中央競馬徹底研究!

2022年は客観的な予想を心がけます。

第61回 有馬記念(GI)短評

2016-12-23 21:33:11 | 見解
 
1枠1番 キタサンブラック
トモの蹴りが強く安定した先行力、折り合いが従順で道中でペースを上げたり、下げたりできる自在性、最後の瞬発力、ハイペースでも粘れるスタミナ、すべてを兼ね備えている。ここはマルターズの2番手でペースは楽ではないが、逆にマークする後続勢の脚をなし崩しに使わせられるチャンスでもある。

2枠2番 ゴールドアクター
スッと先行できるし、三分三厘から早めに仕掛けて長く脚を使うことができる。まさに中山2500メートルの申し子。ここは前のキタサンブラックを徹底マークだろう。この中間は2週続けてハードに追われたことで狙い通りに馬体は絞れた。だが、その代償としてテンションの高さは気になるところ。元々がイレ込みやすいだけに当日の気配には要注意。

2枠3番 ムスカテール
ここ2走は着順ほど負けてはいない。絶好枠を引き、ロスなく立ち回りどこまで。

2枠4番 ヤマカツエース
仕掛けてからの反応が早く、一瞬の脚で突き抜けることができる。なので馬込みで揉まれても、仕掛け遅れすることはない。チョイ差しの利く中山コース向きの脚質。ここは前の有力どころがやり合うのを、その1つ後ろの隊列のインで我慢して、直線勝負に賭ける。この中間は絶好の気配。1週前は首をしなやかに使い、収縮の利いた走りができていた。距離は少し長いだろう。

3枠5番 サムソンズプライド
オープンでも掲示板に乗るのがやっとの状況。ここは荷が重い。

3枠6番 サウンズオブアース
勝負どころでズブい分、そこで勝ち馬に差を広げられ、2着が多いのは確か。最後は着実に脚を使える。前走は課題の折り合いも克服できていた。ここは前に有力どころが揃い、テンからある程度前を意識するだろう。好勝負は必至。

4枠7番 マルターズアポジー
今週の中山の馬場は相当に重い。力が要る。ハナは絶対に譲らず、展開のカギを握る。タメて団子での逃げよりは、恐らくある程度のペースで逃げると思われる。2番手以下が強力で、2番手に控えるキタサンブラック目がけてその後ろの有力どころが残り5ハロンから早めに仕掛けてくる。楽な展開は望めない。

4枠8番 ミッキークイーン
ペースを問わず、最後は確実に脚を使えるタイプだが、理想は2000メートルでの決め手勝負。牡馬相手のGIでは、2500メートルは少し長い。

5枠9番 ヒットザターゲット
長丁場の追い込み馬。ここは前崩れの展開を待つのみ。

5枠10番 アドマイヤデウス
スパッと切れる脚はなく、典型的なワンペースの馬。渋太い。昨年のこのレースも差のない競馬。ワンペースの同馬にとって、時計を要す最終週の重たい馬場は歓迎。インべた張りで最後は渋太く追い比べに持ち込む。

6枠11番 サトノダイヤモンド
スパッと切れる脚はないが、大トビで一度エンジンが掛ると長く脚を使うことができる。折り合い自在でパワータイプだけに時計の掛る最終週の馬場は歓迎だ。大トビだけに、小回りコーナー6回の中山2500メートルは不向き。ここは好位の外めから、残り5ハロンからスパートして前のキタサンを潰しに行く。

6枠12番 サトノノブレス
追われて頭いの高い走法がネックで、スパッと切れる脚はない。ワンペースの流れを正攻法で押し切る競馬を得意とするタイプ。理想は2000メートル。ここは少し距離が長い。パンパンの良馬場向き。

7枠13番 デニムアンドルビー
欠点はテンに行く脚がないので置かれる点と、勝負どころでエンジンが掛るのに時間を要する所。テンのズブさを考えれば、最低でも2400メートルは欲しいところ。最後は確実にいい脚を使える。コーナー6回の中山2500メートルならゆったり運べられる。2014年は着順ころ悪いが、直線入り口でインを選択して前が壁になり、坂上で大外へ持ち出したところでグーンと猛追していた点を見逃してはいけない。ここも追い込み一辺倒だが、流れは向きそうだし、勝負どころから直線でスムーズに大外へ持ち出せれば。

7枠14番 シュヴァルグラン
この馬もズブい。前走のジャパンC3着では、ズブいと言われているサウンズオブアースにも一瞬直線で置かれた。その分、GIでは勝ち身に遅い印象。だが、最終週の時計の掛る馬場と前がやり合う持久力を要する流れはこの馬向きだ。テンはジッと我慢し、残り5ハロンから持久力を生かせれば。

8枠15番 アルバート
追い込み一辺倒で、2500メートルのGIでは少し距離が足りない印象。よほど展開が向かないと厳しいだろう。最終追い切りでは、併走馬に置かれてしまい、気配もひと息。

8枠16番 マリアライト
最終週で時計の掛る馬場は大歓迎。パワータイプの差し馬。スパッとは切れないので、自身が35秒でまとめられて差し切れるのが理想。だが、ここ2週の攻め馬の動きはひと息。昨年の状態にはないだろう。

有馬記念(GI)徹底研究!

2016-12-20 21:33:10 | 見解


【キタサンブラック】 2番手
前走のジャパンC1着は、1番枠から抜群の発馬を決めてスッとハナへ。トモが発達している証拠。2ハロン目で外からワンアンドオンリー、リアルスティールが競りかけるも、手綱を抑えて番手で落ち着く。こうなればキタサンのペース。1~2角で息を入れ、向こう正面もスムーズ。まったく力みのないリラックスした道中。馬場の悪い内を避け、外めに進路を取ったのも豊マジック。キタサンの操作性の良さも寄与している。ペースが上った4角で後続との差が縮まるが、そこから11.2-11.4と二の脚で一気に突き放す。危なげなく逃げ切った。スッとハナへ立てるトモの強さ、素直な気性、二の脚、すべてが完璧なレース運びだった。逆にホームストレッチが長く番手のワンアンド、トーホウが競りかけてきた3走前の宝塚記念はテンの5ハロン59秒1のハイラップ。土が掘れる稍重の馬場を考えれば尚更。先行馬総崩れの中、ゴール前まで粘ったのは地力の成せる業。スッと先手を奪えるし、気性が素直なだけに道中の仕掛けも容易にできる。最後は二の脚も使える。死角は見当たらない。今回は逃げ宣言のマルターズアポリの2番手が有力。更に後ろにはゴールドアクター、サトノノブレスが控える。前走のような楽な展開は望めない。絞れたゴールドアクターなら、昨年の覇者でもあるし、強気の競馬で来るだろう。持久力戦になる。

【マリアライト】 好位
前走のエリザベス女王杯6着は、2番枠から気合いを付けて好位を窺う。しかし、1角でゴチャつき、手綱を引っ張る大きな不利があり、後方までポディションを下げる。そこからは、後方の外めを追走する。4角の下り坂から手綱をしごいて仕掛けを開始するも、反応は鈍い。ジリジリとしか伸び切れなかった。1角で不利があった上にペースが落ち着き決め手勝負になってしまった。速い脚がない同馬にとって辛い展開だった。速い脚はないが、上がりの掛る展開なら確実に脚が使える。洋芝で最終週の中山の馬場は望むところ。ポディションは、展開、枠順次第で中団から好位と自在。

【サトノダイヤモンド】中団
前走の菊花賞1着は、3番枠から好発を決めるも、グッと手綱を抑えて中団までポディションを下げる。長丁場を考えれば賢明な判断だ。その甲斐あって道中の折り合いは非常にスムーズ。向こう正面でペースが一気に落ちても慌てない。この時に馬込みに包まれない為に、外めにポディションを取っているのは、さすがルメール。勝負どころの三分三厘でも持ったままの痺れる手応え。馬なりで先頭に躍り出ると、左ステッキ2発で突き抜けた。秋緒戦となった前々走の神戸新聞杯は、菊花賞も見据えて折り合いに専念する道中。三分三厘で馬なりのままスーッと先団との差を縮める。直線で一旦は完全に抜け出すも、ソラを使ったのは2着馬に馬体を併せられる。そこからまたひと伸びして競り合いを制した。スパッと切れる脚には欠けるが、大トビで長くいい脚の使えるタイプ。パワータイプでもあるので、最終週の時計の掛る馬場は大歓迎。あとは小回りコーナー6回の中山コースで、コーナーで加速できるかどうか。

【サウンズオブアース】 好位
前走のジャパンC2着は、好発を決めスーッと先団へ。ひと叩きしてよほど体調が良いのだろう。その前の京都大賞典などは発馬でなかなか行き脚がつかず、押して掛るチグハグな競馬だった。ペースの落ち着いた2角からは中団の外めで落ち着く。道中の折り合いはピタリ。直線で馬場のいい大外へ持ち出す。ジワジワと長くいい脚を使い追い込むも、勝ち馬も速い脚を使った分、最後は同じ脚色になった。発馬を決めて、テンに手綱を動かすことがなかったのは良かった。勝負どころで少しズブいのと、使える脚が短い分、勝ち切れない。中間は坂路主体で、疲れを取るのに専念。上積みは望めない。小回りの中山で一瞬の脚を使える点は魅力だが、ズブい分、三分三厘でゴチャつくと痛い。前の有力どころが早めに動いてくれるのは歓迎だ。

【シュヴァルグラン】 差し
前走のジャパンC3着は、大外17番枠から慎重に1角へ。無理にポディションを取りに行くことなく、後方の外めを追走する。道中の折り合いはスムーズ。直線は大外へ。ハミを掛け直されても、ズブさを見せて反応は鈍い。鞍上のステッキに応え、一完歩毎に粘り強く伸びる。残り100㍍からグーンと伸びて2着馬に迫った。緩急のある流れでズブさは見せたが、長くいい脚は使えた。最後は2着馬を凌ぐ脚色だった。少しズブい分、勝負どころからスムーズに加速できるかがポイント。そうすれば、長くいい脚を使うことができる。

【ゴールドアクター】 3番手
前走のジャパンC5着は、8㌔増。下見どころから発汗が目立ち、チャカついていた。レースではスッと3番手に取り付くもキタサンに無理に競りかけることはない。この辺りは太め残りで無理できない事が影響している。道中はインでジッと我慢。直線を向き、ステッキが入るも、ジリ脚で伸び切れなかった。1週前にビシッと長めから追われ、最終追い切りも負荷を掛けたが、絞り切れなかった。本来は昨年の有馬記念のように、スッと先団に取り付き、勝負どころでスッと反応してひと脚使える。絞れれば、もう少しキタサンに対してプレッシャーを掛けられる。この馬の出方が、展開のカギを握るのは間違いない。この中間は、1週前にビシッとやられて496キロまで絞れている。絞れれば、昨年制覇したレースだし、強気に乗ることができる。長くいい脚を使って連覇へ。
 
【デニムアンドルビー】 追い込み
前走の金鯱賞8着は、屈腱炎明けで1年5か月ぶり。レースでは、発馬直後から無理することなく馬任せでポツンと離れた後方2番手からの競馬。スローの上に縦長の展開。自身の3ハロン通過が39秒4とかなり緩い流れ。3、4角でインに潜り込み、馬群に取り付く。一瞬の脚でジリジリと差を縮めたが、ゴール前で前が詰まり手綱を引っ張る大きな不利もあり、8着だった。休養明けとしては及第点の内容だ。道中で急がせると末をなくすが、タメれば一瞬の決め手はGI級。ここは、持久力のある流れが予想され、有力どころは早めに動くだろう。最後の1ハロンで時計が掛れば。アドマイヤモナークの再現を狙う。

【ヤマカツエース】 差し
前走の金鯱賞1着は、大外13番枠から馬任せで1角へ。超スローで馬込みがギュッと縮まった為、1~2角は中団馬群の外めを追走する。縦長になった向こう正面からは、前のサトノノブレスを見ながらの追走。3角手前からサトノが仕掛けても慌てない。ジッと我慢し、直線は大外へ。一瞬の脚を使い、差し切った。前々走の天皇賞15着は長距離輸送で馬体が減り、本調子になかった。しかも、13番枠から好位を取りに行った分、掛ってしまった。スッと好位まで行ける脚があるし、鞍上のゴーサインに対して瞬時に反応できる。最後も一瞬の脚が使える。まさに中山コース向きのタイプ。首を柔らかく使えて、収縮の利いた走りができるタイプ。1週前の動きも絶好だった。絶好調。京都記念の内容を見る限りは、2500メートルは少し長い印象。内枠を引いて、道中ジッと我慢し、一瞬の脚を生かせれば。トゥザグローリーの再現を狙う。

有馬記念(GI)徹底研究!

