中央競馬徹底研究!

2022年は客観的な予想を心がけます。

天皇賞・秋(GI)回顧

2007-10-30 08:29:48 | 回顧
2007/10/28 4回 東京 9日目 晴(稍)
11R サラ系3歳以上 天皇賞・秋(G1) ○国際牡・牝○指(定量) 芝2000

【馬場】Bコース。やや重。内側が傷み、馬場の3分どころがギリギリ。芝の中が湿っている。

12.9-11.5-11.7-11.6-11.9-11.9-11.9-11.5-11.4-12.1=1:58.4

【展開】コスモバルクがハナ。それにB着用のデルタブルースが競りかけ、きれいな平均ペースの緩みない流れ。外枠のダイワメジャーは無理することなく好位の外め追走。

 馬インフルエンザで欧州遠征を断念し、国内制圧を目標に切り替えたメイショウサムソン。今回から手綱を取る武豊のエスコートで秋緒戦を圧勝で飾った。久々の一戦だったが、3週連続して武豊が調教に跨り、ほぼ万全の仕上がりだった。下見どころから迫力ある馬体が目を引いた。1番枠から好発を決め、先手を奪うかの勢いだったが、外から他馬がドッと押し寄せてきたために無理することなく好位のインまでポディションを下げる。若干、行きたがる素振りは見せたものの、許容範囲で鞍上の好判断。その後は馬群のインを通り、脚をタメる。終始、スムーズな競馬で4角から直線にかけての手応えは抜群。残り2F地点の坂上で早くも先頭へ躍り出ると、グングン加速。一頭になってもその集中力が途切れることはなく、ゴール前で鞍上の懸命な右ステッキに応えて2着馬を突き放す芸当を見せた。他の有力馬が不利に泣く中、スムーズな競馬ができた差はあったとしても、最後の脚力は紛れもない本物だった。やや重で1分58秒4は極めて優秀。腰を痛めていた昨年や、天皇賞激走の反動があった宝塚記念とは雲泥の差。劇的に力を付けている。底力に満ち溢れている。今年は残すところあと2戦。日本代表として凱旋門賞の悔しさを晴らす!

 調教で掛かり気味に失速したアグネスアーク。腹が巻き上がっていたが、当日は増減なしの430㌔。バネの利いたトモが印象的だった。道中は中団馬群のなかを追走。直前の勝ち馬を見る形。スムーズな折り合いを見せ、4角で気合いを付けて直線へ。入り口でエイシンとシャドウの間にできた隙間を積極的に狙いに行く。それが功を奏し、坂上で鞍上の右ステッキが入ってグンと伸びる。だが、そこで内のエイシンデピュティに寄られ、外のシャドウゲイトと挟まれてしまう。完全にバランスを崩して本来なら戦意を喪失してしまうケース。だが、そこから立て直して根性の末脚を発揮。最後は頭を上げてジリ脚になりながらも、ゴール前でカンパニーを差した。430㌔台の小柄な馬体で、エンジンが掛かり出してから挟まれる大きな不利。それを克服してのものだけに勝負根性は対したものだ。負けて強しの内容。決め手強化されている。あとは精神面での後遺症が気になる。

 関屋記念以来、3ヶ月ぶりの実践だったカンパニー。仕上がりは良好だった。道中は6番枠からスッと後方に下げる。馬場の良いギリギリの所を選び、馬群のインで我慢。福永のスムーズな誘導で、直線もロスのない馬場の3分どころへ。だが、前のバルクが外へ膨れ、狙っていた外側の進路を諦め、その内側の進路を突くも、今度はバルクが内側へ切れ込む。仕方なく強引に手綱を引いて外へ誘導する。そこからピッチの利いた回転の速い脚捌きでグンと加速。残り1F地点では勝ち馬に迫るかの勢いだったが、ゴール100㍍手前で筒一杯となり、最後は突き放されて2着馬にも差された。少し2000㍍は長かった。マイルで。

 ペリエを鞍上に迎えたポップロック。ひと叩きされてCWで中身の濃い攻めを消化。デキは万全だった。14番枠から先行策を狙ったが、行きがつかず後方からの競馬。道中も大トビで2000㍍のスピード対応に苦しみ、手綱のアクションに余裕がない。馬群に取り付くのに精一杯の感で、4角ではステッキが入るも反応が鈍い。直線を向いてもジワジワとしか脚を使うことができず、4着に詰めるのが精一杯だった。明らかな距離不足。有力どころの凡走に助けられた面もあった。距離が伸びるジャパンCは、ポップに最適な舞台。ゆったり競馬が合い、長く脚を使うので府中は絶好。でも、GIを勝ち切るには決め手不足。

 コスモバルクは逃げ馬不在のため果敢にハナへ。以前の掛かり癖は見せることもなく、制御の利いた道中。2番手のデルタのプレッシャーはあったものの、きれいな平均ペースの流れを刻む。だが、直線を向くと大きく外に膨れ、それを立て直して内側へ切れ込む滅茶苦茶な騎乗。ハングリー精神は認めるが、権威あるレース。本当に残念でならない。五十嵐は馬に責任を押し付けているが、左回りで外へ膨れることは過去のレースぶりから明らか。言い訳にはならない。過去には札幌で競りかけた馬の鞍上に肘鉄を食らわす悪態を働いた五十嵐。福永が「もうGIで乗らないで欲しい」と言ったのも納得だ。

 宝塚記念以来の実践となったアドマイヤムーン。この中間は休み明けながら明らかな攻め不足。それでも、気の勝ったタイプで馬体は仕上がっていた。道中は12番枠から中団馬群の外めを進む。前のダイワメジャーを見ながらの競馬。だが、馬群が固まったためにかなり外々を通らされるロスの多い競馬。直線も大外へ持ち出すしかなかった。しかも、勢いに付きかけた坂上で内側から寄られる不利があって完全にバランスを崩す。立て直してジリジリと脚を使うも、残り1F地点で左手前になり、ゴール前は脚色が鈍って内へモタれてしまった。久々で攻め不足、全体的にロスの多い競馬で、大きな不利。さすがのGIホースもこれでは勝てない。

 チョウサンは特徴的な前脚のフットワークで道中は無理することなく最後方からの追走。鞍上は「ノメり通しで、グリップが利かなかった」と。前走をレコード駆けし、パンパンの良馬場でこそのタイプ。

 シルクネクサスは道中、6,7番手のインを追走。直線の坂上では一旦、勝ち馬に並びかける場面が。折り合い付くようになり、安定感が増してきた。

 ダイワメジャーは14番枠で内の速い馬を見ながら無理に行くことなく、好位の外めへ。年を重ねたことで昨年ほどの行きっぷりがない。手綱を押して好位を取りに行った。三分三厘でも下手に動くことなく直線へ。入り口でハミをかけ直し、良い感じでスッーと進出するも、そこで内から突進されて体勢を崩す大きな不利が。そこから懸命に左ステッキが入るも、今ひとつの伸び。ゴール前でAムーンと馬体を接触して完全に戦意を喪失した。力を出し切れなかった。以前よりもゲートをモッサリ出てテンに行けなくなっている。尚且つ、外から被されると脆い。テンが更に速くなるマイルで内枠を引くとどうか。

