブリーゼ】▲ 上積み案外
坂路を単走で。ラストはハミを掛け直され、手綱をしごいて追われるも反応はひと息。スピード感は今ひとつで叩いた上積みは案外かも。

フレンチボウ】△ 伸びやかさに欠け
南Pを単走で一杯に。伸びやかさに欠ける動きで迫力はひと息。時計の出やすいPコースだけに時計面も強調できない。

マイネイサベル】○ 大トビで迫力満点
最終追い切りは栗東のCWを単走でサッと。大トビで雄大なフットワークは迫力満点。見た目のスピード感は今ひとつも、それ以上の時計が出る。これはトビが大きいからで走る馬の証拠。栗東で稽古を積んだことで前走からかなり上積みを見込める。

マイネソルシエール】○ トモの蹴り力強い
南Pを単走でサッと。少し硬さを感じさせるが、問題ない程度。トモの蹴りは力強い。

マルセリーナ】○ 動き案外
1週前に7ハロンからびっしりとやられ、最終追い切りはCWで2頭併せの内を6ハロンから追走する。終い重点で道中の折り合いはクリア。馬体を併せたままラスト1ハロンからハミを掛け直されてびっしり追われる。何度かノメッていたし、重心は低い割にモタモタして動きは案外。調教後の馬体重は太かった前走時と変わらず、絞り切れていないのが影響しているのだろう。逆に絞れたら動きやすくなって掛る危険性も出てくる。どちらにしても厳しい競馬になる。

メモリアルイヤー】△ 迫力案外
トモが緩く前傾姿勢でハミに頼った走り。フワッとしたりモタれたりとまだ馬が若い。前捌きも硬く迫力も案外。

リヴァーレ】○ 動き柔らかく
南Pで3頭併せの中を5ハロンから。自らハミを取るやる気を見せ、前脚をピンと張り出してフットワーク自体も柔らかかった。気配は目立っている。

リトルダーリン】○ 気配良好
中1週だけに坂路で15-15。顎をグッと下げて大きなフットワークが目に付いた。気配良好。

レッドエレンシア】○ 動き柔らかく
南Pで3頭併せの内を5ハロンから。ジョッキー騎乗で負荷の少ないPコースだけに過大評価はできないが、自らハミを取って柔らかい動き。

毎日王冠(GⅡ)回顧

2011-10-11 23:40:00 | 回顧
12.8 - 11.5 - 11.8 - 12.6 - 12.4 - 12.0 - 10.9 - 11.1 - 11.6=1:46.7
(36.1-37.0-33.6)

ひと夏越して成長した姿を見せてくれたのはダークシャドウ。初のGI挑戦へ最高のスタートを切った。久々になるが、この中間は負荷の掛るWコースで入念に乗り込まれ下見どころでは身のこなしの柔らかい姿が目に付いた。今春のエプソムC時は大阪杯激走の反動で腰に不安を抱え、負荷の少ないポリトラックでしか追えなかったのとは雲泥の差だ。レースでは発馬後から無理することなくスッと後方に控える。レースの流れは超スロー。これを道中は後方3番手から追走する。気負うことなくリラックスした追走姿で鞍上との呼吸はピタリ。3,4角でも流れは一向に速くならなかったが、鞍上は無理することなくジッと我慢する。直線を向いて右手綱を引いてシンゲンの外めに進路を求める。だが、外のミッキードリームに締められる。立て直して追い出すと坂上で今度は前のアクシオンがフラついたために一瞬手綱を引っ張るシーンはあった。正味1ハロンから追い出しを開始した時にはまだ中団より後ろ。そこからグーンと切れ味に勝る末脚で差し切った。瞬発力勝負、底力勝負どちらでも対応できる決め手を持っている。天皇賞へ向け中間の攻め過程には注意を払いたい。

 3歳馬リアルインパクトが2着を確保した。中間の攻め馬では発汗が目立ち、当日も14㌔増。見た目にも余裕はあった。発馬でトモに重心が掛り、それほど出脚は速くなかったが、緩い流れということもありスッと二の脚で3番手へ押し上げる。道中の折り合いは実にスムーズ。4角までレースのピッチは上がらず直線へ。手綱をしごいてゴーサインを送ると、残り2ハロンからの坂上で先頭に並びかける。抜け出す時に左手前に替えてフワッとしたが、インをロスなく立ち回り粘りに粘る。ゴール前で勝ち馬の決め手には屈したが、仕上り途上で古馬と同斤量を考えれば十分な内容。距離も問題ないことが分かった。