2015-12-23 21:04:57 | 見解
アルバート
前走のステイヤーズS1着は、長丁場を意識して道中は後方で折り合いに専念する。折り合いに苦しむ他馬をよそにピタリと後方で折り合う。馬込みの中からジワリジワリとポディションを上げて行き、2周目の向こう正面で中団まで押し上げ、3角から手綱をしごいてスパート開始。4角でバテた馬を捌くのに少し苦労したが、大外へ持ち出さないあたりは、さすがは世界のムーア。直線で狭いところを割ってくると、ラスト1ハロンで凄まじい末脚。一気に5馬身差をつけた。モノが違った。折り合いに不安がなく、鞍上の意のままに動けるのが最大の利点。追えば、急に回転の速いフットワークになり、グーンと加速できる。キャリアの浅い4歳馬だけに伸びしろも十分。ここは先行脚質が揃い、早仕掛けが予想される。そこを大外から回転の速いフットワークで差し切れるか。3600㍍を走り切ったあとの一戦だけに、状態が鍵を握る。

キタサンブラック
前走の菊花賞で待望のクラシック制覇。4番枠から少し気合いを付けてポディションを取りに行く。4角の下り坂で外の2頭がハナを主張した為、無理せずにその後は好位のインで我慢させる。折り合いは完璧で、インをロスなく立ち回れた。とにかく慌てない道中。向こう正面で一気に流れが速くなってもジッと我慢。4角では中団までポディションを下げる。4角でインに潜り込むことを決意し、直線は馬群がバラけたところでインを突く。我慢させた分、一瞬の脚でグーンとひと伸び。2着馬の猛追を凌ぎ戴冠。スッと前に行ける脚があるし、早め先頭で押し切れる息の長い末脚が武器。スタミナは十分。上がりの速い競馬になりにくい中山コース向きのタイプ。ここは、前に有力馬が揃った。仕掛けどころがポイントになるだろう。

ゴールドアクター
前走のアルゼンチン共和国杯1着は、15番枠から好発を決めてスッと先行策。前の有力馬メイショウカドマツを見ながら折り合いに専念する。折り合いはスムーズで至極順調の道中。馬場の悪い内目を避けて4角から直線は大外へ持ち出す。直線を向き、なかなか2着馬を捉え切れない。一完歩毎にジワリジワリ詰め寄ってゴール前で差し切った。スパッとは切れないが、長くいい脚を使えるタイプ。折り合いに不安はなく、スッと先行できる脚力もある。中山向きの脚質。中間の動きは絶好。一戦毎に成長している。

サウンズオブアース
前走のジャパンC5着は、好発を決めてスーッと先団を窺う。しかし、1角で左右から挟まれて頭を上げる大きな不利があった。その後は無理せずに前のラブリーデイを見ながら中団の外めを追走。3、4角で外のゴールドシップが捲ってきて早めに動く展開。直線で大外へ持ち出しジリジリと伸びてきているが、最後は脚色一杯だった。大トビでスパッと切れる脚はないが、長くいい脚を使うタイプ。上がりを要す中山向きである。心配なのは強くのデムーロがテンからポディションを取りに行かないかどうか。ステイヤー気質だけにテンはじっくり我慢して3角から早めにスパートする競馬が合っている。

マリアライト
430㌔台の小柄で身のこなしの柔らかいタイプ。前走のエリザベス女王杯1着は、馬体を10㌔絞り勝負レースだった。12番枠から馬なりで中団を追走。身のこなしの柔らかいフットワークで折り合いもスムーズ。逃げ馬が飛ばす縦長の展開で3番手以下はスロー。雨が残り、緩い馬場の外めを避ける道中。直線を向くとグーンと加速。残り1ハロンから先頭に立つとそのまま押し切った。時計、上がりの速い競馬よりは、上がり、時計の掛る展開を長く脚を使って差すタイプ。馬場が渋れば急浮上する。今回は有力どころに先行脚質が揃い、早仕掛けが予想される。上がりを要すれば差し切りもある。

ラストインパクト
前走のジャパンC2着は、6番枠から好発を決める。手綱をしごき気味に後方のインに潜り込む。終始、インを立ち回るロスのない競馬。さすがは世界のムーア。首をしなやかに使い、収縮の利いた走りでまったく力みのない道中。流れが極端に緩んだ3、4角でも慌てない。直線を向き、ダービーフィズが外へ膨れたところを見逃さず迷わずインへ突っ込む。坂下から一気にスパートをすると、インからグイグイと末脚を伸ばす。一旦は先頭に立ったが、ゴール前で垂れたところを勝ち馬に差されてしまった。一瞬の脚は示せたし、最高の騎乗をした。前々走の天皇賞12着は、好発を決めると馬任せで中団から。2角にと通入したところで寄れてラチに接触するアクシデントもあった。その後は折り合いスムーズに中団馬群を追走。3,4角では痺れる手応えのままポディションを押し上げる。直線を向き進路を窺うも鞍上に迷いが生じる。坂上でインを突くも、前のディサファイアがふらつき、満足に追えない。ラスト1ハロンを切りようやく追い出しを開始したが、時既に遅し。昨年の有馬記念は7着。道中は中団のインロスなく立ち回り、直線も馬込みから抜け出そうとするも、進路がない。坂上でようやくスパートを開始させて猛追するも、脚を余した。折り合いに不安のないタイプで、一瞬の脚は中山向きだ。折り合いに不安がないから、ある程度出して行っても掛らないのは強み。あとは菱田が馬込みを捌けるかどうか。

ラブリーデイ
前走のジャパンC3着は、2ハロン目から締まった一貫した流れ。それを好発を決めて好位のイン追走。1角での2番手グループのゴチャつきはうまく回避できた。向こう正面を向くと、包まれるのを嫌ってか外めへポディションを変更。終始、折り合いはスムーズで理想的な追走姿。しかし、誤算は4角で捲ったゴールドシップ、サウンズオブアースらに被されてワンテンポ早仕掛けになった点と、厳しい流れで前の馬が予想以上に脱落し早め先頭に立たされた点。最後苦しくなった所を差されてしまった。ピッチ走法で2,400㍍向きのタイプでもなかった。前々走の天皇賞1着は、8番枠から好発を決めてスーッとはなを奪うかの勢い。2ハロン目からクラレント、エイシンヒカリがハナを主張した為に3番手に控える。流れが緩いこともあって少し掛り気味の道中。終始、抑えるのに苦労するほどの行きっぷり。前のエイシンヒカリを射程圏内に捕える4角。直線を向くとスムーズに馬場の3分どころに出す。馬なりで後ろを振り返る余裕がある絶好の手応えで先頭に立つと。一気にスパート開始。少し先頭に立つのは早い気もしたが、何とか押し切った。この馬の良さはトモの蹴りが強くスッと馬なりでポディションを取れる点だ。そして、終いも一瞬の脚が使える点。今回は更に距離は伸びるが、中山2500㍍ならごまかせるし、一瞬の脚を生かすには絶好の舞台だ。あとはデキをどこまで維持できているか。今回は前のリアファルを意識することになるだろう。早めに捕えに行く横綱相撲が有力。

リアファル
前走の菊花賞3着は、17番枠から少し出して行く。18番枠のスピリッツミノルがしごいてハナを主張したのと下り坂で少し掛り込み。最初の1,000㍍はかなりきつい流れになった。正面スタンド前で平静を取り戻すも、流れが緩んだ外から一気に被されてペースアップ。出入りの激しい競馬になってしまった。しかし、ここで慌てないのが名手ルメール。インでじっと我慢させ、脚をタメる。直線を向き、一旦は先頭に立つもゴール前で捕まってしまった。前々走の神戸新聞杯1着は、外のティルナノーグとのハナ争いを制してハナを奪う。1角からは一人旅。大トビでまったく力みのない道中。残り4ハロンからギアチェンジすると、長くいい脚を使って逃げ切った。スッとハナへ立てるスピードと、折り合える気性と息の長い末脚。マイペースなら十分に逃げ切りあり得る。ここは先行脚質に有力どころが揃った。早めに来られる可能性は十分。展開が鍵だ。激走の菊花賞後。仕上りもポイントに。

ルージュバック
前走のエリザベス女王杯5着は、中間に一頓挫ありぶっつけ。15番枠から発馬で躓き後方からの競馬。その後は無理に手綱をしごいてポディションを取りに行かなかったのが功を奏して折り合いスムーズな道中。前のヌーヴォレコルトを見ながらじっくり脚をタメ、満を持して直線は大外へ持ち出す。しかし、直線入口で内からスマートレイヤーに張られてトモを滑らせる不利があった。そこでヌーヴォとは差が付いた。それでも一完歩毎にジワジワと末脚を伸ばして差のないところまで追い上げた。休み明けを考えれば十分な内容だ。なかなかスムーズな競馬ができていないが、長くいい脚は使える。フットワークの大きいタイプだけに、広いコース向きのタイプ。コーナー6回の中山2500㍍は競馬がしづらい。中団待機から長くいい脚を生かせれば。前走が出脚がつかずに後方になってしまったので、鞍上が積極策に出ないか心配。

ワンアンドオンリー
ダービー馬復活なるか。前走のジャパンC6着は、3番枠から気合いを付けての先行策。少し掛り気味ではあったが、スムーズな道中。直線を向くと内へモタれて満足に追えない。普通なら馬込みに飲まれる雰囲気ではあったが、左ステッキが入るとまっすぐ伸びてもうひと伸び。前々走の天皇賞16着もそうだが、追われると頭を上げてモタれて満足に追えていない。天皇賞では左ステッキを使用していない為、ズルズルと後退してしまった。スッと前へ行ける脚はあるし、直線でまっすぐ走れれば粘り強い脚が使える。

京都金杯(GⅢ)展望

2015-01-03 19:11:03 | 見解

謹賀新年。今年もどうぞよろしくお願い致します。今年の京都金杯は変則日程。1日は馬場は開かれず、2,3日は雪の影響で満足のいく稽古ができなかった。太め残りは要注意。特に外傷で31日に追えなかったフルーキー、エキストラエンドの影響が心配される。

アクションスター】54
前走の逆瀬川ステークス1着は、3番枠から好発を決めて先団を窺うも、スッと馬任せで2ハロン目から控える。少しハミに頼った走りの道中。35.3-37.3-34.9と中締まりの平均ペースの流れ。3ハロン目から縦長になったが、深追いせずにマイペースの道中。ペースが一気に緩んで馬込みが凝縮した3、4角では馬込みの中で脚を溜める。直線を向くと、1、2番手馬の隙間を狙ってスパートを開始させる。残り300メートル地点で少し狭くなって待たされたが、それほど大きな不利にはならず。坂上で一瞬の脚で突き放して差し切った。前脚の可動域が狭く、手応えほど伸びない印象がある。ゆったり走らせて馬込みで我慢させた方がいいだけに、1ハロン距離短縮と重賞の速い流れに戸惑う可能性あり。内枠を引き、直線でインを突いてどこまで伸びてこられるか。

アズマシャトル】54
前走のチャレンジC4着は、少し手綱をしごいてポディションを取りに行く。内、外の各馬の出方を見ながら好位からの追走。レースは、35.3-35.1-35.5の一貫した平均ペースの厳しい流れ。3、4角でも息を入れられない展開。直線を向き、インを突くが内へモタれて鞍上が思いっきり左手綱を引く。その後も右ステッキと左手綱で修正しながらの追い。それでも、ゴール前まではあわやのシーンを作った。先行馬総崩れの流れで唯一粘ったのは高く評価できる。いいポディションを取れるようになったのはトモが強化されたからだろう。右回りだと内へモタれる癖はあるが、一瞬の脚は魅力的。スッと好位に付けて一瞬の脚で突き抜けられれば。

ウインフルブルーム】55
前走のチャレンジC8着は、トモに重心が掛りそれほど良い発馬ではなかったが、二の脚でスーッと3番手へ。レースは、35.3-35.1-35.5の一貫した平均ペースの流れ。悔やまれるのは3ハロン目の3角に差しかかったところで前に壁を作れず流れに身を任せて溜めを作ることができなかった点。息を入れることができなかった分、直線は見せ場なく失速してしまった。12㌔増で太めも響いたか。大トビでいながら二の脚が速く先行して粘れるタイプ。マイルも対応できるし、開幕週の先行有利の馬場はこの馬には向く。再度、先行して息を入れられれば。

エキストラエンド】57
前走のマイルCS5着は、マイルGI仕様の激流を好発を決めてスーッと後方に控える。終始、インの経済コースを立ち回り勝ち馬の横と絶好の位置からの競馬。ペースが速く馬群がバラけたことでポディショニングが取りやすかった。3、4角もインをぴったりと回りロスがない手綱さばき。直線を向き、逃げ馬がバテてきた為、馬場の5分どころへ出すが、ロスのない出し方。ジリジリと伸びて5着だった。流れが向いて最高の競馬をしての5着。これが実力だろう。急がせるとよくないタイプで、バックストレッチとホームストレートが十分にある京都マイルはぴったり。昨年のこのレースは一瞬の脚で直線を突き抜けた。GⅢのここならしっかりと脚を溜められる。得意の舞台なら当然、主役。

グランデッツァ】575
前走のマイルCS3着は、3番枠から手綱を押してポディションを取りに行く。レースはホウライとミッキーの先行争いで、33.7-23.0-34.8のスプリント並の激流。一切、息を入れることができない流れにもかかわらず、3、4角は馬なりの手応え。4角から直線を向く時も手応えに十分な余裕があった。直線は一瞬の脚でジリジリと抵抗したが、上2頭の末脚に屈した。スパッと切れる脚はないが、ワンペースのスピードの持続力があるタイプ。クラスが落ちて流れが緩んでしまうと力が発揮できないタイプだろう。ここも展開次第でスピードの持続性を生かせれば当然、勝ち負けだ。開幕週のパンパン馬場は絶好の舞台といえる。

シェルビー】56
前走のキャピタルS1着は、4番枠から好発を決めるも、無理にポディションを取りに行かずに馬任せで中団のインまで下げる。これは前走の富士Sで折り合いを欠いた反省からのもの。その甲斐あって道中はスムーズな折り合いを見せてしっかりと脚を溜めることができた。経済コースを立ち回りロスなく捌いて直線へ。馬群がぎっしりと凝縮して中々前が開かないが、脚力があるだけに馬なりでもポディションをキープ。残り1ハロン手前で進路を見出すと、一気にスパート開始。一瞬の脚で突き抜けて差し切った。着差以上に強い内容だった。いくら経済コースを立ち回れたとはいえ、馬なりでポディションをキープできた脚力と一瞬の脚は本物だ。前々走の富士S15着は、大外枠発走で発馬から出して行った分、先行して前に壁を作れず。3、4角で手応えに騙されて気分よく行き過ぎてしまった。騎乗ミスだ。メリハリのある競馬ができれば一瞬の脚はここでも通用する。京都マイルはぴったりの舞台だ。

