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2022年は客観的な予想を心がけます。

新・馬券戦略・1

2008-01-13 19:58:50 | 新・馬券戦略
【調教編】
 私が数あるファクターのなかで重要視しているのが調教である。一般紙面に掲載されているタイムだけでなく、動きや攻め量にも注目している。
 昨年(2007年)の第52回有馬記念(GI)を制したマツリダゴッホも調教では唸るような動きを披露し、天皇賞時とは動きが一変していた。専門紙や一般紙のトラックマンの解説を参考にするのもいいが、そこは大事な自分のお金を投資しているだけに、自分の眼で確かめたいところ。そこでいくつかのポイントを。

横ではなく縦の比較を
調教を見る場合、よく出走馬のなかから動きの良かった馬をピックアップする横の比較をしがち。だが、それぞれに個性があり、各馬の特徴を把握し縦の比較を重視すべきである。
 昨秋(2007年)の天皇賞・秋で2着に差し波乱を演出したアグネスアーク。同馬はいつもCWコースで追い切られるが、頭が高く、逆手前のままで下がハミを越し、いわゆる〝攻め駆けしない〟タイプ。天皇賞時の調教だけ見たら、とても狙えるタイプではない。しかし、その前の毎日王冠2着も同様の動きだったことを考えれば、決してマイナス材料にはならないのだ。お世辞にも良い動きとはいえない中にも、前脚の捌きがシャープで、左前の走りが力強かったなど、評価できるところもあった。好走時の動きと比較することも重要。
 同じく昨秋の天皇賞を制したメイショウサムソン。その後のジャパンCでは3着、有馬記念では8着惨敗に終わっている。敗因の大きなウェートは疲れにある。この秋3走の調教で一番良く見せたのが、天皇賞・秋1着時の10月17日に行われたDW1週前追い切り。併走馬を直線で瞬時に抜き去り、重心が低く、シャープな脚捌きで非の打ち所がなかった。私は有馬記念の調教にも◎を付けたが、今思えば同じ併走馬を抜き去るのに手間取っていたし、好調時に比べて重心が高く何かモタモタしていた。それを見抜けなかったのは痛恨の極み。時計的に大きな違いはないが、動きは違う。これは実際に調教映像を見なければ分からない。

調教内容の変更には注意を
 いつもは半マイルの坂路で追い切られていた馬が、いきなり6~5Fのコース追いに替えてきた時には注意が必要。それには太め残り解消や急ピッチな仕上げなど、何かしらの理由がある。
 昨秋の秋華賞でウオッカに先着したレインダンス。その後にエリザベス女王杯の出走を予定していたが、熱発で回避。仕切り直して暮れの鳴尾記念に出走してきた。同馬の調教は、坂路で半マイル52秒後半~53秒台前半で、終い1Fを12秒台後半というのが定番。しかし、鳴尾記念時の調教は2週続けてCWで6ハロンから79秒台を計時。思わず買いたくなるほど、惚れ惚れとする動きだったが、結果は7着惨敗。敗因はイラつきからくる〝道中の力み〟だった。陣営としては、一頓挫あって急ピッチに仕上げるためにもコース追いに変更したのだろうが、長めからビッシリやられたためにレース当日にイレ込んでしまった。攻め強化が決して良い方向に向かうとは限らない。動きだけでなく、調教内容も把握しなければならない一例だ。

ハミ掛かりをチェック
 昨秋の秋華賞で人気を集めながら4着に敗れたベッラレイア。最終追い切りでは顎をグッと下げ、ハミを取って集中力に研ぎ澄まされた動きを披露した。絶好の動きで私も本命を打ったのだが、肝心のレースでは発馬直後からハミを噛んで力んでしまい、道中に動くに動けず、最後方待機から直線勝負に賭けるしかなくなってしまったのだ。結果、スローペースの展開に嵌り、差し届かなかった。坂路での最終追いでも、ハミをグッと噛んでいた。デキの良さが裏目に出た形。

攻め強化はプラス
 競走馬は短期間で急激に力を付ける。成長期と調教のバランスがマッチしたり、リフレッシュして力を付けたり、痛いところがなくなって攻めが強化できたりと、いろいろ要因が考えられる。その中でも、攻め強化は見逃せない好材料。
 昨夏のスプリント戦線で活躍したアグネスラズベリ。以前は体質が弱く、脚抜きが良く負担の少ないダートコースでしか追い切れなかった。ところが、体質が強化され、力を要するDWコースで一杯に追われるようになってからグングン力を付け、CBC賞2着、函館SS1着、キーンランドC1着と活躍した。負荷の大きいウッドコースで調教できたことで、トモに力が付いた。コース替わりがマイナスに左右することもあれば、プラスに働くこともある。

このように調教ひとつ取っても、かなり奥が深いのが分かる。勿論、攻め強化は大きなプラス材料なのだが、急なコース変更やハミ掛かりをチェックすることで、レースで走る姿がある程度想像できる。各馬の特徴を把握するためにも、調教を見続けて行きたい。