中央競馬徹底研究!

2022年は客観的な予想を心がけます。

来年もよろしくお願いします。

2011-12-30 10:20:05 | Weblog
皆さん一年間ご愛顧頂き、ありがとうございました。今年一年間を振り返ってみると反省することばかりだったと痛感しています。来年に生かすためにも反省点をおさらいしたいと思います。

・先入観を持たない
先日の有馬記念や天皇賞秋で痛感したこと。有馬記念ではアーネストリーが逃げることで「締まった底力勝負の流れになる」と思い込んでいた。だが、実際は違った。アーネストリーはハナを叩いた経験がなく他に強力な先行型がいないメンバー構成を考えればスローペースも十分に考えられた。底力勝負ありきで考えて思考がそこで止まってしまった。先入観を持たず、あらゆる可能性を創造していきたい。

・変化を確実にキャッチする
過去のレース内容に固執し、馬の特性を決めつけるのだけは避けたい。特に成長期の3歳馬、急激に力を付けているタイプには注意を払いたいもの。変化をキャッチするのはやはり調教の動きを見極めるのが大事になってくる。トモの入りや首の使い方などには細心の注意を払いたいし、普段は坂路追い中心だったタイプがコースでびしびしやられて攻め強化されてきた時などは好走の可能性は高い。日々、競走馬は変化していることを念頭に置いておきたい。

・勉強に徹する
常に勉強していく姿勢は大事にしたい。尊敬する大谷内さんのコラムやニコニコ動画を見て勉強したり、競馬関係者の方々の著書を読んで新しい知識を吸収していきたい。

今年一年間本当にお世話になりました。来年はより徹底した競馬予想をしていきたいと思います。来年も皆さんにとってよい一年になりますように。よいお年を。

阪神C(GⅡ)回顧

2011-12-29 23:20:47 | 回顧
12.2 - 10.7 - 11.1 - 11.4 - 11.4 - 11.9 - 11.8=1:20.5
(34.0-11.4-35.1)

勝ったサンカルロはスワンS後にマイルCSをパスし、ここ一本に絞った調整。中間は絶好の動きを見せていた。道中は13番枠発走から後方からの追走。いつもはズブさを見せて手綱を動かしながらの追走だが、終始引っ張り切りの絶好の手応え。よほどデキがいいのだろう。4角では中団馬群までポディションを上げる。直線を向き前がびっしり壁になる。だが、脚色に余裕があるためすぐに左手綱を引いて外めに持ち出す。坂上で突き抜けると前のグランプリボスと馬体を併せる。最後は激しい追い比べを制して差し切った。レースのラスト2ハロンが11秒9-11秒8と坂がありながらラスト1ハロンのほうが速くなるラップを差し切ったのは高く評価できる。1分20秒台の決着もこの馬には向いた。

 グランプリボスはこの中間からコース追いを敢行し攻め強化。デキは急上昇していた。16番枠から煽り気味の発馬で行き脚はつかず。直後に手綱をしごいて中団の外めからの追走。3角で故障馬の煽りを受けて少し手綱を引っ張るシーンはあった。3角は中団の外めを絶好の手応えで立ち回る。4角から直線にかけて馬場の5分どころへ持ち出す。一瞬の脚で一気に突き抜ける。坂上で先頭へ立ったところで内へモタれるも伸びは鈍らない。最後は首の上げ下げで僅かに屈したが、強い競馬。3角で不利を受け、大外を通って自ら勝ちに行く内容だった。

 フラガラッハは発馬で行き脚がつかず道中は離れた後方からの追走。トビが大きく機敏さに欠け急がせる競馬はできない。4角で馬群の後方まで追い上げる。直線を向くと、坂上で勝ち馬と3着馬が抜け出したことでできた馬場の5分どころへ加速しながら持ち出す。追われると首をグイッと下げ四肢を目一杯に伸ばしたストライドで一完歩毎にグイグイ伸びてきた。

 マルセリーナは叩かれてデキは上向いていた。11番枠から道中は後方の外めからの追走。3角で故障馬の煽りを受けたし、1400㍍の流れに少し戸惑い道中は気合いを付けながらの追走。3,4角はズブさを見せて手綱のアクションに余裕はない。直線は大外へ持ち出してジワジワと伸びたが、1,2着馬には差を広げられた。最低でもマイルまでの距離は欲しいところ。

 シルポートは発馬後から目一杯にしごいてハナを主張しに行くも、他の同型に速力負けした。2ハロン目からは手綱を抑えて好位に落ち着く。3角で故障馬の煽りを受けて手綱を引っ張るシーンはあった。直線で早めに先頭へ並びかけると、一旦は抜け出すかのシーンを作ったがジリジリとしか伸びなかった。やはりハナへ行ってこそ。1400㍍は忙しい。

 ガルボはポンと好発を切り各先行馬の出方を見ながらの先行策。3角で少しズブさを見せたが、それ以外はスムーズな道中。だが、4角から直線にかけて馬込みに包まれて動くことができない。ようやく進路を見出したのは残り150㍍からでまともに追えなかった。

 リアルインパクトは最内枠発走から前走のマイルCSで位置取りが後ろすぎただけに手綱をしごいてぽディションを取りに行く。2ハロン目を通過してもまだ出して行く。ようやく3角から落ち着きを見せる。インの経済コースをロスなく立ち回る。だが、先行馬2頭に包まれる形となり、手応えがありながら進路がない。まともに追えたのは正味100㍍。競馬にならなかった。

朝日杯FS(GI)回顧

2011-12-29 21:30:27 | 回顧
12.2 - 11.0 - 11.3 - 11.4 - 11.9 - 12.0 - 11.7 - 11.9=1:33.4

(34.5-23.3-35.6)

キャリア2戦のアルフレードがタイレコードで2歳王者に輝いた。3番枠から抜群の発馬を決めスッと先団へ。過去2戦はいずれも緩い流れを後方から差す競馬しか経験しておらず、初めて経験するマイルの激流。本来なら戸惑いを見せて当然のケースだが、全く意に介さない。道中は3番手のインからの追走。半マイル追加45秒9の流れにもかかわらず引っ張り切りのもの凄い手応え。4角では包まれたこともあってジッと我慢。直線入口で逃げ馬が外へ膨れたところを見逃さず最内に突っ込む。坂下で追い出されると一気の脚力でグーンと突き抜ける。最後までその脚色は衰えずソラを使うこともなく11秒9でまとめて差し切った。初めて経験する速い流れにも戸惑わず、馬込みも気にせず抜け出してもソラを使わなかった。とても2歳馬とは思えない走り。

 2着のマイネルロブストは4番枠から好発を決めてスッと好位のインに取り付く。マイルGIの激流にもかかわらず、前走同様に制御が利かずに道中はモロに持って行かれてしまう。内枠だったため自然と前に壁を作ることができたが、外枠ならガツンと行ってしまっていただろう。4角で少しゴチャつくところが見られたが、それ以外はスムーズ。直線も最内を突き、勝ち馬が抜け出した同じ進路を通る。直線は一瞬の脚でジワジワと追い上げ2着を確保した。道中で体力を消耗している分、追って手応えほど伸びなかった。今後は折り合いが課題になる。

 レオアクティブは15番枠から例によってスーッと最後方から2番手に控える。手綱を短く持ち、鞍上は必死に抑えてタメを作る。三分三厘で馬群の外めに取り付き、直線も大外へ。追って頭は高いが、一瞬の脚でグングン伸びる。鋭く伸びて上位争いに加わった。マイルは少し長いが、マイルGIの速い流れで脚をタメることができた。

 トウケイヘイローは実に惜しい内容だった。12番枠から好発を決めるとスーッと馬なりで先団へ。2ハロン目から手綱をグッと抑えてポディションを下げる。道中は引っ張り切りの痺れる手応え。向こう正面までは前のマコトリヴァーサルが壁になって脚をタメることができたが、3角からマコトが2番手に押し上げたことで前の壁がなくなってしまう。ここでハミを噛んで引っ張り切りの手応えのまま先頭に並びかけてしまう。4角から直線にかけても馬なりの絶好の手応え。直線で満を持してスパートすると坂下で単独先頭に躍り出るも、急坂で失速してしまった。外枠で前に壁を作ることができなかったのが悔やまれる。4角まで我慢できていれば間違いなく勝ち負けの内容だった。激流GIで見せた底力は十分。今後のマイル戦線ではやはり内枠が欲しいところ。ベストは1400m㍍以下。

16番枠発走のダローネガは発馬で行き脚がつかず。二の脚で中団まで押し上げる。終始、外を回される苦しい展開で流れの落ち着いた3,4角も大外を通ってポディションを上げる。直線も追って重心の高い走りでジリジリとしか伸びなかった。スパッと切れる脚はないのでスピードの持続性を生かす競馬をしたかった。やはり大外枠発走はかなりのロスを強いられる。

ローレルブレットは2番枠から出して行ってもそれほど行き脚がつかず後方からの追走となり、道中も手綱は動き通しで忙しい競馬。直線もゴチャついて追えない場面もあった。もう少し距離を伸ばすか、上がりと時計の掛る競馬で。

ラジオNIKKEI杯2歳S回顧

2011-12-29 20:38:25 | 回顧
12.8 - 11.2 - 12.7 - 12.8 - 12.6 - 12.6 - 12.3 - 11.8 - 11.4 - 12.2=2:02.4
(35.7-50.3-35.4)

 キャリア一戦のアダムスピークがルメールの好騎乗に導かれて重賞初制覇を飾った。2番枠から好発を決め、馬任せで先団へ。コーナーワークを利して1角では3番手のインに取り付く。1角から流れが緩んだこともあり、道中は引っ張り切りの手応え。3角から外めを通ってグランテッツァが進出し、4角手前からは大外からゴールドシップが捲りレースは一気に動くも、インでじっくりと我慢する。4角では少しポディションを落とすも、コーナーワークとスッと反応できる脚力ですぐに挽回する。直線でスムーズに馬場の3分どころに持ち出すが、3着馬に締められて前が壁になってしまう。坂下で3着馬が外へ膨れたことで進路を見出すと、一瞬の脚力で一気に抜け出した。内々をロスなく立ち回り、スムーズな誘導をしたルメールの手腕は素晴らしかった。アダム自身もゴーサインにスッと反応する脚力を示した。