ショウナンワダチ】54
前走のオーロC5着は、1番枠から手綱をしごいてポディションを取りに行く。終始、好位のインから経済コースを立ち回る。直線を向き、手綱を抑えながら進路を窺う。坂上で馬場の3分どころに進路を見出しスパート開始。だが、そこからの末脚はジリで伸びずバテずの内容だった。消化不良。前々走のポートアイランドS13着は、休み明け。7番枠からソロッとした出だったが、前に壁を作れずに2番手まで押し上げられた。道中は少し力みが見られたし、その分、直線で伸び切れなかった。昨春のNHKマイルC10着は、道中は後方から折り合いに専念する形。折り合いスムーズで直線を向いたが、残り1ハロン手前までびっしりと前が壁になり仕掛けられなかった。そこから内へ切れ込んで猛追したが、時すでに遅し。それでも勝ち馬から0.5秒差なら評価できる。その前のNZT2着は、9番枠から発馬で行き脚がつかずに手綱をしごいて修正を行った。道中は中団まで押し上げられたが、脚を使った感は否めない。しかも、三分三厘で早めに動いて行く正攻法の競馬。直線は逆手前のままで若さも見せた。それでも、勝ち馬と首の上げ下げまで持ち込めたのは評価できる。スパッと切れる脚はないが、ある程度流れてくれれば長く脚を使える。

フルーキー】56
前走のチャレンジC2着は、35.3-35.1-35.5の一貫した締まった流れを11番枠から無理することなく中団からの競馬。道中の折り合いはスムーズ。4角で少しずつ気合いを付けて直線へ。力強く一完歩ずつ伸びたが、勝ち馬の末脚に屈した。一貫した厳しい流れでも末脚を持続できた点は評価できる。まだトモが緩く発馬には不安を残すが、長くいい脚を使えるタイプで当然ここも有力だ。

マイネルメリエンダ】54
前走のキャピタルS5着は5番枠からポンと好発を決める。これはトモがパンとしている証拠だ。だが、外の先行勢を見ながら無理に追い掛けず道中は4,5番手のインに落ち着く。終始、経済コースをロスなく立ち回れたし、折り合いもしっかり。直線は最終週で芝の剥げた最内からジリジリと伸びた。勝ち馬からは僅か0.2秒差だし、及第点の内容。前々走の秋風S1着は、13番枠から好発を決めて内の出方を見ながらスーッと3番手の外めからの追走。縦長の淀みない流れだが、無理に追い掛けず自身のペースを保つ。流れが落ち着いた3、4角で前との差を自然と詰める。直線は早めに先頭に出される形となり辛かったが、渋太く粘って押し切った。トモの蹴りが強く、スッと先手を取れるのは大きな強み。背中が柔らかく、首をしなやかに使える為に収縮の利いた走りができる。一瞬の脚も使えるタイプ。開幕週のパンパン馬場はこの馬向き。2番枠も最高だ。一発ある。

有馬記念(GI)スペシャル!

2014-12-27 21:33:46 | 見解
1枠1番トーセンラー
引退レース。京都の下り坂を利してスパッと末脚を生かすタイプ。前走のマイルC4着はさすがに時計が速過ぎた。コーナー6回の中山コースが向くタイプとは思えないが、良馬場で競馬ができるのは何よりだろう。タフなレースは昨春の天皇賞2着で克服できている。強く脚を叩きつけられる硬い馬場なら、どんな展開でも力は出せる。無欲の一発を狙う。

1枠2番ヴィルシーナ
前走のエリザベス女王杯11着は、一頓挫明けで万全のデキではなかった。その分、レースでも積極的に運べなかった。ここは何が何でもハナを奪う。単騎逃げは確実だが、有力どころが早めスパートを仕掛けてくる可能性が高い。楽なペースは望めそうにない。

2枠3番ワンアンドオンリー
前走のジャパンC7着は、10番枠からスッと好発を決めると、1角手前で中団のインに潜り込む。今秋はカリカリしている面があり、この日も行きたがる素振りを見せて少し力みながらの追走。そして致命的だったのは3角で故障馬の煽りを受けて外へ膨れてしまったことだ。このロスは相当あった。前々走の菊花賞9着は、レース前からカリカリして発汗が目立っていた。レースでも外枠から内へ潜り込めず、終始、外々を通らされて前に壁を作れずモロに掛ってしまった。最初の4角の下り坂で勝負が決したと言ってもよかった。利気味は1角以降も抜けなかったし、4角の下り坂から外めを通って早めに動く横綱相撲。これでは持つはずもなかった。弥生賞、皐月賞当時はトモが付いていけずに最後方からの競馬が続いていたトモがパンとしたダービー時からポディションを取れるようになったが、今秋はそれが仇になっている。発馬からグッと行きたがるのを我慢させて、後方で控えるべきだ。弥生賞、皐月賞当時は、3分3厘でズブかったが、パンとした今ならスーッとマクッて直線で強烈な脚が使えるはず。距離は少し長い印象はある。

2枠4番ジェンティルドンナ
前走のジャパンC4着は、3番枠から馬なりで好位のインに取り付く。馬なりでポディションを取れるのは、トモの蹴りが強いからこそだ。道中は行きたがるのをなだめながらの道中。ムーアとの相性は抜群で、スムーズに折り合えていた。折り合いに慎重になった分、3、4角で一瞬流れが落ち着いたところで前との差が広がったのは痛かった。直線を向き、エピファネイアの直後まで迫ってスパートを開始させるも、そこから伸びずバテずでジリ脚だった。雨上がりの滑る馬場も影響したか。スッとポディションを取れる脚力と一瞬の末脚が武器だ。大トビでパンパンの良馬場が必須。その意味では最終週でも、馬場状態が保たれている今の中山は歓迎だ。ここも好位のインでひたすら我慢だ。ここが引退レース。この中間は少し稽古が手緩い印象がある。

3枠5番ラキシス
前走のエリザベス女王杯で悲願のGI初制覇。道中は12秒台後半の緩いラップが続くスローの流れを中団のインから追走する。終始、インの経済コースを立ち回るロスのない立ち回り。前のヌーヴォレコルトをマークする絶好の位置からの追走。直線を向き、馬3頭分外めへ持ち出す。トビが大きい分、ヌーヴォレコルトに差を広げられたが、一完歩ずつ確実に差を広げてゴール前できっちりと差し切った。経済コースをうまく立ち回った鞍上の騎乗が光った。トビが大きく、エンジンの掛りの遅いタイプ。小回り中山コースが向くとは思えない。前走も牝馬限定でコースロスなく立ち回れたのが大きかった。ここでは見劣りする。

3枠6番トゥザワールド
好位のインで我慢させて一発を狙う。スピードの持続力と一瞬の脚が武器である。スッと馬なりでポディションを取れるし、3分3厘の仕掛けてからの反応は抜群。まさに中山向きの脚質といえるイスラボニータに差された皐月賞は、17番枠から1角までポディションを取りたい心理が働き、出して行った分で掛ってしまった。その前の弥生賞にしても、3分3厘で馬なりのまま先頭を奪ったが、仕掛けが早かったのも事実。手応えに酔って早めに動いてしまうケースが見受けられたが、本来は好位のインで前に壁を作って一瞬の脚を生かしてもらいたいところ。ここは6番枠を引き、ビュイックがどこまで我慢されられるか。それにより、坂上で抜け出せる可能性は十分だ。デキは絶好。

4枠7番ラストインパクト
前走の金鯱賞1着は、中締まりの一貫した厳しい流れを4番枠から馬なりで中団のインに取り付く。エアソミュールを見ながらインの経済コースを立ち回る。背中を柔らかく使った収縮の利いた走りで末脚をタメる。3分3厘でサトノノブレスが仕掛けに行っても慌てない。ジッと我慢させて直線はスムーズに大外へ。これは脚力が残っているからこそスムーズにポディションが取れる。坂下で右手前に替えると、一歩早めに抜け出したサトノノブレスをゴール前できっちりと差し切った。前々走の京都大賞典1着は、馬なりでポディションを窺い、向こう正面入口で3番手に付ける。向こう正面でトゥザグローリーが飛ばして縦長の展開になるが、無理に追い掛けることなくジッと我慢させる。直線を向き、満を持してスパートを開始させると、一完歩毎にジワジワと詰め寄る。2着馬もかなり渋太かったが、何とかゴール前で差し切った。前脚の可動域が広くなり、決め手が強化されている。これでトモがパンとすれば凄い馬になる。ここも前走同様に仕掛けをワンテンポ遅れさせれば、一発あっておかしくない。

4枠8番メイショウマンボ
攻めでは集中力満点で鋭い動きをしているが、レースへ行くとどうしても突っ張った走りで集中力を感じない。ここも相手が強い。

5枠9番ウインバリアシオン
昨年の2着馬。宝塚記念時に屈腱炎を発症。前走の金鯱賞は手加減しながら走っていた。ひと叩きしてどこまで変われるか。

5枠10番フェノーメノ
前走のジャパンC8着は、16番枠発走。好発を決めて馬なりでポディションを窺う。コーナーワークの差で自然と中団後ろまで下がる。折り合い重視の道中。直線を向き、ハミを掛け直されるも、ジリジリとしか伸びず物足りない走りだった。2着馬とは小差。じっくり構えて長くいい脚を生かすタイプ。ジャパンCは少し時計が速過ぎた。ここも上がりの掛る持久力戦になればチャンスはあるか。昨春の同じ舞台だった日経賞が残り6ハロンからペースアップする本番に似た流れを長く脚を使って押し切っている。デキには不満を残すも、流れは向きそうだ。


6枠11番サトノノブレス
ワンペースのタイプ。スパッと切れる脚はないが、スッと先行して正攻法の競馬で押し切るタイプ。その意味では中山2,500㍍向きの脚質といえる。前走の金鯱賞2着は、中締まりの厳しい流れを中団外めからの追走で4角で早めに動く。直線で早めに先頭に立つも、ワンテンポ仕掛けを遅らせた勝ち馬に差されてしまった。陣営は控える競馬も示唆しているが、これは吉と出るかもしれない。2角まで我慢させて向こう正面から動いて行くステイヤーの走りをすれば一発ある。

6枠12番デニムアンドルビー
前走のジャパンC11着は、ひと叩きしてデキは絶好だった。しかし、レースでは発馬からずっと行き脚がつかずに最後方からの競馬。縦長の一貫した流れになった為、向こう正面では先頭からかなりの差を広げられてしまった。これでは、勝負にならなかった。前脚の出が硬く、ゴトゴトしていた。攻め馬を強くやり過ぎて硬くなっていたのではないか。残念だった。スローの瞬発力勝負の流れをじっくり構えて末脚を生かすタイプ。東京コース向きであることは間違いない。ここは残り6ハロンからのタフな流れが予想され、この馬向きの流れにはなりそうにない。


7枠13番エピファネイア
前走のジャパンC1着は、本格化を告げる圧勝劇だった。ひと叩きして落ち着きを増した中間。レースでは4番枠からスッと好発を決めると、馬なりで先団へ。1角からは行きたがるのを鞍上が懸命になだめる。雨上がりの良馬場に加えて、12秒前後のラップが続く一貫した厳しい流れでも行きたがる脚力。凄まじいものだ。流れが一瞬落ち着いた4角は引っ張り切りの凄い手応え。ダービー時のウオッカを彷彿とさせるもの。直線を向き、馬なりのまま先頭に立つと、坂上の残り2ハロンからスパート開始。グーンと凄まじい脚力で後続を突き放す。11秒5-11秒8でまとめてしまった。最後は流す余裕があった。強すぎる内容だった。前々走の天皇賞・秋6着は、休み明けで中間は発汗が目立っていた。レース当日もチャカチャカしていた。レースでは5番枠からフワッとした発馬で行き脚がつかない。二の脚でポディションを取りに行くも、直後のコーナーに入ると頭を上げてモロに掛ってしまう。馬込みに揉まれてガツンと掛ってしまう。直線でスムーズに馬場の3分どころへ持ち出せたが、ジリジリとしか伸びず。ゴール前は脚が止まってしまった。あれだけ掛れば仕方ない。大トビで不器用。コーナーが苦手で必ずと言っていいほど掛ってしまう。今回の中山2500㍍は発馬直後に下り坂とコーナーが待っている外枠ということで乗りにくいのは間違いない。ジョッキー心理としては前走と同じくスッと先行したいところだが、出して行くと掛ってしまうというジレンマ。馬込みに入れない気性だけに、外を回らされるのは間違いない。能力は1枚も2枚も上だが、掛かる上に外を回らされては、隙はある。

7枠14番ゴールドシップ
言わずと知れたグランプリ3勝馬。花道を飾れるか。時計を要する持久力戦で無類の強さを発揮する。スパッと切れないし、時計勝負では伸びない。暮れの中山2,500㍍の舞台設定はこの馬のためにある。14番枠を引き、岩田騎乗。発馬後の行き脚はつかないが、直後の下り坂と正面スタンド前を利用して積極的に前へ行くことが予想される。積極果敢なのはいいが、それが仇となる可能性も考えないといけない。理想は後方待機から3角から捲るステイヤーの走りだろう。エピファを強く意識するあまり、自身がタフなレースを強いられる。直線で攻め馬は動いたとはいえ、休み明けは間違いないところ。


8枠15番ジャスタウェイ
前走のジャパンC2着は、海外遠征明けで仕上がり途上のなかでの一戦。万全のデキではなかった。レースでは1番枠から好発を決めて少し外めにポディションを動かしながら、スーッと中団へ。前のジェンティルドンナを見ながら折り合い重視の道中。非常に収縮の利いた走りで脚を溜める。向こう正面では少しノメるようなところも見られたが、至極順調。悔やまれるのは、マークしていたのが折り合い重視のジェンティルだった点だ。前のエピファはノーマークだった。脚が残っているだけに直線入口でスムーズに馬場の外めへ持ち出す。そこからはジワジワ伸びて2着を確保した。仕上り途上の中で善戦したと言えるが、最後は脚が止まっていたのも事実。昨秋の天皇賞圧勝に見られるように、ベストは1,800~2,000㍍であるのは間違いない。じっくり構えて末脚を生かすタイプ。中山コースは今冬にポディションを取りに行って快勝した中山記念で実績がある。しかし、今回は2,500㍍だし、外枠もあって積極的にはいかないだろう。折り合い重視の道中になるのではないか。


8枠16番オーシャンブルー
アテにならないタイプ。一昨年の2着馬ではあるが、ひと叩きしてデキは上向いているが、大外枠を引き、道中の位置取りが難しい。最後方へ控えて一発を狙う。

天皇賞・春(GI)徹底研究!

