中央競馬徹底研究!

2022年は客観的な予想を心がけます。

ジャパンC(GI)最終結論

2009-11-29 08:05:50 | 最終結論
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東京10R ジャパンC(GI 芝2400㍍)

◎エイシンデピュティ
○エアシェイディ
▲コンデュイット
△リーチザクラウン
×スクリーンヒーロー
×ウオッカ

【展開】
リーチザクラウンが馬任せでスッとハナに立つが、最内枠のアサクサキングスが岩田を起用して積極的に前へ。リーチの直後でプレッシャーをかける。こうなれば1角から向こう正面まで緊迫感のある締まった流れ。離れた3番手にエイシンデピュティ、そこからマシューサイドインティライミらが続く。スクリーンヒーローは好位の外め。ウオッカは後方で折り合いに専念し、それをオウケンブルースリーがマーク。直線で粘るリーチにエイシンが粘り腰を見せる。有力どころはスクリーンの動きに合わせてスパート開始。底力と時計勝負。

 本命は復帰3戦目のエイシンデピュティ。前走の天皇賞9着は、府中2000㍍では鬼門の大外枠発走。案の定、テンの1ハロンにかなりの脚を使わされた市、2ハロン目でハナへ立つのがやっとだった。本来は淀みない流れで底力勝負に持ち込むのが信条だが、テンの1ハロンに脚を使ってしまっている分、鞍上としても2ハロン目以降にガンガン飛ばすことはできなかった。結果として先行馬でも33秒台の脚を要求される展開となり不向きなレースだった。それでも、4角から直線にかけて粘りを見せたし、十分な内容だった。右前脚の靭帯を損傷してから復帰3戦目。最終追い切りでは前脚を高く突き上げてグイグイ坂路を駆け上がる好調時の動きに戻り、自己ベストの半マイル49秒9。文句なしだった。調教後の馬体重が508㌔。前走よりも絞れているし、この後の長距離輸送で好調時の490㌔台に絞れそうだ。持ち味は抜群の勝負根性と粘りと底力。休養前の宝塚記念は泥んこ馬場を直線で一旦はアサクサキングスに迫られながらも突き放して優勝。当年の大阪杯では、ダイワスカーレットの2番手から三分三厘でズブさを見せながらも直線で盛り返して僅差の勝負に持ち込んだ。今回はリーチザクラウンとアサクサキングスの緊迫感ある先行が予想され、離れた3番手で十分。33秒台の決着にはならない。自身が35秒前後で粘れる展開なら強い。距離も折り合いに不安がないし、宝塚記念の内容から1ハロンの距離延長なら心配いらない。

 相手は正直迷った。関東馬エアシェイディの天皇賞8着も鬼門の大外枠発走。テンの1ハロンに脚を使わされたし、内が伸びる馬場でありながら3角から大外へ進路を選択。内への進路を選択することもできただけに、瞬発力勝負ということも含めれば無謀だった。それでも、4着とは僅差だった。今回は待望の3番枠を引き、道中は中団のインで脚をタメる。直線まで脚をタメれば展開は向くし、一瞬の脚で突き抜けられれば。

 コンデュイットはこの中間、白井と東京芝で2本時計を出してきた。海外遠征からの中2週を考えれば異例の攻め過程。それほど本気ということだ。ともにサッと流す程度だったが、白井では弾む感じの走りで期待を持ったが、直前の東京芝の追い切りはシャープさに欠けて迫力は一息だった。実績を考えれば今年の日本の顔ぶれなら堂々の主役になれるが、状態面を考慮して3番手。

 逃げるリーチザクラウン。前走の菊花賞5着は、イレ込みが激しく3角まで息を入れられない厳しい流れでの逃げになったが、ゴール前100㍍まで粘った。かなり評価できる内容。ここは距離短縮で競馬がしやすいのは間違いない。攻めではリラックスして走ることができているし、気性は安定してきている。あとは最内枠のアサクサキングスの動向が気になる。抜群のスピード力で二の脚も使える。府中2400㍍を逃げ切るのは至難の業だが、鞍上の意気込みにも注目。

ジャパンC(GI)徹底研究!

2009-11-27 21:17:02 | 見解
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エイシンデピュティ
前走の天皇賞9着は、長期休養明け2戦目。好調時に比べると10㌔ほど馬体重が多いし万全のデキではなかった。しかも、府中2000㍍では鬼門の大外枠発走。案の定、テンの1ハロンに手綱をグングン押して2ハロン目でハナへ立つのがやっと。想像以上に脚を使わされた。本来は平均ペースの淀みない流れで粘り腰を発揮するタイプだが、鞍上としても2ハロン目以降に、これ以上脚を使うことはできなかったろう。結果的に展開は先行馬でも33秒台の脚を要求されるスローの追い比べとなり、切れ負けした。ただ、レース後に「4角で隣の馬には抜かさせないという根性を見せた」というように、前々走のように大きくはバテなかったし見せ場はあった。前々走のオールカマー14着は長期休養明けで馬体が大幅に増えていたし、仕方ない敗戦だ。休養前の宝塚記念は泥んこ馬場の消耗戦。ハナへ立ち、直線で一旦はアサクサキングスに迫られるもそこから二の脚で差し返してV。その前の金鯱賞、ダイワスカーレットと僅差の勝負をした大阪杯といい一旦は馬群に飲み込まれながらも勝負根性と抜群の粘りを見せるタイプ。前走のように33秒台の脚を要求される流れでは厳しいが、34秒台で粘れる展開なら。ハナは間違いなくリーチが切るだろう。スンナリの2番手で十分。雨は降れば降るほど好材料。最終追い切りでは、坂路で半マイル49秒台の猛時計を出した。好調時の高く脚を突き上げるフットワークが戻ってきたし、馬体も絞れている。490㌔台なら。

ウオッカ
前走の天皇賞3着は、道中は好発を決めるも、ギュッと手綱を絞り後方へ控える。馬は首を上げて嫌がるも、何とか鞍上がなだめる。前々走が逃げてなし崩しに脚を使わされただけに余計に折り合いに神経を注いだ。その甲斐あって後方で折り合うことに成功(武豊騎手だからこそできる芸当)。直線を向いて大外へ持ち出すのではなく、坂上で持ったまま進路を探る。だが、前3頭びっしりと壁になって出られない。痺れを切らし残り250m地点で右手綱を引いて馬場の3分どころへ。そこからグーンと凄まじい末脚で一気に差し切るかの勢い。だが、ゴール前100㍍で脚色が鈍り、2着馬にも差し返されてしまった。自身も上がり3ハロン32秒9の脚は使っている。しかし、タメるだけタメて最後に脚が鈍ったことを考えると、究極の勝負で距離適性の差が出てしまったということだろう。休養前の毎日王冠2着は、逃げ馬不在のメンバー構成で押し出されるようにハナへ。スローの逃げに落としたものの、掛り気味の道中でなし崩しに脚を使わされた。昨年のこのレースは3着。鞍上の岩田としては同年の安田記念1着以来の騎乗。その時が積極的な先行策から押し切っているだけに、そのイメージで乗ったはず。だが、2400㍍では勝手が違った。テンに押して行った分、ガツンと掛ってしまった。4角までかなり行きたがっていた。直線は舌がハミを越していたし、最後は余力がなかった。乗り手の誰もが絶賛する破壊力は、行きたがる気性も含めて府中のマイルで最も発揮するのは間違いない。前走のラスト100㍍の脚の鈍り方を考えると、2ハロン距離延長では厳しさが増す一方だ。3着争いと見たい。

