鹿児島市の司法書士喜山修三のブログ

相続や売買の不動産登記,会社設立や役員変更,債務整理,成年後見等を業とする司法書士事務所の所長の法律や日々の雑感を掲載。

会社合併,会社分割と許認可事業

2015年10月05日 | 会社法

           
 司法書士をやっていても,会社合併や会社分割は,それほど経験する仕事ではありません。それだけにこういう仕事が来たときには,より慎重に進めるようにしていますが,それでもどっきりさせられることがありましたので,備忘のために書きました。

 一般貨物運送事業という事業がります。これを会社の目的の一つとして会社を設立するには,特別な許認可は要りません。また,事業譲渡を伴わない,会社の目的変更で,一般貨物運送事業を目的に追加する 場合も特別な許認可は必要ありません。しかしいずれの場合も,実際に営業を開始するに当たっては,許可または認可が必要になります。。
  ところが,合併の場合は,一定の証明書が必要にるので,油断できません。
 (1)存続会社が登記簿上利用運送事業又は一般貨物自動車運送事業を目的としていて,かつ,当該事業の許可を受けている法人で,消滅会社も登記簿上利用運送事業又は一般貨物自動車運送事業を目的としていて,かつ,当該事業の許可を受けている法人の場合は,陸運局発行の「合併の認可書」が必要になります。
(2)存続会社が,①登記簿上利用運送事業又は一般貨物自動車運送事業を目的としていて,かつ,当該事業の許可を受けている法人あるいは,② 登記簿上利用運送事業又は一般貨物自動車運送事業を目的としているが,当該事業の許可を受けていない法人で消滅会社も登記簿上利用運送事業又は一般貨物自動車運送事業を目的としているが当該事業の許可を受けていない法人の場合は,陸運局の「認可を要しない旨の証明書」が必要になります。
  上記(2)の②の場合は,登記の目的に一般貨物自動車の運送事業が入っているだけで,実際には存続会社も消滅会社も実際は営業の許可を受けていないのだか当該会社からの上申書(営業の許可を受けていないむ旨の上申書)だけでいいのではないかと思ったのですが,依命通知はそれほど寛容ではありません。
 どのような合併の場合に「合併の認可書」あるいは「認可を要しない旨の証明書」が必要であるかは,登記研究552号の120頁を是非ご覧ください。こんな詳細な規定があるのかとビックリしました。
 なお,「合認可認可を要しない旨の証明書」のひな形は平成5年8月20日民四5554号に掲載されているそうです。恐らく「合併の認可書」のひな形も同号に記載されているのではないでしょうか。
 登記研究に書かれていたのは法人の合併の場合でしたが,会社の分割,あるいは事業譲渡にともなう目的変更の場合も,同じように陸運局の証明書が必要になると考えます。事業譲渡の場合は,『会社の事業目的』(商事法務研究会発行)119頁に説明があります。
 司法書士の皆さん(本当は自分に言っているのですが),目的に許認可が必要な事業が登記されている会社の合併,分割,事業譲渡にともなう目的の変更の場合は,くれぐれもご注意下さい。(そうです,これは自分へのメッセージなんです)。

コメント
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