 デルタブルースはB着用で道中はハミをかけて意識的に攻める競馬。だが、いつものリズムで走れていないために馬が戸惑った。掛かり気味になったし、息を入れる場面がなかった。やはりこの距離ではパフォーマンスが大幅に低下する。速いレースを経験したことでズブさが解消されれば。

 ブライトトゥモローは直線伸びかけたところでデルタブルースに進路を阻まれた。スムーズだったらもう少しやれたか。

スワンS(GⅡ)回顧

2007-10-30 08:27:06 | 回顧
2007/10/27 4回 京都 8日目 晴(稍)
11R サラ系3歳以上 スワンS(G2) ○国際○指(別定) 芝1400

【馬場】Aコース。やや重。想像以上に内側の馬場が悪い。外差し決まる。

12.0-10.6-11.1-11.5-11.6-11.4-12.5=1:20.7

【展開】アストンマーチャンがハナ。ギャラント、ナカヤマが競りかけ、アストンがハミをグッと噛んでテン3ハロンが33秒7。やや重の馬場を考えてもオーバーペース気味。中団あたりの馬に有利な展開。

 完全に充実期を迎えたスーパーホーネットが待望の重賞制覇。プラス10㌔と前走から更に成長。だが、レースではスプリント色の強い流れになり、道中は手綱を押しながら後方を追走。4角の下り坂で外めを通り、仕掛けを開始。直線で大外へ持ち出し、抜群の脚力で一完歩毎にグイグイ伸びる。ゴール前で計ったように差し切った。メンバー最速の上がり33秒9。決して楽な追走でないのに最後の決め手。急激な成長を遂げた。GIでも。

 フサイチリシャールは久々に福永とのコンビ。最終追いはDWで意欲的にやられた。道中は14番枠から内の馬を見ながら好位の外めを追走。集中した走りで迫力ある追走姿を久々に見た。4角でスッーと加速して入り口で内から寄られる不利はあったものの、力強いフットワークでグンと加速。少し内へモタれたが、最後までその脚色は衰えなかった。勝ち馬の決め手が凄すぎただけで、正攻法の競馬で強い内容だった。1400㍍がベスト。

 ドラゴンウェルズは道中、中団馬群追走。終始、良い手応えでFリシャールを見ながら。前走でスプリント戦を経験しているだけに流れに戸惑わなかった。直線も良い伸び脚。

 スイープトウショウは久々で予定していた京都大賞典を追い切りが行えずに回避。ここまで復帰戦がずれ込んだ。18㌔増で明らかな太目残りだった。それでも、スプリント寄りの速い流れに戸惑うことなく中団を追走できたのはさすが。2番枠で終始、馬場の悪いところを通らされるも、直線で馬場の良い大外へスムーズに持ち出す。ゴール100㍍手前までは突き抜けるかの脚を見せた。最後は失速したものの、久々でこれだけやれれば十分。

 ブラックバースピンは攻めで回転の速いピッチ走法で坂路をラスト1F11秒台。デキは良かった。道中は向こう正面で頭を上げてモロにバカついてリズムを崩す。4角で後方までポディションを落とすも、荒れ馬場を苦にしないパワータイプで、CBC賞同様、直線は馬場の悪いインを突く。そこからジワジワと脚を使ってきた。

 キングストイレイルは6番枠から掛かり気味の道中。向こう正面で躓くシーンも見られ、終始、馬場の悪いインを通らされる。三分三厘の手応えも今ひとつで、直線もインを突くが、伸びは今ひとつ。鞍上との呼吸は今ひとつで、スプリント戦後だけに乗り難しかったか。

 マイネルスケルツィは1番枠から顎をグッと引いて好位のイン追走。集中力ある走りで4角を迎えたが、ここで落鉄したとのこと。直線で一瞬は見せ場を作ったが、速いペースを追いかけたこともあって失速した。

 ナカヤマパラダイスは失速したものの、豊富なスピード性能を見せ付けた。道中は2番手で積極的に立ち回り、ゴール100㍍手前で失速したものの、やはり1400㍍は長かった。スプリント戦で改めて。

 アルトンマーチャンは楽にハナを奪うも、2ハロン目からナカヤマパラダイスに絡まれ、ハミをグッと噛んで行きたがってしまう。馬場を考えればテン3F33秒7は速いし、下り坂までずっと力んでしまった。スプリント戦後だけに余計折り合いが付きにくかった。どこかで息を入れることを覚えさせないと。

天皇賞・秋(GI)最終結論

2007-10-28 13:03:39 | 最終結論
東京11R 天皇賞・秋(GI 芝・2000㍍)
◎メイショウサムソン
○ダイワメジャー
▲ポップロック
△アドマイヤムーン
×デルタブルース
×チョウサン
【見解】
メイショウサムソンに渾身の◎。底力に満ち溢れた末脚が武器で、前走の宝塚記念2着は、先行馬壊滅状態の流れを三分三厘で抑え切れない手応えで先団へ。直線で舌がハミを越し、マークされていたAムーンに並ばれるも、坂上で左手前に替え最後まで渋太く迫った。負けて強しの内容だった。とにかく底力に満ち溢れた末脚が武器で、高速決着よりも時計の掛かる馬場でこそのタイプ。前日の雨は有り難い。1番枠を引いたが、午前中のレースを見る限り、内の状態はしっかり。鞍上には天才・武豊。久々になるが、とにかくデキが良い。1週前にDWで抜群の動きを披露し、最終追いは馬任せでリズミカルなフットワーク。過去最高ともいえる万全の態勢だ。勝つ!!