2012-04-23 22:49:32 | 見解
クレスコグランド
前走の大阪ハンブルグC3着は、ダービー以来の実践。道中は縦長の締まった流れを無理することなく後方から折り合いに専念する。元々が折り合いに不安のタイプで、道中は至極順調に運ぶ。3角から外めを通って進出を開始させ、一気に中団までポディションを押し上げる。直線を向く、一完歩ごとに力強い伸び脚を見せるが、坂上で苦しくなり手前を替えてモタれてしまった。久々で仕上り途上のうえ力の要る阪神の馬場で底力勝負の流れ。それでも見せ場を作ったのは高く評価できる。6番枠から手綱をしごいて行くも、ハミを取らずに後方からの競馬になってしまう。前々走で道悪の2400㍍を勝っているが、この時も道中で全くハミを取っていない。実は道悪は下手なのである。向こう正面でも手綱は動き通し。鞍上はずっとハミを取らせようと手綱をシェイクさせるが、なかなか反応がない。ズブさを見せまくっていたが、最後まで粘り強く差してきた。良馬場なら勝負どころでハミを取れるし、グンと重心を沈めたフットワークから長くいい脚を使うことができる。勝負どころの下り坂を利してロングスパートできる淀の外回りは歓迎。スタミナは満点ブックのフォトパドックを見ると、昨春とは見違えるほどトモの肉付きが良くなっている。もの凄いトモが発達している。


オルフェーヴル
怪物が淀の2度の坂越えでどんな競馬を見せてくれるのか。前走の阪神大賞典2着は、前哨戦とあって万全の仕上げではなかったが、それでも直前の坂路では絶好の動きを見せた。間隔が開いたこともあってか下見どころからテンションは高かった。大外12番枠発走から好発を決めると、前に壁を作ることができずに3番手へ。本来なら最初の4角で内側に切れ込んで前に壁を作りたかったが、少頭数で行くタイプ不在だったため内に潜り込めない。池添は必死に手綱を引っ張っていたが、ナムラクレセントが外から被せてきた時にガツンとハミを取ってしまう。正面スタンド前では抑え切れずに前へ行ってしまう。1角ではコーナーワークにぎこちなさを見せて外へ膨れてしまう。2角からはナムラクレセントに馬体を併せに行く。向こう正面中盤からは大きく外へ膨れ、左手前のまま3角を迎えたために上手くコーナーを回れずに外へ大きく逸走してしまう。それは故障したかと思うほど。右手前に替えてからはスッと馬群に取り付こうとする。3,4角はいつものオルフェーヴルの脚でグーンと一気に捲る。直線を向き、一旦は単独先頭に躍り出ようとするも、内へ切れ込んで最後は脚が上ってしまった。本来なら競走中止でもおかしくないケース。それを盛り返して勝ち負けまで持ち込むのだから化け物である。凄すぎる。前々走の有馬記念2着は、鞍上の池添との「絆」でグランプリ制覇を飾った。菊花賞以来の実践となったが、この中間は3週続けて坂路でびっしりと追われ好仕上がり。馬体は4㌔減っていたが、下見どころではトモの肉付きがもの凄く、弾力性に富んでいた。一頭だけ造りが違っていた。レースでは発馬でトモに重心は掛り、行き脚はつかず後方からになる。ここで手綱をしごいてポディションを取りに行く選択肢もあったが、直後に少し出して行っただけで1周目の4角では手綱をがっちりと抑える。これはオルフェーヴルの力を信頼する池添との「絆」が成せる業だ。少し行きたがる素振りを見せたものの、正面スタンド前でインに潜り込んで前に壁を作り折り合うことに成功する。1角手前でフラつくローズキングダムと接触するも意に介さない。2角でローズの前に進路を取り、向こう正面入口でルーラーシップの前に進路を移し外めへ持ち出すことに成功する。歴史的超スローペースを考えれば、ここで外めに持ち出せたことは重要なポイントになった。3角から外めを通ってスパートを開始させる。4角では菊花賞同様に重心を沈めた推進力に富んだ走りでグーンと加速する。直線でスッと左手前に替えるとグングン加速。レースのラップが11秒4-11秒3-11秒3という中山競馬場ではあり得ない上がり勝負になったため、他馬も脚を温存して直線を迎えているため簡単にはバテない。その中でも一頭だけ違う脚色で差し切ってしまった。もの凄い瞬発力だ。ゴール前のVTRを見ると、3着のトゥザグローリーとは頭ひとつ分重心が沈んでいる。後肢の力強い蹴りと首をグッと下げた重心の低いフォーム。これがオルフェーヴルの瞬発力の源になっている。瞬発力、スタミナ、どれをとっても文句なし。凄まじい心肺機能を有する。課題はひとつ。折り合えるかどうかだけ。前走は最初の4角で前に壁を作れなかったのが大きかった最初の4角の下り坂ですべてが決まると言っても良い。是が非でも真ん中より内が欲しいところ。2角までを乗り切れれば視界は明るい。馬込みの中で競馬ができれば3角でもしっかりと手前を替えるはずだ。

ウインバリアシオン
前走の日経新春杯2着は、ネコパンチが大逃げする縦長のレース展開で、2番手以下は団子状態。この流れをスッと最後方に控えて脚をタメる。ステイヤータイプの気性だけに道中の折り合いは完璧。力みのまったくない理想的な走り。向こう正面で少しポディションを上げると、3角から前のルーラーシップを目標に外めを通ってスパートを開始させる。4角でステッキが入り、反応はそれほど良くない。直線で大外へ持ち出すと、頭の高い走法ながら一完歩ごとにジリジリと差して、ルーラーシップは差し切ったが、勝ち馬には届かなかった。道悪でノメッたはいえ、勝負どころの反応はいい頃に比べれば物足りなかった。前々走の京都記念は勝負どころでトモに違和感を覚えてびっしりと追われなかった。3走前のジャパンC5着は、下見どころで例によって落ち着き十分の周回。12番枠から例によって手綱をがっちりと抑えて後方に控える。折り合いが付き、外めを通りながら脚をタメる。3角で流れは緩み、馬群がギュッと凝縮したところで外めを通って一気に捲る。残り900m付近から先頭に並びかけると、4角から11秒2-11秒0と一気にレースのピッチは上がる。坂上で逃げ馬を突き放して単独先頭に躍り出たが、最後はさすがに脚が上がってしまった。3角から一気の脚を使い、さらに4角からは11秒2-11秒0-11秒6(推定33秒8)の脚を使っている。それでいてラスト1ハロンも大きくバテずに粘ったのだから強いのひと言。長く脚を使っている。4走前の菊花賞2着は、下見どころではリラックスした姿で馬体を大きく見せ、デキの良さを窺わせた。レースではトモに力が付いたことで発馬を決めたが、無理することなくスッと控えて最後方に控える。安藤勝の腹を括った騎乗。道中の折り合いは完璧で、大きなフットワークで気持ち良さそうに追走する。3角の上り坂でレースの流れが極端に緩み一気に馬群は凝縮して自然と前とのポディションを縮める。ここでも安藤勝の手綱は持ったまま。4角で馬場の3分どころに進路を求め、初めて手綱が放たれる。直線入口でバテたベルシャザールを捌くのに少し苦労したが、そこからは一完歩毎にグイグイ伸びる。勝ち馬の派手な瞬発力には敵わなかったが、長くいい脚を使って追い込んできた。昨春は裂蹄の影響もあり、トモが緩く重心の高い走りをしていた。それがダービー時の中間からトモがパンとし、首をしなやかに使った推進力に満ち溢れたフォームに激変した。脚長でおっとりとした気性はステイヤー向きで、一瞬の脚力はオルフェーヴルに迫るものを秘める。ただ、一週前追い切りはいい頃に比べるとトモの蹴りに物足りなさを感じる。

トーセンジョーダン
前走の大阪杯3着は、久々の実践で実質速い時計は2本だけ。明らかな本番を見据えた仕上げだった。2番枠から手綱をしごくも、行き脚は鈍い。ようやく2ハロン目から行き脚がつくと、1角からハナを奪う。その後は13秒台の緩いラップを刻み、たっぷりと息を入れる。残り800mから一気にペースを上げると、4角ではズブさを見せて外から被される。直線入口でも反応は悪く、完全に飲み込まれそうになる。完全に負けパターンだったが、そこから鞍上のステッキに応えて一完後ごとに力強く伸びる。大きなフットワークでグイグイと盛り返してきた。持ち味の長くいい脚を見せくれたし、久々を考えれば及第点の内容だ。大トビだけに緩い馬場は避けたかった。前々走の有馬記念5着は、激戦続きのためこの中間は終い重点の攻めに終始。それでも、最終追い切りでは全身を無駄なく使った素晴らしい走りを披露し、疲れの心配は皆無だった。10番枠から好発を決めると、気合いを付けて出して行く。1周目の4角では内の出方を見ながら外めの3番手に取り付く。流れが極端に緩んだ1,2角では口を割って行きたがってしまう。前半に少し出して行った分、余計にスイッチが入ってしまった。向こう正面でブエナビスタがポディションを上げるも気にせずジッと我慢する。3角から手綱をしごいてスパートを開始させる。4角も手綱をしごいて目一杯追われるもズブさを見せる。直線を向いても反応はひと息で、ジリジリと伸びるだけ。ジャパンC,天皇賞で見せた並ばれてからの勝負根性は見られなかった。スパッとは切れないだけに究極の瞬発力勝負になったのは誤算だった。3走前のジャパンC2着は、ウィリアムズが内の出方を見ながら少し気合いを付けながらスーッと先団へ。大きなフットワークで、仕掛けたことでスイッチも入ることなく1角でスッと2番手に取り付く。緩い流れにもかかわらず2角では馬群は縦長に広がる。横一線の瞬発力勝負だけは避けたかっただけに、ウィリアムズの狙いどおり。3角で更に流れが緩んだことで馬群は凝縮しかけたが、ウインバリアシオンが一気に捲ったことでレースは一気にペースアップする。緩急ある流れに戸惑いを見せ、4角ではズブさを見せる。直線入口でも決して手応えは良くはなく、鞍上が懸命にステッキを入れて手綱を動かす。大きなフットワークで一完歩毎にジワジワと伸びる。残り300㍍から単独先頭に躍り出るも、すぐに外からブエナビスタに馬体を併せられる。切れ味では分が悪いだけに万事休したかと思われたが、馬体を併せてから抜群の勝負根性で粘りに粘る。ゴール前で僅かに屈したが、素晴らしい勝負根性だった。瞬発力勝負を避ける意味でスッと先行したウィリアムズの手綱捌きは見事だったし、ジョーダン自身も長くいい脚を使って持ち味を発揮した。3角から一気にペースアップする厳しい競馬でも最後まで粘ったように、底力に溢れた素晴らしい走りだった。4走前の天皇賞1着は、驚愕の日本レコードで初GIのタイトルを手にした。以前は坂路追い中心の攻め過程だったが、この中間は3週続けてコースで意欲的に追われ抜群の動きを披露。生涯最高のデキで大一番を迎えることができた。12番枠から発馬は決めたものの、行き脚は鈍く手綱をしごいて出して行く。1000㍍通過が56秒5の歴史的ハイペースだけに道中も少し気合いを付けながらの追走で、縦長の中団からの追走。ようやく3角から手綱のアクションに余裕が見られるも、4角で馬場の5分どころへ持ち出す。直線は大外へ。四肢を目一杯に伸ばした大きなフットワークでグングン伸びる。ラスト1ハロン過ぎで先頭に躍り出てもフワッとせずに集中して走る。ゴール前で内から2着馬の強襲に遭ったが、バテることなくラスト1ハロン推定11秒7の脚で踏ん張った。底力に優れた素晴らしい末脚だった。大トビで折り合いにまったく不安のないタイプ。むしろズブがあり、3200mは望むところか。リズム良く運び、坂下からロングスパートできれば同僚にひと泡吹かせるか。