 ゴールドシップは道中、スッと後方に控えて脚をタメる形。折り合いはスムーズでじっくりと構える。3角の残り800㍍標識からスパートを開始させ大外を一気に捲る。だが、レースの流れが緩んだいるために馬群はギュッと固まり、馬5頭分外を通らされる。このロスは大きい。4角から追われると頭を上げてズブいところを見せ、内の各馬に差を広げられてしまう。直線でスパッとは切れなかったが、ジワジワと一完歩毎に詰め寄り2着まで差してきた。

 1番人気のグランテッツァは中間に筋肉痛を発症し、2日間馬場入りを休むアクシデントはあった。攻め馬でもトモの送りの甘さが目に付いた。13番枠から前掻きをしてトモに重心が掛り発馬はそれほど良くない。二の脚でスーッと先団へ取り付く。流れの緩んだ1角からは持って行かれ気味に好位の外めに取り付く。もう少し前に壁を作って走りたかったか。3角からは大外からゴールドシップが被せてきたために早めに動く誤算が。直線に入って持ったままの手応えで先頭に立つも、追われてから重心が高く思ったほど伸びなかった。前捌きは一流馬のものだが、それに対してトモが付いてきていない。トモの強化待ちだ。

 トリップは攻め馬で絶好の動きを見せ絶好の仕上りだった。道中は中緩みの流れを中団からの追走。理想を言えばもう少し後ろからの位置時計でメリハリのある競馬をしたかった。流れの緩んだ三分三厘で外から被されたのをきっかけに進出する。4角ではいい手応えのまま3着馬に並びかけて行く。直線で追われると、掻き込みの強いフットワークでグーンと伸びるのではなく、ジリジリとしか伸びない。流れ込んだだけの競馬となった。掻き込みの強いフットワークで地面をたぐりながら走る。父クロフネを考えてもダート適性は相当なものと見る。

 エネアドは完歩の小さいピッチ走法で、回転の速いフットワーク。道中からハミを取り、前向き過ぎる気性も手伝い、2000㍍は長い印象。短距離で。

有馬記念(GI)回顧

2011-12-27 23:06:04 | 回顧
6.8 - 12.0 - 12.4 - 12.1 - 13.1 - 14.4 - 14.3 - 13.0 - 12.0 - 11.9 - 11.4 - 11.3 - 11.3=2:36.0

(63秒6-57秒9)

誰が予想しただろうか。女王ブエナビスタに3冠馬オルフェーヴルの最初で最後の対決となった第56回有馬記念は歴史的に残る超スローペースとなった。前半の1000m㍍の通過が63秒6で、1角からは14秒4-14秒3と14秒台のラップが2つ続く異常なラップだ。勝ち時計2分36秒0は同日の1000万下のグッドラックHCより2秒7も遅いのだからその異常さが分かる。出走メンバーを見渡すと徹底先行型はアーネストリーのみ。他は折り合いに不安を抱えるタイプも多数おり、激しい先行争いにはならなかった。つまりアーネストリーの出方如何によっては、これだけのスローも考えられた。だが、アーネストリーといえば淀みないラップのなかでスピードの持続力を生かし、底力を存分に発揮するタイプ。ここまで遅いラップを刻むとは正直、想像もしていなかった。アーネストリーはデビュー戦以来ハナを奪った経験はなく、鞍上の佐藤哲としてもできれば2番手から前に馬を置いて勝利した宝塚記念のような展開を願っていたか。まだまだ勉強不足を痛感した。これは来年への宿題としたい。

3冠馬オルフェーヴルが鞍上の池添との「絆」でグランプリ制覇を飾った。菊花賞以来の実践となったが、この中間は3週続けて坂路でびっしりと追われ好仕上がり。馬体は4㌔減っていたが、下見どころではトモの肉付きがもの凄く、弾力性に富んでいた。一頭だけ造りが違っていた。レースでは発馬でトモに重心は掛り、行き脚はつかず後方からになる。ここで手綱をしごいてポディションを取りに行く選択肢もあったが、直後に少し出して行っただけで1周目の4角では手綱をがっちりと抑える。これはオルフェーヴルの力を信頼する池添との「絆」が成せる業だ。少し行きたがる素振りを見せたものの、正面スタンド前でインに潜り込んで前に壁を作り折り合うことに成功する。1角手前でフラつくローズキングダムと接触するも意に介さない。2角でローズの前に進路を取り、向こう正面入口でルーラーシップの前に進路を移し外めへ持ち出すことに成功する。歴史的超スローペースを考えれば、ここで外めに持ち出せたことは重要なポイントになった。3角から外めを通ってスパートを開始させる。4角では菊花賞同様に重心を沈めた推進力に富んだ走りでグーンと加速する。直線でスッと左手前に替えるとグングン加速。レースのラップが11秒4-11秒3-11秒3という中山競馬場ではあり得ない上がり勝負になったため、他馬も脚を温存して直線を迎えているため簡単にはバテない。その中でも一頭だけ違う脚色で差し切ってしまった。もの凄い瞬発力だ。ゴール前のVTRを見ると、3着のトゥザグローリーとは頭ひとつ分重心が沈んでいる。後肢の力強い蹴りと首をグッと下げた重心の低いフォーム。これがオルフェーヴルの瞬発力の源になっている。遅生まれの3歳馬。どこまで成長するのか。来年の更なる飛躍が楽しみだ。

エイシンフラッシュの鞍上には天皇賞秋6着以来の手綱を握るルメール。この時はテン乗りで発馬の良さが仇となって流れに乗じたレースをした結果、なし崩しに脚を使わされる形となりハイペースに巻き込まれて失速してしまった。今回はその反省を生かし、好発を決めるも直後に手綱をグッと抑えて控える。1周目の4角では下り坂も手伝ってハミにモタれて行きたがる。ルメールは手綱を必死に抑えてなだめる。正面スタンド前では5番手からの追走。行きたがる素振りは見せているとはいえ、抑えは利いている。向こう正面から3角にかけても前に壁を作って折り合いに専念する。レースの流れが一気に速くなった3,4角でも手綱はグッと持ったまま。それでもポディションを落とすどころか、逆に上げて行くのだからもの凄い脚力だ。4角で少し気合いを付けてトーセンジョーダンとブエナビスタとの間の進路を取りに行く。直線では最高の形で馬場の3分どころへ持ち出す。坂上からは一瞬の脚力でグーンと加速する。だが、坂を上ったところで右手前に替えると末脚は鈍ってしまう。何とか3着馬の追撃は封じた。3,4角は馬なりでポディションを上げたことを考えれば、直線はもっと脚が持続してもいい。最高の競馬をして最後の脚色が鈍ったのだから、使える脚は一瞬だけということになる。ルメールの手綱捌きは素晴らしかった。

トゥザグローリーは発馬を決めてスッと先団へ。前走のジャパンCが前に壁を作れずに掛っているだけに無理に手綱を押すことなく、1周目の4角で意図的にグッと抑えてポディションを落とす。その後も手綱をグッと抑えて1角では後方までポディションを下げる。戦っている相手はまさに己といったレース運び。向こう正面では顎をグッと下げた首をしなやかに使った走りをする。これは前走のジャパンC時には見られなかったもので、収縮の利いた走り。3,4角は外めに持ち出すのではなく馬込みのなかに突っ込んで行く。直線入口では前にびっしりと壁ができて進路はない。坂下で左手綱を引いてオルフェーヴルの外めに進路を見出す。他馬も脚を温存した瞬発力勝負の流れで狭いところを割ってこれるのは一瞬の脚力が優れていないとできない芸当だ。ここで右手前に替えるとステッキに反応してグングン加速。ゴール前で左手前に替えてもうひと伸びするも、僅かに届かなかった。最後の末脚は勝ち馬を凌ぐものだったし、勝ち馬より頭ひとつ分重心の高い走りをしながら伸びるのだから大したものだ。実践で顎をグッと下げて収縮の利いた走りができるかどうかがポイントを握る。

久々のルーラーシップは乗り込んでいたとはいえ、万全の仕上りではなかった。14番枠から好発を決めるも、直後にスッと最後方に控える。かなりトビの大きい走りをするタイプで、小回りの中山コースは走りづらそう。超スローペースも相まって道中は行きたがるのをなだめながらの追走。向こう正面入口では外めに進路を取った勝ち馬と接触し、力んでしまう。3角から大外を通ってスパートを開始させるも、大トビでズブく勝ち馬に一瞬にして差を広げられてしまう。それでも、直線で大きな完歩で力強く伸びてきた。久々を考えれば悪くない内容だ。大トビで不器用なタイプ。中山のような小回りで中途半端な競馬をすれば昨年のように外めを通らされて距離ロスの多い競馬になってしまう。行きたがる気性も考えれば、この形がベストだった。メンディザバルの好判断。

トーセンジョーダンは激戦続きのためこの中間は終い重点の攻めに終始。それでも、最終追い切りでは全身を無駄なく使った素晴らしい走りを披露し、疲れの心配は皆無だった。10番枠から好発を決めると、気合いを付けて出して行く。1周目の4角では内の出方を見ながら外めの3番手に取り付く。流れが極端に緩んだ1,2角では口を割って行きたがってしまう。前半に少し出して行った分、余計にスイッチが入ってしまった。向こう正面でブエナビスタがポディションを上げるも気にせずジッと我慢する。3角から手綱をしごいてスパートを開始させる。4角も手綱をしごいて目一杯追われるもズブさを見せる。直線を向いても反応はひと息で、ジリジリと伸びるだけ。ジャパンC,天皇賞で見せた並ばれてからの勝負根性は見られなかった。スパッとは切れないだけに究極の瞬発力勝負になったのは誤算だった。もう少し引っ張ってくれるタイプがいればよかった。

ヒルノダムールは久々で乗り込みは入念で仕上がりはほぼ万全だった。下見どころでは少し気負っていた。3番枠から好発を決め道中は後方のインからの追走。歴史的な超スローペースでも道中の折り合いは完璧。前を行くブエナビスタを徹底マークする。だが、マークしていたブエナビスタが3角でまさかのズブさを見せる。ヒルノ自身もここで手綱をしごいてスパートを開始させるも、馬込みに包まれて動くに動けない。直線を向いても捌きに苦労し手綱を押しては引く形。ゴチャついたままゴール版を迎えてしまった。勿体ないレースとなった。