スクリーンヒーロー
前走の天皇賞2着は久々で目標ではないレース。中間は集中力を高めるためにブリンカーを着用し、レースでも使用。2番枠から少し手綱を押して先行策。首を水平に使った柔らかい走りで鞍上が手綱を抑えるのに苦労するほどの行きっぷり。力むところが全くない省エネ走法で、超スローの流れをインの3番手から追走。手綱をガッチリと持ったまま直線入り口で馬場の3分どころへ持ち出し、仕掛ける。勝ち馬には並ぶ間もなく交わされたが、残り150㍍でグンと後続を引き離し、一旦は交わされたウオッカを差し返したのは高く評価できる。久々でこの高速決着に対応できるのは能力が高い証拠。休養前の関西戦は阪神大賞典激走の反動があったようだし、不得手の右回りも影響した。昨秋のこのレースは9番人気でV。16番枠発走から内の先行馬の出方を見ながら好位の外めを追走。鞍上のデムーロは重心を低くしたフォームで空気抵抗を極限まで回避。手応え十分のまま4角を回り、首を目一杯に伸ばしたストライドで瞬発力勝負を制した。スクリーン自身も首を上手く使った全く無駄のない省エネ走法。スッと好位に取付けられる脚もあり、昨年同様に内の出方を見られる大外枠発走はプラスと見たい。中間の攻め馬を見る限りは絶好のデキといえるし、連覇も視野に入ってきた。ただし、好走しているのは瞬発力勝負の流れが多く、底力を要求される流れになった時がどうか


オウケンブルースリ
前走の天皇賞4着は、発馬で半馬身ほど出負け。道中はウオッカの横を追走。後方で末脚を温存する。直線で馬場の5分どころへ持ち出す。だが、一度目にサクラとシンゲンの間を狙うも失敗。次にシンゲンの左側を狙うも手綱を引いてしまう。チグハグな競馬をしている間に上位3頭との差は広がる一方。機敏に動けず、少しづつ加速するタイプ。距離不足でのヨーイドンの高速決着。いかにも厳しい条件だった。それでも差してきたのは実力。前々走の京都大賞典1着は、久々でも賞金獲得のために目一杯の仕上げ。レースでは好発を決めるも無理せずにジンワリと後方に控える。テイエムプリキュア、クィーンの作る速い流れを手応え十分に追走。坂の上りから少しづつ加速を開始させるも、ズブさを見せて手綱から一転して余裕がなくなる。直線入口でも後方2番手だったが、直線でエンジンが掛ってからは力強く伸びて差し切った。昨秋は腰の状態が思わしくなかったし、今春の阪神大賞を激走したことで更に悪化した。今は休ませたことで完治したので問題はない。2ハロンの距離延長は間違いなく歓迎だし、冬の洋芝開催で極端な時計決着、上がり勝負にならない可能性が高いのも向く。ただ、GI馬の底力は備えているが力強い脚捌きとは裏腹に首の使い方が硬いために、どうしても決め手勝負では見劣る。極端な流れにならなければ、ウオッカ、スクリーン、コンデュを差し切るのはどうか。

リーチザクラウン
前走の菊花賞5着は、武豊が京都のGIで騎乗する場合は返し馬でファンの前を通るのが通例となっているが、馬場入場と同時に2角へ向かったようにレース前のテンションに鞍上も相当気を使っていた。レースでは最初の200㍍をジワッと乗られたものの、直後の下り坂で勢いが付いてハナへ立つ。スタンド前では掛り気味になりながら後続を引き離す。2,3角でも極端にペースを落とせなかったし、厳しい流れ。その後も後続とは10馬身くらいの差を付けたまま3角の上り坂へ。ここで13秒4-12秒9と初めて息を入れて後続を引きつける。4角で11秒4と再び加速して突き放すも、ゴール前100㍍でバテて失速した。「前のレースに比べてかなりイレ込んでいた」というように、レース前のスタミナ消耗と不得手の3000㍍を掛り気味に飛ばしながらもラスト100㍍まで粘ったのは高く評価していい。昨冬のラジオNIKKEI賞や今春の皐月賞に比べれば気性もコントロールできようになってきた。府中の2400㍍を考えれば極端なペースではなく、向こう正面まで淀みない流れでの逃げになるだろう。雨は降れば降るほど歓迎だ。脚元に気を使えればダービーのように折り合いを付けやすい。瞬発力勝負では分が悪いでの、後続をある程度離しての逃げからの押し切りで悲願のGI制覇を狙う。最内枠のアサクサの出方が怖い。前走の菊花賞を3分3秒台で走破した反動は心配。

レッドディザイア
前走の秋華賞1着は、目標のレースで中間にコースで長目から追われ究極の仕上げ。レースは、ワイドサファイアが掛ったために2ハロン目から急激に速くなり、1000㍍通過が58秒0のハイペース。これを中団のインで脚をタメる。ペースが落ちた三分三厘で手綱を持ったまま先団に近づくと、ブエナより一歩先に抜け出す。馬場を強く叩くフットワークでグングン加速。しかし、相手も渋太く一旦は抜け出したものの最後は首の上げ下げで何とか凌いだ。春のオークス2着では、3,4角でズブさを見せながらも坂上でグーンと加速。10秒台後半の爆発力で一旦は完全に抜け出したものの、最後は決め手の差で敗れた。この馬自身の決め手も凄いが、ブエナが一枚上だった。ズブくてトビの大きいタイプ。府中向きだし、追って長くいい脚が使える点も直線の長さを生かせる。53㌔も大きな魅力。リーチが逃げ、最内枠のアサクサの出方次第では底力勝負になる。前走のレース中に外傷を負ったとのことだし、予定していたエリザベス女王杯をスライドさせたのは気になる。攻め駆けするタイプが、馬場に脚を取られてノメって走っていたし、最後は脚色に余裕がなかった。寒くなって冬毛も出てきた。長距離輸送で馬体が減っていいなければいいが。幾らかデキ落ちの可能性あり。

マイネルキッツ
前走の京都大賞典7着は、久々で59㌔。攻めの動きも完調には程遠かった。道中はテンに全く付いていけず道中は後方から3番手。3角の上り坂からズブさを見せて直線も見せ場がなかった。仕方ない。休養前の宝塚記念7着は、道中は淀みない流れを中団のイン追走。向こう正面では抑え切れない手応えだったものの、3~4角ではスブさを見せて直線は伸びずバテずだった。3走前の天皇賞1着は、2番枠発走から道中は手応え十分に中団のインを追走。抑え切れない感じで三分三厘から進出し、4角で早くも先頭に並びかける。そこから長くいい脚を使い、ゴール前の叩き合いを制した。決して切れる脚はないし、ギアチェンジに弱いタイプ。持ち味は折り合いに全く不安がないこと、長く脚を使えることだ。その意味では直線の長い府中は歓迎。ハイペースの消耗戦を期待したいが、良馬場では厳しい。雨が降って上がりが掛れば。1週前はダービー馬に遊ばれたが、最終追い切りは自ら直線でハミを取り、バネの利いたフットワークで天皇賞当時の動きに近づいていた。不気味だ

エアシェイディ
前走の天皇賞8着は府中2000㍍では鬼門の大外枠発想。テンにかなりの脚を使わされた。その後も馬群の外めを通らされた。向こう正面で一旦は馬群のなかに入るも、残念ながら3~4角では内に進路がありながら大外を選択してしまった。スローの流れ、内が伸びられる馬場状態を考えれば大外一気はあまりのも無謀過ぎた。最後の脚は今ひとつだったものの、ちゃんと手前は替えていた。前々走の新潟大賞典4着は苦手の久々だったし、直線で手前を替えないままだった。レース前におしっこをするかしないかで結果が大きく左右されるように、精神的な弱さを持つタイプ。間隔を詰めて使うほうが良い。昨年の有馬記念のように馬群のなかに入れて一瞬の脚を生かせれば。