スワンS(GⅡ)予想

2007-10-27 07:04:13 | 最終結論
京都11R スワンS(GⅡ 芝・1400㍍)
◎キングストレイル
○スーパーホーネット
▲オートセレブ
△ジョリーダンス
×ブラックバースピン
×タマモホットプレイ
☆アストンマーチャン

【見解】
 スプリンターズS4着のキングストレイルを本命視。その前走は初距離にもかかわらず大外枠から中団を掛かり気味に追走。隣のスズカフェニックスの行きっぷりが悪いなか、三分三厘の手応えも十分。直線で鋭い末脚で追い込むも僅かに届かなかった。道悪で先行馬有利の展開、ロスの多い大外枠からよく追い込んだ。前々走の京成杯AH1着は、1番枠から抑え切れない行きっぷりで好位追走。他馬の手綱が動く4角でも、抑えるのに苦労するほど。直線で一瞬の爆発力で一気に抜け出し押し切った。頭の高い走法で一瞬の決め手が武器。距離延長は望むところ。前走の勝ち馬アストンマーチャンとは斤量で4→2㌔差に縮まり、距離延長、先行激化を考えれば逆転の可能性は高い。

天皇賞・秋(GI)調教診断

2007-10-25 23:59:06 | 調教診断
推奨馬なし
アドマイヤムーン不安一杯

メイショウサムソン】◎ 乗り込み入念、豪快な動き
久々の一戦となるが、乗り込みは万全。3週続けて武豊が騎乗し、1週前にDWで2頭併せを一杯に追われ、最終追いは馬なりでサッと。うまく首を使った重心の低いフォームで、豪快な四肢の捌き。大型馬特有の重苦しさは全くない。万全のデキ。

【エイシンデピュティ】○ 迫力ある動きで上積み十分
野元(レースは柴山)を背に坂路で目一杯に。高く突き上げた迫力ある前脚の捌きで、後肢の蹴っぱりも十分。全体の時計は平凡も、上がり2Fが24秒7-12秒5は優秀だ。叩かれた上積みは十分見込める。

【コスモバルク】○ 脚捌き硬いも、折り合い付き長めから意欲的に
門別での調整。2週続けて7ハロンから追われてきた。前捌きの硬さは気になるが、元々ダートは走らない。それよりも道中の折り合いが付いたのは何より。寒い北海道での調整だけに太め残りに注意。

デルタブルース】◎ ゴーサインに対して機敏な反応
中2週のローテだが、2週続けてCWで5ハロンから3頭併せを消化。最終追いは3頭併せの中を、グイッと首を下げてシャープな脚捌きで同入。特に、ゴール後に目一杯追われ、前走時にはなかった機敏な反応を見せた。大型馬の叩き2走目、額面どおりに良化している。

【ローゼンクロイツ】△ 手応えで圧倒され、案外の動き
藤岡佑を背にDWで6ハロンから2頭併せ。余裕残しの併走馬に対し、目一杯追われるも半馬身遅れてしまった。首の使いが硬く、案外の動き。久々の一戦でもあり、強気にはなれない。

【カンパニー】○ ピッチが利き、余裕残しでフィニッシュ
福永を背に坂路を単走で。ピッチの利いた回転の速いフットワークで、ゴール前にハミをかけ直された程度の余裕残しままフィニッシュ。ラストの伸びが足りない印象はあるが、半マイル51秒3なら優秀。仕上がり良好

【シルクネクサス】○ 追って頭高く、左へモタれる
四位を背に坂路を単走で。ラスト1Fで追い出されるも、頭が高く、左へモタれるのを矯正しながら。お世辞にも良い動きとはいえないが、2週続けてビシッとやられたのは評価したい。

【ボンネルビルレコード】○ 3週続けて追われ、態勢整う
柴田善を背に南芝を単走で。直線でスッと右手前に替え、柔らかい首の使いで、まずまずの脚捌き。3週続けてWと芝で追われ、動ける態勢にある。

【アグネスアーク】△ 腹が巻き上がり、動き単調
CWで単走を一杯に。テンに掛かり、ゴール前で軽くステッキが入るも、頭が高く、迫力に欠ける動き。前走時もそれほど良く見せなかったが、動きよりも腹が巻き上がり、馬体がギリギリになっているのが問題。ここから長距離輸送が待っている。当日、馬体減で出走なら厳しいだろう。

【ブライトトゥモロー】○ 大差先着も、ゴール前は筒一杯
坂路で2頭併せを一杯に。ゴール前でステッキがビシビシ入り、大差先着するも、ゴール前は完全に脚が上がっていた。中2週で時計を出したのはこの一本のみ。平行線。

【シャドウゲイト】○ 一杯に追われるも、突き放せず
南Wで2頭併せの内、追走。1週前は馬なりで引っ張り切りのまま同入したが、この日は最後まで手前を替えず、一杯に追われながら突き放せなかった。久々で、まずまずの仕上がり。

【アドマイヤムーン】△ 攻め物足りず、動きも案外
最終追いはDWで2頭併せの外。引っ張りきりの手応えのまま、ラスト1F追われると機敏なアクションを見せるも、クビ差遅れた。GI馬で上がり重点ならもっと切れなくてはいけない。6ハロンで87秒0-12秒1は明らかに物足りないし、この中間は一度も目一杯に追われてない。調教師は強気一辺倒だが、どこを指して言っているのか。ブックのPHOTOパドックを見ると、冬毛が目立つ。

【チョウサン】○ 中2週も乗り込み入念
坂路で2頭併せ。舌がハミを越し、余裕残しの併走馬に対して一杯の手応えだったが、攻めはいつもこんな感じ。それよりも、中2週で入念に乗り込まれているこを高く評価したい。

【ダイワメジャー】○ 併走馬を子ども扱いも、昨年ほどの迫力は…
南Wで2頭併せの内を追走。顎をグッと下げ、持っていかれ気味の手応えで馬なりのまま併走馬を子ども扱い。いつもどおり豪快なアクションで先着したが、昨年時はもう少し迫力があった気がする。時計は気にする必要はない。

ポップロック】◎2週続けて追われ、万全の態勢 
例によってCWで3頭併せの内、追走。引っ張りきりの手応えのまま、前脚をピンと前に張り出し、いつもどおりの素軽い動き。中2週でも2週続けて意欲的にやられてきた。万全の態勢。

【マツリダゴッホ】○ 手前替えず、物見するも、脚捌きシャープ
北Cで3頭併せの外、追走。最後まで手前を替えず、ゴール前で物見をしてヨレたが、脚捌き自体はシャープで迫力があった。3週続けて速い時計を出し、デキを維持している。


菊花賞(GI)回顧

2007-10-23 00:28:10 | 回顧
【馬場】(芝コース) 野芝約12~14cm、洋芝約12~16cm。Aコース。水分を含み、柔軟な馬場状態。

12.9 - 11.7 - 11.7 - 12.8 - 11.6 - 11.9 - 13.4 - 12.6 - 12.9 - 12.8 - 12.6 - 12.0 - 11.6 - 11.9 - 12.7=3:05.1

【展開】発馬直後の最初の坂。内からマンハッタンスカイがハナを伺うも、2ハロン目の下り坂で勢いを付けた17番枠のホクトスルタンがハナを奪う。直後のスタンド前では、サンツェッペリンのプレッシャーもあり、ペースは緩むことなく1000㍍通過が60秒7。1,2角こそ13秒4と流れが緩むも、向こう正面からはまずまずの締まった流れ。有力どころの各馬は、平均ペースの流れをテンは折り合いに専念し、三分三厘の下りで好位のアサクサが動いたのを見て、マークしていたアルナスが動き、後方待機のエーシン、ドリームは外を通って進出。距離適性を試される厳しい流れ。最後は根競べとなった。