引退レースを迎えたブエナビスタ。下見どころではいつも通りの落ち着きを見せ、好走は約束されたかに見えた。だが、結果は7着惨敗。これは「最内枠発走」によって「包まれたくない」というジョッキー心理が招いたものだった。発馬直後、包まれることを嫌った岩田は手綱を目一杯しごいてポディションを取りに行く。4角で行き脚がついたことで手綱をグッと抑える。だが、レースは逃げ馬不在の歴史的な超スローペース。出して行ったことで気合いの入ったブエナはこの緩急のある流れに対応できず、直後からハミにモタれて力んでしまう。道中はずッとモタれて掛っていた。しかも、インの馬場の悪いところを通らされて自然と体力も奪われる。これが3角から見せたズブさの原因である。内へモタれて左手綱を引きながらの誘導で岩田も満足には追えていない。4角で一瞬の脚があれば進路はあった。ここを抜け出せなかったのは道中で力んで体力を消耗してしまったため。「狭いとこに入って脚を余した」のではなく「道中で体力を消耗したために、狭いところ割る脚力が失われた」のである。

ローズキングダムは8㌔減で馬体はギリギリで返し馬でテンションが高かったように、精神面でもギリギリだった。加えて歴史的な超スローペースの競馬となり、道中は頭を上げてモロに掛ってしまった。馬格がないタイプで精神的な脆さを抱えるタイプ。秋4戦目で限界だったか。





第56回有馬記念(GI)最終結論

2011-12-25 06:09:23 | Weblog
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第56回 有馬記念(GI )

◎オルフェーヴル
○ブエナビスタ
△ローズキングダム
△ヒルノダムール
×トーセンジョーダン
×エイシンフラッシュ

【展開】
アーネストリーが淀みない流れを刻み、後続を自らのペースに巻き込む。同型不在で楽にハナは奪える。正面スタンド前では3,4馬身の差を広げる。ここで2番手のCウィリアムズが競りかけてくる可能性もある。淀みない流れのまま残り1000㍍を通過したところで更にペースアップさせる。これを追いかける先行勢はなし崩しに脚を使わされ苦しい展開に。持久力戦で打倒ブエナを狙うトーセンジョーダン、ヴィクトワールピサにとって苦しい形。オルフェーヴルは中団馬群から先行勢の出方を見ながら3角からスパートする。厳しい流れを早めに動く形となっても押し切る底力と能力を秘める。ブエナビスタも好位のイン追走から慌てずにスパートをする。脚をタメる後方勢にもチャンスのある流れを想定する。

 進化を続ける三冠馬オルフェーヴルを信頼する。前走の菊花賞1着は一周目の4角の下り坂でハミを噛みかなり行きたがるが、前に壁を作って何とか折り合う。一貫した長距離戦を4角の下り坂から早めにスパートを開始させ、4角から直線入口にかけて早めに先頭へ立つ正攻法の競馬。直線で抜群の瞬発力を発揮し後続を突き放して圧勝した。底力勝負の流れを自ら動いてねじ伏せる三冠馬にふさわしい競馬だった。トビが大きく回転の速いフットワークから繰り出す瞬発力が武器で、レースの流れ、馬場状態は問わない。首をグッと下げた推進力に溢れた走りをする。初の中山コースを心配する必要はなく、距離短縮で俄然レース運びは楽になる。3週続けて坂路でびっしりと追われ、走れる態勢も整った。

 最高のデキで引退レースに挑むブエナビスタ。打倒ブエナを狙い、アーネストリー、ヴィクトワールピサ、トーセンジョーダンが淀みない持久力戦に持ち込むが、ブエナ自身はこれに巻き込まれることはない。自らの仕掛けどころで動く。道中は好位のインからの追走だろう。瞬発力と底力を兼ね備えたスターホース。3歳馬に簡単には引導を渡さない。

 繊細で気難しいところのあるローズキングダム。今年の春、秋の天皇賞はレース前から入れ込み、実践で掛って失速してしまった。前走のジャパンCでは、4角まではいい手応えで運びながら直線でトゥザグローリー、ブエナビスタに挟まれたところで怯み一気に手応えをなくした。昨年のジャパンCで負った精神的な後遺症が残っているのか。秋緒戦の京都大賞典、今夏の宝塚記念ではいずれも揉まれずにスムーズな競馬で結果を出した。とくに宝塚記念では一貫した淀みない流れを好位から追走し、ブエナビスタと小差の競馬をした。雨上がりの馬場だったことを加味しても大健闘といえる。ここでも通用する能力の持ち主だ。今回は彼の弱点を熟知する後藤が手綱を握る。京都大賞典では内へモタれる癖をカバーしており、何とも心強い相棒だ。前崩れの流れで武器である瞬発力をフルに発揮させる。

 久々のヒルノダムールは、乗り込み入念で仕上がり万全。とくに最終追い切では、坂路で抜群の動きを見せた。追って頭は高いしソラを使うが、一瞬の決め手は強烈だ。ローズキングダム同様に前崩れの流れで一発を狙う。

3連単
⑨⇒①⇒⑧③⑩⑤


中山1R 2歳未勝利戦
◎フラッシュパッカー
○スーパーボルト

距離延長でフラッシュパッカーを狙う。デビュー戦は1200㍍で道中から追走に脚を使わされ、手綱のアクションに余裕がなかった。距離延長でゆったりと運べれば。この中間はポリトラックで馬なりで好時計をマーク。2戦目で更に。

中山2R 2歳未勝利戦
◎ナカヤマアンジュ
○コスモグランディール

ナカヤマアンジュのデビュー戦は、発馬で行き脚がつかず道中は後方からの追走になる。4角は馬群の大外を通らされ、直線も大外へ。そこから馬なりでグーンと加速し、一気の末脚で先団へ。坂を上がったところで末脚は鈍り勝ち馬と同じ脚色になってしまったが、直線入り口で見せた脚力は本物。中山マイルで一瞬の末脚を生かせれば。当日の気配には注意。

中山7R ホープフルS
◎アドマイヤブルー

超スローのデビュー戦を勝ちあがったアドマイヤブルー。テンに脚を使わされていないし揉まれる競馬も未経験。キャリア1戦で経験不足は明白だが、追ってからの軽い走りから繰り出す末脚は目を見張るものがあり後続を一瞬で突き放した。速いペースでも狙いたい一頭。


阪神1R 2歳未勝利戦
◎ショウナンハヤブサ

前走は直線で前が詰まり追い出しを待たされたショウナンハヤブサを狙う。

阪神3R 2歳未勝利戦
◎スカイディグニティ

アドマイヤブルーの勝ちあがった新馬戦の3着馬。勝ち馬には一瞬にして突き放されたが、自身も好位からひと脚使った。2戦目で更なる上積みを。


阪神7 2歳500万下
◎アースソニック

阪神10R 赤穂特別
◎ローマンレジェント

阪神12R ファイナルS
◎エアラフォン

小倉12R アンコールS
◎アウトクラトール
○サンダルフォン



有馬記念(GI)全出走馬短評

2011-12-24 18:30:59 | 見解
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1枠1番【ブエナビスタ】 最高のデキで引退レースへ
秋3戦目、一戦毎にデキは上向き引退レースを最高のデキで迎えることができた。この中間は2週続けて長めから意欲的に攻められた。最終追い切りで見せた道中での行きっぷりの良さ、終いの柔らかいストライドからデキの良さは伝わってくる。最内枠を引いたことで道中は好位のインからの追走になるだろう。アーネストリーが引っ張り、ヴィクトワールピサ、トーセンジョーダンが動いても気にしない。自身の仕掛けどころでオルフェーヴルと対決する。瞬発力、そこぢから、両方を兼ね備える。

2枠2番【ヴィクトワールピサ】 叩いてどこまで
展開の鍵を握る一頭。前走のジャパンCでも本当はウインバリアシオンと共に動きたかった。しかし、ハミを取ることなく終始ガツンと来る手応えはなかった。走れる状態にはなかった。ひと叩きして動きたいところでハミを取れるかどうか。この中間は2週続けてコースで追われているが、まだ本来の動きではない。トモの踏み込みは甘く、ステッキが入っても反応は今ひとつ。昨年のこのレースを勝った時の攻めでは、トモの入りが凄くそれがもの凄い推進力に繋がり、ド迫力の動きをしていた。今年は昨年ほどテンから緩いペースは望めない。それを早めに追い掛けるとなると最後の急坂で止まる可能性は高いと見る。

3枠3番【ヒルノダムール】 虎視眈々
一瞬の脚力で激流の春の天皇賞を制したGI馬。久々になるが、中間は入念に乗り込まれ量、質ともに十分。とくに今週の坂路での追い切りは脚の回転が速く、追われてからの反応は素晴らしかった。追って頭は高いしソラを使うところはあるが、一瞬の末脚は強烈。底力勝負は大阪杯、天皇賞で対応済み。何より今回は展開が向く。天皇賞の乗り方が再現できる流れが濃厚。不気味。

4枠5番【エイシンフラッシュ】 2度目の騎乗で
タメができるかどうか。これが最大のポイントになる。前走のジャパンCでは15番枠発走で前に壁を作るのに苦労した。折り合っているように見えても相当ハミを噛んでいた。それにしても伸びなさすぎた内容には不満も残る。天皇賞は発馬の良さが仇となり、流れに乗り過ぎてなし崩しに脚を使わされた。ここは2度目のルメールが策を講ずるはず。どの位置からでもいいので、とにかく前に壁を作ってメリハリのある競馬ができるかどうか。そうすれば一瞬の加速力を生かせる。少しエンジンの掛りが遅いタイプだけに、勝負どころで包まれずにスパートできるかもポイント。

4枠6番【キングトップガン】 ここでは力不足
自在性と長距離適性が武器。坂路では見た目以上の時計を出す長丁場向きの走りを見せてくれた。前走のジャパンCは馬群の外めを通らされたとはいえ、直線であっさりと失速。ここでは力不足。