アサクサキングス
前走の天皇賞18着は、「覇気がなかった」と鞍上が話すようにテンに先行できず、見せ場すら作れずに馬群に沈んだ。今回は鞍上に腕っ節の強い岩田を起用し、1番枠を引いたこともあり強引に先行するだろう。となれば、リーチを積極的に追い掛けることも予想される。この馬の出方が、最大のポイントになる。攻め馬の動きを見る限り、前脚の出が硬く、推進力に欠けている。好調時のデキにはない。

マイルCS(GI)回顧

2009-11-22 20:18:37 | 回顧
マイルCS、馬連▲⇒◎6690円的中

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【馬場】Cコース。内3頭分は若干痛み、直前の降雨で上滑りする馬場。

12.1 - 10.9 - 11.8 - 12.4 - 11.5 - 11.4 - 11.2 - 11.9=1:33.2

【展開】
内からキャプテントゥーレ、ヒカルオオゾラが飛び出し、外からマイネルファルケが手綱を押して主張しに行く。まずはヒカルが折り合いに専念するためにグッと手綱を抑えて3番手に下げる。キャプテンも無理に競ることなく2ハロン目から落ち着き、スンナリとマイネルがハナへ。注目したいのは4ハロン目の12秒4。ここは坂の上りでペースが落ちるのは分かるが、マイルGIでここまで遅いのは異例だ。これで馬群がギュッと縮まるかと思われたが、隊列は変わらず。これでは前の馬が残るのは当然。ここで後続が攻めていれば流れはガラッと変わっていただろう。有力どころが後ろから行くタイプが多く、折り合いに不安を抱えるクチも多くいたからだろう。前有利の流れ。勝ち馬は強かった。

 老いてますます盛ん…この言葉がぴったりのカンパニー。充実の秋を迎え、GI連勝という最高の形で現役生活にピリオドを打った。放牧先で夏場の調整に成功し、絶好調の今秋。激走の天皇賞から中2週でもビッシリと攻められ、渾身の仕上げ。パドックでは8歳とは思えないトモの張りが目に付いた。レースでは4番枠から好発を決めると少し気合いを付けて中団を取りに行く。その後はズブさを見せることなく楽な手応えで追走する道中。4ハロン目の上り坂で息を入れられたのも奏功した。終始、経済コースを立ち回って三分三厘でも仕掛けない。グッと手綱を持ったまま直線を迎え、思い切ってインを突く。アッという間に先団に取り付き、ラスト1ハロン手前で左手前に替えるとグーンと凄い脚。残り100㍍で逃げ馬を捉えると、最後は手綱を押せる余裕で圧勝した。テンの流れが遅かったこと、メンバーが小粒だったこと、上り坂で息を入れられたこと、など恵まれたところはあったが、とにかく楽勝だった。

14番人気で2着に入ったマイネルファルケ。同馬に◎を打ち、見事に粘ってくれた。長距離輸送で8㌔減っていたものの馬体が寂しく映ることはなく、踏み込みの力強さが目立った。発馬直後の出脚は今ひとつだったが、内からガンガン行く馬もおらず、手綱を押してジンワリとハナへ。3ハロン目からはペースを落とし、上り坂では12秒4とかなり息を入れる。それでも後続は差を詰めてこなかった。余力たっぷりのまま直線で二の脚を使って突き放す。最後は脚が上がりかけたが何とか粘ってくれた。展開に恵まれたことは確かだが、ハナへ立てると二の脚が使えるのが大きな要因だ。まだ4歳。更に力を付けてGI馬を目指す。

キャプテントゥーレは前走後に大幅に馬体が減ったようだが、1週前の追い切りを軽くすることで馬体の回復に成功した。好発を決めて馬任せで先団へ。無理をすればハナを奪えたが、外からマイネルが来たためにスッと2番手に控える。そこからは楽なペースで息を入れる。2番手から抜群の手応えのまま直線へ。一旦は2着馬を捉えかけるが、そのからの反応が案外。ハミを掛け直され、右ステッキが入るもジリ脚。外へ膨れて距離ロスも発生した。何とか粘って4着。速い脚がないのでこれが限界。時計の掛る馬場と展開も向いた。

アブソリュートは発馬直後から無理することなく手綱を抑えて後方まで位置取りを下げる。直線は一完歩毎に詰め寄ったが、流れが合わなかった。タメての末脚だけに本当のGIペースで道中にある程度脚を使っての最後の脚は未知。今回は高く評価できない。

スマイルジャックは発馬直後はいいリズムで走っていたが、2ハロン目で外からフィフスペトルに前に入られたところで手綱をグッと引っ張り、そこから馬も掛ってしまった。その後もフィフスとストロングが前に壁となつた立ち塞がり、直線でもこの2頭が壁になって追えない。仕方なくストロングの外に進路を求めるも、今度はライブコンサートが。正味、進路があったのはラスト1ハロン。そこから猛追するも、前も楽をしているこの流れでは限界があった。折り合いに不安があると、位置取りも制約があり道中も動けない。そうなれば進路を自由に選択することができず、ゴチャつきやすい。

 ヒカルオオゾラは黒光りする迫力ある馬体が目に付いた。好発から馬任せで先行する。大きく雄大なフットワークで上滑りする馬場は決して得意ではない。それでも折り合いは付いて三分三厘では圧勝まで考えられるほどの手応え。しかし、いざ追い出されると頭が高くジリ脚になってしまった。喉に弱さがあり、なかなか能力を出し切れない。レース後の鞍上が話した通り、逃げる手が面白そうだ。能力は高いのだから、淀みない流れで粘るレースが合っている。

ザレマは残念なレースになってしまった。中3週で中間にビッシリと追われたにもかかわず、馬体は増えていた。厳寒期だけに絞り切れなかったか。レースへ行っても、手綱を押したり引いたりのチグハグな誘導で、三分三厘で早々と脱落。500㌔を超す大型馬で大トビ。上滑りする馬場は得意ではなかった。全く力を出し切れなかった。残念。

ファイングレインは下見どころでさすがと思わせる気配。今回も4角で口向きの悪さを見せて失速してしまったし、攻めの動きも本物ではなかった。叩き良化型だけに少しづつ上向けば。

サンダルフォンは三分三厘で一瞬の見せ場を作ったが、直線は手前を替えないまま最後はフットワークがバラバラになった。距離が長かったし、大トビで上滑りする馬場も得意ではないだろう。


マイルCS(GI)最終結論

2009-11-22 12:04:41 | 最終結論
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京都11R マイルCS(GI 芝1600㍍)