ローズキングダム
前走の大阪杯4着は、リフレッシュして14㌔増。昨秋は長距離輸送が続いて一戦ごとに馬体減りしていただけに、好材料だった。レースでは8番枠から馬任せで中団からの競馬。前に壁を作ることは成功したが、行きたがる素振りを見せるのは相変わらずだ。3,4角からの勝負どころでも引っ張り切りのもの凄い手応え。4角では相変わらず内へモタれる。直線で大外へ持ち出すと、内へモタれながらも、鞍上が右ステッキで矯正しながらジリジリと伸びてきた。緩い馬場でも最後まで集中した走りを見せてくれたのは高く評価できる。前々走の有馬記念12着は、8㌔減で馬体はギリギリ。返し馬でテンションが高かったように、精神面でもギリギリだった。加えて歴史的な超スローペースの競馬となり、道中は頭を上げてモロに掛ってしまった。馬格がないタイプで精神的な脆さを抱えるタイプ。秋4戦目で限界だったか。3走のジャパンC9着は、前走で減った馬体が2㌔戻っていたし、落ち着いていた。レースでも馬任せで中団に取り付き、力むことなく道中は折り合っていた。中団馬群のなかを理想的に追走できたし、直線でブエナビスタとトゥザグローリーに寄られて一瞬怯むところはあったが、それにしても伸びなさすぎた。前々走の天皇賞10着は、長距離輸送で8㌔減。少し減り過ぎていた。2角で外からアーネストリーに入られた時に手綱を引っ張り、そこで馬にスイッチが入ってしまったし、左回りで外へモタれていた。直線も外へモタれるのを矯正しながらで伸びなかった。4走前の京都大賞典1着は、中間の攻め馬では完歩の小さい走りで決してデキは良くは見えなかった。加えて59㌔。メンバーに恵まれたとはいえ、不安要素はあった。レースでは7番枠から馬任せでポディションを取りに行く。各馬の出方を見ながら1角からスッと4番手のインに落ち着く。ペースの落ち着いた2角から少し行きたがる面と内へモタれたが、問題ない程度。向こう正面ではスムーズに折り合う。3角の上り坂に差しかかるところで内へモタれる。悪い癖を見せかけたが、鞍上がすぐに修正し4角から直線にかけてはスムーズに加速する。直線は鞍上の右ステッキと体と左手綱で真っすぐ駆け抜ける。首を水平に使い、グーンと加速する。最後は外から詰め寄られたが、着差以上に差を感じさせる切れ味で差し切った。開幕週のパンパン馬場で持ち味の切れ味を存分に発揮できたし、右回りで課題だった内へモタれる点も鞍上の渾身の騎乗でカバーできた。前走で馬体が戻ったのは好材料だし、輸送減りしやすい同馬にとって近距離輸送の京都は歓迎だ。課題は折り合いに付きる。前に壁を作ってどこまで我慢できるのか。走れる精神状態にあるだけに、一発の可能性は秘めている。右回りで内へモタれる点は後藤輝の手腕でカバーできるだろう。


ナムラクレセント
前走の阪神大賞典3着は、馬体を10キロ絞り、走れる態勢は整っていた。発馬では行き脚はつかなかったが、最初の4角でハナを奪う。正面スタンド前からは他馬を引き離す。誤算だったのはオルフェーヴルが掛って競りかけてきたことである。2角からびっしりと馬体を併せられ、ペースアップ。3角でオルフェーヴルが逸走してからは他馬もピッチを上げて競りかけてくる。かなり誤算の多い競馬となったが、最後まで粘りを見せてくれた。昨年のこのレースは3着。発馬で跳び上がる感じとなり、行き脚がつかず。直後に手綱をしごいてポディションを取りに行き、一周目の上り坂で中団のインまで取り付く。だが、元々が行きたがる気性であり、直後には下り坂が待っている。しかも、流れが落ち着いたことで案の定、掛ってしまう。幸い、インに潜り込んだことで前に壁ができていたのは良かった。一向にペースの上がらない流れに業を煮やした鞍上は、2角から向こう正面入口にかけて一気に仕掛けてハナ奪う積極策に打って出る。ここから一気にレースの流れが速くなる。三分三厘の下り坂を利して11秒7-11秒4とペースを上げると、4角で先行各馬が次々と脱落。直線入口では突き抜ける形となる。自身もかなり辛い流れであるのは間違いないが、鞍上の懸命のステッキに応えて粘りに粘る。さすがにラスト1ハロンは12秒8と脚が鈍って差されてしまったが、途中で動いた馬総崩れの流れで唯一、掲示板を確保したのは立派。強靭なスタミナを見せてくれた。重心の高い走りで行き脚はひと息だが、途中からでもハナに立って長く脚を使える強靭なスタミナが武器。スパッとは切れないが、自在に動けるのが持ち味。

ヒルノダムール
前走の阪神大賞典4着は、昨年の天皇賞同様に、ナムラクレセントが途中からハナを奪う入替りの激しい競馬。同馬は後方のインでジッと我慢し、道中は折り合いに専念する。乗り手に従順なだけにピタリと折り合う。オルフェーヴルが逸走した3角からレースの流れは一気に速くなり、同馬も外めへ持ち出してスパートを開始させる。直線を向き、力に勝るオルフェーヴルに進路をカットされて手綱を引っ張る大きなロスがあり、最後は脚が上ってしまった。まともなら3着はあっただろう。前々走の京都記念3着は、久々を叩いて16キロ馬体を戻してきた。大外枠発走から馬任せ。1角から内に潜り込むことができず、道中はずっと外めを通らされた。最後方でジッと我慢し、仕掛けたのは4角から。直線入口で一旦は2着馬に馬体を併せ、ラスト1ハロンまでは競りかける。だが、そこから苦しくなって手前を替えてしまい、頭が高くなってしまった。58キロを背負っていた分もあるだろうが、物足りない内容。3走前の有馬記念6着は、久々で乗り込みは入念だったが、馬体を戻しながらの調整で466キロ。ベストより少し細かった。下見どころでは少し気負っていた。3番枠から好発を決め道中は後方のインからの追走。歴史的な超スローペースでも道中の折り合いは完璧。前を行くブエナビスタを徹底マークする。だが、マークしていたブエナビスタが3角でまさかのズブさを見せる。ヒルノ自身もここで手綱をしごいてスパートを開始させるも、馬込みに包まれて動くに動けない。直線を向いても捌きに苦労し手綱を押しては引く形。ゴチャついたままゴール版を迎えてしまった。勿体ないレースとなった。昨春の天皇賞・春1着は、中間はレコード駆けの反動を見せることなく1週前に7ハロンから意欲的に追われ、最終追い切りは坂路で抜群の動きを見せ、デキは最高潮だった。レースでは2番枠からスーッと好発を決め、馬任せで先団へ。直後に迎えた下り坂を慎重に運ぶ。一つ目の難関をクリアすると、その後は好位のインで脚をタメる。正面スタンド前から入れ替わりの激しい流れになるも、気にせずヒルノのリズムを第一に考えて自然とポディションを下げる。ここでの判断が最後に勝利を大きく引き寄せることになった。経済コースをぴったりと立ち回り、3角手前で少し気合いを付けてポディションを上げるも、一気には行かせず再び手綱を抑える。3,4角の下り坂で仕掛けたくなるところだが、手綱はジッと持ったまま。4角で満を持してスパートすると直線は馬込みを割って抜け出す。バテた先行馬を交わしたところで2着馬に猛追されるが、そこで右手前に替えてもうひと踏ん張り。ゴール前で馬体を併せられたが、そこから粘りに粘って押し切った。凄い勝負根性だ。馬の力も素晴らしいが、鞍上のペース判断が素晴らしかった。一番の武器は折り合いに不安のない点だ。どんな入替りの激しい流れになろうと、乗り手に従順。これは長距離戦において強みになる。タメれば一瞬の脚は使える。中間はシャドーロールを着用し、集中力を増す工夫をされている。

マイネルキッツ
前走の日経賞9着は、道中は無理することなくスッと後方のインに控える。歴戦の古馬だけに道中はピタリと折り合う。レースの流れが一気に速くなった向こう正面終盤からズブさを見せる。反応が鈍い分、勝負どころから進路を選択する余裕はなく、馬場の荒れたインを通らされる。直線も伸びずバテずで見せ場を作れなかった。前々走のダイヤモンドS10着は、休み明けで一頓挫明け。仕上りはひと息だった。レースでは、テンは無理することなく後方から折り合いに専念する。向こう正面中盤から外めを通ってジワッと進出を開始する。4角まではいい手応えで運べたものの、直線入口での反応が鈍く馬群に沈んだ。3走前のステイヤーズS1着は、鞍上の三浦皇成がステイヤーの特性を生かすお手本のような騎乗をした。テンか後方でじっくりと構えて末脚を温存させ、勝負どころから早めに動いてロングスパートで押し切るマイネルキッツの良さをすべて出した走りだった。昨年のこのレースは残念な騎乗だったし、レースを乱してしまった。発馬でそれほど行き脚がつかず手綱をしごいて中団に取り付く。直後に迎えた下り坂で若干、気負った走り。最初の4角では前のトゥザの直後までポディションを上げる。歴史的な超スローであるため、普段は掛り癖のない同馬でも行きたがってしまう。更に前のトゥザもモロに掛ってしまったことで、2角でハナを奪う予想外の展開。これに応戦し、キッツも3番手までポディションを上げるが、かなり気負った走り。2角から向こう正面にかけて折り合いに専念したいトゥザがハナに立ったことで更にペースが落ちる。それに業を煮やしたナムラがハナを奪い、更にはローズキングダムも外から被せてくる。これに反応した松岡が手綱をしごいてポディションを上げたことで完全に馬のリズムが崩れてしまった。長距離戦でこれだけ手綱をしごいたり引っ張ったりしては力を発揮できないのは当然だ。4角で早くも手応えが怪しくなり、直線は伸び切れなかった。それでも、大きくバテずに最後まで走り切ったのは、さすがだった。叩き良化型だが、ここ2走は見せ場すら作れていない。昨冬の鼻出血の影響が少なからずあるか。距離は延びれば延びるほどいいタイプ。テンにじっくりと構えて3角からロングスパートができれば勝機はある。あとは、どこまでデキが戻っているか。

ケイアイドウソジン
前走の日経賞7着は、手綱をしごいてハナを取りに行くも、前走で3400mを使っていることもあって2番手が精一杯。道中は離れた2番手から追走する。向こう正面から手綱が動き、レースの流れが一気に速くなった3角からはスブさを見せて馬群に飲み込まれそうになるが、そこから粘り腰を見せてくれた。着順ほど負けていない。前々走のダイヤモンドS1着は、スーッと楽な手応えでハナを奪う。2番手のスマートロビンが折り合いに不安を抱えるタイプのため無理な競り合いはない。1周目の正面スタンド前までは13秒前後のラップを刻み、1角からは13秒台後半のラップを刻む。流れを緩めたにもかかわらず、2角からは後続を引き離す形に。3角までたっぷりと息を入れる。残り1000mからペースを上げると、4角手前から後続に一気に詰め寄られる。それでも、脚色に余裕があるため11秒4-11秒2-11秒5と二の脚で後続を突き放す。最後は2着馬に迫られたが、12秒5でしっかりと踏ん張り逃げ切った。折り合いに不安のないタイプで。スタミナは豊富。前走からの距離延長は歓迎だし、鞍上には追える川田。ここも同型の出方が鍵を握るが、単騎でスイスイ良ければ面白い存在に。

ギュスターヴクライ
前走の阪神大賞典1番枠から気合いを付けて好位を取りに行く。これは大人しい気性だからこそできるもの。急がせても掛ることなく好位のインでしっかりと折り合う。1角からは馬任せで無理をさせずにポディションを落とす。3角手前から進出を開始させるも、4角で前が壁になったために一旦我慢する。これが功を奏した。直線で追い出しを開始すると粘り強い脚で突き抜ける。一旦は怪物に並ばれたが、そこから粘り腰で振り切った。まったく折り合いに不安のないタイプで鞍上もロスなく上手く立ち回った。前々走は中1週のためテンションが高くて行きたがる素振りを見せたが、本来は折り合いに不安のないタイプで長くいい脚を使える。正直、前走はロスなく立ち回れた恩恵は大きく、一線級相手ではまだ力の差はあるか。激戦続きだが、1週前は併せ馬でグイッと先着して集中力のある走りを見せてくれた。

ジャガーメイル
前走の阪神大賞典5着は、珍しくテンから気合いを付けて出していく。これは有馬記念で消極的な騎乗で脚を余した反省を生かしてのもの。久々に掛るくらいの行きっぷりを見せてくれた。三分三厘で早めに先頭に並びかける正攻法の競馬。直線は馬場に脚を取られて失速してしまったが、久々を考えれば申し分ない内容だ。前走の行きっぷりなら年齢的な衰えを心配する必要はない。この中間は1週前に長めから意欲的に追われ、既に速い時計を2本消化。攻め馬を強化されている。前走の積極的な競馬が本番に必ず繋がるだろう。

皐月賞(GI)徹底研究!