5枠7番【トゥザグローリー】 折り合いがポイントに
前に壁を作って運べるかどうか。前走のジャパンCは行きたがるところを見せていたとはいえ、直線であっさり脱落。4角でウインバリアシオンが競りかけてきた時に怯む素振りを見せた影響もあったか。小回りコースに替わるのは歓迎材料だが、ここはアーネストリー以外に強力な先行馬は見当たらず、前に壁を作れるかどうかがポイントになる。昨年はCウィリアムズが本当に上手く乗った。今年は福永。日本のリーディング最有力ジョッキーの手綱捌きに期待したい。デキは良い。当初は2400㍍~2500㍍向きと見ていたが、日経賞で見せた4角の馬なりで進出する脚力と行きたがる気性から、1800㍍から2000㍍でスピードの持続性を生かすのがベストかもしれない。

5枠8番【ローズキングダム】 最高の相棒と最高の成績を
繊細で揉まれ弱いタイプ。今年の春、秋の天皇賞はいずれも道中で掛って失速。前走のジャパンCは直線まではいい手応えだったが、坂上でトゥザグローリーとブエナビスタに寄られた際に怯むところを見せ、一気に手応えがなくなった。昨年のジャパンCから精神的な後遺症が残っているのか。今夏の宝塚記念、秋緒戦の京都大賞典は、いずれも揉まれずにスムーズな競馬ができた。とくに宝塚記念は一貫した底力勝負の流れを正攻法で挑み、ブエナビスタと小差の競馬。雨上がりの馬場を加味しても大健闘といえる。ここでも通用する能力の持ち主。今回は彼の弱点を把握する後藤が手綱を握る。モタれる癖も京都大賞典でカバーしてみせた。何とも心強い相棒だ。この中間は橋口厩舎にしては珍しく日曜、水曜とコースで追ってきた。秋4戦目で馬体、精神的にどこまで耐えられるか。当日の気配は要注意。早仕掛けの流れをグッと我慢し、直線に掛ける。

6枠9番【オルフェーヴル】 充実一途の3冠馬
一戦毎に馬体を増やし、進化を続ける史上7頭目の三冠馬。菊花賞は緩みない流れを4角の下り坂から早めに動き、4角先頭で押し切る正攻法の横綱相撲。自らの力でねじ伏せる三冠馬にふさわしいレース運びだった。距離短縮となり、俄然レース運びは楽。中団より少し前めの追走から三分三厘で早めに動く正攻法の競馬で4つ目のタイトルを獲りに行く。3週続けて坂路でびっしり追われ、走れる態勢も整った。

6枠10番【トーセンジョーダン】 充実の秋を締めくくる
蹄の不安がなくなり、コースでビシビシと追えるようになってから充実した成績を残せるようになった。スパッとは切れないが、底力と並ばれてから更に伸びる抜群の勝負根性が武器。前走のジャパンCは3角から一気にウインバリアシオンが動いたことでペースアップ。自身も4角で被された時に手応えが怪しくなりズブさを見せた。それでも、直線で長くいい脚を使い、ブエナビスタに並ばれてからもうひと脚使った。とにかく渋太い。今回は得意の中山コースに替わり、アーネストリーの作る淀みない流れを2番手から追走するだろう。ただし、アーネストリーの作る流れはかなり厳しいもの。テンからある程度流れ、残り1000㍍から更にペースを上げるだろう。これをヴィクトワールピサも早めに追い掛けるとなれば急流は確実。展開的には少し厳しいものになる。激走続きだけにこの中間は終いをサッと伸ばされる程度に終始しているが、最終追い切りではトモの入りが力強くそれによって首を上手に使えた走りをしており心配はいらない。

7枠11番【ジャガーメイル】 前走の再現を
テンに行く脚はないが、長丁場で安定した末脚を使える。前走も速い流れの2000㍍を天皇賞で経験したことで道中の追走は楽になった。4角から直線にかけてロスなくインを突き、ジリジリと末脚を伸ばした。今回も同様の競馬で前崩れを願う。ただし、攻め馬を見る限りは右回りより左回り向きと思える。

7枠12番【アーネストリー】 後続を自らのペースに引き込む
自らのペースに後続を引き込む。ここは同型不在で楽に先手を奪えるメンバー構成。もしかしたら流れを見越してCウィリアムズが正面スタンド前から競りかけてくるかもしれない。いずれにしても極端にペースは落とさない。後続を離したまま残り1000㍍から一気にペースを上げ、後続を更に突き放す持久力戦に持ち込む。当然、先行勢はなし崩しに脚を使わされる。宝塚記念から距離が300㍍伸び最後には急坂も待ち構える。この中間のフォトパドックを見る限りは背が垂れて太め残りの懸念がある。

8枠13番【レッドディヴィス】 距離延長どこまで
不気味な一頭。坂路では余裕残しの手応えで半マイル50秒7-12秒6をマーク。トビは大きく前脚の返しが速い柔らかい動きが目に付いた。フットワークは柔らかいのだが、首の使い方が硬く、それが重心の高さに繋がっている。距離延長はいいとはいえない。

8枠14番【ルーラーシップ】 底力秘め  
かなりの大トビでギアチェンジに時間を要する。今夏の宝塚記念は、阪神内回りコースのためコーナーで膨れ、ギアチェンジに戸惑った。しかも超高速決着。対応できたなかった。理想はゆったりと運べる京都2400㍍。小回り中山ではコーナーで外に膨れる危険性はあるし、外を通らされるリスクもある。昨年のように途中で動くのではなく、今春の金鯱賞のように後方待機から一気に捲る競馬がいい。大トビで不器用で条件が整わないと好走できないが、底力は秘めている。

土曜日阪神5R

2011-12-23 23:25:38 | 最終結論
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阪神5R 2歳未勝利戦(芝・1800㍍)
◎スズカキングダム
○ベールドインパクト

 2戦目のスズカキングダムを狙う。デビュー戦は発馬で大きく置かれ、道中は離れた後方を追走する形。3角手前から外めを通って追い上げ、3角で一気に馬群に取り付く。4角ではすごい行きっぷりで、加速したまま直線へ。一気に差し切るかの勢いだったが、直線半ばで内の馬と接触し失速。最後はジリ脚になってしまった。それでも、3角で一気に取り付く時の脚と直線入り口の加速力は目を見張るものがあった。距離延長と外回りは歓迎。差し切る。

 ベールドインパクトは4角で外に膨れる癖があり、怖がる面もある。必然的に4角は大外を回る形になり常にロスは覚悟しなければならない。それでも、追ってからの末脚は確かなもの。最終週の外差し馬場も向く。ここもテンはそう速くならない。









有馬記念(GI)調教診断!

2011-12-23 01:04:52 | 調教診断
アーネストリー】▲ 末の粘りひと息で
3週続けて坂路でびっしりと追われて急ピッチで仕上げられている。最終追い切りは佐藤哲を背に坂路を単走。テンから飛ばしたこともあるが、ラストは重心が高くなり末の粘りはひと息だった。フォトパドックでは背が垂れていて見栄えはしない。

ヴィクトワールピサ】▲ トモの踏み込み甘く
デムーロを背にCWで3頭併せの中を6ハロンから追走する。ラスト1ハロンからびっしり追われると、併走馬を置き去りにする。ただ、トモの踏み込みは甘くその分、推進力と迫力はひと息。ステッキを入れられてからの反応もひと息だった。昨年の有馬記念時の追い切りは、トモの踏み込みが実に力強く大きなフットワークで凄い推進力だった。2週続けて併せ馬を消化したが、大幅な上積みは見込めない。

エイシンフラッシュ】○ 好調キープ
ルメールを背にCWで2頭併せの内を6ハロンから追走する。馬なりのままラスト1ハロン地点で馬体を併せ、そこから少し気合いを付けられると四肢を目一杯に伸ばした迫力あるストライドで突き放した。相変わらず頭は高いが、トモの踏み込みも力強い。順調。

オルフェーヴル】○ 走れる態勢整う
池添を背に坂路でエアラフォンと併せ馬。ラスト1ハロン手前で内へモタるも、すぐに左手綱を引いて立て直す。スパッとは突き放せなかったが、大きくて回転の速いフットワークでは健在。首を上手く使えて相変わらず迫力満点。3週続けてびっしりと追われ、走れる態勢は整った。

キングトップガン】○ 見た目以上の時計
体重の重い助手を背に坂路で併せ馬。大トビで見た目のスピード感は今ひとつだが、ラスト1ハロンは12秒8。長丁場向きの走り。この馬なりに順調。

ジャガーメイル】○ 時計ほどの迫力なく
南Pで2頭併せの外を実質4ハロンから。時計の出やすいポリトラックだけに時計は速いが、時計ほどの迫力はひと息。ジャパンC時のようなメリハリのあるフットワークは鳴りを潜めている。本質的に左回り向きか。

トゥザグローリー】○ デキ悪くない
福永を背にCWで2頭併せの内を6ハロンから追走する。馬場の内めを回っただけに時計の過信は禁物。相変わらず追って頭の位置は高いが、大トビでストライド自体は迫力がある。デキは悪くない。

トーセンジョーダン】◎ 無駄のない推進力に富んだ走り
札幌記念、天皇賞、ジャパンCと激戦続きだけにこの中間は軽めに終始。1週前は坂路でサッと流し、最終追い切りはウィリアムズを背にCWを2頭併せでサッと流す。トモの踏み込みは実に力強く、それが推進力に繋がり首を上手く使える要因になっている。前脚のスナップも利いてフットワーク自体も大きい。ゴール版を過ぎて右手前に替えた時のフォームは、無駄のない推進力に富んだ理想的な走り。もう強い攻め馬は必要ない。

ヒルノダムール】○ 万全のデキ
藤田を背に坂路で終い重点。ラスト1ハロンまで手綱はがっちりと抑えられ、そこから追い出される。例によって頭の位置は高いし、何度も手前を替えていたが、一瞬の瞬発力でグーンと加速。一気に併走馬を突き放した。手前を替えたのが分かりにくいほど、回転の速いフットワーク。ジャパンCにも出走の意思を示したほどで、2週、1週前とコースでびっしりと追われ乗り込み量は入念。万全のデキで大一番を迎える。