◎マイネルファルケ
○ザレマ
▲カンパニー


△スマイルジャック
×スズカコーズウェイ
×マルカシェンク

【見解】
 例年に比べると明らかに低レベルなメンバー構成。天皇賞を圧勝したカンパニーが堂々の主役だが、距離適性を考えれば差し届かないケースもある。年齢を重ねる毎にズブさが増し、テンはゆったりとした追走から終いを生かす競馬で結果を残してきた。マイルは忙しいのは確か。テン3ハロンは前2走と同様に36秒6、37秒2で追走する流れにはならない。昨年のこのレース同様にテンは追走に苦しむだろう。他の有力どころのスマイルジャックは折り合いに専念したいクチ。位置取りはカンパニーとほぼ同じで道中はマークする形になるだろう。相手が動かない限りは動けないし、関屋記念の快勝が脳裏に焼き付いているのなら尚更直線一気の競馬になる。スマイル自身は動きが重苦しかったここ2走と違い、最終追い切りでシャープな動きを披露。力は出せるデキだ。
 2週連続の波乱は先行馬から生まれる。本命はマイネルファルケ。前走の富士S9着は、同馬主のマイネルスケルツィがハナを切ったために無理な競り合いができず2番手。仕方なくペースを合わせるしかなく、4角では手応えが良かったものの横一線の追い比べで見劣った。戦績が示す通り、ハナを切ってこそのタイプで淀みない流れを得意とする。特に昨秋の山中湖特別は強かった。もう少し内枠が欲しかったが、このメンバーならハナを切られる。自身が34秒台中盤で逃げ切られる流れを作れれば。渋太い。
 相手はザレマ。前走の富士S5着は中5週で中間の調整が難しく、太め残りだった。レースでは外枠からジワッと先行策。抑え切れないくらいの行きっぷり。前に壁を作れなかった分、なし崩しに脚を使わされた感のある道中。直線で馬任せのまま先頭に並びかけるも、追われるとハミを掛け直され反応は今ひとつ。内にモタれ気味だったし、ジリジリと伸びて勝ち馬から1馬身差なら合格点だ。淀みない流れを先行し、早めに仕掛けて押し切るタイプ。このメンバーならそれができる。この中間は中3週ながら3本の速い時計をだし、最終追い切りはオウケンブルースリを子供扱いした。本気で狙ってきた。

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2009-11-18 22:47:43 | 見解
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マイネルファルケ
前走の富士S9着は、発馬直後に同馬主のスケルツィが内からハナを主張したために無理せず2番手に控える。本来はハナを切ってこそのタイプだけに逃げ馬のリズムに合わせる競馬は痛い。3角で12秒0と流れが緩んだのは淀みない流れを得意とする同馬にとっては歓迎できない。その分、4角から直線入り口にかけていい手応えだったものの、横一線の追い比べ。最後は切れ負けの格好だった。前々走の秋風S1着は、春以来の一戦。いくら牧場で乗り込んだとはいえ、帰厩後の攻めは不足気味。降級戦とはいえ、58㌔で中山マイルでは絶対的に不利な大外枠。案の定、発馬直後の1ハロンでかなりの脚を使ってハナを取りに行った。2ハロン目でハナを奪うと淀みない流れで軽快に逃げる。4角で少し脚をタメて直線へ。坂下で突き放したものの、ゴール前で脚色が鈍ったところを急追されたが何とか踏ん張った。価値ある勝利だった。休養前の京王杯SC12着は、鞍上曰く状態が本物ではなかったようだし、コーナーでモタれ気味に走っていた。ハナを切れたレースはここまで4連勝中で、自らペースを刻んだ方がいいタイプ。メンバーを見渡すと逃げ馬はおろか、先行馬もザレマとキャプテントゥーレくらいだ。陣営も「今回はハナにこだわってもらう」と。淀みない流れからの二の脚で、2週連続で逃げ馬がアッと言わすか。35秒前後で上がれるのが理想だけに渋るのは歓迎。

カンパニー
3番枠から好発を決めると、手綱を若干しごいて中団のインへ。テンに速い脚はないが、枠と流れが落ち着いたことでいいポディションを取れた。道中は人馬一体となり、経済コースを完璧な姿で追走。4角でもジッと我慢し、直線入口でもまだ動かない。これは手応えが抜群でいつでも抜け出せる自信があればこそできる業。坂下で鞍上の横山典騎手はジッと進路を探り、手応え良く抜け出した2着馬の進路に突っ込む。坂上で肩ムチ1発のゴーサインを出すと、回転の速いピッチ走法でグングンと加速。残り100mでウオッカの猛追に遭うも、そこから再び突き放す芸当で悲願のGI初制覇を成し遂げた。究極の末脚は上がり3ハロン32秒9。恐ろしい数字だ。馬自身の力もそうだが、鞍上の冷静な判断も際立っていた。カンパニー自身のデキの良さは攻め馬に現れていた。以前は攻め駆けしないタイプとして調教⇒実践に結び付かなかった。だが、前走の毎日王冠からは首を上手く使い、シャープな脚捌きで最後まで集中した走りを披露。8歳秋にして進化した姿を見せてくれた。前々走の毎日王冠1着は久々でも夏の充電に成功。攻めの動きも際立っており、デキはかなり良かった。発馬直後は例によってズブく後方から。2ハロン目から少し手綱を押して位置取りを上げて行く。3ハロン目からは中団のインで前のウオッカを眺めながら脚をタメる。流れが緩んだ3角でウオッカとの差をジワリと詰めて行く。直線入り口で馬なりのまま2馬身後方まで迫り、坂上で外に馬体を併せに行く。なかなか差は詰まらなかったが、ピッチの利いた回転の速いフットワークでゴール前100㍍から接近。ゴール前で1馬身の差を付けて快勝した。8歳にして切れに磨きが掛っている。今春の安田記念4着では、発馬直後からマイルの速い流れに戸惑い、道中は終始気合を付けながら。自身もテン3ハロン34秒9で追走していても離れた14番手。そのため、脚をタメる余裕と進路を選択することができないため、4角では大外へ回るしかなかった。直線は一完歩毎に差は詰めたものの、爆発まではいかなかった。昨秋のこのレースでも、発馬直後から気合いを付けながらだったし4角から直線にかけては大外だった。以前は関屋記念での1分31秒8の圧勝劇があるが、年齢を重ねる毎にズブさが増し、テンに行けなくなっている。マイルではテンに脚を使う分、2000㍍ほど切れないのは間違いないし、進路を選択する余裕がないため距離ロスも発生する。極端な時計勝負よりは遅い流れで、レースの上がり3ハロンが34秒台中盤あたりの流れが理想。適性舞台ではないが、今回は相手が大幅に落ちる。引退の花道を飾れるか。

キャプテントゥーレ
前走の天皇賞12着は、発馬直後に楽な手応えのまま2番手を進む。道中も気持ち良さそうな追走姿で脚をタメる。ところが、4角から直線入り口にかけて外からマツリダに被されると、急に手応えが怪しくなる。そのまま馬群に沈んでしまった。被された分もあるだろが、速い脚を使えないタイプだけに切れと時計負けした印象だ。前々走の朝日CC1着は、好発を決めて馬任せで先行。道中も手ごたえ十分のまま3,4番手のインで脚をタメる。4角から急に流れが速くなり、自身も手綱が動いて手応えは良くない。直線に入ってもハミを掛け直される。ようやく坂下で左手前に替えエンジンが掛ったことろで前のサンライズを交わす。そこでフワッと気を抜いたが、直後からブレイクに迫られもうひと伸び。何とか凌いだ。平均ペースの先行を得意とするタイプ。速い時計決着や上がり勝負では脆い。土日にどれだけ雨が降るか。

スマイルジャック
前走の天皇賞11着は発馬直後からグッと手綱を絞り、後方で折り合いに専念する形。それでも、ハミにモタれて多少は力んでいた。途中で手綱を許せばガツンと行ってしまいそうな気配のため、直線まで何もできない。スローで馬群が固まっていたため、直線は大外。かなりの距離ロスがあったのは確かだが、思いのほか伸び脚は今ひとつで流れ込んだだけという感じだった。前々走の毎日王冠7着は、その前の関屋記念で快勝していることもあり、色気を持っての参戦。だが、それが余分だった。発馬直後から気合いを付けて前のウオッカをマークしに行くが、そこで馬がやる気になってしまった。前に壁を作れなかったし、道中でなし崩しに脚を使わされた。3走前の関屋記念1着は、道中は後方で折り合いに専念。少しでも気を許せば持って行かれそうな気配。我慢させるだけ我慢して直線はグーンと馬なりのまま加速。内からマイネルの突進にも屈することなく突き抜けた。行きたがる面があり、マイルがベストなのは間違いない。今回も折り合いに専念するとなると後方から大外一気か。雨が降って馬場を気にして走った方が折り合いは付きやすい。