 ダービー、神戸新聞杯であと一歩のところで苦杯をなめたアサクサキングス。鞍上には、そのダービー優勝のウオッカに騎乗していた四位。不思議な縁で結ばれた人馬が、最後の1冠を獲得した。下見どころから迫力満点の馬体と気合い乗りが目に付いた。レースでは10番枠からスッと好位へ。最初の上り坂でサンツェッペリンと接触するアクシデントはあったものの、リズムを崩すことなく離れた5番手で折り合う。道中は馬場のいい3分どころを通り、長手綱で長距離戦では理想的な姿。4角の下り坂で満を持して手綱を緩めて進出を開始。一気に2番手までポディションを上げて直線へ。そこからハミをかけ直し、強引に左手綱を引くと外へ膨れ、見せムチで内側へ切れ込み、再び左手綱で矯正すると外へ膨れる。左右にフラつく若さを見せながら、残り300㍍から右ステッキでライバル、アルナスラインに幅を寄せ、プレッシャーをかける。ゴール前で馬体を併せると、今度は渾身の左ステッキ。最後はほとんど余力を残していなかったが、これまでのGI戦で得た勝負根性で、振り切った。折り合いに全く不安のないタイプでスタミナも十分。右回りではコーナーで外に膨れる癖がある。この日もそれを見せていたが、長丁場で道中の追走がゆったりできる分、不利にはならなかった。

京都大賞典3着から中1週での参戦となったアルナスライン。古馬との激走後だけに反動を案じたが、攻めもしっかりできたように杞憂に終わった。道中は2番手集団から直前のアサクサキングスを徹底マークする。だが、ハミを抜いて楽な走りをするアサクサに対し、顎をグッと下げ、ハミを噛んで力んでしまう。鞍上も手綱を短く持ち、細心の注意を払う。三分三厘の下り坂でアサクサが動くと、連れるように進出。手応えを残したまま直線を向き、入り口でアサクサに進路を奪われるも、それほど不利にはならず。だが、向こうが右ステッキで幅を寄せてきた時に迫力に押されて外へ寄れてしまう。そこから立て直し、ジワりと詰め寄って差し切るかの勢いだったが、ゴール前で脚色が一緒になってしまった。着差が着差だけに惜しい。中1週の強行軍に加え、道中はずっとハミに頼って力んだ走り。それで勝ち馬とアタマ差なのだから負けて強し。本質的には中距離タイプ。

 1番人気に推された南半球産馬のロックドゥカンブ。僅かキャリア4戦だが、初の京都コース、長距離輸送でも全く動じることなく威風堂々とした姿。逞しい精神力を示した。4番枠から少し重心が後ろだった時に発馬が切られ、行き脚がつかず。道中は無理することなく、中団馬群のインに入れ、脚をタメる。長丁場だけにこの形がベスト。人馬一体となって完璧な折り合いを見せる。だが、インで脚をタメることに成功した分、三分三厘の勝負どころで馬群を捌けずにポディションを落としてしまう。直線入り口では13番手だった。そこからインを突いて馬群を縫うように伸びる。最後までその脚色は衰えず、上位2頭に迫るも、僅かに届かなかった。馬体を併せて勝負根性を発揮するタイプだけに、抜け出す時に一頭だけだったのは辛かった。結果論になるが、いつもどおり好位から立ち回っていれば勝っていたかも。差す形になっても結果を出せたのは大きい。強い馬だ。

 本命視したエーシンダードマンは残念ながら僅かに届かず4着。下見どころから落ち着き十分で、柔らかい歩様と毛づやの良さが目に付いた。道中は例によって後方から。大きなトビで、長丁場だけに気持ち良さそうな追走で余裕十分。今までになかった姿だ。勿論、折り合いも完璧で脚を十分に温存。馬群が凝縮した残り4F地点の下り坂で、外めを痺れる手応えで一気に中団までポディションを上げる。4角で気合いを付け、直線へ。入り口で何度も手前を替える若さを見せたが、左手前になってからは、ジワジワと脚を使って伸びた。一気に弾けることはなかったが、長距離適性を十分に示した内容だった。鞍上も「力を付けている段階で、来年が楽しみ」と。間違いなくステイヤーだけに今後の成長に期待。

 前哨戦の神戸新聞杯を制したドリームジャーニー。この日も自身で体を作るタイプだけあって412㌔の小柄な馬体で、気合い乗り十分。道中は例によって最後方。鞍上は手綱を短く持ち、気を許せばビューンと行ってしまいそうな気配はいつものこと。3角の上り坂で除々に進出を開始し、下り坂で一気に手綱を緩めて中団まで押し上げ、弾ける手応えも残っている。直線を向いていざ追い出すが、反応がない。いつもはなかなか手前を替えないが、直線入り口でスッと左手前に替えた。裏を返せばもう余裕が残っていなかったということ。最後は完全に脚が止まってしまった。2400㍍はギリギリ持ったが、3000㍍は長すぎた。今後はマイルから2000㍍を中心に使われるはず。期待大。

 ホクトスルタンは17番枠から内のマンハッタンとのハナ争いを制して2ハロン目から先頭へ。番手のサンツェッペリンが一周目のスタンド前で掛かり気味に競りかけてきたために11秒6-11秒9と速めのラップを刻む。1,2角こそ13秒4と息を入れられたものの、向こう正面から再びまずまずの締まった流れとなり、休めない。三分三厘の下り坂で番手を形成してきた3頭が続々とバテてしまうなか、まだまだ手応え十分。直線を向いて一旦は突き放す見せ場まで作る。最後はバテてしまったものの、先行馬総崩れの展開で、直線で突き放す脚を見せたのは立派だった。成長途上のメジロマックイーン産駒。楽しみ。

フサイチホウオーは発馬直後の下り坂でグッとハミを噛んで行きたがってしまう。その後も力みながらの走りでなし崩しに脚を使わされた。休み明けでは気合い不足で、叩かれると気合いが乗りすぎて力んでしまう。厄介なタイプだ。

 サンツェッペリンはコロンとした体型で、本質的には中距離タイプ。道中も折り合いに四苦八苦して1周目のスタンド前で掛かってしまった。

 ヴィクトリーは10㌔増。レース前はゼッケンの下が白くなり発汗が目立った。少し太め残りだったか。18番枠から最初の上り坂で4番手へ。ここでブレーキが利けばよかったのだが、次の下り坂で勢いが付いて抑えが利かず、2番手までポディションを上げてしまう。1周目のスタンド前で右手綱を引いて強引に内へ入れる。だが、それでも折り合うことができず、左右に首を振って嫌々をする。結局、4角手前まで鞍上との呼吸は合わず、4角では手綱を目一杯押しても前に進んでいかず。直線はバテる一方だった。この中間は連日に渡って岩田が調教に跨り、折り合いを付ける稽古をしてきたが、それを生かせなかった。気性難は解消されず、緩急のある流れでは力を発揮できない。マイルから2000㍍のタイプ。

