Kiss Digital X ボディ(ブラック)
EOS Kiss Digital X (ボディのみ、ブラック)を購入した。Kiss Digital(初代)ユーザーであり、買い増しとなる。
ということで、Kiss Digital(初代)ユーザーから見た Kiss Digital X について書いてみたい。Kiss Digital N での向上も含まれているが、ご容赦いただきたい。
AF の精度も上がり、その他デジタル的な性能も大幅にアップしていて、購入してよかったと感じている。Kiss Digital(初代)からの買い換えには、30D やその他上位機種の購入予定が無ければだが、十分な価値があると思う。
まず購入の理由だが、筆頭として AF 性能の向上、がある。最近 Kiss Digital(初代)の AF 性能に不満を感じていて 30D の購入も考えなければいけないのかな、と思っていたところに Kiss Digital X の発表だ。AF は 30D と同等と言うので、俄然購入意欲をそそられた。
30D の AF 性能も不満という方もいらっしゃると思うが、Kiss Digital(初代)よりは良いものと考えている。現状 EF-S や TAMRON DiII の APS-C 用レンズが主力なので Kiss Digital か 30D しか選択肢が無く、その点で Kiss Digital が 30D と同性能の AF を搭載したというのはうれしい。
AF の関係では、F2.8 センサーの搭載も大きい。わたしは EF 50mm F1.8、EF 35mm F2.0、EF-S 17-55mm F2.8、TAMRON 28-75mm F2.8 と言った F2.8 もしくはそれよりも明るいレンズを持っているので、F2.8 センサーの搭載は魅力だった。
この点では Kiss Digital N と比較しても大きな優位性がある。
なお測距点の配置については、わたしは中央しか使わないことが多いので、あまり有効には使うことはできない。
試しに EF 35mm F2.0 で試用してみたが、AF 精度には確かに大きな差があるように感じられた。また Kiss Digital(初代)では後ピン傾向でバラツクことが多かったように思うが、Kiss Digital X ではほぼ合っているように見える。この点では、購入の意味は大きい。
そして、起動時間の短縮だ。0.2秒で起動でき、これは Kiss Digital(初代)(2.8秒らしい)とは雲泥の差だ。これだけ速いと全く使用感が異なり、安心して 30s のオートパワーオフを使うことができ、起動時のストレスも感じない。(ただし Kiss Digital N から 0.2 秒であり、この点では Kiss Digital N に対する優位性は無い)
連写性能も大きく改善されている。今回、最初の本番が鉄道写真ということもあり、連写性能の改善は大きかった。ただ秒間3コマで RAW 撮影をすると10枚までの連写が可能と、もちろん 30D ほどの性能は持っていない。何とうれしくなって調子に乗って連写をし、肝心のところで待たされてしって痛い目を見た。
これが JPEG(Large, Fine)だと27枚だ。Kiss Digital N の 14 枚に対しても優位性があるのはもちろん、Kiss Digital の 4 枚(2.5枚/秒)に対しては雲泥の差だ。
Kiss Digital(初代)で制限されていた機能の有効化も使いやすさの向上につながっている。一部はいわゆるロシアンファームで対応していたが、それでも不満が残っていた。例えば AF モードはロシアンファームを入れても応用撮影ゾーンでは AI Servo AF が使えず、時たま不便な思いをしていた。Kiss Digital X ではもちろん AF モードの選択は可能で、うれしい点だ。
ただ、ロシアンファームでは ISO 3200 の対応も可能であったが、Kiss Digital X では 1600 止まりなのは残念なところだ。
液晶のサイズアップは良い点ではあるのは確かだが、これにより表示パネルが廃止されてしまったことと、電池のもちが Kiss Digital N よりも悪くなってしまったことが気になる。予備電池を購入すれば済むことではあるのだが・・・
現状、基本的には液晶をオフにし、Kiss Digital(初代)で表示パネルで確認していた項目は、ファインダー内の情報で済む場合はそれで確認し、確認できない場合は液晶を表示させて確認している。また。電源オン時の液晶表示はカスタム機能で「電源<OFF>時の状態を保持」に変更している。