ブエナビスタ】◎ 文句なしの状態
CWで単走を7ハロンから追われる。3,4角は抑えるのに苦労するほどの行きっぷり。最後まで重心の低い走りで、トモの踏み込みも力強く、前脚の捌きもここ2走に比べれば柔らかい。全身を柔らかく使ったバネの利いた走り。2週続けて長めから意欲的に追われ、引退レースを文句なしの状態で出走へ。

ペルーサ】▲ 数字ほどの迫力はなく
芝コースで2頭併せの外を6ハロンから追走する。直線でスッと左手前に替え、併走馬を突き放すも、前捌きが硬く重心の高い走りで数字ほどの迫力は感じなかった。

ルーラーシップ】○ 乗り込み入念
メンディザバルを背にCWで3頭併せの内を7ハロンから追走する。手応えで見劣ったが、相変わらず大きなフットワーク。スッとは反応できないが、ゴール版を過ぎてようやくエンジンが掛ったような感じ。この中間は入念に乗り込まれ、攻め量は足りている。

レッドデイヴィス】◎ 絶好調
武豊を背に坂路で2頭併せ。強め程度で50秒7-12秒6は文句なし。前脚の返しが速く、ピッチの利いた回転の速いフットワーク。これでグンと重心が沈めば更にすごい馬になる。ひと叩きして絶好調。

ローズキングダム】○ 相変わらず内へモタれ
橋口厩舎にしては珍しく18日と21日はCWで長めから追われてきた。最終追い切りは後藤を背に2頭併せの外を6ハロンから追走する。右回りだとどうしても内へモタれ、首を外に向けた走りになってしまう。4角から直線にかけてもその癖を見せた。ゴール前は何度も首を外に向け、後藤もそれを矯正しながらの追い。ぞれでいながら79秒8-12秒5は優秀。攻め強化がプラスに出れば。

有馬記念(GI)徹底研究!

2011-12-21 00:47:28 | 見解
オルフェーヴル
前走の菊花賞1着は、前哨戦の神戸新聞杯で16㌔馬体を増やし、この日は更に6㌔増。下見どころではボリューム感満点の馬体が目に付き、大観衆にも動じることなく威風堂々と周回していた。レースでは14番枠から好発を切り、内の各馬の出方を見ながら少し出して行く。課題だった最初の下り坂。口を割って行きたがり掛ってしまう。ここで我慢できなければガツンと前に行ってしまうそうな気配。ここで池添は4角から直線にかけて内側に入れて前に壁を作る。これによっえ平静を取り戻し、いつものオルフェーヴルになった。向こう正面では少しポディションを下げ、完璧に折り合うことに成功する。3角の上り坂でレースの流れは一気に緩み、馬群は凝縮する。ここで前を6馬身圏内に入れ、下り坂で少し手綱を緩めるとグーンと加速し、4角から直線入口にかけて一気に先頭へ並びかける。直線はこの馬の独壇場。右ステッキで内へモタれるのを矯正し、最後は少し苦しくなって右手前に替えたが、大きくバテることなく強い競馬で押し切った。強いのひと言。特に4角から馬なりでグーンと伸びた姿は、ディープインパクトの引退レースを彷彿とさせるほど凄かった。緩みない締まったレースを正攻法で押し切る、文句ない競馬だった。前々走の神戸新聞杯1着は、好発を決めて中団へ。発馬後から久々の実践とスローということもあり、ハミを噛んで力んでしまう。向こう正面に入っても気を許せばガツンと行ってしまいそうな手応え。4角で外からウインバリアシオンが迫ってきたところで外めから進出を開始する。そこで左手前に替えてしまったことで4角で外へ膨れてしまう。直線に入ると馬なりのままグングン加速し、一気に先頭へ躍り出る。そこで内へモタれて坂上では右手前に替える。最後は内ラチを頼るような感じになったが、危なげなく差し切った。馬なりでポディションを上げられる凄い瞬発力だ。折り合い面を考えれば距離短縮は勿論、歓迎だ。一貫した流れを自ら動いて正攻法で押し切った菊花賞の強さは本物だ。底力、瞬発力、どこちらも兼ね備えている。今回も好位から正攻法で押し切る。この中間は菊花賞から間隔が空き、少しフックラ映る。最終追い切りに注目。

レッドデイヴィス
前走の鳴尾記念1着は、骨折明けでブランクはあったが中間は坂路で好時計を連発。好仕上りだった。レースでは好発を決めるもスッと馬任せで後方に控える。前2頭が3,4角から引き離すも3番手以下はスローの団子状態。4角から外めを通って少しずつポディションを上げて行く。4角は久々の分もあってか反応は鈍い。直線入口でハミを掛け直され、一完歩毎に力強く伸びる。坂上で先頭に躍り出ると、最後は苦しくなったが何とか2着馬の追撃を振り切った。休養前の京都新聞杯10着は、16㌔減でレース前から発汗は目立ち走れる状態にはなかった。加えてレース中に骨折していた。3走前の毎日杯1着は、スローの流れをスッと3番手のインに取り付く。道中は前に壁を作り、しっかりと脚をタメる。直線半ばでインから抜け出すと、最後まで脚色乱れることなく瞬発力勝負を制した。4走前のシンザン記念1着は、道中は前2頭が飛ばす一貫した流れを離れた3番手から追走する。直線を向くとバテた先行馬2頭が早々と脱落し、直線半ばで単独先頭に躍り出ると桜花賞馬と三冠馬を抑えて押し切った。追って頭が高く一瞬の瞬発力を武器とするタイプ。スッと先行できるスピード性能にも優れる。2500㍍への距離延長は歓迎とはいえないが、小回りの中山ならカバーできるか。

ブエナビスタ
前走のジャパンC1着は、この中間は大幅に攻めを強化。この日は長距離輸送を挟みながら2㌔増。下見どころでは例によって落ち着きを見せ、馬体もふっくらと見せていた。レースでは2番枠からスーッと馬任せで中団の前めを進む。終始、インの経済コースを完璧な追走姿で立ち回る。3角でレースの流れは緩み、ここで馬群は凝縮しかける。だが、外からウインバリアシオンが捲って先頭に並びかけたことでレースは一気にペースアップする。それでも、ブエナは慌てない。ポディションを少し落としてまで末脚をタメる落ち着いたレース運び。前走は4角でズブさを見せたが、この日は機敏な反応を見せる。直線入口で狙っていた進路は2着馬に締められたが、坂上で右手綱を引いて馬場の3分どころに持ち出す。そこから力強いフットワークで末脚を伸ばす。残り100㍍手前から2着馬に馬体を併せ楽に差し切るかに思えたが、そこで手前を替えてしまう。最後は脚色が一緒になってしまったが、粘りに粘って差し切った。インをロスなく立ち回り、岩田の騎乗も落ち着いていたし、ひと叩きしたことで勝負どころの反応も機敏になっていた。強い競馬だった。前々走の天皇賞4着は、懸念された馬体重は10㌔減。レースへ向けてきっちりと体を作ってきた。5番枠からコーナーワークを利して無理することなく2角では好位を取る。ペースの上がった2ハロン目からは無理することなく中団の少し前目のポディションまで下げる。その後はインぴったりを立ち回りロスなく立ち回る。本来なら4角で動きたかったが、ここでズブさを見せる。反応が鈍いことで進路の選択肢は少なくなる。直線入口で行き場を失い、手綱は持ったまま。前のローズキングダムがフラついているだけに突っ込めない。今度はアーネストリーの左側に進路を見出して突っ込むも、内ラチ沿いはギリギリ突っ込めない。仕方なく今度は右手綱を引いて立て直す。そこからスペースができて末脚を伸ばすも、ゴール前で手前を替えたところで脚は止まってしまった。久々で不利はありながら上位争いを演じたのは立派だが、4角で見せた反応の鈍さとゴール前で脚が止まってしまったあたりに陰りを見た気がする。4角でスッと反応できていれば外めに持ち出せていたし、不利を受けることもなかった。3走前の宝塚記念2着は、発馬後に少し気合いを付けて中団を取りに行く。1角からは無理することなく後方のインに潜り込む。レース巧者で道中の折り合いは完璧。3角手前から馬場の3分どころへ持ち出す。だが、小回りの多頭数で馬群は凝縮し、3角では外からルーラーシップに被されて仕掛けどころを失う。4角でも前にトゥザとルーラーがおり、進路はない。仕掛けが遅れたうえに直線は大外。加えてレコード決着と極めて厳しい条件だったが、最後は大外から粘り強い脚で追い込んで地力を示した。4走前のヴィクトリアM2着は、中間の攻め馬では気負って掛ったりしていたが、下見どころでは落ち着き十分だった。返し馬では前脚の出が硬く、推進力には欠けていた。レースでは、ゲートはすんなりと出たが、二の脚がつかず自然と後方からの競馬に。道中はすぐ前のアパパネをマークする形。4角から直線にかけて大外へ持ち出す。坂上で左ステッキが入った時に僅かに外へ膨らむ。そこで勝ち馬とは差を広げられる。一完歩毎に力強く差を詰め、末が鈍ったゴール前で急追したが僅かに届かなかった。久々の実践と距離不足のマイル戦を考えれば十分すぎる内容だった。昨冬のこのレース2着は、テンは無理に前へ行くことなく後方でじっくりと構える。鞍上は決め手に絶対の自信を持っていた。だが、向こう正面でもびっしりと馬込みに包まれる苦しい展開。インの経済コースを立ち回れたが、仕掛け遅れは否めなかった。3角手前でエイシンフラッシュとメイショウベルーガの間を割ってスパートを開始させる。三分三厘で馬込みをスムーズに捌いて4角では前のルーラーシップを目標に加速させる。スムーズに馬込みを捌けたのは瞬時に加速できる脚力があるからであり、ズブいタイプは馬込みでゴチャついて加速できない。直線でスッと左手前に替え、鞍上のステッキが唸る。坂上からグーンと凄まじい末脚で猛追する。坂を上がってからゴール前までの30㍍で更に伸びる。最後は差し切ったかに思えたが、首の上げ下げで僅かに屈した。昨年のこのレースでは後ろから行き過ぎた。今のブエナビスタなら好位から競馬ができるし、今回はオルフェーヴルを徹底マークするだろう。小回り中山でもこれなら問題ない。瞬発力、底力、オルフェーヴル同様にどちらも優れている。秋3戦目でデキも更に上向いている。