菊花賞(GI)京都競馬場観戦記

2007-10-22 00:42:35 | Weblog
 栗東トレーニングセンターに続いて菊花賞も生で観戦するため京都競馬場へ。早朝5時30分に地元の駅を始発で出発。貧乏学生同士の遠征とあって在来線のみの移動。往復約4000円という破格の安さの代わりに片道に4時間を要する過酷な旅だった。
 9時30分前に競馬場に到着すると、朝日チャレンジC1着、有馬記念5着などで活躍したツルマルツヨシが誘導馬としてお出迎え。更にテントブースにてレースで実際に使用されたゼッケンが千円で販売されていたので購入した。京都競馬場へは年に二度訪れるのだが、施設の大きさと美しさ、山々に囲まれて自然と触れ合える雰囲気が気に入っている。
 さすがにGI当日あって9Rあたりから混雑してきたが、きっちりとゴール版の前を確保。ファンファーレも間近で聴くことができた。
 馬券のほうはエーシンダードマンから流していたために残念な結果となったが、アサクサキングスとアルナスラインの叩き合いは迫力十分だったし、思いっきり叫んでストレス発散になった。
 この一週間は栗東トレーニングセンターへ行き、京都競馬場へもいけた。忘れられない一週間となった。



新ターフビジョン


ゴール版


9R北野特別のゴール前(勝ち馬サンライズマックス)


左はデルタブルースの弟ハリケーンジャズ

返し馬のロックドゥカンプ号


ロックドゥカンプ号2


ホクトスルタン号


ドリームジャーニー号


一周目のスタンド前


全レース終了後のパドック


帰りの京都タワー


チャリティーバザーで購入したレース使用ゼッケン


菊花賞馬になる四日前のアサクサキングス号(栗東・坂路にて)

おめでとうアサクサキングス号と関係者の皆様

菊花賞(GI)最終結論

2007-10-21 04:40:55 | 最終結論
京都11R 菊花賞(GI)京都芝・3000㍍ 
◎エーシンダードマン
○ロックドゥカンプ
▲アサクサキングス
△ドリームジャーニー
×ヴィクトリー
×ホクトスルタン
【見解】
3000㍍でエーシンダードマンの躍進に期待。前走の兵庫特別はスローの緩急ある流れで勝負どころでズブさを見せ、ゴール前でようやくエンジンが掛かった。復帰戦としては及第点。休養前のラジオNIKKEI賞8着は、小回り1800㍍で流れに乗れず、全く力を発揮できなかった。3走前の500万戦は平均ペースの流れを後方から楽な手応えのまま坂を上る。坂を上がった残り300㍍地点から追い出し、ゴール前で右手前に替えてからグイッと伸びて突き放した。大トビで器用さに欠けるタイプ。長くいい脚を使えるタイプで、血統的に見ても間違いなくステイヤー。折り合いに不安がなく、広い京都外回りで能力を全開。攻めの動きも良い。

栗東トレーニングセンター観戦記はこちら

菊花賞展望はこちら

菊花賞調教診断はこちら
今から京都競馬場へ行って参ります

菊花賞(GI)展望

2007-10-19 20:31:03 | 見解
見づらい場合は↑↑の菊花賞(GI)展望をクリックしてください! 

 先週の3強対決から一転して主役不在の菊花賞(GI)。長丁場だけに折り合いと有力どころの駆け引きが勝敗を分けることになるだろう。人気どころでは、ヴィクトリーとドリームジャーニーが折り合いに不安を抱える。とすると、道中で下手なアクションは取りづらく他力本願になりやすい。逆に、ロックドゥカンプ、アサクサキングスの先行勢はその不安がない。縦長のスローになれば先行馬が絶対的に有利になるが、外枠のホクトスルタン、内のサンツェッペリン、ブルーマーテルなどが競り合うと、差し勢にもチャンスが生まれる。


エーシンダードマン
前走の明石特別3着は発馬直後に無理せず後方に。大きなフットワークで悠々と追走。流れの落ち着いた3角で馬群に取り付く。だが、スローペースのために馬群がギュッと凝縮し、4角で馬5頭分外を通らされる。直線を向いてステッキが入るも、ズブさを見せて反応しない。ようやくゴール前の坂上でエンジンが掛かったものの、あまりにも遅すぎた。馬インフルエンザ渦で帰厩が遅れたことも多分に影響したろう。休養前のラジオNIKKEI賞8着は、発馬から行き脚がつかず、自然と最後方を進む形。道中から手綱のアクションに余裕がなく、三分三厘では馬群に取り付くのがやっと。直線でジリジリと脚を使うも、それが精一杯だった。トビが大きく、不器用なタイプ。小回り1800㍍はいかにも忙しかった。3走前の500万戦(東京芝・2400㍍)1着は、余裕十分に後方を追走。向こう正面で馬群の外めに取り付き、ずっと外々を通らされるも、直線で楽な手応えのまま坂を駆け上がる。坂を上った残り300㍍地点で追い出し、抜け出す。残り100㍍のところで右手前に替え、グイッともうひと伸び。力強いフットワークだった。大トビで器用さに欠け、ズブさがある。距離が伸びて追走が楽になるし、折り合いに不安がないので自由な競馬ができる。長くいい脚を使うには絶好の舞台といえる。間違いなくステイヤー。今週の坂路での最終追いも、力強い動きでデキの良さを印象付けた。大久保龍厩舎で再現を。

ドリームジャーニー
前走の神戸新聞杯1着は、ダービー以来の実践だったが、気性の勝ったタイプで仕上がっていた。道中は発馬直後から折り合いに専念する形で最後方の追走。だが、元々は行きたがる気性で、武豊も手綱を短く持ち、神経を尖らせる道中。向こう正面でフェザーを交わし除々にポディションを上げ、三分三厘で前との差を詰める。他馬の手綱が激しく動く4角でも引っ張り切りの手応えのまま、慌てずジックリ。先頭から5馬身のところまで迫る。大外を通る形になったが、スムーズに持ち出しているため決してロスではない。これが豊マジック。残り320㍍でハミをかけなおし、右ステッキが一発。しかし、右手前のままで内へモタれて満足に追えない。懸命に左手綱を引き立て直す。坂上でようやく左手前に替えるとグンとひと伸び。混戦に終止符を打った。テンに息を入れることを覚え、2400㍍でも切れる脚が使えた。鞍上の手綱捌きも抜群だった。ただ、展開に恵まれたことは確かだ。休養前の東京優駿5着は、手綱を短く持ち、折り合いに専念する道中。自然と位置取りは最後方に。スローペースにもかかわらず縦長の隊列で、追い込みのこの馬にとっては辛い展開。直線入り口で大外へ持ち出す時も依然としてシンガリ。右手綱を引いて内にモタれるのを必死に立て直す。その後も、まともにステッキも使えず。結局ゴールまでその状態が続いた。それでも、5着まで追い上げたのは立派だった。今回は一にも二にも3000㍍が課題となる。前走でも手綱を短く持ち、ギリギリの折り合いだった。そこから更に600㍍の延長。ピッチ走法で余計に苦しいだろう。どちらにしろ、道中で下手には動けない。追い込み一辺倒の競馬になる。先週のベッラレイアの二の舞も十分考えられる。縦長のスローペースだけは勘弁。前走のように手前を替えるか。