フィフスペトル
前走のスワンS8着は、半馬身の出負け。2番枠を利して気合いを付けて中団まで押し上げるも、直線は見せ場がなかった。正直、2歳時からの成長を感じない。

ファイングレイン
前走のスワンS16着は不得手の久々で58㌔。好発を決めるも、流れに乗れずるずると後退。全く見せ場がなかった。叩いてガラっと変わるかは最終追い切り待ちとしたいが、何せGI馬。昨年のこのレースは行きっぷりが良く、直線で一旦は抜け出して3着に来た。57㌔になるのはいいし、不気味だ。

スズカコーズウェイ
前走のスワンS1着は1400㍍にしては緩い流れを少し気合いを付けて中団を取りに行く。流れに合わせて4角から早めに動く正攻法の競馬。しかし、コーナーで少し膨れ気味に走って直線は鞍上が右手綱を引いて矯正する。手応えは決して良くなかったし、ジリジリとしか伸びなかった。58㌔と流れに合わせて動いたことでなし崩しに脚を使わされ、馬体も少し太かった。前々走のセントウルS6着も、1200㍍の流れに戸惑った感じで道中は終始気合いを付けながら。4角4番手から正攻法で行くも、流れ込んだだけだった。重心の低いフットワークから長くいい脚を使うことができる。ここ2走は強敵相手に正攻法過ぎた。57㌔に減るし、しっかりと脚をタメれば。この中間は馬体を絞るために、いつもは坂路追っていたのを、2週続けてコースで長めからやってきた。勝負度合いは濃い。

トライアンフマーチ
前走の菊花賞9着は、発馬直後の下り坂で鞍上が立ち上がるほど折り合いを欠く。異常なほどだった。スタンド前でようやく平静を取り戻すが、かなりのスタミナを消費した。その後は離れた後方2番手で脚をタメる。直線でインを突いて一瞬は伸びかけたが、最後は脚色一杯だった。仕方ない一戦。ただレース後に「この秋になって前に馬がいると追い掛けようとする」とコメントしたのは気掛り。皐月賞で見せた末脚は本物だし、距離がマイルに短縮するのも好材料。あとはハミを抜いていかにリラックスできるか。その点、スミヨン騎手に乗り替わるのはプラスだ。菊花賞高速決着の反動は心配。

トレノジュビリー
前走のスワンS11着は、外枠から前に壁を作れずに掛ってなし崩しに脚を使わされた。前々走のスプリンターズS6着は、好位のインで流れに乗れたのに追ってからジリ脚で流れ込んだだけだった。スムーズなレースだった都大路Sが案外な結果。ピッチ走法で距離も長そうだ。スピードの持続力が持ち味で切れは今ひとつ。

アブソリュート
前走の富士S1着は、道中は中団馬群で折り合いに専念。直線で少しゴチャついたものの、大きなフットワークでジワジワ伸びて差し切った。フットワークが大きくスパッと切れる感じはなく、上がりが速くなるとマイラーズCのように切れ負けする。理想は34秒台前半で差し切る流れが理想だ。道悪は鬼だけに降れば降るほど。

ザレマ
前走の富士S5着は、久々で14㌔増。中5週で調整が難しかった。レースでは外枠からジワッと先行策。抑え切れないくらいの行きっぷり。前に壁を作れなかった分、なし崩しに脚を使わされた感のある道中。直線で馬任せのまま先頭に並びかけるも、追われるとハミを掛け直され反応は今ひとつ。内にモタれ気味だったし、ジリジリと伸びて勝ち馬から1馬身差なら合格点だ。前々走の京成杯AH1着は、3番枠から手綱を押して先行策。2コーナーから外からドッと押し寄られて3,4番手のインで脚をタメる。三分三厘でも馬込に包まれて抜け出せなかったが、直線で馬場の3分どころに持ち出し、押し切った。追って頭が高く決して切れるタイプではないが、マイルで持続ある流れから押し切り競馬を得意とする。京都で上がりの速い決着になると厳しいが、ファルケが作る緩い流れを2番手から押し切れれば。ダイワメジャーの再現を期待。目標のレースだけに中3週ながら3本の速い時計を出している。特に最終追い切りは、攻め駆けしないタイプなのにジャパンC有力馬のオウケンブルースリを子供扱い。抑え切れない感じの行きっぷりで気配抜群だった。前走時とは意気込みが違う。

マルカシェンク
ブリンカー着用で2000㍍ではハミにモタれて走るためスタミナを消耗してしまう。前走は発馬で大きく出負けしたが、最後方一気で差し切るかの勢いだった。昨年も最後はいい伸び脚だったし、出負けせずに脚をタメられれば。

エリザベス女王杯(GI)回顧

2009-11-16 22:53:26 | 回顧
マイネルファルケ(出走祈願)

マイルCS某登録馬⇒オープン特別に出走できないから仕方なくGIへ出走する(某週刊誌で何度も指摘されている優先出走権の問題)のはおかしいとおもいます。出走することにより、除外になってしまう馬、関係者がいます。やはり、晴れの舞台。出走するからには全力投球しもらいたいものです。半端な気持ちでGIへ出走するのはやめてほしい。


【馬場】Bコース。前日までの降雨で良馬場だが完全に乾き切っておらず多少時計の掛る馬場。内外の差なし。

12.5 - 11.3 - 12.2 - 12.3 - 12.2 - 12.2 - 12.3 - 11.8 - 11.7 - 12.2 - 12.9=2:13.6

【展開】内からクィーンスプマンテが勢い良くハナへ。前走で掛ったテイエムプリキュアはゆったりとした発馬から2番手で折り合いに専念。ガツガツ競り合うことなく2角では完全に前2頭の隊列が形成された。そこからは淡々とした流れを刻み、1000㍍通過60秒5という遅めのラップ。それにもかかわらず向こう正面では後続と15馬身以上の差ができている。完全に後続騎手のペースの読み間違えだ。有力どころに差しタイプが多く、有力各馬が「先に動いたら差される」と牽制し合って動くに動けない展開だった。本来なら差が詰まっているはずの3~4角では逆に差が広がる。勝ったクィーンの1600㍍通過が96秒8に対し、ブエナビスタは101秒0。およそ25馬身ほどの差になる。しかも4角手前でリトルアマポーラをはじめ各馬の手綱は持ったまま。遅いペースを刻んで余力が残っているために錯覚したのだろう。4角で一気に仕掛けても遅い。これでは32秒9の脚を使っても相手が37秒2掛らなければ逆転はできない。各騎手が「直線を向いて前を見たらダメだと思った」と発言しているように展開の恐ろしさを思い知らされた一戦。

6万人超えの淀を圧巻した世紀の大逃亡劇。主役は若干23歳の若武者田中博とGI初挑戦となったクィーンスプマンテだった。発馬直後から手綱を押し、強くハナを主張。見事、外のテイエムへの牽制に成功し1角でペースを握る。その後も極端にペースを落とすことなく淡々と流れを刻み、1000㍍通過60秒5。遅めのペースにもかかわらず後続とは15馬身以上の差ができ、3~4角の下り坂から11秒8-11秒7とペースを上げるとその差は30馬身以上に。ここでほぼ勝利を手中に収め、ラスト1Fはバテながらもブエナの猛追を押し切って人馬ともに初戴冠。展開のアヤが大きく味方したのは確かだが、折り合って淡々としたラップを刻めたし、馬自身も能力を付けてきたからできる芸当だろう。思えば休み明けの京都大賞典では見どころ十分だった。読みが甘かった。