2012-04-15 11:36:57 | 見解

ワールドエース
前走の若葉S1着は、中5週とゆったりしたローテで攻めもそれほどビシビシやられていない中で8キロ減。これは皐月賞へ向けて嫌な材料だ。発馬で行き脚がつかず道中は後方からの競馬。ハミをグッと噛みグンと重心を沈めたフットワーク。気を許せばガツンと掛ってしまうため、下手には仕掛けられない。向こう正面でも折り合いに四苦八苦。3,4角は外めを回って仕掛けるが、反応は鈍い。直線で大外へ持ち出すとスッと左手前に替えて急追する。道悪の前残りの競馬のため、2着馬も簡単にはバテない。坂上でエンジンが掛るとグーンと凄まじい伸び脚で一気に差し切ってしまった。ゴール前は首をしなやかに使った素晴らしい瞬発力を見せてくれた。前々走のきさらぎ賞1着は、フワッとした発馬で道中は後方からの追走。グッとハミを噛んだ走りで道中は下手に動けない。レースではなく、己の戦いとの道中。4角の下り坂からジワッと外めを通って進出を開始する。直線入口で右ステッキが入ると外へ膨れるところを見せたが、立て直すと父を彷彿とさせる大きなフットワークでグーンと加速。一気に先頭に躍り出ると、ラスト1ハロンも11秒1とまったく末脚が鈍ることなく差し切った。父を彷彿とさせる大きなフットワークが武器で、決め手はNo.1。まだ、前半に脚を使わされるレースは未経験で、ハミを噛む面があるので道中で下手には動けない。小回りフルゲートの中山2000mでは、これは大きなハンデになる。パンパンの良馬場でこそのタイプだけに馬場が渋るのも歓迎とはいえない。一戦ごとに馬体減りしているだけに初の長距離輸送も課題。3角から外めを通ってグランテッツァを目標に動くか。

ディープブリランテ
前走のスプリングS2着は、はひと叩きして8キロ馬体を絞ってきた。好発を決めて最初の50mは理想的に運べたが、ゴール版を過ぎてからはガツンと掛ってしまう。ここで岩田は手綱をグッと絞って控える。1角から向こう正面まではずっと行きたがる。前走よりは抑えは利いたが、ここでかなりの体力を消耗する。それでも余力を残しているため4角で馬場のいい大外へ持ち出す。ここで勝ち馬に馬体を併せられたが、直線を向くと一瞬の脚で一気に後続を引き離す。だが、坂上で脚色が鈍るとゴール前で差されてしまった。依然として折り合い面の課題は解消されていない。掛って体力を消耗しながらも4角では一瞬の脚を見せてくれた。前々走の共同通信杯2着は、残念な結果となってしまった。2番枠から3,4度手綱をシェイクさせて先手を奪うと、今度は手綱をがっちり抑えてペースを落とす。先行馬不在のメンバー構成なだけに自然とハナに立たされ、前に壁を作れずに掛ってしまう。3角までは行きたがる素振りを見せて力む。4角からハミを取り自然とペースアップすると、直線は大きなフットワークで一旦は後続を突き放す。だが、ラスト1ハロンからテンに掛った代償で脚色は鈍り、勝ち馬にあっさりと差されてしまった。大トビで行きたがる気性で、それほど瞬発力はないタイプと見る。いかにもパワータイプ。行きたがる気性は事前に把握しているのだから、何故発馬後に手綱を押したのか?先行馬不在でスローは必至なだけに、押せば掛るのは分かっている。出して行っているのなら中途半端に抑えず、飛ばして後続になし崩しに脚を使わせる手もあった。折り合いを意識するなら、発馬後に手綱を押すべきではなかったし、意図的に発馬を遅らせる手もできた。岩田の手綱から明確な意思を感じ取ることができなかった。一瞬の脚はグランテッツァを凌ぐものを持つ。行きたがるだけに、我慢してそれを直線で使えるかどうか。前走は4角で被されるのを嫌って早めに動いて直線はノメッて坂上で末が鈍った。スンの詰まった体型だけに1ハロンの距離延長は微妙なところ。この中間は前に馬を置いてメリハリのある攻め馬を消化。折り合い面で進境が期待できる。

グランテッツァ
前々走のスプリングS1着は、暮れのラジオNIKKEI杯以来の実践。中間は攻め量が物足りず6キロ減。これは歓迎できる内容ではなかった。発馬では躓いたゼロスと接触するアクシデントがあった。その後は無理に押すことなく馬任せ。すぐに迎える1角まではかなりの外めを通らされたが、2角からは上手く中団まで控えることに成功した。3角から外めを通ってジワッと進出を開始する。4角では2着馬に馬体を併せに行き、一気に仕掛ける。直線を向き、手前を替えずにモタつく間にライバルに突き放される。坂上で左手前に替えてからは一完歩ごとにグイグイ伸びて差し切った。14番枠発走で無理に押してポディションを取りに行くのではなく、焦らずにじっくり乗ったMデムーロの手綱捌きもお見事。まだ、坂を上がってくる時にトモが付いてきていないし、手前を替えるのに時間を要する。それでも差し切るのだから強いのひと言。前々走のラジオNIKKEI杯2歳S3着は、中間に筋肉痛を発症し、2日間馬場入りを休むアクシデントはあった。攻め馬でもトモの送りの甘さが目に付いた。13番枠から前掻きをしてトモに重心が掛り発馬はそれほど良くない。二の脚でスーッと先団へ取り付く。流れの緩んだ1角からは持って行かれ気味に好位の外めに取り付く。もう少し前に壁を作って走りたかったか。3角からは大外からゴールドシップが被せてきたために早めに動く誤算が。直線に入って持ったままの手応えで先頭に立つも、追われてから重心が高く思ったほど伸びなかった。ひと叩きして攻め馬での反応も素軽くなり、上積みは期待できる。前走にしてもまだトモの送りが甘く、走りがバラバラ。それでも、強敵相手に差し切るのだから素質は相当。正攻法で自ら動いて勝負できる底力がある。本格化は先だろうが、楽しみだ。

ゴールドシップ
前走の共同通信杯1着は、3番枠から気合いを付けてポディションを取りに行く。鞍上としてはイン有利の馬場とスロー必至のメンバー構成でディープブリランテが先行している以上、テンから置かれたくはなかった。その甲斐あって4番手のインを取れたものの、出して行っている分だけ行きたがる素振りを見せる。それは許容範囲の程度だったし、ペースアップした4角からはむしろズブさを見せる。坂上で右ステッキが連打されても反応は鈍い。ようやくラスト1ハロンからエンジンが掛るとグングン加速する。ゴール前で左手前に替えてもうひと伸びすると、どこまでも突き抜けそうな手応えを残しながらフィニッシュした。ペースを考えれば、いつもどおり後方に構えていたら間違いなく差し損ねていただろう。鞍上のファインプレーだ。前々走のラジオNIKKEI杯2歳S2着は、道中、スッと後方に控えて脚をタメる形。折り合いはスムーズでジックリと構える。3角の残り800m標識からスパートを開始させ大外を一気に捲る。だが、レースの流れが緩んだいるために馬群はギュッと固まり、馬5頭分外を通らされる。このロスは大きい。4角から追われると頭を上げてズブいところを見せ、内の各馬に差を広げられてしまう。直線でスパッとは切れなかったが、ジワジワと一完歩毎に詰め寄り2着まで差してきた。重心の高い走りでかなりズブい。前走でも内田博がかなり気合いを付けていた。エンジンの掛りが遅いタイプだけに勝負どころで助走できるかがポイントになる。エンジンが掛れば長くいい脚を使うことができる。重心の高い走りだけに依然として発馬には課題が残る。少しでも時計が掛るのは好都合だろう。久々でも動ける態勢に。腕っ節の強い内田博騎乗は心強い限り。

アダムスピーク
前走の弥生賞8着は、馬後から掛って先団へ。1角でも行きたがったため、内田博は前に壁を作って折り合いに専念させる。レースの流れは超スロー。向こう正面で極端に流れが緩んだためにモロに掛る。3,4角でもハミを噛んで力んだいたし、4角ではゴチャついて他馬と接触してバランスを崩す始末。これでは力を発揮できない。久々で気負っていた。前々走のラジオNIKKEI杯2歳S1着は、2番枠から好発を決め、馬任せで先団へ。コーナーワークを利して1角では3番手のインに取り付く。1角から流れが緩んだこともあり、道中は引っ張り切りの手応え。3角から外めを通ってグランテッツァが進出し、4角手前からは大外からゴールドシップが捲りレースは一気に動くも、インでじっくりと我慢する。4角では少しポディションを落とすも、コーナーワークとスッと反応できる脚力ですぐに挽回する。直線でスムーズに馬場の3分どころに持ち出すが、3着馬に締められて前が壁になってしまう。坂下で3着馬が外へ膨れたことで進路を見出すと、一瞬の脚力で一気に抜け出した。内々をロスなく立ち回り、スムーズな誘導をしたルメールの手腕は素晴らしかった。アダム自身もゴーサインにスッと反応する脚力を示した。一瞬の末脚が武器で、スッと好位の取付ける先行力も兼ね備える。一週前追い切りでは桜花賞馬ジェンティルドンナに煽られたが、最終追いでは、ピンナ騎乗で少し気合いを付けただけで併走馬をグーンと突き放した。力みのない大きなフットワークで絶好の動きだった。叩いて激変している。まだキャリア3戦で、揉まれる競馬になった前走はいい勉強会になった。ここも2番枠を引き、スーッと好位のいいところを走れる。土曜日は道悪競馬で外差しの利く馬場になったが、午前中から晴れ間の広がる日曜日は内側も我慢の利く馬場になっているはずだ。石坂厩舎の2週連続GI制覇が見えてきた。

コスモオオゾラ
前走の弥生賞1着は、道中は5番枠からスーッと好位に取り付く。2角から一気に流れは緩んだが、前に壁を作って折り合うことに成功する。3角でも絶好の手応え。勝負どころの4角でも馬込みでジッと我慢させて仕掛けどころを伺う。直線で満を持して追い出しを開始させると、一瞬の脚で抜け出す。坂上で右手前に替えてもうひと伸び。スッと好位に取りつけられる器用さと、時計の掛る馬場で一瞬の脚を生かせたのが大きかった。前々走の共同通信杯5着は、ディープブリランテの作る緩い流れをスーッと3番手の外めに取り付く。いい感じで流れに乗れたが、直線の瞬発力勝負の流れになり、決め手で劣った。良馬場の切れ味、時計勝負では分が悪いが、時計の掛る馬場で小回りの中山なら一瞬の脚を生かせる。馬場回復が遅れることを願う。


トリップ
前走の弥生賞2着は、2番枠から発馬はトモに重心が掛って煽ったが、すぐに行き脚がついて先団へ。最内枠の逃げ馬メイショウカドマツが発馬で行き脚がつかなかったため、一頭分だけ進路を開けてハナへ行くように促す。道中は3,4番手のインで折り合いに専念する形。レースは2角から一気に流れは緩み、トリップ自身も頭を上げて行きたがる素振りを見せるが、前に壁を作っているため何とか我慢。勝負どころの3,4角も馬込みに包まれていたためジッと我慢する。直線を向き、理想的に馬場の2分どころに持ち出すと、一瞬の脚で抜け出す。勝ち馬にはあっさり差されて、後続にも詰め寄られた。緩い流れをインで理想的に立ち回れただけに不満の残る内容。前々走のラジオNIKKEI杯2歳S4着は、攻め馬で絶好の動きを見せ絶好の仕上りだった。道中は中緩みの流れを中団からの追走。理想を言えばもう少し後ろからの位置時計でメリハリのある競馬をしたかった。流れの緩んだ三分三厘で外から被されたのをきっかけに進出する。4角ではいい手応えのまま3着馬に並びかけて行く。直線で追われると、掻き込みの強いフットワークでグーンと伸びるのではなく、ジリジリとしか伸びない。流れ込んだだけの競馬となった。掻き込みの強いフットワークで本来はダートでのこそのタイプだろう。時計の掛る馬場でロスなく立ち回ってどこまで通用するか。

アーデント
前走の弥生賞2着は、馬任せで中団のインからの追走。流れの緩んだ向こう正面こそ行きたがったが、前に壁を作ってタメはできた。勝負どころの3,4角は馬込みに包まれたために動けず、4角では後方までポディションを落とす。直線を向き、一瞬の脚で追い込むも、僅かに届かなかった。折り合いに不安のあるタイプで、どうしても急がせる競馬ができない。まずは己との戦い。勝負どころで待たされた不利はあったが、タメた恩恵とコース利もあった。前々走の京成杯4着は、久々でも好仕上がりだった。掛り癖のある同馬にとっては辛い16番枠発走。スーッと馬任せで中団の外めに取り付く。流れが一気に落ち着いた向こう正面で行きたがってしまう。ここで体力を消耗したし、終始勝ち馬にマークされる苦しい展開。3角からジワッとポディションを上げスパートを開始する。4角から直線入口にかけて勝ち馬に外から被される。一瞬の脚力の差で突き放され、普通なら怯んでもおかしくないケース。それでも、直線で粘り強い脚で追い込んできた。折り合いを欠いたことと、4角で被されながらも最後まで集中した走りができたのは収穫。この中間は3週続けてコースで長めから意欲的に追われ、目一杯の仕上げ。デキは絶好だ。タメて一瞬の脚を生かしてどこまで。

ロジメジャー
前走のスプリングS3着は、道中、中団のインをロスなく追走する。上手く経済コースを立ち回るが、三分三厘はズブさを見せる。ステッキが入るも反応は良くない。それでも、4角で盛り返すと直線は粘り強い脚で伸びる。4着馬とハナ差の争いを制した。4角の荒れ馬場を苦にせずポディションを上げられた脚力は本物だし、決して恵まれたものではない。まだトモが緩いだけに良馬場でこそのタイプ。馬場が回復するのは歓迎だ。トモがパンとすれば決め手に更に磨きがかか