アサクサキングス
前走の神戸新聞杯2着は、明らかな攻め不足だったが、この日は10㌔減。連日の猛暑の影響があったか。13番枠から例によってジワッと先行策。無理することなく、縦長の淀みない流れを4番手から。長手綱で長距離戦では理想的な姿。道中の雄大なフットワークは迫力満点だ。離し逃げのGキリシマがペースを落とした3角で一気に差を詰める。残り3Fの4角で先頭へ並びかけると、持ったままの手応えで直線へ。そこから追い出されると、11秒4とビュッと加速。後続を突き放す。G前の坂上、外からDジャーニーに一瞬にして並ばれる。だが、そこから左手前に替えてもうひと踏ん張り。最後の最後まで粘り切った。3着のヴィクトリーを苦しいなかでも突き放した最後の粘りは高く評価したい。テンにある程度の脚を使い、自ら前を追いかける苦しい立場。それでいて、ラスト3Fから11秒3-11秒4という脚を使って最後の粘り。一番強い競馬をしたのはこの馬だろう。休養前の宝塚記念15着は雨馬場にもかかわず、1000㍍通過57秒5の乱ペースに巻き込まれて全く力を発揮できす。度外視。3走前の東京優駿2着は、発馬直後に手綱を押してハナへ。スタンド前は位置取り合戦でゴチャついたが、1角から実にスムーズな流れ。3ハロン目から12秒3-12秒6と息を入れる。その後、向こう正面で12秒1-12秒1と少しペースアップして後続を引き離す。再び3角で息を入れる絶妙な騎乗で後続を誘惑。それでも、馬群が固まらなかったのはフサイチにマークが集中していたのと、向こう正面でペースを上げたことが大きい。直線で二の脚を使い、突き抜ける。直線半ばまでは逃げ切り濃厚かと思われたが、勝ち馬の決め手にやられてしまった。テンのダッシュ力は今ひとつだが、スピードに乗れば雄大なフットワークから渋太い脚を使える。折り合いには全く不安がなく、3000㍍を克服するスタミナも備えている。レースでいかに流れに乗るか。右手前で力強いフットワークを発揮する。右回りよりは左回り向きか。道悪は大幅なマイナス。

ヴィクトリー
前走の神戸新聞杯3着は、春先は攻めで嫌々する場面が見られたが、この中間は併せ馬で前に馬を置いてチップを被る稽古ができるまでに成長した。だが、発馬直後から抑え切れない感じで馬群を縫って前へ。結局は5番手のインまでポディションを上げた。ハミをグッと噛み、力みながらの道中。決してスムーズとはいえない。向こう正面では岩田が立ち上がるほど。更に逃げ馬がペースを落とした3角では口を割って行きたがるところを鞍上が懸命になだめる。直線でスムーズに馬場の3分どころに持ち出し、坂上ではAキングスの直後まで迫る。だが、相手が手前を替えて踏ん張りを見せられると、突き放されてしまった。休養前の東京優駿9着は、発馬で痛恨の出負け。皐月賞はそこからスッとハナへ立てたが、今回は鞍上が控える競馬を選択したことで、無理に行くことなく後方に抑えた。その分、1角までに他馬との差ができた。この決断が裏目に出た。行く気になったヴィクトリーは制御に逆らって前へ。だが、縦長の馬群となっていたためにハナへは立てず。仕方なく、アサクサの作るスローの流れに合わせざるを得なかった。33秒台の脚が求められる流れでは成す術なく馬群に沈んだ。3走前の皐月賞1着は、発馬直後に大外枠からスッと好位へ。だが、気分良く走らせることを考えた鞍上は、手綱を緩めて1角で迷わず前へ。2角では11秒6と加速し、果敢にハナを奪う。ここで後続を大きく引き離す形になる。その後も12秒3を3F続け、決して緩めず。4角を回りきった時点で後続とはかなりの差。直線で2着馬との激しい叩き合いで一旦は鼻っ面を並べられる。だが、ゴール直線で左手前に替えてもう一伸び。根性で振り切った。向こう正面ではスッと左手前に替えたが、3角からゴール手前までずっと右手前のまま。2角で突き放した時に他馬の競りかけがなかったことは恵まれたが、着差以上に強さを感じさせる内容だった。今回の課題はドリームジャーニー同様、3000㍍への適応となる。依然として折り合いに課題があるし、折り合えたところで、追い比べでは決め手のある馬に劣る現状。長丁場はいかにも乗り難しい。理想は逃げて粘り切ることだが、調教内容を見る限りは前に馬を置きたいだろう。ペースは速くなってほしい。この中間は普段はDWで前に馬2頭を置いて長めを入念に乗り込まれ、追い切りもDWコースでやっている。終いの切れがUPしているかも。

ホクトスルタン
前走の神戸新聞杯4着は、無理することなく8番枠から前へ。だが、前に馬がいると追いかける習性のあるタイプ。本来なら息を入れたい2角で、鞍上の抑えが利かない感じで直後の2番手へ。自身も1000㍍通過、推定59秒0の淀みないラップを刻む。ようやく3角手前で息を入れることに成功する。4角までは3番手以下の追随を待つ感じ。直線で再び加速するも、Aキングスに楽々と並ばれる。ここまでかと思われたが、そこから粘り強い脚を使う。坂上では再び突き抜けるかの勢い。さすがに最後は力尽きたが、向こう正面序盤までスムーズさを欠いて、最後のあの粘り。前々走の阿寒湖特別1着は、発馬直後に2頭で競り合う形になるも、スタンド前から隊列が落ち着き、13秒台の緩い流れを刻む。3角からペースアップして2段ギアを使う。直線でもその脚色は衰えることなく後続を突き放した。まだ、前に馬がいるとムキになって追いかける習性がある。ハナへ立てば息を入れて折り合える。バリバリのステイヤー血統で、マークが甘くなれば。