ミッキードリームは中山記念同様に長距離輸送によってレース前からかなりイレ込んでいた。レースでは発馬で出脚が遅く手綱をしごいても先行することができなかった。仕方なく2ハロン目からは手綱を抑えて後方の外めに落ち着く。レースの流れは超スローのため馬群は凝縮し、外々を回らされる。4角では早くもステッキが入り、ハミを掛け直されて反応は鈍い。直線に入ってもかなりズブく、鞍上が懸命にステッキと手綱をしごいて末脚を伸ばす。一完歩毎に力強く伸びて際どい勝負まで持ち込めた。脚質に幅が出たのは収穫だが、長距離輸送とズブさを見せていた点に課題を残す。

 エイシンアポロンは転厩緒戦で休み明け。この中間は坂路を中心にみっちり乗り込まれ、最終追い切りでは力強い動きをしていた。レースでは、1番枠を利して昨年のこのレース同様に好位のインをぴったりと立ち回る。4角までは経済コースをロスなく運び、直線は先行馬が壁となり坂上で馬場の3分どころへ持ち出す。残り1ハロンを切ったところで左手前に替えフワッとする。そこで末脚が少し鈍り、前と脚色が同じになってしまった。ロスのない競馬ができたとはいえ、1年ぶりで勝ち負けに加わったのは評価できるし、攻め馬の動きは本物。

 ダノンヨーヨーは発馬後から内へモタれ、それを修正しながらの道中。直線を向き、一旦は馬場の5分どころへ持ち出そうとするも、進路がない。残り2ハロンを切ったところでインに突っ込む。鞍上が常に右手綱を引きながらの誘導で満足に追えない。それでも、差を詰めているのだから脚力は相当だ。ステッキが入った瞬間の反応も良かった。トモが緩くズブいため緩急のある流れだとエンジンが掛るのに時間を要するタイプ。それだけにラスト4ハロンから12秒0-10秒9の急流は厳しかった。叩いた上積みは見込めるし、本番でテンからある程度流れてくれれば。

 ナリタクリスタルは好発を決めるも、直後にズルズル後退して中団まで下げる。3角では後方集団まで下がってしまう。直線を向くと追って頭は高く、伸びはひと息。ゴール前は武豊の追いも甘く伸び切れなかった。このメンバー相手では決め手で劣ることは分かっていただけに、テンからある程度の位置で競馬したかった。理想をいえばシルポートがもう少し引っ張ってほしかった。ごまかしの利かない府中では厳しかった。

 シルポートは久々で攻めは動けていたものの、若干余裕残し。同型不在で楽にハナを奪えたが、ペースを落とし過ぎた。直線で楽な手応えだったが、あっさりと捕まってしまった。1800㍍も少し長い印象だが、ペースを落とし過ぎた。

 シンゲンは下見どころからイレ込み、相変わらずテンションは高かった。レースでは前に壁を作ることがきでず、なし崩しに脚を使わされてしまった。トモが緩いために追って頭が高くなるのも課題だ。

 

 

南部杯(GI)回顧

2011-10-11 23:39:20 | 回顧
12.0 - 10.9 - 11.4 -= 11.8 - 11.7 - 11.5 - 12.4 - 13.1=1:34.8
(34.3-23.5-37.0)
 
世界最高峰の舞台で輝いた実力は本物だった。トランセンドが苦しみながらGI3勝目を獲得した。海外遠征明けで半年ぶりの実践。攻め馬は積んでいたが、ハンデはあった。元々、上手くはない発馬地点の芝でモタつく。鞍上が懸命に手綱をしごいて行くも、反応は鈍い。ダート部分に差しかかっても鞍上の手綱は忙しく動く。ようやく3ハロン目から2番手に取り付く。しかし、レースの流れは芝並のハイラップ。3,4角でも息を入れることができず。発馬から一度も息を入れることができず、トランセンド自身はかなり厳しい競馬。4角では早くも手綱が動いて手応えは良くない。並の馬なら完全に馬群に沈むケース。直線に入っても鞍上が懸命に手綱をしごいて馬を持たせる。一旦は外のダノンカモンに差されたが、ゴール前で驚異の粘りを発揮して差し返してしまった。ドバイWC2着の実績は伊達ではなかった。着差以上に強い価値のある勝利だった。

 2着のダノンカモンは好発を決めてスーッと好位の外めに取り付く。今冬のフェブラリーS4着時は、道中のペースに対応できずズルズルと後退してしまったのとは対照的。超ハイペースに戸惑うことなく、道中の追走はスムーズ。直線を向き、一旦は先頭に躍り出るかの勢い。だが、抜け出す時に鞍上のステッキに反抗して尾を振る悪い癖を出す。フワッとした分、ゴール前で差し返されてしまった。

 3着のシルクフォーチュンは道中で行きたがるのを懸命になだめながら後方で脚を温存する。直線で外めに持ち出し、一完歩毎に力強く伸びたが、最後は前と脚色が同じになってしまった。