 2着のテイエムプリキュアもその京都大賞典でハナを叩いて大逃げしたが、今回は発馬から無理に行くのではなく、2番手から折り合いに専念。公約どおり途中からペースを上げて後続を引き離す理想的な競馬に持ち込めた。好走の要因としては第一に自身が折り合えたこと、そして無理なペースを刻んでいないのに1000㍍通過時点で後続に差を付けられたこと、そして下り坂でスパートできたことだろう。逃げ・先行馬の怖さを教えてくれる一頭だ。

 圧倒的1番人気に推されたブエナビスタ。レースでは好発を決めるも、道中は例によって無理することなく馬任せのまま後方から。向こう正面中盤まで折り合いに専念し、3角手前でカワカミプリンセスが動いたと同時に馬なりのまま大外から捲って進出。4角では馬群の先頭に立つも先頭とはまだ25馬身差。安藤勝が「直線を向いてとても届かないと思った」と。それほど絶望的な差だった。直線で例によって何度も手前を替えたが、一完歩毎に急追。次元の違う末脚を繰り出して最後まで追い詰めるも、僅かに届かなかった。だが、前2頭とは明らかに展開のアヤでの敗戦であり、悲観することはない。むしろ4角で馬群の先頭に立ち、後続に3馬身半差を付けた内容を高く評価したい。強かった。解説の小島太氏も言っていたが、前半からある程度出して行って、正攻法の競馬をした方がコースや展開に関係なく取りこぼしも少ないだろう。今ならそれも可能だ。低い評価をした事に対してお詫びしたい。

 フランスから参戦したシャラナヤ。来日後は速い時計を出さずに体力の回復と馬体を維持することに専念。道中は縦長の緩い流れの中、2番手集団の3,4番手を追走。手足の運びが非常に軽く、柔らかいフットワークが印象的の道中。3角手前でカワカミ、ブエナが動いてもジッと我慢。直線入り口でようやく手綱が放たれると、グンと重心の低いフットワークでジワジワと詰め寄った。ブエナには及ばなかったが、日本の軽い馬場への適性を示した一戦だった。

 前走は最後方待機から差し切ったメイショウベルーガだが、今回はテンに気合いを付けて2番手集団の中団あたりまでポディションを取り行った。3角手前でカワカミ、ブエナが動いた後に遅れて馬群の外めへ持ち出す。加速するのに時間を要するタイプだけに直線入り口での手応えは決して良くなかったが、一完歩毎に力強く迫って5着まで押し上げた。ズブい後方待機タイプだけにもう少し流れてくれないと。中2週で中間にビシッとやられて2㌔増。よほど体調がいいのだろう。

 ブロードストリートは下見で少しチャカついていたが、許容範囲内だし返し馬の気配が抜群だった。課題だった発馬を決め、馬任せのまま馬群のなかに入れる。道中も気持ち良さそうに走っていたし、インで完璧な追走姿。だが、このインにいたことが致命的となる。3角手前でカワカミ、ブエナが動いた時、ブロードの左前にはサンレイジャスパーがおり完全に仕掛けるタイミングを失う。しかも直後にムードインディゴに外から被され、ようやく進路が開いたのが残り600㍍地点。既にブエナとは約6馬身。先頭とはおよそ31馬身差だ。ブエナでさえ仕掛けが遅れたのに、それよりもツーテンポほど遅れていた。レースを盛り上げる意味でもブエナと一緒に上がっていくべきだった。究極の切れ味勝負では切れ負けする。

 リトルアマポーラは積極的に前を狙って行ったが、あれ以上は行けない。後ろにはブエナ、ブロードらの有力どころが控えているからだ。その証拠に4角の下り坂でもそれほど仕掛けず、ジッと我慢していた。4角から直線入り口でようやく手綱を押して仕掛けるも、一気に馬群にの飲まれてしまった。切れ味勝負では分が悪いし、ズブいタイプだけに下り坂を利用してでも早仕掛けをするべきだっただろう。

 チェレブリタは2番手集団の比較的前目の位置取り。インの経済コースを立ち回り、直線はポッカリと開いたインに突っ込む。一瞬はオッと思わせるような場面もあった。苦手の33秒台前半の脚を要求される流れでは仕方なし。それよりも、直線で一瞬の見せ場を作った点、全身を使った集中力ある走りを評価すべきだろう。条件が合えば。

ムードインディゴは後方2番手から前走の再現を狙ったが、実現しなかった。前走がタメるだけタメて爆発しただけに戦法は変えづらかったろう。4角は大外を回ったし、しかも手綱を絞っていた。展開を考えればあの場面は仕掛けなければいけなかった。たとえ31秒9の脚を使っても届かなかった。前走で鮮やかや勝利を挙げたことと、追いこみ馬の宿命だ。

 ミクロコスモスは下見どころで落ち着き払っていたが、ゲートで一気にテンションが上がってしまった。テンは頭を上げてかなり行きたがっていた。流れが遅いだけに余計だっただろう。それにしても直線は展開抜きして伸びなかった。元々が一瞬の脚を生かすタイプ。速い流れなかで差し切るレースが合っているかも。折り合い面も含めてマイルが一番では?

 カワカミプリセンセスはペースを読んで早めに仕掛けていったが、手足の運びが重く、フットワークに切れが感じられなかった。稽古でもガツンと来るところがなくなっているし、往年の力強さは感じられなかった。



エリザベス女王杯(GI)最終結論

2009-11-14 20:33:32 | 最終結論
◎ムードインディゴ
○ブロードストリート
▲ブエナビスタ
△ジェルミナル
×シャラナヤ
×サンレイジャスパー

 本格化したムードインディゴを狙う。前走の府中牝馬S1着は、緩みない流れを後方で末脚を温存。坂下で抜け出す時の脚が速く、早め先頭でもラスト1F11秒9としっかりと踏ん張った脚力は高く評価できる。ここもテイエム、クィーン、ブラボーと飛ばす先行勢が揃い、差し脚が生かせる流れになるのは必至。前走は大幅な馬体減だったが、この中間はしっかりと攻めを消化できているし、動きも実にシャープだ。

 ブロードストリートの秋華賞2着は、発馬で煽り後方からの競馬。しかも4角では進路をカットされる致命的な不利。それでも直線で盛り返した根性は高く評価できる。本来はブエナビスタよりも前で競馬ができるし、底力ある末脚は外回りコースに替わって更に生きてくる。一戦毎に攻めの動きも良化し、前走から上積みを望める。

 復権を目指すブエナビスタだが、春からの成長が感じられない。ズブさが増しているし、フットワークが小さくなっている。外回りコースになるのはプラスだが、成長一息で他馬との能力差が縮まり、春のように最後方から大外一気で差し切るのは困難だろう。世代最右翼の能力は間違いないが、3番手評価まで。

 叩き3戦目でジェルミナルがようやく体調を上げてきた。トビが大きくゆったりと走れる外回りコースに替わるのは大いにプラスだし、待望の内枠を引いた。ただ、ローズSのように揉まれると脆さを出すだけに縦長の展開でインをロスなく立ち回るのが理想だろう。攻めは大きなフットワークで馬場を強く叩きつけて絶好の動きだった。


 

エリザベス女王杯(GI)調教診断

2009-11-14 00:30:51 | 調教診断
【ウェディングフジコ】○ 集中力に満ち溢れ
南Pで2頭併せの内を5ハロンから。この後に長距離輸送も控えており、サッと流す程度だったが、首を水平に使い引っ張り切りの手応えで追走先着。集中力を感じされる動き。

【クィーンスプマンテ】▲ 脚捌き硬い
坂路で3頭併せの中を目一杯に。馬場を強く叩きつけるフットワークで重い坂路を駆け上がる。ラスト1ハロンは肩ムチが入ってアラアラ一杯で突き放された。前走時のほうが脚捌き自体は柔らかかった。

