Mio P560
今回の P560 レビューは、P560 での GPSログの取り方とその閲覧関係についてだ。ただこの分野についてはいろいろと長けた方が多いので、検索キーワードの参考にでもなればと思う。
用意するソフト
<PC側>
・
Super Mapple Digital Ver.8
PC用地図ソフトの1つ。詳細地図を持つので、GPS ログを地図上に見るには最も優れたツールだと思う。Pocket Mapple Digital には標準でついてくる(逆だけど)ので、利用されている方は多いかもしれない。
・
カシミール3D
データ形式変換、ログ管理、地図閲覧、写真のExifと位置情報の関連づけ、と豊富な機能を持つ必携ツール。
・
GPSBabel
データ形式変換ツール。GPX を扱えるので重宝する。
・
NMEA Monitor for windows
本来は GPS レシーバーからの NMEA データを可視化するツール。今回はおまけ用途で使用(後述)。
・
NMEA Generator Utility
位置を指定し、それを表す NMEA を生成するツール。今回はおまけ用途で使用(後述)。
・
Google Earth
特に説明の必要も無い、地球儀ツール。
・
trk2googlemaps & kml
GPS ログを読み込み、Google Maps で表示するための html を生成するツール。写真を読み込んで web album を作ることもできる。
<P560側>
・
Pocket Mapple Digital
PDA用地図ソフトの1つ。SDカードの容量さえあれば Super Mapple Digital と同等の詳細地図まで閲覧可能。
・
NMEA Monitor CE
GPS レシーバーからの NMEA データを可視化するツール。また NMEA ログの保存も可能。
・
VisualGPSce
NMEA Monitor と似たような用途のツール。より視覚的。
・MioMap
P560 標準のナビゲーションソフト。
・
GPX Logger for Mio
GPS レシーバーからの NMEA データを GPX 形式に変換し保存するツール。停止中などで記録する必要の無いデータは記録しないため、ログを小さくすることが可能。
・External GPS
OS 標準の、GPS中間ドライバ(GPS Intermediate Driver)設定ツール。
・Quick GPS Position/SeaSGEE
GPS による測位を早くするためのデータをネットワーク越しに取得する、P560 添付のツール。
・
SirfTech
搭載GPSチップの設定を閲覧・変更するためのツール。
・APLSiRF
搭載GPSチップの設定を閲覧・変更するためのツール。基本的には StaticNavigation のオンオフなので、安全のためには SirfTech よりはこちらを使うほうがよいかも。
<P560 で GPS レシーバーを使う>
事前準備
・Quick GPS Position/SeaSGEEで、GPS 測位を早くするデータをダウンロードする。インターネットに接続して「Download File」ボタンを押すだけで、数秒で完了する。
・External GPS で、GPS のプログラムポートを確認する。わたしの環境では COM4。
Pocket Mapple Digital Ver.8 での測位表示
・右下の方にある衛星ボタンを押すと設定画面が起動する。「機種」は「NMEA WGS-84タイプ」、接続ポートは「自動設定」とする。この設定にすると GPS 中間ドライバから測位結果を受信するらしい。
・この設定画面で、「GPS機器のNMEAログを保存する」にチェックを入れることにより NMEA ログを保存することも可能。ここにチェックをいれると、「実行」を押したあとにログの保存ファイル名と保存場所を聞いてくる。
MioMap での測位表示
・「メニュー」-「設定・ヘルプ」-「設定」で設定画面を出す。ポートは「COM4」(External GPS で確認したポート)にする。購入時はそのような設定になっているはず。
・「設定」画面で、「移動履歴を表示する」の右側にある空き地でタップを繰り返すと「NMEA」のチェックボックスが出現する。これにチェックを入れると、SD カードが装着してある場合は SD カードのルートディレクトリに NMEA ログが記録される(SDカードが無い場合もどこかに記録されていると思うのですが・・・)。
・上記の NMEA ログは、センテンスの先頭によく分からない番号が付くため、そのままでは他のツールに NMEA として扱われない。また何か(測位が途切れたとき?)のたびにファイルが分割される。
・COMポートを使う GPS ツールとは併用しない方がよさそう。
NMEA Monitor CE での測位表示
・「Option」-「Preference」で設定画面を出し、「COM Port」を「4」(External GPS で確認したポート)にする。
・NMEA ログの保存も可能。「File」-「Save As」で保存ファイルを聞いてくる。
・COMポートを使う GPS ツールとは併用しない方がよさそう。
GPX Logger でのログ保存
・GPS 中間ドライバから測位結果を受信するため、ポートの指定は不要。
・「Start」をクリックすると保存を開始する。「Stop」を2回タップすると終了。
・ログ保存場所の設定などは、別ツール(GPX Logger SE)で行う。とりあえず保存場所を設定するだけで、いい具合にログを取得してくれる。
複数ツールの同時使用
・上記の GPS を使用するアプリケーションは併用が可能。GPX Logger + MioMap、GPX Logger + Pocket Mapple Digital という組み合わせが一番ありそうで、この組み合わせでは試行済。GPX Logger を常に動かしながら、ログ取りを意識せずに、MioMap と Pocket Mapple Digital を使い分けることができる。また、GPX Logger + MioMap + Pocket Mapple Digital と起動させても、特に問題は起こっていない。
・NMEA Monitor + MioMap ではまともに測位できなくなるため、併用しない方がよさそう。
ログ取り用ツール
・P560 のGPS測位ログは、生の NMEA ログか、GPX Logger による GPX 形式で保存できる。