トーセンジョーダン
前走のジャパンC2着は、ウィリアムズが内の出方を見ながら少し気合いを付けながらスーッと先団へ。大きなフットワークで、仕掛けたことでスイッチも入ることなく1角でスッと2番手に取り付く。緩い流れにもかかわらず2角では馬群は縦長に広がる。横一線の瞬発力勝負だけは避けたかっただけに、ウィリアムズの狙いどおり。3角で更に流れが緩んだことで馬群は凝縮しかけたが、ウインバリアシオンが一気に捲ったことでレースは一気にペースアップする。緩急ある流れに戸惑いを見せ、4角ではズブさを見せる。直線入口でも決して手応えは良くはなく、鞍上が懸命にステッキを入れて手綱を動かす。大きなフットワークで一完歩毎にジワジワと伸びる。残り300㍍から単独先頭に躍り出るも、すぐに外からブエナビスタに馬体を併せられる。切れ味では分が悪いだけに万事休したかと思われたが、馬体を併せてから抜群の勝負根性で粘りに粘る。ゴール前で僅かに屈したが、素晴らしい勝負根性だった。瞬発力勝負を避ける意味でスッと先行したウィリアムズの手綱捌きは見事だったし、ジョーダン自身も長くいい脚を使って持ち味を発揮した。3角から一気にペースアップする厳しい競馬でも最後まで粘ったように、底力に溢れた素晴らしい走りだった。前々走の天皇賞1着は、驚愕の日本レコードで初GIのタイトルを手にした。以前は坂路追い中心の攻め過程だったが、この中間は3週続けてコースで意欲的に追われ抜群の動きを披露。生涯最高のデキで大一番を迎えることができた。12番枠から発馬は決めたものの、行き脚は鈍く手綱をしごいて出して行く。1000㍍通過が56秒5の歴史的ハイペースだけに道中も少し気合いを付けながらの追走で、縦長の中団からの追走。ようやく3角から手綱のアクションに余裕が見られるも、4角で馬場の5分どころへ持ち出す。直線は大外へ。四肢を目一杯に伸ばした大きなフットワークでグングン伸びる。ラスト1ハロン過ぎで先頭に躍り出てもフワッとせずに集中して走る。ゴール前で内から2着馬の強襲に遭ったが、バテることなくラスト1ハロン推定11秒7の脚で踏ん張った。底力に優れた素晴らしい末脚だった。3走前の札幌記念1着は、短期放牧を経て入厩10日目で迎えた一戦。元来、叩き良化タイプでもあるため決して万全の態勢ではなかった。しかし、絞りづらい体質を考えれば冬場の休み明けよりは汗をかく夏場は良かった。レースでは13番枠から少し気合いを付けて前々へ。鞍上としてはハナを切ってもいいくらいの気持ちだったが、大外枠とそれほどテンのダッシュ力はないために4番手の外めに取り付く。道中の折り合いはスムーズで、レースの流れが極端に緩んだ3角で外めからジワッとポディションを上げる。4角から12秒6-11秒9と一気にギアチェンジする流れに戸惑いを見せ、手綱は動いてズブさを見せる。直線に入ってもハミを掛け直されても反応は鈍く、外のレッドディザイアに飲み込まれそうになる。馬体を併せられたことで闘志に火が付いたのか、そこからグンとひと伸び。最後は内々で粘るアクシオンをゴール前で差し切った。パワーのある実績馬で洋芝向きではあるものの、緩急の激しい流れは得意とはしない。そのなかで格好を付けたのはさすがだ。4走前の宝塚記念9着は、半年ぶりの実践。発馬で煽り気味になり、行き脚がつかず。その後も内へモタれる仕草を見せて1角からは後方のインに潜り込む。インのポケットに入ったことで勝負どころで動くことができず。ようやく4角で外めに持ち出すも、重心の高い走りで伸び切れなかった。5走前のAJCC1着は、厳寒期の坂路調教ということで太め残りが懸念されたが、当日はマイナス6㌔。下見どころではスッキリとした馬体で外めを気分よく周回していた。レースでは、出が今ひとつで少し気合いを付けて前へ。ゴール版前で態勢が落ち着き、前から5番手の位置で内のコスモファントムを見ながらの競馬。ミヤビランベリの作る緩い流れにも動じることなく折り合う。3角手前でペースアップする流れだったが、そこではジッと我慢。三分三厘から手綱をしごいてスパートすると、4角では先頭から2馬身差まで迫る。そこでバテたサンライズと接触し、直線入口では前が壁になっているために左手綱を引いて外めに進路を変える。そこで左手前に替えて猛追。楽なペースで行っているので先行勢もなかなか脚色が衰えなかったが、坂上の右ステッキでグンともうひと伸び。ゴール前で抜け出す時にフワッとしたが危なげなく差し切った。前半のペースが遅かっただけに勝ち時計は平凡だが、正攻法の強い競馬だった。大トビでスパッとは切れないが、長くいい脚を使い底力に優れた走りをする。前走のジャパンCは3角から一気にペースアップし、かなり苦しい競馬だった。並んでからも実に渋太い。距離もコースも望むところ。鞍上がウィリアムズなら流れに応じて位置取りを変えられる。ブックのフォトパドックを見る限り、疲れは皆無どころか絶好調だろう。

ジャガーメイル
前走のジャパンC3着は、休み明けを2度叩き、最終追い切りでは南Pで豪快な動きを披露。仕上りは良かった。レースでは最内枠発走からスッと中団へ。前走は激流の2000㍍で追走に骨を折ったが、400㍍の距離延長とスローペースで道中は手綱を持ったままで脚をタメる。3角からウインバリアシオンが一気に動いたことでレースの流れは速くなるが、四位は慌てずじっくりと運び、4角では後方までポディションを落とす。4角で手綱をしごいてスパートし、直線もインぴったりを立ち回ってコーナーワークで坂上では一気に先頭から3馬身差のところまで詰める。少し待たされるところはあったが、坂を上り切ってからは一完歩毎にジリジリと伸びる。スパッとは切れなかったが、長くいい脚を使って追い込んだ。ロスなく立ち回った恩恵は想像以上に大きかったし、4角の判断も良かった。前々走の天皇賞9着は、フワッとした発馬で行き脚がつかず最後方からの競馬。道中は少し気合いを付けながらの追走。直線で少し馬込みを捌くのに苦労したが、脚も残っていなかった。距離不足の2000㍍の高速決着。追走に骨を折った分、最後に脚は残っていなかった。3走前の京都大賞典3着は、下見どころから気負いが目立っていた。レースではスッと後方に控えて外めに持ち出す。道中の折り合いはスムーズで4角の下り坂から理想的にスパートする。直線は2着馬を被せに行き、一気に前を捕えるかの勢いだったが、外へ膨れる。そこから立て直して末を伸ばすも、ゴール前で内へ切れ込んでしまい、そこを2着馬に差し返されてしまった。久々を考えればいい内容だった。昨年のこのレースは残り5ハロンから加速するレースとなり、直線は大外へ回るロスはありながら最後は良い脚で追い込んできている。瞬発力勝負ではブエナ、オルフェーヴルと比べると分が悪い。理想は上がりの掛る展開。アーネストリーが一貫した逃げを打ち、それをオルフェーヴル、ブエナが早めに動いてズブズブの展開になるなら出番はある。道悪は尚更歓迎だ。一週前追い切りは前脚の捌きが硬く感じた。最終追い切りに注目。

エイシンフラッシュ
前走のジャパンC8着は、15番枠から馬任せで中団へ。発馬後から池添は手綱をグッと抑えてなだめるが、1角手前では頭を上げてかなり行きたがる。1角ではうまく前に壁を作って後方に控える。道中は鞍上がなだめるのに必死で力みながらの追走。終始、引っ張り切りの手応え。4角でも手応え十分で、直線では馬場の5分どころへ加速しながら持ち出す素晴らしい誘導を見せる。だが、追われてから弾けない。ラスト1ハロンから左手前に替えてしまい、重心も高くなって伸びない。最後は前とも差を広げられ、デインドリームにも差されてしまった。いつも以上に重心が高くフワッとして伸びがなかった。4角までの手応えを考えれば伸びなさすぎだ。道中で必要以上に力んで目に見えないところで体力を消耗したのか?久々の前走を激走したことで目に見えない疲れがあったのか?。前々走の天皇賞6着は、入念に乗り込まれ久々でも好仕上がりだった。4番枠から好発を決め、直後に少し気合いを付けて先行する。3ハロン目から手綱を抑えるも、行きたがってしまう。縦長の超ハイペースを3番手から追いかける形となり、道中はなし崩しに脚を使わされてしまう。直線を向くと、手応え十分に伸びを見せ、坂上で単独先頭に躍り出る。ラスト1ハロンまでは懸命に脚を伸ばすも、ゴール前で脚は止まってしまった。昨年のジャパンC同様に発馬が良過ぎて前に壁を作ることができず、結果としてハイペースを追いかけてなし崩しに脚を使わされてしまった。3走前の宝塚記念3着は、宝塚記念3着は、4番枠から道中は馬任せで後方のインに落ち着く。終始、経済コースを立ち回りロスのない誘導。三分三厘ではバテたアサクサキングスを回避するために一頭分空ける。4角から直線にかけても馬場の内めに突っ込む。前のアーネストリーを目標に懸命に脚を伸ばしたが、脚色は同じになってしまい、ゴール前ではブエナビスタにも差されてしまった。4走前の天皇賞・春2着は、ひと叩きされて中間の動きがグンと良化。ダービー時に近い雰囲気だった。レースでは15番枠から好発を決め、内の各馬の出方を見ながら慎重に運ぶ。行きたがる気性なだけに鞍上も相当な神経を使っていた。直後に迎える下り坂をクリアするべく、ジワーッとリズムを崩さないように後方へ下げる。内枠ならここまで神経を使う必要はなかったが、外枠が痛かった。何とか前に壁を作ることはできたが、そこは歴史的な超スローの流れ。正面スタンド前では首を上げて掛ってしまった。それでも、ガツンと掛ることはなかったし、タメはできていた。1角からかなり入れ替わりの激しい流れとなるも、内田博は焦ることなくジッと我慢。3角の上りから下り坂も慎重に運び、4角で一気に手綱をしごく。直線は大外へ持ち出すと、一気に末脚で先団へ。ラスト1ハロン地点で勝ち馬に並びかけるも、そこから脚色が同じになり差し切ることはできなかった。大トビだけに上滑りする馬場も影響したか。鞍上の判断は絶妙だった。5走前の大阪杯3着は、大外枠発走で好発を決めたものの、内の先行馬を行かせて後方馬群に潜り込む。向こう正面から一気にペースが速くなる流れで課題の折り合いはクリア。59㌔を背負っていることもあり、3角では大外から早めにスパートする形。4角手前で中団まで押し上げたところで一旦手綱を抑える。4角で再び加速し直線へ。大きなフットワークで一完毎歩毎に詰め寄ったが、2着馬の脚色が勝り、競り負けた。休み明けで59㌔を背負っていたし、外々を通らされる苦しい形。格好はつけた。昨秋同様に寒い時期に結果は出ていない。スローの瞬発力勝負は得意で、前走など直線はもっと伸びてもいい流れだ。今回は小回り中山コースになる。大トビでエンジンの掛りに時間を要するタイプ。昨年のこのレース同様に勝負どころで包まれては苦しい。2度目の騎乗となるルメールが対策を打ってくるだろう。とにかく前に壁を作ることだ。