【カワカミプリセンセス】▲ 迫力ひと息
女王復権なるか。最終追い切りはDPを単走で6ハロンから。馬場の大外を回り、脚捌きが滑らかで推進力のある走り。相変わらず頭の高い走りだが、フットワークがバラバラだった前走時よりも上積みが見込める。ただ、全盛期は鞍上が抑え切れないくらいの手応えで走っていた。

【サンレイジャスパー】○ 古豪復活へ
難波を背にCWを単走で6ハロンから。極悪馬場をテンから飛ばしたためにラストは一杯になったが、6ハロン79秒台は優秀。ラストまで重心が上がらず首を水平に使えていた。前捌きにもう少し伸びやかさが出てくればいいが、状態は絶好。

【ジェルミナル】◎ 状態絶好
福永を背に坂路を単走で終い重点。大きくゆったりとしたフットワークでラスト1ハロンから追い出されると、グーンと加速。最後も脚色に余裕があったし、終い重点とはいえ不良馬場でラスト1ハロン12秒0は文句なし。秋3戦目でようやく本調子に。

【シャラナヤ】○ 不気味
来日してから強い調教はキャンターのみ。いかにも物足りないが、脚捌きが柔らかくバネを感じるフットワーク。いかにも切れそうだ。首を上手く使えていて重心が低いのもいい。欧州馬にしては珍しく良馬場タイプだろう。

【チェレブリタ】○ 好調時の動き
DPで2頭併せの内を実質4Fから。前脚を突き上げる独特のフットワークで引っ張り切りのまま先着。首も上手く使えて実に気持ち良さそうだった。動き自体は好調時のもので、あとは馬体がどこまで絞れているか。

【テイエムプリキュア】
珍しくコースで追われてきた。頭が高くて切れる感じはなかったが、脚捌きは実にシャープ。時計の出る馬場とはいえ馬なりで6F78秒台-12秒1はさすが。

【ニシノブルームーン】○ 脚捌き力強い
早めの栗東入厩。最終追い切りは坂路で3頭併せの外をびっしりと。ラスト1ハロンで馬体を併せられるも、そこから追い出されると力強い脚捌きでクィーンスプマンテを突き放した。重たい馬場をラスト1ハロン12秒9で踏ん張ったのは評価できる。

【ピエナビーナス】○ 順調
坂路で終いビッシリと。前脚を左右に出す感じで決して綺麗なフォームではないが、重たい坂路でも最後まで集中して走っていた。この馬なりに順調。

【ブエナビスタ】○ 前捌き硬い
CWで単走を6ハロンから。ゴール前はステッキが入ってびっしりと追われる。例によって手前を何度も替えていたが、追われてからの迫力は圧巻だった。ただ、春当時に比べると左手前時の脚の出が硬いのは気になる。

【ブラボーデイジー】○ 脚捌き力強い
生野を背に坂路を単走で。首の使い方が硬いために切れは今ひとつだが、脚捌き自体は力強く、不良馬場でも最後までしっかりとした脚取り。

【ブロードストリート】◎ 絶好調
鮫島(レースは藤田)を背に不良馬場の坂路を単走でビッシリと。道悪を感じさせないシャープな脚捌きは迫力満点だった。絶好調だろう。使われる毎に動きは良化している。

【ミクロコスモス】○ シャープ
内にウオッカを置き3頭併せの中。4角から直線入り口は口を上げてかなり行きたがっていた。さすがにウオッカには先着を許したが、ゴール版を過ぎてから2角までびっしりと追われた。もう少し首差しに力強さが出てくるといいが、フットワーク自体はシャープだ。

【ムードインディゴ】◎ 絶好調
鮫島(レースは田中勝)を背に坂路でサッと流す。口向きが悪く、ゴール前は内へモタれ気味だったが、脚捌きがシャープで躍動感ある身のこなし。とにかく動きが柔らかい。目下絶好調だろう。

【メイショウベルーガ】
坂路で単走。掻き込みの強いフットワークで前脚が高く突き上げられ、追われてからの切れを感じた。不良馬場でも最後まで集中した走り。

【リトルアマポーラ】○ スピード感十分
スミヨンを背にDPを単走で6Fから。追われてからのスピード感は流石だが、少し首の使い方が硬く、好調時に比べると前脚に伸びやかさが足りない。

【レインダンス】○ トモ甘い
藤岡康を背にDPを6ハロンから。テンから飛ばして終いも余力残しのまま好時計が出た。トモの送りが甘く、重心も高いが、デキは良さそうだ。

アルゼンチン共和国杯(GⅡ)予想

2009-11-07 22:27:26 | 最終結論
師匠の予想はこちら


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第47回アルゼンチン共和国杯(GⅡ 芝・2500㍍)
◎トーセンキャプテン
○ジャガーメイル
▲ダンスアジョイ
△トウカイトリック
×トーホウアラン
×スマートギア

【トーセキャプテン】
前走の京都大賞典3着は、テイエムプリキュアが大逃げする形を、押して押して中団を取りに行く。1角からは人馬一体となって完璧な姿で追走。三分三厘でスッと動けず、直線でも伸びかけたところで外からトーホウアランに被される。それでも怯むことなく一完歩毎に力強く伸び、ゴール前100㍍ではバテた逃げ馬を交わして単独先頭に立つ。そこで切れるオウケンに差されてしまったが、自身がソラを使った分もあった。切れる脚はないが、少し上がりが掛る展開で、リズム良く走れれば。デキは絶好だ。左回りも戦績は悪いが、GIや上がりの速い決着、久々などが原因。回りの問題ではないはず。

【ジャガーメイル】
前走の京都大賞典4着は、久々でも好仕上がり。道中は縦長の緩みない流れを後方からの追走。開幕週の馬場を考えれば本来は馬場の内側を通りたいもの。しかし、なかなか馬群の内に入れることができず、3角からは首が外に向いて更に内からモンテクリスエスに張られる。4角では外へ膨れ気味に走っていた。当然、手応えも悪く直線で前を捉え切れず、後ろからも差されてしまった。右回りの問題。昨年のこのレースを見ても分かるとおり、左回りではそんな癖を見せず、実に折り合いもスムーズ。トモが甘くて勝ち切れないレースが続いていたが、最近の攻め馬を見る限り走りにバネが出てきた。得意の左回りなら悲願の重賞Vがある。

【ダンスアジョイ】
前走のオールカマー6着は、スローで逃げ馬がスイスイと押し切る展開。中山で33秒2の脚を使って大外から追い込むも、それ以上望むのは酷だった。ここはヴィーヴァが大逃げしてミヤビトーセンらが先行し、ある程度は淀みない流れ。大外一気では敵わないが、馬場の3分どころを抜けてこられれば。

【トウカイトリック】
久々でも好仕上がり。前脚を突き刺すシャープな脚捌きが戻ってきた。締まった流れを長くいい脚で差して来られる。府中の長い直線で淀みない流れならいきなりでも。

【トーホウアラン】
前走の京都大賞典8着は、テイエムプリキュアが大逃げする形を離れた5番手を追走。前に目標を置けず、後ろの有力馬を気にしなくてはならない中途半端なポディション。自身もそれなりのペースで追走したにもかかわらず、道中は掛り気味。三分三厘で早くも手応えがなくなり、馬群に沈んでしまった。前々走の朝日CC3着はスローの流れを道中は中団のイン追走。ここでも掛り気味の追走だったが、前に馬を置き何とかなだめる。3角で馬1頭分開けたポディションに持ち出し、加速を開始。4角で手綱が激しく動き直線入り口ではハミを何度も掛け直される。決して手応えは良くなかったが、一完歩毎に粘り強く伸びた。復帰戦として及第点。昨年の京都大賞典はスローにもかかわらず道中はピタリと折り合い、勝負どころでも抜群の手応えだった。折り合えれば首を前に長く伸ばしたフットワークで長く脚を使える。口向きが悪く、大トビ。戦績は今ひとつだが府中は向くはずだ。最終追い切りは、坂路でテンからびっしりやられ、終いもしっかりと踏ん張った。デキは良い。