が、使いづらい。予備電池があるのだから割り切って表示してしまえばよいのだろうが。せめて、情報表示の場合と画像プレビューのときとで液晶表示の輝度を変えられてもよいかもしれない。
ピクチャースタイルの採用は、便利に使えそうだ。普通はスタンダードで撮影しておき、例えば風景をくっきりはっきり撮りたい、と用途が決まっているときには風景に変える、と言った利用方法になる。ただピクチャースタイルを DPP で使っていたときのことを考えると、下手をするとイメージとは異なる結果になってしまうこともありそうだ。スタンダードで撮影し、変えたいときには RAW で、というのが無難かもしれない。
一点問題として、ピクチャースタイルの状況が通常の「カメラの設定状態表示」では確認できない、というものがある(メニュー表示状態でDISPボタンを押せば確認可能)。実際、一旦ピクチャースタイルを変更して、そのまま忘れて写し続けてしまった、ということがあった。
最初に Kiss Digital X を触ったときには、シャッターに違和感があった。Kiss Digital X ではシャッター押すとプチッという感じで押し込まれ抵抗を感じるところで半押し状態になり、さらに押し込むとシャッターが切れる。Kiss Digital(初代)では、押し込むと若干の抵抗を感じつつ半押し状態まで進む。ここで大きな抵抗を感じ、さらに押し込むとシャッターが切れるため、最初は半押し状態が分からなかった。ただしばらく両方を取っ替え引っ替え使っていると、慣れてしまった。
これはボディー(特にグリップ)のサイズも同様で、最初に Kiss Digital X を持ったときには異様に小さく持ちづらく、しばらくこれを使って Kiss Digital(初代)を持つと今度は異様に大きく感じた。が、しばらく両方を取っ替え引っ替え使っていると、これも慣れてしまった。
撮影してみると、何となく Kiss Digital(初代)よりも明るめに写るという印象がある。ただ、気づかないうちに中央部重点平均測光に変わってしまっていて、そのためかもしれない。もう少し使ってみる必要がある。
この Kiss Digital X、データの処理速度がなかなかに速い。例えば RAW で撮影していてそれをプレビューする場合、Kiss Digital(初代)ではかなり待たされていたが、Kiss Digital X ではスムーズに表示される。起動時もそうだが待たされるというのはストレスを感じるので、こういう点が向上するのは良いと思う。
また、1枚撮影のモードでも、撮影のあとシャッター半押し状態に戻せば(離し切らなくとも)次の撮影に移れるようになった。これは使いやすい。Kiss Digital(初代)で同様のことを行いたければ、連続撮影のモードにする必要があった。
撮影後の処理に関しては、「1フォルダにファイル100個」という制約が無くなっている(9999枚になった)ことと、RAW ファイルのファイル名が Kiss Digital(初代の)「CRW_xxxx.CRW」から Kiss Digital X では「IMG_xxxx.CR2」に変わったことが挙げられる。前者はファイル整理での一手間が省けるし、後者も現像後に IMG_xxxx.JPG」に変更する手間が省けて、楽になった。
撮影には全く関係無いのだが、充電器がかなり小さくなったのもうれしい。例えば旅行のときなどには基本的に予備電池1個と充電器を持って行く。充電器はかさばるもののうちの1つなので、これが小さくなったことは良いことだ。
さて、Kiss Digital(初代)だが、恐らく売っても大した額にはならないので、そのまま持っておこうと思う。実際購入して最初の2日は異なるレンズを双方につけて撮影していたのだが、重いものの便利ではある。また何か問題が起きたときに Kiss Digital X を修理に出すにしても、予備があった方がよいだろう。
1010万画素については、個人的には今のところ不要だ。逆にファイルサイズが増えてしまって、扱いに苦慮する。画素数を落とした RAW 撮影、というのはできないのだろうか?
ところで。購入したパッケージ(ボディのみ)に入っていた電池だが、そこそこ充電されていて(電池チェックの表示上は3メモリ)、充電せずに試写できた。
最後に、今のところカスタム機能は Default から次のように変更して使用している。
・SETボタン/十字キー機能-1:SET:記録画質 (元々ピクチャースタイル変更が割り当てられているのだが、ピクチャースタイルよりも記録画質変更の方が使うと考えられるため)
・電源スイッチ<ON>時の液晶店頭-1:電源<OFF>時の状態を保持 (省電のため)