マイネルロブスト
前走のスプリングS7着は、道悪が響いた。グンと重心を沈めて前傾姿勢で走るタイプ。それだけに道中は何度もノメッていた。良馬場で。前々走の京成杯2着は、この日は別馬かと思うほど落ち着きを見せ、レースでも折り合って見せた。激流のマイル戦を経験した後の400メートルの距離延長に加えて15番枠。掛る要素は満載だったが、津村の素晴らしい騎乗が光った。15番枠から手綱を動かすことなく馬任せでポディションを取りに行く。ロブスト自身は顎をグッと下げて気を許せばガツンと掛ってしまいそうな気配。津村は慎重なエスコートで1角から見事に前に壁を作ることに成功させた。その後は終始、勝ち馬をマークしながら脚をタメる。勝ち馬とともに三分三厘で外めを捲って一気に進出開始。直線で一旦は勝ち馬に突き放されたが、坂上からジワジワと追い上げて詰め寄った。1キロの斤量差を考えれば中身は濃い。何より課題だった折り合い面で大幅な進境を見せたのが一番の収穫だ。3走前の朝日杯FS2着は、4番枠から好発を決めてスッと好位のインに取り付く。マイルGIの激流にもかかわらず、前走同様に制御が利かずに道中はモロに持って行かれてしまう。内枠だったため自然と前に壁を作ることができたが、外枠ならガツンと行ってしまっていただろう。4角で少しゴチャつくところが見られたが、それ以外はスムーズ。直線も最内を突き、勝ち馬が抜け出した同じ進路を通る。直線は一瞬の脚でジワジワと追い上げ2着を確保した。道中で体力を消耗している分、追って手応えほど伸びなかった。この中間は2週続けてびっしりて追われ、目一杯の仕上げ。全身をダイナミックに使った迫力満点の動きだった。ただし、元々が行きたがるタイプだけに、テンションが高くならないかの心配はある。道中はかなり行きたがっていた。腕っ節の弱い武豊鞍上だけに余計に気になる。


メイショウカドマツ
前走の若葉S2着は、トモが緩いため今回も発馬でトモに重心が掛って行き脚はそれほど良くはなかった。それでも気合いを付けてスーッとハナへ立つ。道中は2,3番手に絡まれることなくマイペースの逃げ。残り800mからスパートを開始させるも、4角から直線にかけては手応えは悪く直線は馬群に飲み込まれそうになる。頭の高いフットワークながら懸命な粘りを見せ、何とか2着をキープした。スパッと切れる脚がないだけに道悪で時計の掛る馬場は向いた。トモが緩く重心の高い走りのため、依然として発馬は安定しないが、弥生賞の反省を生かし、何が何でもハナを奪うだろう。同型のゼロスの存在は気になるし、ディープブリランテも早めに来ると展開はかなり厳しいものになる。


サトノギャラント
前走のスプリングS4着は、久々でも乗り込み入念で仕上がっていた。道中は急がせることなく後方からの競馬。1角で少しバランスを崩すところはあったが、その後は折り合いも順調。直線も外からジワジワと伸びたが1,2着馬には及ばなかった。タメて一瞬の末脚を生かすタイプ。良馬場でこそのタイプ。ひと叩きしてデキは上向いている。無欲の横山典の一発は怖い。

モンストール
ノドの手術を経て素質馬が本番で輝きを取り戻そうとしている。前走のスプリングS6着は、ノドの手術明け。半信半疑のデキだった。レースでは1番枠から終始、馬場の悪いところを通らされながらも、最後まで集中した走りでジリジリ伸びてきた。昨夏の新潟2歳S1着は、10番枠から好発を決めると、道中は中団馬群の中からの追走。向こう正面から4角にかけてゆったりとした流れ。キャリアの浅い2歳馬なら掛っても普通だが、モンストールは前に壁を作って折り合うことに成功する。3,4角も引っ張り切りの凄い手応えでソツなくクリアし、直線は馬場の真ん中へ。楽な手応えのままグーンと馬込みを抜け出す。直線半ばで早くも単独先頭に立つ。鞍上が左ステッキを使った際に外へ膨れる。それを右ステッキで懸命に修正するも、ゴール前で左手前に替えると今度は急に内側へ切れ込む。若さ溢れる内容だったが、最後まで2着馬には抜かせなかったし、3着以下は大きく突き放した。とてもキャリア1戦の馬ができる内容ではない。最後の抜け出す時の脚は迫力満点だった。ひと叩きされたことで上積みはかなり見込める。再び1番枠に入ってしまったが、勝負どころで馬場のいいところに持ち出せれば。

フェブラリーS(G1)徹底研究!

2012-02-15 15:17:18 | 見解
トランセンド
前走のジャパンCダート1着は、16番枠から気合いを付けてハナを奪いに行く。やや強引だったため1角の入りで他馬に迷惑を掛ける。2角からは一気にペースを落とす。道中は終始、内へモタれて首を外へ向けていた。勝負どころからは舌がハミを越し、外からエスポワールシチーに競りかけられる。直線を向き、他馬を振り切って突き放す。最後は脚が止まりながらも逃げ切った。道中でペースを落とせた割にはラスト1ハロンは13秒2を要し、勝ち時計も平凡。評価はしづらい。前々走のJBCクラシック2着は、発馬から無理することなくジワッと2番手に取り付く。無理にスマートファルコンに競りかける意思はなかった。道中は3,4馬身離れた2番手からの追走。向こう正面に入ってもペースを緩ませることのない一貫した流れ。これを離されずに追走する。3,4角で早くも手綱が動いてズブさを見せる。4角ではステッキが入り、スマートファルコンに突き放されてしまう。一時は5馬身の差を付けられたが、最後まで粘り強い脚を発揮して迫る。僅かに及ばなかったが、底力のある脚を見せた。3走前の南部杯1着は、エスポワールシチーが作るハイペースの流れを押して押しての先行策。2ハロン目に突入しても手綱の動きは忙しい。ようやく3ハロン目から落ち着く。2番手に取り付いたが、エスポワールシチーは3角から4角にかけてペースを落とそうとしない。その分、4角から手綱が動き始め、直線はダノンカモンに被されて馬群に沈みかけてしまう。だが、ラスト1ハロンから驚異の粘りを見せて盛り返す。最後まで諦めない走りで差し切った。芝のスタートは得意ではないし、マイルではハナに立つのに時間が掛る。ベストは1800m。2番手からでも競馬はできるし、何より粘り強い。ズブさを見せても最後は必ず伸びてくる。二枚腰が武器。ここもトウショウフリークの出方次第だが、ハナにこだわるだろう。ひと息入ったが、長めから意欲的に追われて乗り込み入念。

ワンダーアキュート
前走の東京大賞典2着は、不得手の長距離輸送でも落ち着きを見せていた。4番枠から気合いを付けての先行策。スマートファルコンの作る淀みない縦長のラップを積極的に追走する。3,4角はファルコンから2馬身圏内を追走し、直線へ。左手前に替えてから一完歩毎にジワリジワリと迫り、残り100mからは馬体を併せ、ゴール前は激しい首の上げ下げに。差し切ったかに見えたが、ハナ差及ばず。正攻法の競馬で勝ちに等しい内容だった。前々走のジャパンCダート2着は、発馬で躓きあわや落馬寸前。その後の行きっぷりも今ひとつで、道中は後方のインに取り付く。3,4角では馬込みに包まれて最後方近くまでポディションを落とす。外めに持ち出すこともできず、直線は馬群のなかに突っ込む。ラスト1ハロンから左ステッキに応えて馬群を縫うように伸びる。勝ち馬には突き放されたが、ゴチャつきながらも最後まで伸びた点は評価できる。スッと先行できて長く脚を使える。課題は久々のマイル戦に対応できるかの点。引き続き長距離輸送だけに当日の落ち着きもポイントになる。

エスポワールシチー
前走の平安S2着は、久々だったがほぼ仕上がっていた。15番枠から少し気合いを付けて先団へ。本来ならもうひとつ前のポディションを取りたかったが、この枠では仕方なし。1角からは4番手の外めに取り付く。向こう正面で3番手までポディションを上げ、3角までは手応え十分に運ぶ。だが、4角での反応が鈍い。ハミを掛け直されても反応が鈍い。直線を向き、懸命に手綱をしごくも勝ち馬との差は縮まらない。最後は脚が止まってしまい、勝ち馬に突き放され後続にも迫られた。前哨戦として及第点だろうが、GIを意識するなら物足りない内容だ。前々走のジャパンCダート3着は、6番枠から気合いを付けて先団へ。外のトランセンドがハナを主張したために1角からは手綱を抑えて2番手に落ち着く。レースは向こう正面で流れが落ち着き、3角からペースアップする流れ。3角からトランセンドに競りかけていき負かしに行く。だが、直線入口での反応は鈍く、手前を替えてからの完歩が小さく突き放されて最後は2着馬にも差された。身のこなしの柔らかいフットワークから繰り出すスピード性能が武器。スピードの持続性を生かすには府中のマイルは歓迎だ。だが、ここ2走は完歩の小ささが目立ち、追ってからの反応は今ひとつ。1週前追い切りでは武豊を背に坂路で追われたが、完歩の小ささが目立った。


ヒラビクキング
前走の平安S1着は、久々の実践になったが、最終追い切りで抜群の動きを披露。仕上がっていた。脚抜きの良い不良馬場で、発馬後すぐに迎える1角。11秒9-11秒2という速いラップが刻まれる。これを少し気合いを付けただけでスッと2番手に取り付く。気合いを付けながらだった前走とは違い、楽に良い位置を取れた。向こう正面に入ってもレースの流れは緩むことない。ヒラボク自身は気合いを付けながらの追走。再びペースの上がった3角からはズブさを見せる。4角からはエンジンが掛り、手応えを残したまま勝ち馬に馬体を併せる。直線で大きなフットワークで逃げ馬を捕え、単独先頭に躍り出る。外からエスポワールシチーが猛然と追い込むが、自身も簡単にはバテない。最後は2着馬の脚色が先に鈍り、突き放した。向こう正面でも息の入らない厳しい流れを先行し、4角で自ら動いてねじ伏せる横綱相撲。しかも、直線では2着馬をも突き放した。強い。初のマイル戦で久々の左回り。課題は多い。それでも、スッと先行できるスピード性能と追ってからひと脚使える点は魅力。大きなフットワークだけに広い府中向きだし、何より今の充実ぶりが凄い。大型馬だけに叩いた効果は絶大だし、1週前追い切りも文句なし。伏兵とは呼ばせない。

グランプリボス
はこの中間からコース追いを敢行し攻め強化。デキは急上昇していた。16番枠から煽り気味の発馬で行き脚はつかず。直後に手綱をしごいて中団の外めからの追走。3角で故障馬の煽りを受けて少し手綱を引っ張るシーンはあった。3角は中団の外めを絶好の手応えで立ち回る。4角から直線にかけて馬場の5分どころへ持ち出す。一瞬の脚で一気に突き抜ける。坂上で先頭へ立ったところで内へモタれるも伸びは鈍らない。最後は首の上げ下げで僅かに屈したが、強い競馬。3角で不利を受け、大外を通って自ら勝ちに行く内容だった。コース追いを敢行したことでデキは急激に上昇していた。1週前追い切りでもポリトラックコースで豪快な動きを見せてくれた。問題は初ダートへの適性。これに関しては前脚をたぐるようなフットワークをしており適性はありそうだ。

テスタマッタ
前走の根岸S3着は、3角手前までは我慢できていたが、3角がガツンとハミを取ってしまい、そこから外めを通ってモロに掛った。それでも、直線は大外から最後まで伸びて勝ち馬とは小差。負けて強しの内容だ。前々走の東京大賞典3着は、発馬後に手綱を引っ張り、その後は馬任せでスーッと先団へ。完璧に折り合って理想的に1角へ入れた。向こう正面でもぴたりと折り合い、スマートファルコンに競り勝ていく。直線は上位2頭にスッと引き離されてしまい、自身は伸びずバテず。折り合い面の課題を克服できたが、この内容を見る限り2000mは長い。3走前のジャパンCダート12着は、発馬で気難しさを出して最後方からの競馬。2角までは我慢できたが、向こう正面でレースの流れが緩むと、ハミをガツンと噛んでモロに掛ってポディションを上げてしまう。その分、4角で手応えがなくなり直線は馬群に沈んだ。4走前の武蔵野S7着も、テンから頭を上げてモロに掛ってしまった。一にも二にも折り合い次第。気分良く運べれば最後は強烈な決め手を発揮できる。その意味ではGIの激流は歓迎。マイル向き。

ダノンカモン
前走の根岸S5着は、中団馬群からの追走。道中は前に壁を作って折り合いに専念する。直線を向き、外めに持ち出そうとするも、びっしり被されて出口がない。残り250mから馬場の3分どころに進路を見出し追い出しを開始するも、上位馬には届かなかった。動きたいときに包まれたのは痛かった。砂をかぶっても集中力を切らさなかったのは収穫だ。前々走のジャパンCダート5着は、スッと好位の外めに取り付くも、向こう正面で流れが落ち着いたために馬群の外めを通らされる。4角で早くもステッキが入るが反応は鈍い。直線を向いても反応は鈍く、伸びずバテずだった。距離が長かったか。3走前の武蔵野S2着は、好発を決めて先団へ。頭を上げてフワフワする場面もあったが、順調な道中。直線を向き、一旦は突き抜けたがゴール前で末が鈍って差されてしまった。4走前の南部杯2着は、好発を決めてスッと先団へ。前2頭が飛ばしたために無理することなく好位の外めに落ち着く。3角から外めを通って早めに進出を開始させると直線入口では前を射程圏内に入れる。直線を向き、首を水平に使ったフットワークでグンと伸びる。ラスト1ハロン過ぎから外へ膨れたことで末が鈍り、手前を替えて懸命に粘りを見せるが、勝ち馬に差し返されてしまった。芝のスタート部分を得意とし、府中マイル戦なら前走よりいい位置を取れる。抜け出すと気を抜く分、前にトランセンド、エスポワールシチーといった目標がいるのは歓迎。気を抜かなければ。

シルクフォーチュン
前走の根岸S1着は、例によって最後方からの追走。道中はじっくりと末脚を温存させる。しっかりとタメて直線は大外へ。一完歩毎に回転の速いフットワークでグングン加速。ゴール前できっちり差し切った。3走前の武蔵野S9着は、スッと後方に下げる。3角手前までは少しハミを噛んで掛り気味。発馬が安定しないし、追い込み一辺倒で他力本願なタイプだが、南部杯のように発馬を決めれば馬込みからでも追走できる。テンにある程度脚を使っても終いを生かせるのは南部杯で証明済み。GIの速い流れは歓迎だ。