フサイチホウオー
前走の神戸新聞杯12着は、ダービー時よりも落ち着きがあり、道中の折り合いもマシなほうだった。4角ての手応えも十分。それでも、追い出してからの反応がサッパリ。いくら何でも負けすぎ。ここまで負けるのは決め手の問題ではなく、内臓面でどこかに不安があることは間違いない。鞍上も「レース後の息遣いがいつもより荒かった」と。休養前の東京優駿7着は、下見どころからテンションが高く、かなりの発汗をしていた。レースでも向こう正面で折り合いを欠き、かなりの体力を消耗していた。これも大きく結果に影響しただろう。だが、まともに競馬ができていたとしてもウオッカに先着することはなかっただろう。現時点での「決め手」の差がハッキリ出ていた。高速決着になったのもこの日が初めて。左回りでは、どうしても逆手前になって伸びを欠いてしまう。今回はそれにイレ込みと折り合いを欠いたことで余計に伸びなかった。目標のレースでこの中間はビシビシ攻めを積まれて体調はピークに達していたが、仕上げ過ぎたことで気性面の悪化を招いてしまった。3走前の皐月賞3着は発馬で行き脚がつかず、スッと後方に控える。だが、ヴィクトリー、サンツェッペリンがスムーズに先行するなか、馬込みに包まれ動くに動けない。その状態が4角まで続く。ようやく、4角で進路が開くと強引に外へ。ここで大きく膨らみ、他馬に迷惑をかけてしまう。直線で獲物を捕らえるかのような迫力満点の走りで猛追するも、僅かに届かず。中山2000㍍で33秒9の脚。完全に脚を余してしまった。まだ、レースに行って遊ぶ面があったり、イレ込んだりする気性。攻めすぎても駄目だし、可愛がり過ぎても駄目。難しいタイプ。筋肉質の体型で、長距離も向くとは思えない。

ヒラボクロイヤル
前走の神戸新聞杯7着は道中、後方2番手から折り合いに専念。三分三厘で外めをジワッと加速。直線で一瞬は伸びたものの、最後は脚が上がってしまった。久々で攻め不足とはいえ、展開が恵まれたのでもう少し粘って欲しかった。休養前の東京優駿16着は、発馬直後の1角でゴチャつき、リズムを崩す。瞬発力勝負も重なって力を発揮できなかった。青葉賞1着は雨馬場で平均ペースの流れを後方から追走。大きなトビで前のオーシャンエイプスを見ながら余裕十分の追走。直線で大外へ回るのではなく、真ん中を突く。一旦は前が狭くなり一瞬ヒヤッとしたが、残り300㍍地点でVロードが開き、一完歩毎に鋭く迫り、逆手前のままだったが豪快に差し切った。トビの大きなタイプで、器用さに欠ける。

ブルーマーテル
前走の習志野特別1着は、トビの大きなフットワークで1番枠からハナへ。1角でスッと息を入れる。向こう正面中盤からピッチを上げ、4角で2番手に競りかけられるも、直線で左ステッキ2発に応えて突き抜ける。最後は筒一杯になったが、ギリギリ粘った。前々走の500万下1着は、大外枠から速い流れを内の先行馬を見ながらジワッと先行策。2角で2頭が飛ばす縦長の乱ペース。自身も向こう正面で4番手まで押し上げる。逃げ馬がベテた三分三厘で一気に先団に取り付き、4角で早め先頭に踊り出る。直線でもその脚色が衰えることはなく、急坂がありながらラスト1ハロンを12秒1としっかり踏ん張った。気を抜く面があり、逆に長丁場でリラックスして走れる面がある。真面目に走れば前々走のように追ってしっかりし脚を使える。先行して馬体を併せられる形になれば。

アルナスライン
前走の京都大賞典3着は、久々で少し攻め不足だった。発馬直後に鞍上が抑えるのに苦労する行きっぷり。発馬から300㍍のスタンド前でマキハタに寄られて逆手前になり、少しリズムを崩す。その後はスムーズな折り合いを見せ、中団外めを追走。ペースの上がった4角でズブさを見せて手綱に余裕がない。直線で鞍上が強引に右手綱を引いて内へ。スパッとは切れなかったが、ジワジワと脚を使って3着。久々の実践で古馬相手に大健闘。休養前のすみれS1着は、道中、緩い流れを中団のイン追走。だが、首をグッと下げハミ噛んで力みが見られる走り。鞍上も抑えるのに必死。直線を向き、追ってからの反応は鈍かったが、外からベッラレイアに迫られると、グンとひと伸び。一気に差し切ってしまった。前々走の京成杯3着も道中、ハミをグッと噛み力みながらの追走だった。ハミに頼った走りをする面があったが、前走はあまり感じさせなかった。除々に長距離向きの走りになっている。

ロックドゥカンプ
前走のセントライト記念1着は、好発を決め、道中は馬なりのまま好位のインへ。入れ替わりの激しい流れに戸惑うことなく、道中の折り合いもスムーズ。ペースアップした3角で慌てることなくジッと我慢。インで一瞬はズブさを見せるが、4角では抜群の手応えに。直線でスムーズに馬場の3分どころへ持ち出すと、全身を目一杯伸ばしたダイナミックなフォームで、坂上でも脚色が衰えることはなく、ラスト1ハロンを推定11秒8で駆け抜けた。遅生まれで、現状は3歳春。キャリア3戦でこの強さ。テンに行く脚があり、長くいい脚が使える。野芝の高速馬場にも対応できた。休養前のラジオNIKEEI賞1着は、道中、2頭が飛ばす平均ペースの流れを離れた3番手追走。逃げ馬がバテた3角で早めに先頭へ立つ積極的な競馬。にもかかわらず4角では抑え切れないほどの手応え。直線で馬場の良い真ん中へ持ち出し、後続に詰め寄られながらも、どこまで行っても差は詰まらない感じだった。南半球産の遅生まれ。そのハンデは大きいが、他馬に競られても動じない精神力、四肢を柔らかく使った脚捌き。少し、エンジンの掛かりが遅いところがはあるが、トップギアに入れば長く良い脚を使える。長距離でも問題ないだろう。

サンツェッペリン
前走のオールカマー9着は道中、緩い流れのなか3番手追走。終始、気分良さそうに走っていたが、三分三厘でペースアップした時にズブさを見せ、手応えに余裕がない。直線も成す術なく沈んでしまった。馬インフルエンザの影響で帰厩が遅れ、攻めの動きも今ひとつだった。休養前の東京優駿4着は、レース前のテンションが少し高く、発汗が目立った。道中はアサクサキングスが作る緩い流れを離れずピッタリと2番手追走。皐月賞同様、2頭で後続を離す展開。だが、テンションが上がっていた分、ハミをグッと噛んで力みながらの追走。直線で満を持して追い出し、懸命に前のアサクサを追いかけるもなかなか抜かせない。やはり、力んだ分伸び切れなかった。3走前の皐月賞2着は発馬直後に手綱を押してハナへ。だが、外のヴィクトリーにスッとハナを奪い返される。その後は直後に付けて3番手以下を離す。三分三厘でステッキが入り、直線でジワジワと差を詰め、坂上では先頭へ躍り出る。だが、勝ち馬が左手前に替えてもう一伸び。上げ下げで負けた。切れる脚はないが、先行して渋太いタイプ。叩かれて春当時の素軽い動きが戻ってくれば。