・位置情報のみが必要であれば、GPX Logger が最も効率的と思う。ただし位置情報のみしか保存できず、補足できた衛星の情報や、速度情報は保存されない。
・生のNMEAログが必要な場合は、NMEA Monitor で取得しておくのがよいと思う。ただし MioMap との併用はうまくいったことが無いので、MioMap を起動する場合は MioMap の機能で NMEA ログを保存するのがよさそう。
P560 GPS 測位の挙動
・デフォルトでは Static Navigation 設定が有効になっている。このため、徒歩時など移動速度が遅い場合に移動していないと見なされ、測位結果が変わらないことがある。そのままゆっくり移動を続けるとある所(30m程度)で移動したと見なされ、急に測位結果が移動する。結果として、ゆっくり移動を続けるとある一定時間ごとに30mずつ飛び飛びに移動したようなログが取れる。
・早歩き程度の速度での移動であれば、移動したと見なされ1sごとに位置が変わる。
・Static Navigation の有効無効設定には、SirfTech、MMSiRF、APLSiRF などのツールが必要。
・使ってみた感触では、車でのナビ時でも Static Navigation オフで問題無い。SirfTech などはあまり頻繁に使いたく無いツールであるため、Static Navigation はオフで使い続けるのが良いと思う。
・SirfTech の使用方法については、
別エントリに記載。
<ログ形式のサポートと変換>
・GPX は、カシミール3D、trk2googlemaps & kml、Google Earth などで読み込み可能。
・NMEA は NMEA Monitor for windows などでの GPS ログ再生に用いることができる。
・NMEA はカシミール3Dなどでも読み込むことができるが、その用途であれば一旦 GPSBabel で GPX に変換した方が扱いやすい。(そして、それなら最初から GPX でログを取った方が楽)
・NMEA - GPX の相互変換は GPSBabel で可能。その他形式もサポートしている。
・GPX から NMEA に変換する場合、「Filter」-「Tracks」の「GPS Fixes」で、「3d」を選択しておくこと。
・ログを Super Mapple Digital に読み込ませる場合のみ、一旦カシミール3Dを経由して Waypoint+ 形式(緯度経度形式はDEG)に変換する。これは Super Mapple Digital で世界測地系の GPS データとして扱うことができる(
参考ページ)。
<ログの利用>
・国内のログであれば、Super Mapple Digital で見ると、詳細地図で移動した軌跡が見えて分かりやすい(手順は上述)。
・ちょっと見るのであれば、カシミール3Dに読み込むのが一番手軽。ただしデフォルト状態で利用可能なインターネット経由の地図取得では、1/25,000 程度の縮尺しか利用できない。
・国外のログであれば、trk2googlemaps & kml を使用して html を生成すると、Google Maps で見られるので分かりやすい。もちろん国内のログでも可能。
・地図ではなく衛星写真でよければ、Google Earth で見るのが楽しい。GPX形式ログ(GPX Logger のログ、NMEA ログを GPSBabel で変換したログでもOKであることを確認済)を Google Earth にドラッグ&ドロップするだけでよい。
・写真に Exif で位置情報を埋め込む場合は、カシミール 3D が便利。ログと写真を使って web album を作ったり公開するなら、trk2googlemaps & kml。
<おまけ:P560で移動経路の再生をする>
P560 の MioMap や Pocket Mapple Digital で NMEA ログを再生する方法について記載したい。
PCでログを再生、Bluetooth の SPP を用いて P560 に送り、それを P560 で表示する方法だ。つまり PDA + Bluetooth GPS の構成で、Bluetooth GPS 側を PC に置き換えたというだけの話。
・必要な構成
P560 と PC が、Bluetooth で ActiveSync による接続ができていること。
・ログの準備
NMEA 形式ログで、MioMap を使う場合は $GPRMC(Recommended Minimum Specific GNSS Data) に位置情報が記録されていること。かつ、ステータスのフィールド(頭から2番目)が「A」(有効)であること。また、チェックサムが正しいこと。どのセンテンスが必要かはソフトによるので、動作しない場合は別のセンテンスでも試してみる。
・P560 側の設定
Bluetooth の発信ポートを、COM1~COM9 の間で設定する(COM0 は指定できないソフトがある)。わたしの場合は COM5 とした。
・PC 側の設定
ActiveSync の設定で、[ファイル]-[接続の設定]で、「以下のいずれかの接続を有効にする」のチェックボックスにチェックがあり、COM ポートの番号を指定しているはず(わたしの場合はCOM7)。その番号を記録した上で、チェックを外す。外さないと、P560 からの着信時、ActiveSync が動いてしまう。
・P560 側のソフト起動
Bluetooth をオンにし、PC と接続する。
ソフト(例えば MioMap)を起動する。ポート指定を Bluetooth の発信ポート(この例では COM5)を指定し、念のため一旦終了させて再度立ち上げる。
・PC 側のツール
PC 側に再生したい NMEA ログを用意。NMEA Monitor for windows を起動してポート(わたしの場合はCOM7)に接続し、ログを開く。
P560 側ソフト(例えば MioMap)で、NMEA に記録された位置を表示できれば OK。
NMEA Generator Utility や別のツールで作成した NMEA ログも使うことができる。GPX Logger のログを GPSBabel で変換した NMEA 形式データは MioMap で再生可能であることを確認済。
・用途
わたしの場合は MioMap のレビューを書くのに使っていますが・・・ 他に用途が思いつきません(苦笑)