 ランフォルセは初めて経験するマイルGIの厳しい流れ。追走に脚を使わされた分、最後に伸びるお釣りがなかった。いい経験になった。

京都大賞典(GⅡ)回顧

2011-10-09 22:14:09 | 回顧
【馬場】Aコース。開幕週の絶好の高速馬場。

12.8 - 11.0 - 11.8 - 12.7 - 12.6 - 12.3 - 12.8 - 12.5 - 11.8 - 11.1 - 11.4 - 11.3=2:24.1
(60.9-58.1)

 ここでは負けられないローズキングダムが秋緒戦を順当に勝ち上がった。中間の攻め馬では完歩の小さい走りで決してデキは良くは見えなかった。加えて59㌔。メンバーに恵まれたとはいえ、不安要素はあった。レースでは7番枠から馬任せでポディションを取りに行く。各馬の出方を見ながら1角からスッと4番手のインに落ち着く。ペースの落ち着いた2角から少し行きたがる面と内へモタれたが、問題ない程度。向こう正面ではスムーズに折り合う。3角の上り坂に差しかかるところで内へモタれる。悪い癖を見せかけたが、鞍上がすぐに修正し4角から直線にかけてはスムーズに加速する。直線は鞍上の右ステッキと体と左手綱で真っすぐ駆け抜ける。首を水平に使い、グーンと加速する。最後は外から詰め寄られたが、着差以上に差を感じさせる切れ味で差し切った。開幕週のパンパン馬場で持ち味の切れ味を存分に発揮できたし、右回りで課題だった内へモタれる点も鞍上の渾身の騎乗でカバーできた。ここは相手に恵まれたのは確かだが、天皇賞へ向けて視界の明るい内容だった。叩いて確実に上積みを望めるし、何より左回りに替わるのは強調材料だ。

 久々のビートブラックは中間に坂路で3週続けてびっしりと追われ、好仕上がりだった。発馬直後に鞍上が意図的に手綱を引っ張り、控えるように促す。一旦バランスを崩す仕草を見せたが、すぐに行き脚がつき、スーッと好位に取り付く。向こう正面からは離れた5番手で流れに乗る。4角手前の下り坂から手綱をしごきスパートを開始させる。4角ではズブさを見せて外からジャガーメイルに被される苦しい形に。一瞬は飲み込まれそうになったが、直線は大きなフットワークで一完歩毎に力強く伸びる。ゴール前で右手前に替えてもうひと伸び。内、外から挟まれる形になりながら勝負根性で差し返した。大型馬の久々を考えれば申し分ない内容。長いところが合っている。

 立て直したオウケンブルースリが復活の兆しを見せてくれた。元来、腰に不安を抱えて今春は本調子には程遠いデキだった。この中間は3週続けてびっしり追われ、いい頃の動きに戻りつつあった。その証拠に発馬してからの行き脚がいつも以上に良く、一時は先行争いに加わろうかの勢い。これはトモが入っているからである。2ハロン目からはスッと後方に控えるも、それほど前とは離れずインをぴったりと立ち回る。4角の下り坂を利してスパートを開始させ、スムーズに加速して直線もインを突く。2着馬と馬体を併せ、激しい追い比べに。ゴール前で僅かに屈したが、久々にグッとくるレースを見せてくれた。本来は底力勝負でこそのタイプ。瞬発力勝負に対応できたのも評価できる。叩いて本番が楽しみになった。疲れやすい体質だけに中間の攻め過程には注意が必要。

 久々のジャガーメイルは下見どころから気負いが目立っていた。レースではスッと後方に控えて外めに持ち出す。道中の折り合いはスムーズで4角の下り坂から理想的にスパートする。直線は2着馬を被せに行き、一気に前を捕えるかの勢いだったが、外へ膨れる。そこから立て直して末を伸ばすも、ゴール前で内へ切れ込んでしまい、そこを2着馬に差し返されてしまった。久々を考えればいい内容だった。

 超良血馬フォゲッタブルがようやく復活の兆しを見せてくれた。今春は鞍上に反抗する面を見せ、気持ちが走る後方に向いていなかった。宝塚記念当時は、中間の攻め馬で前の馬を追い抜いてゴールする感覚を覚えさせ、馬に自信を取り戻させる稽古を繰り返した。変わり身を期待したが、レースでは発馬でモタれてレースに参加することができなかった。鞍上の川田騎手としてはハナを奪うつもりだったはずだ。この日はゲート内でチャカチャカしてモタれ掛けたが、何とか真っすぐ出る。直後に鞍上が手綱をしごいてハナを主張する。外のネコパンチがハナを奪ったために2番手に控える。いつもなら掛って反抗するが、この日はスムーズに2番手から折り合うことができた。首を上手く使い、スナップの利いた走りは3歳秋の菊花賞当時を彷彿とさせるもの。直線は切れ味に勝る上位馬に屈したが、最後まで諦めない走りをしていた。実力馬がようやく走りに自信を取り戻した。前進あるのみだ。