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菊花賞(GI)調教診断

2007-10-19 10:13:14 | 調教診断
ヴィクトリー頂点を狙える攻め内容
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【ヒラボクロイヤル】○ 迫力満点のフットワーク
武幸を背に坂路で2頭併せ。ラスト1ハロンで手綱をしごかれ、13秒3を要したが、力強い後肢でチップを蹴り上る。ゴール前で左ステッキが数発入り、頭の位置は高かったが、迫力あるフットワークを披露。案外だった1週前より良化しているし、ジョッキー騎乗でビシッとやられたことが起爆剤になれば。

【ウエイクアイランド】○ 推進力を感じさせる動き
中1週のため、南Wで2頭併せの外をサッと流した。直線でスッと左手前に替えると、四肢を目一杯伸ばした重心の低いフォームで駆け抜けた。どこまでも伸びそうな推進力を感じさせた。

【ブルーマーテル】◎ 全身を使ったダイナミックなフォーム
田中博を背に南Wで3頭併せの外、追走。全身を目一杯使ったダイナミックなフォームで並ぶ間もなく抜き去った。気を抜く面はあるが、この日は追われてから集中力に研ぎ澄まされていた。文句なし。

ロックドゥカンプ】◎ ゴーサインにスッと反応
柴山を背に南Wで3頭併せの中。直線入り口で併走馬と馬体が接触するも、全く動じず。馬なりのままゴール前で軽く気合いを付けられると、四肢を目一杯伸ばした柔らかいフットワークで、ジョリーダンスを突き放した。走る。

【エーシンダードマン】○ 大きなフットワークで迫力あり
角田を背に坂路でトーセンアーチャーと併せ馬。テンをゆったり入り、ラスト1ハロンから伸ばされると、前脚を高く突き上げ、シャープな脚捌きで突き放した。大きなフットワークでどこまでも伸びそうだった。大型馬の叩き2走目。確実に上積みを望めそうだ。

【コートユーフォリア】○ ピッチの利いた回転の速いフットワーク
中1週のため、川田を背に坂路でサッと。首をグッと下げ、ピッチの利いた回転の速いフットワークで登坂。動き自体は悪くない。

【タスカータソルテ】◎ ダイナミックなフォームで突き放す
福永を背に坂路で併せ馬。ラスト2ハロンをビッシリやられてきた。ダイナミックなフォームで併走馬を瞬時に突き放し、24秒8-12秒2。文句なしの動き。1週前にもCWで終い重点に追われ、順当。

マンハッタンスカイ】◎ 見た目以上のスピード感
1週前に坂路で併せ馬をビッシリ追われ、鋭い動き。最終追いは、小牧太を背に坂路で馬なりのままサッと。それでいてラスト2ハロンが24秒8-12秒3なのだから凄い。見た目以上のスピード感はデキのいい証拠だ。


【サンツェッペリン】○ 余裕残しのまま併入。
斉藤誠師を背に南Wで2頭併せを追走。4角で抑え切れない手応え。重心の低いフォームで余裕残しのまま併入。重苦しい動きだった前走時よりも明らかに良化している。順当に上積みを望める。

【アサクサキングス】○ 追って頭高く、今ひとつ
1週前に四位を背にDWでヒヤボクロイヤルと長めからビッシリ追われ、最終追いはDWで5ハロンから単走。大きなフットワークで脚捌き自体は相変わらずの迫力だが、春当時よりも追われてから頭の位置が高くなっているのは気がかりだ。推奨できるほどの動きではない。

【フサイチホウオー】○ 若さ見せるも、ビッシリ追われる
安藤勝を背に坂路で併せ馬。ゴール前でステッキ3発が注入されるも、左右にフラつき、舌がハミを越すなど、相変わらず若さを見せる。元々、攻め駆けするタイプではないので気にする必要はないか…。これが起爆剤になれば。

【アルナスライン】○ 中1週も、坂路でビッシリと
中1週だが、和田竜を背に坂路で併せ馬をビッシリやられてきた。相変わらずの力強い脚捌きで、ラスト1ハロンは13秒3を要したが、全体が51秒9なら問題ない。この動きなら反動を心配しなくて良さそうだ。

【ローズプレステージ】○ 重心低く、集中力感じる
秋山を背に坂路で併せ馬。力強い脚捌きで重心も低く、集中力を感じさせる動き。53秒8-12秒9と時計自体は平凡だが、悪くない。

【デュオトーン】○ サッと流す程度で平行線
2週続けて坂路でサッと流す程度。強調できる攻め内容ではないが、力強い四肢の捌きで、悪くない動き。上積みは望めないが、平行線。

【ベイリングボーイ】△ 外ラチにぶつかり
渡辺薫を背にCWで3頭併せ。最後は筒一杯になり、頭が上がって苦しくなっていたし、鞍上は「モタれて外ラチにぶつかった」と。左ブリンカーを装着し、モタれ癖は解消されていない

【ドリームジャーニー】◎ 右手前のままも、相変わらずのアクション
DWで馬任せのままサッと。小柄な馬体を目一杯伸ばし、柔らかい首の使いで、相変わらず惚れ惚れする動き。例によって右手前のままだったのは不満だが、動きは依然として絶好。

ホクトスルタン】◎ 長めをビッシリ、攻め強化で万全
CWで2頭併せを先行し、長めからビッシリやられてきた。向こう正面で3馬身ほど先行し、3,4角で併走馬を待つ形。直線入り口で並びかけ、そこから追い出されると、首をグイッと使い、推進力に満ちた動きを披露。スピードの持続性に富んだ走りだった。1週前にもCWでビッシリやられ、攻め強化。万全の態勢。

ヴィクトリー】◎ 折り合いが付き、カミソリの切れ味
岩田を背にDWで前に2頭を置き、道中は折り合いに専念。ラスト1ハロンから抜け出す形で気合いを付けられると、抜群のアクションでカミソリの切れ味。終いだけ伸ばしただけに、過大評価は禁物なのだが、それにしても切れに切れた。攻めで嫌々を連発していた春当時を思えば雲泥の差だ。この中間は、普段の調教から連日、岩田が跨りDWで前に2頭置いて折り合いを付けることに終始。前走時までは坂路調教のみだったことを考えても、コースで乗られるだけでスタミナ強化に繋がる。馬インフルエンザで攻め不足だった前走から一番の変わり身を望めるのはこの馬だ!!


エーシンダードマン


アサクサキングス