トウショウカズン
左回りだと外にモタれる面がる。前走の根岸S2着の直線も、外へモタれるのを矯正しながらの追いだった。前々走の大和S1着は、直線でアドバンスウェイに被され、残り1ハロン地点まsで追い出しを待たされた。更に逃げ馬も壁になって、まともに追えたのは正味50m。それで差し切ってしまうのだから地力は高い。スッと先手を取れるスピード性能が武器。1400mを掛り気味に先行するタイプで1ハロンの距離延長は鍵になるが、GIの速い流れは歓迎。

京都記念(GI)展望

2012-02-08 21:52:57 | 見解
ヒルノダムール
前走の有馬記念6着は、久々で乗り込みは入念だったが、馬体を戻しながらの調整で466キロ。ベストより少し細かった。下見どころでは少し気負っていた。3番枠から好発を決め道中は後方のインからの追走。歴史的な超スローペースでも道中の折り合いは完璧。前を行くブエナビスタを徹底マークする。だが、マークしていたブエナビスタが3角でまさかのズブさを見せる。ヒルノ自身もここで手綱をしごいてスパートを開始させるも、馬込みに包まれて動くに動けない。直線を向いても捌きに苦労し手綱を押しては引く形。ゴチャついたままゴール版を迎えてしまった。勿体ないレースとなった。昨春の天皇賞・春1着は、中間はレコード駆けの反動を見せることなく1週前に7ハロンから意欲的に追われ、最終追い切りは坂路で抜群の動きを見せ、デキは最高潮だった。レースでは2番枠からスーッと好発を決め、馬任せで先団へ。直後に迎えた下り坂を慎重に運ぶ。一つ目の難関をクリアすると、その後は好位のインで脚をタメる。正面スタンド前から入れ替わりの激しい流れになるも、気にせずヒルノのリズムを第一に考えて自然とポディションを下げる。ここでの判断が最後に勝利を大きく引き寄せることになった。経済コースをぴったりと立ち回り、3角手前で少し気合いを付けてポディションを上げるも、一気には行かせず再び手綱を抑える。3,4角の下り坂で仕掛けたくなるところだが、手綱はジッと持ったまま。4角で満を持してスパートすると直線は馬込みを割って抜け出す。バテた先行馬を交わしたところで2着馬に猛追されるが、そこで右手前に替えてもうひと踏ん張り。ゴール前で馬体を併せられたが、そこから粘りに粘って押し切った。凄い勝負根性だ。馬の力も素晴らしいが、鞍上のペース判断が素晴らしかった。追って頭が高い分、長く脚は使えないが一瞬の末脚はかなりのもの。折り合いにまったく不安がないタイプでインで脚をタメて一瞬の脚を生かせれば。

ダークシャドウ
前走の天皇賞2着は、中2週の間隔の詰まったローテーションを懸念されたが、叩いて上向いていた。7番枠からそれほど出脚は良くなかったが、直後に気合いを付けて中団を取りに行く。道中はブエナビスタの外に位置し、超ハイペースに戸惑うことなく、むしろ掛るくらいの行きっぷり。前走とは違い、レースの流れに乗って自ら勝ちに行く正攻法の競馬。残念だったのは4角から直線にかけての入口。前のミッキードリームとトゥザグローリーの間のスペースは空いていたが、ベリーはミッキーとアーネストリーの間の進路を狙う。このスペースはミッキードリームに締められる形となり、行き場をなくしたシャドウは手綱を引っ張りバランスを崩す大きな不利を受ける。そこから立て直して大外へ持ち出すロスも発生する。結果として外のトーセンジョーダンに出し抜けを食らう形となり、ゴール前はトゥザとトーセンの間の狭いスペースを割る。最後はステッキに反抗して尾を振っていたように馬自身も相当なストレスを感じる競馬になった。着差が着差だけにもったいないレースだった。負けて強し。毎日王冠1着は、久々になるが、この中間は負荷の掛るWコースで入念に乗り込まれ下見どころでは身のこなしの柔らかい姿が目に付いた。今春のエプソムC時は大阪杯激走の反動で腰に不安を抱え、負荷の少ないポリトラックでしか追えなかったのとは雲泥の差だ。レースでは発馬後から無理することなくスッと後方に控える。レースの流れは超スロー。これを道中は後方3番手から追走する。気負うことなくリラックスした追走姿で鞍上との呼吸はピタリ。3,4角でも流れは一向に速くならなかったが、鞍上は無理することなくジッと我慢する。直線を向いて右手綱を引いてシンゲンの外めに進路を求める。だが、外のミッキードリームに締められる。立て直して追い出すと坂上で今度は前のアクシオンがフラついたために一瞬手綱を引っ張るシーンはあった。正味1ハロンから追い出しを開始した時にはまだ中団より後ろ。そこからグーンと豪快な末脚で差し切った。底力、瞬発力勝負、どちらでも対応できる決め手を持つ。元々、体質の弱いところはあるが、この中間はウッドで入念に乗り込まれ体調面での不安はない。

ウインバリアシオン
前走のジャパンC5着は、下見どころで例によって落ち着き十分の周回。12番枠から例によって手綱をがっちりと抑えて後方に控える。折り合いが付き、外めを通りながら脚をタメる。3角で流れは緩み、馬群がギュッと凝縮したところで外めを通って一気に捲る。残り900㍍付近から先頭に並びかけると、4角から11秒2-11秒0と一気にレースのピッチは上がる。坂上で逃げ馬を突き放して単独先頭に躍り出たが、最後はさすがに脚が上がってしまった。3角から一気の脚を使い、さらに4角からは11秒2-11秒0-11秒6(推定33秒8)の脚を使っている。それでいてラスト1ハロンも大きくバテずに粘ったのだから強いのひと言。長く脚を使っている。前々走の菊花賞2着は、下見どころではリラックスした姿で馬体を大きく見せ、デキの良さを窺わせた。レースではトモに力が付いたことで発馬を決めたが、無理することなくスッと控えて最後方に控える。安藤勝の腹を括った騎乗。道中の折り合いは完璧で、大きなフットワークで気持ち良さそうに追走する。3角の上り坂でレースの流れが極端に緩み一気に馬群は凝縮して自然と前とのポディションを縮める。ここでも安藤勝の手綱は持ったまま。4角で馬場の3分どころに進路を求め、初めて手綱が放たれる。直線入口でバテたベルシャザールを捌くのに少し苦労したが、そこからは一完歩毎にグイグイ伸びる。勝ち馬の派手な瞬発力には敵わなかったが、長くいい脚を使って追い込んできた。脚長でトモがパンとした今は折り合い面にまったく不安はない。一瞬の脚力は相当なもの。

トレイルブレイザー
前々走のジャパンC4着は、スッと3番手のインに取り付く。終始、インの経済コースを立ち回るロスのない競馬。道中の折り合いもスムーズで3角からウインバリアシオンが動いた時も無理に追いかけない。直線もインを突き、少し待たされるところはあったが、前が開いてからは伸びずバテずといった感じで4着に入線した。スパッとは切れないが、首を水平に使った重心の低い走りでバテないスタミナはある。本来は4角で早めに動いて粘り込みを図りたかった。前々走のアルゼンチン共和国杯1着は、11番枠からスーッと好発を決めて馬任せで1角からは好位に落ち着く。道中はスムーズな折り合いを見せ、レースのピッチが上がった3角から余裕十分の手応えのまま進出を開始する。4角からは馬群の外めを通らされる。直線の坂上から早々と先頭に立つ。一頭になってもフワッとすることなくしっかりと駆け抜け、GI馬オウケンブルースリの猛追を凌いで押し切った。残り6ハロンから速くなる持久力勝負の流れを正攻法で押し切る強い競馬だった。55㌔のハンデも向いたが、底力を感じさせる強い競馬だった。33秒台の瞬発力勝負になると厳しいが、スッと先行して長く脚を使えれば。早め早めの競馬で押し切りたいところ。

トーセンラー
前走の菊花賞3着は、この日は8㌔増。小柄な同馬にとって心強い材料だった。レースでは1番枠から気合いを付けて中団を取りに行くが、行き脚がつかず後方の位置取りに。最初の下り坂では、少し下の緩い最内を避け、3分どころを通る。正面スタンド前では前のオルフェーヴルの後方にぴったりと張り付き、徹底マークする。3角手前で一瞬、手綱が動いてズブさを見せるが、すぐに落ち着く。下り坂から大外へ持ち出し、いつでも仕掛けられるポディションに移る。オルフェーヴルと共に4角で早めに動いて行くが、馬なりでポディションを上げた勝ち馬に対し、ラーは手綱を動かしても一瞬にして3馬身の差を付けられてしまう。直線はジリジリと伸びて何とか3着を確保した。自ら勝ちに行く強い競馬だったが、4角での動きが勝ち馬との地力の差を印象付けた。前々走のセントライト記念2着は、久々の実践でも走れる態勢は整っていた。2番枠から気合いを付けて中団を取りに行くが、ゴール版前でゴチャついてしまう。1角では外に膨れるロスもあった。その後は縦長のハイペースの流れを中団のインから脚をタメる。3角から馬場の3分どころへ持ち出し、助走を開始させる。大トビで不器用なタイプ。小回りの中山で外へ膨れて思うほど加速できない。直線でインを突くとスパッとは切れずジリジリとしか伸びなかった。広い京都外回りコース向きで、じっくりと構えれば昨冬のきさらぎ賞のように切れる脚を使える。

JRAへのお願い

2012-01-01 22:55:33 | 見解
新年あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。今年は結果と内容にこだわります。結果を出します。


12月31日付の日本経済新聞の野元記者の「競馬この一年-下」によると、JRAの平成23年度の売上は前年比5.5%減。東日本大震災で3月の中山開催が中止となり、3月中の電話・インターネット投票休止、関東地区、東北地区の競馬場・ウインズでの発売中止を考えると、健闘した数字ともいえる。実際、桜花賞終了時点では前年比18.3%減だった。それを盛り返したのである。

記事によればその原動力となったのは「WIN5」だったとのこと。1回の売上予測は2~3億円だったのに対し、コンスタントに12~13億円台を記録。年間約454億円7274万円で売上全体の2%を占めるまでになった。電話投票会員の新規開拓、休眠中会員の掘り起しという点では多大な貢献をした。しかし、的中確率が限りになく低く少額投資で大きな配当を手にできる「WIN5」は客単価の更なる低下と売上分散のリスクを背負っていると思う。大事なのは「WIN5」で獲得した新規顧客と復帰顧客を既存馬券購入のリピーターにすることである。

JRAホームページ内にある「平成24事業年度 事業計画書」によれば「魅力ある競馬開催を通じたお客様総数の拡大-対前年比100%超-」とあるが、恐らく平成23年度は「WIN5」の効果で総参加人員は前年比で100%をクリアしているだろう。だが、大事なのは開催場入場人員対策だ。平成22年度の総参加人員は約1億6800万人。実は10年で約1300万人増えている。それに対して22年度の開催場人員は約670万人10年で約300万人減っている。これは電話投票会員の急増によるもので、手軽に馬券を購入できるという点での貢献度は大きい。その半面、競馬の醍醐味である迫力あるレースを現場で見る機会が減ってしまった。この事実は重い。競馬の魅力は競馬場でこそ味わえる。パドックでデキの良し悪しを判断し、レースをライブで体感する。これこそが真の競馬の魅力である。テレビやラジオの前では、その魅力は半減してしまう。JRAは早急に対策を打つべきだ。残念ながら事業計画書の中には、その点に関する記載がなかった。「好きなタレントが来場する」「気になる物産展がやっている」「フリーパスの日」「友達に誘われたから何とかなく」。最初に足を運ぶきっかけは何でもいい。きっと足を運べば魅力が伝わるはずだ。このブログでは、開催場人員対策として以下のことを提言したい。

① 初心者セミナーおよび馬券購入アシスタントの拡充
すでに競馬場では競馬記者などによるセミナーを開催しているが、それを拡充させてほしい。例えば競馬場に限らず若者が集う施設などで著名人や記者を招いて開催してはどうか。そこで開催競馬場の無料入場券などを配布して、足を運ぶきっかけを作ってはどうか。また、現在も券売機の前でアシスタントが馬券購入のフォローをしているが、券売機の前での詰まりを防止するため、馬券購入方法の分からないお客様のためのフォローを徹底してもらいたい。アシスタント数を増やしたり、「購入方法の分からないお客様はお気軽に声をお掛けください」と声かけするなどしてはどうか。

② 女性トイレの増設を
GI競走当日の開催競馬場では、女性のトイレ待ちの列が必ずできる。これでは、せっかく競馬に魅力を感じる女性が競馬場を敬遠してしまう。何の不安もなく楽しんで頂くためにも早急に改善すべきである。

③ 通信環境の整備を
暮れの有馬記念当日の中山競馬場は、携帯電話の電波がほとんど通じなかった。最近はスマートフォンの急速な需要増で、通信容量が大幅に増えたと聞く。競馬場で電話投票を通じて馬券を購入するファンも数多くいる。機会損失防止のためにも整備を急いでもらいたい。

JARレーシングビュアーへのお願い

① 調教映像取扱いレースの拡大
現在は重賞競走と夏の新馬のみだが、これを特別競走出走馬まで拡大してもらえないだろうか。調教映像は競馬予想において重要なファクターである。変化を確実にキャッチするためにも必須である。

② パトロールビデオの取扱いを
 現在はJRAホームページで重賞競走に限り公開されているが、これをJRAレーシングビュアーでも公開してもらえないか。レースを前から見ることでしか分からない小さな不利やゴチャつきをキャッチすることができる。