トゥザグローリー
前走のジャパン11着は、6番枠からスーッと馬なりで先団へ。1角で少し行きたがるところを見せたが、許容範囲。その後も前と少し間隔を開けて追走し、収縮のある走りでタメは利いていた。引っ張り切りのいい手応えだったが、3角から外のウインバリアシオンが一気に捲ってきたときに嫌がる素振りを見せた。更にレースは11秒2-11秒0と一気に加速。一瞬の脚を持ち味にするタイプだけに、出し抜けを食らった感は否めない。直線で一瞬は抜ける脚力は示したが、最後は重心が高くなって伸び負けしてしまった。4角手前から流れが速くなったのは誤算だったが、府中の長い直線では力不足の印象も抱いた。前々走の天皇賞5着は、久々で夏負けからは立ち直っていたが、万全のデキとはいかなかった。東京2000㍍では不利な17番枠。スーッと行き脚がつき、楽な手応えで好位の外めへ。道中は抑えるのに苦労するくらいの行きっぷり。収縮のある走りでタメが利いている。4ハロン目からは無理することなく中団までポディションを落として脚をタメる。ペースを考えれば絶妙な判断。しかし、終始馬群の外めを通らされるロスの多い競馬。3,4角は仕掛けることなくジッと我慢し、直線も大外へ。坂上で内へモタれ右手綱で矯正しながらもグーンと伸びる。ラスト1ハロン手前から先頭に並びかけるも、そこで脚は止まってしまい、苦しくなって内へモタれてしまった。不利な大外枠で無駄な距離を走らされながらよく頑張っているし、直線で一瞬の脚力は示した。3走前の宝塚記念13着は、夏負けの兆候が見られ、本来のデキにはなかったし、一貫した流れで追走に脚を使わされて見せ場を作れなかった。4走前の天皇賞・春13着は、発馬後から鞍上と喧嘩し、終始首を上げて嫌がっていた。業を煮やした四位が1周目の正面スタンド前で2番手までポディションを上げる。2角から向こう正面入口にかけては我慢できずにハナを奪う。ここで一旦は折り合いを付けたかに見えたが、そこは1番人気を背負った宿命。マイネルキッツが徹底マークの構えで掛り気味に競りかけられる。しかも、折り合いに専念するためにペースを落とした向こう正面中盤でナムラクレセントにハナを奪われる入れ替わりの激しい競馬。更に掛ったローズキングダムが外からマイネルキッツに被せたことでマイネルキッツが反応。キッツが更に仕掛けてポディションを上げたことでレースが壊れてしまった。結局は道中で下手に動かなかった各馬が上位を占めるレースになった。5走前の日経賞1着は、1番枠から馬任せでジワッとした出方。緩い流れとインのコーナーワークを利して1角では4番手のインをキープする。向こう正面では抑えるのに苦労するほどの行きっぷりで、もの凄い手応え。3角でも制御するのに苦労していたが、外のミヤビが仕掛けて行ったことでレース流れが速くなった。ここで手綱をグッと抑えて脚をタメる。4角手前で少し手綱を緩めてインから進出開始。4角で先頭から1馬身圏内まで進出すると、直線入口で馬なりのまま先頭へ。レースのラップが10秒8のところだから、すごい脚力だ。直後に外のローズキングダムに迫られたが、坂上で左手前に替えるとグンともうひと伸び。最後は手綱を抑えてフィニッシュした。武器はスッと先行できるスピード性能と、勝負どころから馬なりでポディションを上げられる脚力だ。府中の長い直線での追い比べよりは、小回り中山コースで押し切る競馬が向いている。昨年のこのレースはあと少しだった。一週前追い切りは、例によって頭が高く直線で手前を何度も替えるなど集中力に欠けていた。良化は案外か。

ルーラーシップ
前走の宝塚記念5着は、ナムラクレセントが飛ばす一貫した縦長の流れを道中は離れた後方を追走する。向こう正面から少しずつポディションを上げ、外から進出する。3角からは手綱をしごいて大外から捲り気味に仕掛ける。だが、大トビのため内回りコースでは外へ膨れてしまう。ブエナビスタより早めに進出したが、最後は完全に脚が上がってしまった。2200㍍の高速決着は厳しかった。前々走の金鯱賞1着は、海外遠征明けで仕上がりはひと息だった。しかも、当日は大雨のなかでの一戦で不良馬場。大トビの同馬にとっては辛い条件であり、内回りコースも歓迎できる材料ではなかった。レースへ行ってはゲートのタイミングが合わず最後方からの競馬になるアクシデントが。トビが大きいため馬群に入れることができず1角からずっと外々を通る。向こう正面では馬群の大外を通って後方馬群に取り付く。3角からジワッと気合いを付けてスパートすると4角では先頭から5馬身のところまで迫る。だが、4角から直線にかけては外へ膨れ気味で鞍上が右手綱で修正しながらの誘導。その分、反応は今ひとつで先頭との差が広がってしまう。直線に入ってもグンとは反応せず。ラスト1ハロンから右手前に替えると、一完歩毎に大きな完歩で伸びる。ゴール前で勝ち馬が失速したところを差し切った。完全な負け材料が揃っていながら差し切ってしまった。強すぎる内容だった。4走前の日経新春杯1着は、発馬をスッと決めて大きなフットワークで好位の外めを取りに行く。2ハロン目から10秒8-10秒8と続く厳しい流れを道中は抑え切れない手応えで積極的に追走。ピッチが上がった3角の下り坂からジワッと仕掛けを開始し、4角で早くも先団に取り付く。直線の残り300㍍手前で先頭に立つと、雄大なフットワークからグングン加速。ラスト1ハロンを11秒8としっかり踏ん張って快勝した。厳しい流れを正攻法で押し切るのながら強い。負かした相手は後の天皇賞馬。強さは疑いようがない。暮れの有馬記念6着は、発馬後は無理することなく後方から3,4番手の外めを追走する。大きなフットワークで小回りの中山は走りづらそうだった。こういうタイプだけに馬込みの中に入れることができず、正面スタンド前で大外を通ってポディションを上げて行く。更に向こう正面に入ると一気にポディションを上げて行く。ここで連れて僚馬ヴィクトワールピサが反応してハナへ立ち、レースの流れが一気に速くなる。ここで一旦、ポディションを落として息を入れる。再び4角から大外を通ってスパートを開始させる。直線は伸びずバテずで入線した。道中からずっと大外を通らされ、息を入れられないい厳しい競馬だった。大きなフットワークで器用さに欠けるし、馬込みに入れないタイプ。常に大外を通らされるリスクは覚悟しなければならない。小回りの中山コースではいかにも厳しい。久々も割引は必要だ。

ペルーサ
前走のジャパンC16着はまさかのシンガリ負け。中間はひと叩きしたことでトモが更に丸みを帯び、デキは確実に上向いていた。8番枠から好発を決め、例によってスッと後方に控える。テンから掛り気味で力みの見られる走り。2角で我慢しき切れずに外めへ持ち出すと、掛って中団までポディションを上げてしまう。その後は馬群の外めを通らされ、4角で早々と手応えをなくして沈んだ。前々走の天皇賞3着は、久々で12㌔増。これはしっかりと攻め馬を積まれてのものでほとんどが成長分。その証拠に8番枠からかつてないほどの好発を決める。これはトモがしっかりしていなければできない芸当だ。その後は無理することなく後方に控える。3ハロン目までは馬群から置かれることなく追走できたが、レースは4ハロン目になっても緩まず、ここで少し馬群と距離を置く。3,4角もジッと我慢する。4角から直線入口にかけて大外へ持ち出してスパートを開始させる。ここで少しズブさを見せて上位勢と差を広げられる。坂上からエンジンが掛ると、大きなフットワークでグングン伸びる。際どいところまで詰め寄ったが、僅かに届かなかった。この超ハイペースのなかで上がり3ハロン33秒9の脚を使えたのは立派だし、勝ち馬がラスト1ハロンを11秒7で踏ん張ったのは想定外だった。直線入口でスッと加速できていれば。トモに実が入ったことで発馬は安定した。スローで流れた2400㍍の前走は、テンから行きたがり掛って末脚をなくしてしまった。ギアチェンジは上手くないタイプ。一貫した流れを後方から差してくるタイプと見ていい。器用さに欠け、エンジンの掛りに時間を要するタイプだけに小回りの中山コースに替わるのは割引。前半から前に壁を作り、三分三厘から大外ブン回しで勝負する。緩急のある流れではなく、一貫した流れで上がりが掛れば。