【スマートギア】
終いは確実にいい脚を使うタイプ。前走の京都大賞典2着も大外から重心の低いフットワークでグーンと伸びた。だが、追い込み馬の宿命で凄く良い脚で追い込んでもなかなか届かない。常に大外一気と全馬を差し切らなければいけないリスクがつきまとう。ここも縦長の展開が予想され、馬場状態を考えると各馬が外めを通る可能性が考えられる。そうなれば更に外めを通ることになるため、差し届くかは微妙だ。

【ハイアーゲーム】
とにくかく前走は内へモタれながらも切れに切れた。前々走のオールカマーは流れが向かなかっただけでいい脚は使っていた。ここは700㍍の距離延長で折り合いが課題となる。ハミを噛む癖があるだけにリラックスできるかどうか。


【京都8R 500万戦】
◎ネオファロス

今週、先週に渡ってトウカイトリックと併せ馬をし、いずれも先着。手応えも十分で脚捌きと首の使い方も実に力強い。素質の高さは間違いない。転厩緒戦の5月の東京戦ではラスト200㍍まで持ったまま先頭争い。ラストは追ってさっぱりだった。立て直され、1ハロンの距離短縮と外枠から気分良く走れれば一発があっても。全く人気がない。

天皇賞(GI)回顧

2009-11-03 01:54:40 | 回顧
【馬場】A⇒B1週目。内は若干馬場が傷んでいるが、超の付く高速馬場。

13.0 - 11.2 - 11.4 - 12.0 - 12.2 - 12.0 - 11.7 - 10.8 - 11.3 - 11.6=1:57.2
(35.6-33.7)

【展開】逃げ宣言のEデピュティは大外枠。内枠のキャプテン、スクリーンヒーローが二の脚でスッと先行するも共にガンガン行くタイプではないため最初の入りは13秒0と超スロー。2ハロン目で行き脚のついたエイシンがようやくハナへ。2番手以下はがっちりと手綱を抑え、エイシン自体も息を入れる逃げになったため5ハロン59秒8の緩い流れ。ウオッカは前走でなし崩しに脚を使わされた反省を生かし、後方で折り合いに専念。他の有力どころも府中の長い直線とウオッカの存在を考えれば動くに動けず。究極の決め手勝負の流れ。

 究極の切れと時計勝負を制したのは8歳にして充実期を迎えたカンパニーだった。3番枠から好発を決めると、手綱を若干しごいて中団のインへ。テンに速い脚はないが、枠と流れが落ち着いたことでいいポディションを取れた。道中は人馬一体となり、経済コースを完璧な姿で追走。4角でもジッと我慢し、直線入口でもまだ動かない。これは手応えが抜群でいつでも抜け出せる自信があればこそできる業。坂下で鞍上の横山典騎手はジッと進路を探り、手応え良く抜け出した2着馬の進路に突っ込む。坂上で肩ムチ1発のゴーサインを出すと、回転の速いピッチ走法でグングンと加速。残り100mでウオッカの猛追に遭うも、そこから再び突き放す芸当で悲願のGI初制覇を成し遂げた。究極の末脚は上がり3ハロン32秒9。恐ろしい数字だ。馬自身の力もそうだが、鞍上の冷静な判断も際立っていた。カンパニー自身のデキの良さは攻め馬に現れていた。以前は攻め駆けしないタイプとして調教⇒実践に結び付かなかった。だが、前走の毎日王冠からは首を上手く使い、シャープな脚捌きで最後まで集中した走りを披露。8歳秋にして進化した姿を見せてくれた。次走はマイルCSを予定。マイルでの切れ味に注目!

 2着は久々のスクリーンヒーロー。この中間から集中力を高めるためにブリンカーを着用。2番枠から少し手綱を押して先行策。首を水平に使った柔らかい走りで鞍上が手綱を抑えるのに苦労するほどの行きっぷり。力むところが全くない省エネ走法で、超スローの流れをインの3番手から追走。手綱をガッチリと持ったまま直線入り口で馬場の3分どころへ持ち出し、仕掛ける。勝ち馬には並ぶ間もなく交わされたが、残り150㍍でグンと後続を引き離し、一旦は交わされたウオッカを差し返したのは高く評価できる。久々でこの高速決着に対応できるのは能力が高い証拠だし、やはり左回りは走る。この馬の特徴は首を上手く使った重心の低い走り。ゆったりした流れがぴったりなだけに距離が延びるジャパンCは更に走りやすい。2連覇が見えてきた。

 圧倒的1番人気を背負った女傑ウオッカ。誰もが優勝を信じ、優勝を義務づけられていた。酷なことではあるが、それだけ歴史に残る馬なのだ。道中は好発を決めるも、ギュッと手綱を絞り後方へ控える。馬は首を上げて嫌がるも、何とか鞍上がなだめる。前走が逃げてなし崩しに脚を使わされただけに余計に折り合いに神経を注いだ。その甲斐あって後方で折り合うことに成功(武豊騎手だからこそできる芸当)。直線を向いて大外へ持ち出すのではなく、坂上で持ったまま進路を探る。だが、前3頭びっしりと壁になって出られない。痺れを切らし残り250m地点で右手綱を引いて馬場の3分どころへ。そこからグーンと凄まじい末脚で一気に差し切るかの勢い。だが、ゴール前100㍍で脚色が鈍り、2着馬にも差し返されてしまった。自身も上がり3ハロン32秒9の脚は使っている。しかし、タメるだけタメて最後に脚が鈍ったことを考えると、究極の勝負で距離適性の差が出てしまったということだろう。やはり、行きたがる気性を考えれば府中のマイルがベストだ。マイルCSでカンパニーとの再戦が見てみたい。

 オウケンブルースリーは発馬で半馬身ほど出負け。道中はウオッカの横を追走。後方で末脚を温存する。直線で馬場の5分どころへ持ち出す。だが、一度目にサクラとシンゲンの間を狙うも失敗。次にシンゲンの左側を狙うも手綱を引いてしまう。チグハグな競馬をしている間に上位3頭との差は広がる一方。機敏に動けず、少しづつ加速するタイプ。距離不足でのヨーイドンの高速決着。いかにも厳しい条件だった。それでも差してきたのは実力。距離が延びるジャパンCでは当然有力候補になるが、スクリーンヒーローを差すには相当流れてくれないと。

 シンゲンは下見どころでホライゾネット着用。チャカついていたが、この馬としてマシな方だった。道中も中団馬群でジッと脚をタメられたし、直線で外からサクラメガワンダーに被されても怯むことはなかったが、究極の切れ味勝負で最後は上位3頭に突き放された。現時点での決め手の差が出てしまったが、もっと底力勝負になっていれば。

 ドリームジャーニーは道中、鞍上の談話では左にモタれていた様だ。元々、速い流れの中で一瞬の爆発力を生かすタイプ。不得手の左回りで直線の長い府中はやはり鬼門。いつもは攻め駆けするタイプが、中間は手綱が動き、動きが今ひとつピリッとしなかった。

 エアシェイディは距離ロスの多い大外枠発走で良い位置取りができなかったし、この上がり・時計決着では厳しかった。直線でちゃんと手前を替えていたし、首を上手く使った走法で衰えは感じなかった。

 スマイルジャックは下見どころで一番良く見えた。この流れで大外一気は無謀だった。マイルで注目。