ヴィクトワールピサ
昨年の覇者が引退レースを迎える。前走のジャパンC13着は、中間は順調さを欠き3月のドバイWC1着以来の実践。テンから行き脚がつかず道中は離れた最後方からの追走。終始、ガツンとくる手応えがなく行きっぷりは悪い。本来ならウインバリアシオン同様に3角あたりから捲ってポディションを上げたかったところだが、それもできなかった。前々走のドバイWC1着は、トランセンドの作る流れをスッと最後方からの追走。大きなフットワークでゆったりとした追走。向こう正面に入ると、昨冬の有馬記念と同様に一気に外めを通って先頭に並びかける。3角からはトランセンドの外にびっしりと張りつく。直線を向き、前で粘るトランセンドをなかなか交わせず、大外からはジオポンティも強襲してくる。ゴール前は白熱した追い比べとなり、激戦を制した。向こう正面で一気に脚を使いながら、直線で二の脚を使い着差以上に強い競馬だった。強い。3走前の中山記念1着は、始動戦ではあったが、ほぼ万全な仕上がり。下見どころから迫力十分の馬体で、他馬とは次元の違う雰囲気を醸し出していた。久々の1800㍍ということで発馬後は行き脚がつかず自然と後方からの競馬。緩い流れでも慌てることなくじっくりと我慢。有馬記念と同様に、向こう正面でポディションを上げる。3角手前では先頭から4馬身圏内に迫る。手綱は抑えたまま。3角で大外を通ってスパートを開始すると、グーンと加速。だが、4角では大きなフットワーク故に外へ膨れて右手綱を抑えることに。それでも、直線入口で凄まじい脚で一気に先団へ取り付く。坂上で他馬とは違う脚でキャプテントゥーレを振り切り、危なげない勝利を飾った。大トビでテンの行き脚は速くはないタイプ。向こう正面から3角にかけて早めに動き、ロングスパートを得意とする。その意味では中山コース向きの脚質。本来のデキなら勿論、ここでもつ通用する底力の持ち主だ。ただし、前走はガツンと来るシーンは皆無で、一週前追い切りも終いの反応に物足りなさを残した。最終追い切りの動きに注目したい。展開のキーマンだ。

ローズキングダム
前走のジャパンC9着は、前走で減った馬体が2㌔戻っていたし、落ち着いていた。レースでも馬任せで中団に取り付き、力むことなく道中は折り合っていた。中団馬群のなかを理想的に追走できたし、直線でブエナビスタとトゥザグローリーに寄られて一瞬怯むところはあったが、それにしても伸びなさすぎた。前々走の天皇賞10着は、長距離輸送で8㌔減。少し減り過ぎていた。2角で外からアーネストリーに入られた時に手綱を引っ張り、そこで馬にスイッチが入ってしまったし、左回りで外へモタれていた。直線も外へモタれるのを矯正しながらで伸びなかった。3走前の京都大賞典1着は、中間の攻め馬では完歩の小さい走りで決してデキは良くは見えなかった。加えて59㌔。メンバーに恵まれたとはいえ、不安要素はあった。レースでは7番枠から馬任せでポディションを取りに行く。各馬の出方を見ながら1角からスッと4番手のインに落ち着く。ペースの落ち着いた2角から少し行きたがる面と内へモタれたが、問題ない程度。向こう正面ではスムーズに折り合う。3角の上り坂に差しかかるところで内へモタれる。悪い癖を見せかけたが、鞍上がすぐに修正し4角から直線にかけてはスムーズに加速する。直線は鞍上の右ステッキと体と左手綱で真っすぐ駆け抜ける。首を水平に使い、グーンと加速する。最後は外から詰め寄られたが、着差以上に差を感じさせる切れ味で差し切った。開幕週のパンパン馬場で持ち味の切れ味を存分に発揮できたし、右回りで課題だった内へモタれる点も鞍上の渾身の騎乗でカバーできた。ここは相手に恵まれたのは確かだが、天皇賞へ向けて視界の明るい内容だった。4走前の宝塚記念4着は、ナムラクレセントの作る一貫した淀みない流れを好発から好位を取りに行く。少し気合いは乗り過ぎている感はあった。1角に差しかかるところで少し内へモタれる面を見せるも、至極順調な道中。道中は5番手のインからの追走。三分三厘で前のアーネストリーを目標に外から早めに進出する正攻法の競馬。だが、4角から直線にかけての手応えは良くない。直線入口で手綱を動かすも反応は鈍く、前のアーネストリーと脚色は同じになり外からブエナビスタに差されてしまった。タフな馬場と底力勝負を正攻法で押し切れるほどの力はなかった。5走前の天皇賞・春11着は、レース前から少し気負っていた。レースへ行っても発馬後から掛ってしまい、鞍上が制御できていなかった。正面スタンド前では頭を上げてモロに掛ってしまった。更に、ペースの落ち着いた向こう正面でナムラクレセントがハナを奪いに行ったのに反応してしまい、一気にポディションを上げてしまう。流れを考えれば我慢させるべきだった。これだけ気負ったキングダムは初めて見た。これでは直線で伸びるはずもなく、馬群に沈んでしまった。小柄な馬体から繰り出す瞬発力が武器。右回りでは内へモタれ、勝負どころから加速するのにブレーキが掛ってしまうタイプ。秋緒戦で勝利をエスコートした後藤に鞍上は戻る。瞬発力勝負になれば。

アーネストリー
前走の天皇賞14着は、18番枠から発馬後に手綱をしごいて先行する。かなりロスの多い競馬だったし、気合いを付けて行った分、馬にスイッチが入ってしまい道中は掛り気味に。加えて超ハイペースを追いかける苦しい形。直線を向いても昨年同様に手前を替えず、完全に脚は止まってしまった。前々走のオールカマー1着は、中間に一頓挫あり札幌記念を回避しての一戦。加えて12㌔減で59㌔。メンバーに恵まれたとはいえ、厳しい条件が揃っていた。レースでは、シャドウゲイトの作る流れをスッと3番手の外めを追走する。馬との呼吸を大事にし、慎重に運ぶ道中。向こう正面からシャドウゲイトが持久力勝負に持ち込む流れを、深追いすることなく3番手でジッと我慢する。三分三厘で楽な手応えのまま前との差を縮め、直線で早めに先頭に並びかける。59㌔を背負っている分、最後は思ったほど弾けなかったが、貫録の違いで押し切った。3走前の宝塚記念1着は、2番枠からスッと馬場の良い3分どころへポディションを移し、馬の集中力を切らさないように慎重に運ぶ。最内のナムラクレセントがハナを主張したため、競ることなく2番手に控える。1角からは先頭とは少し間隔を置き、折り合いに専念する。3角からジワッとポディションを上げて行き、4角では逃げ馬の直後まで迫る。直線に入るとあっさり突き抜けて後続を引き離し、ラスト1ハロンも坂がありながら12秒0としっかりと踏ん張って押し切った。勝ち時計2分10秒1は文句なしのレコードだ。ここは強力な先行馬は見当たらず、自ら一貫した流れで逃げる可能性は高い。佐藤哲としては後続になし崩しに脚を使わせたいところだ。距離は少し長いのは確か。天皇賞から間隔も空き、馬体の締まりもひと息に映る。得意の右回りで小回りコース。持続性と底力を生かしてどこまで。

ヒルノダムール
3走前の天皇賞・春1着は、中間はレコード駆けの反動を見せることなく1週前に7ハロンから意欲的に追われ、最終追い切りは坂路で抜群の動きを見せ、デキは最高潮だった。レースでは2番枠からスーッと好発を決め、馬任せで先団へ。直後に迎えた下り坂を慎重に運ぶ。一つ目の難関をクリアすると、その後は好位のインで脚をタメる。正面スタンド前から入れ替わりの激しい流れになるも、気にせずヒルノのリズムを第一に考えて自然とポディションを下げる。ここでの判断が最後に勝利を大きく引き寄せることになった。経済コースをぴったりと立ち回り、3角手前で少し気合いを付けてポディションを上げるも、一気には行かせず再び手綱を抑える。3,4角の下り坂で仕掛けたくなるところだが、手綱はジッと持ったまま。4角で満を持してスパートすると直線は馬込みを割って抜け出す。バテた先行馬を交わしたところで2着馬に猛追されるが、そこで右手前に替えてもうひと踏ん張り。ゴール前で馬体を併せられたが、そこから粘りに粘って押し切った。凄い勝負根性だ。馬の力も素晴らしいが、鞍上のペース判断が素晴らしかった。4走前の大阪杯1着は、この中間はいつものコース追いではなく、坂路主体の調教で瞬発力を鍛えた。直前の攻め馬では、前に馬を置きゴール前は迫力の動きを見せていた。レースでは、発馬で右にヨレて他馬と接触するアクシデントが。ここで馬にスイッチが入って掛ってもおかしくなかったが、意に介せずスーッと中団で折り合う。レースは向こう正面から流れが締まり底力を要求される展開。3角で少し気合いを付けるものの、インでジッと我慢し、脚を温存。4角で手綱をしごいてスパートを開始させると、直線は馬場の3分どころへ持ち出す。前で粘るキャプテントゥーレを目標に一瞬の切れ味を使い、グイッと馬体を併せる。坂上で交わしたところでフワッとして例によって頭が高くなる。そこを後続に迫られたが、首の上げ下げで何とか振り切った。レコードV。2,3,4着馬は後方待機組。この厳しい流れを自ら勝ちに行って掴んだものだから価値が大きい。追って頭の高い走りで33秒台の決め脚はないが、底力と一瞬の脚はある。決め打ちして後方待機から一発を狙う。ジャパンCへの出走にも意欲を持っていただけに乗り込み量は豊富。2週続けてコースで追われ息もできている。一発あるか。

マイネルキッツ
前走のステイヤーズS1着は、鞍上の三浦皇成がステイヤーの特性を生かすお手本のような騎乗をした。テンか後方でじっくりと構えて末脚を温存させ、勝負どころから早めに動いてロングスパートで押し切るマイネルキッツの良さをすべて出した走りだった。今春の天皇賞・春では、鞍上の松岡がテンから押して押して出して行き、最初の4角の下り坂で馬にスイッチが入ってしまい、モロに掛った。しかも、向こう正面からナムラクレセント、ローズキングダムが動いた時に競りかけて行くように手綱をしごき、更にポディションを上げて行く無謀な騎乗。直線で一旦は抜け出すシーンはあったが、最後は完全に脚が上がってしまった。天皇賞で三浦のような騎乗をしていれば勝っていただろう。ここも同じような戦法だろうが、1100㍍の距離短縮はやはり割引。上がりが掛ってどこまで。