ひらけいメモBlog@goo

デジカメ・GPS・PC・デジタル家電などに関するニュースを扱っています。

エアーナビ AVIC-T10 vs EN-4500 (6)

2008-06-25 23:54:36 | GPS


 エアーナビ AVIC-T10 の購入レビューの6回目だ。
 今回は、ナビゲーションについての後編。

<施設検索>

 施設検索は、AVIC-T10 では住所3500万件、電話番号700万件。施設名検索は可能だが数は不明だ。
 EN-4500 では住所2200万件、電話番号1000万件、施設名200万件。
 ちなみにパイオニアのサイバーナビは住所3500万件、電話920万件。

 AVIC-T10 の検索数は1年前の PND と比べればどっこいどっこいで、住所を重要視するか電話番号を重要視するかといったレベルなのだが、4GB 搭載の最新版ナビと考えると、ちょっと首をかしげてしまう。上位のナビで電話番号920万件なのだから、検索対象数はそれと同等でよいのではないだろうか? ちなみに NV-SB360DT は住所3400万、施設名1000万、電話番号は個人宅を除けば1000万。これが最新 PND の指標ではないかと思う。

 周辺検索範囲は、AVIC-T10 は 8km、EN-4500 は 5km。まぁ大差は無い。

 次に、施設検索の方法について見ていきたい。

 最初は施設名検索。
 文字入力の方法は、AVIC-T10 も EN-4500 もケータイで一般的にあるような、「あ」のボタンを3回押すと「う」が表示される、と言った手法だ。また、双方とも入力できるのはひらがなのみだ(AVIC-T10 は登録する施設名などには漢字を使えたりするのだが、施設名検索時は読みを入力するので、ひらがなのみ)。
 このあたりは、大差無い。

 AVIC-T10 で検索をするには、文字を入力し「検索開始」を押す。次いでエリア(都道府県)を選択する。この時画面上には「あかさたな」が並び、千葉県を選びたければ「た」を押すと早い。エリアを選択すると検索結果施設一覧と地図が同時に表示された画面となる。該当しそうな施設を押すと、右半分の地図が切り替わる。
 検索結果では「詳細」を見ることもできる。具体的には、施設名、住所、電話番号が表示される。

 EN-4500 で検索をするには、文字を入力し「決定」を押すと、右側に検索結果の施設名一覧が表示される。その中から該当施設を選ぶと地図が表示される仕組みだ。

 EN-4500 は文字が小さい上に画面の使い方に無駄があり、あまり操作性はよくなかった。
 AVIC-T10 は反応の遅さをおいておけば、十分便利に使えると思う。特に検索結果の施設名一覧と地図が同時に表示される画面は、使いやすいかもしれない。

 ただし施設名検索で、AVIC-T10 には大きな操作上の問題がある。どういう訳か、上で説明したようにエリアをわざわざ選択しなければならないのだ。
 どういう思想でこうなっているのか正直よく分からない。作り手の立場から言えば、都道府県名を選択させることによって検索対象となるデータベースの範囲を狭め、検索を早くしようとしているのかもしれない。が、使い手の立場から言えば非常に使いづらい(都道府県名が分からないことが多いので)。
 同社の楽ナビでは、施設名検索時の絞り込み方法の1つして、エリア選択が用意されている。この方法でよいだろうと思うのだが。

 この問題がとても使い勝手を悪くしている。AVIC-T10 の名称検索機能はこの一点が惜しい。


 次に、電話番号検索について。これは双方とも電話番号を入れて検索するだけ。非常に簡単だ。個人的には、電話番号検索は入力が簡単だからこそ、検索対象数を充実させ使えるレベルにする必要があると思っている。

 AVIC-T10 の電話番号検索は、全ての番号を入力する必要がある(途中まで入れて一致検索はできない)。電話番号を入力し「検索開始」ボタンを押すと、検索された場所の地図と施設名称が表示される。施設名検索同様、詳細情報を表示させることも可能だ。

 EN-4500 の電話番号検索も、番号全てを入力する必要がある。入力後「決定」を押すと画面右側に検索結果の電話番号が表示される。それをクリックすると、該当する場所の地図が表示される仕組みだ。
 なお、EN-4500ではどういう訳か電話番号検索時に施設名称は出てこない。掲載した写真のように地図上に施設名の記載された施設ならばよいが、そうでないと本当に合っているのかどうかは分からない。

 電話番号検索は、AVIC-T10 の方が使いやすい。


 最後に住所検索。「千葉県習志野市谷津3-7-14」を検索するとしよう。

 AVIC-T10 では「た」行を押して絞り込み、まずは「千葉県」を選択。「な」行を押して「習志野市」を選択。「や」行を押して「谷津3」を選択。ここから先は絞り込むためのキーはなくなり、スクロールボタンを押して候補をスクロールさせながら「7」「14」を順に選択する。すると検索された場所の地図と施設名称が表示される。施設名検索同様、詳細情報を表示させることも可能だ。

 EN-4500 では「た」行を押してまずは「千葉県」を選択。「な」行を押して「習志野市」を選択。「や」行を押して「谷津」を選択。次いで「3丁目」を選択するが、ここには絞り込む仕組みはない。次に絞り込む側の「7」を押して絞り込み「7」を選択。最後に絞り込む側の「1」を押して絞り込み「14」を選択する。

 ここにも、AVIC-T10 の問題点が出てくる。なぜか、地番の入力時に候補を絞り込むことができないのだ。例に挙げた住所ならばさほど大変ではないが、1000番地まであるような場所を選ぶときには気が遠くなる。
 同社の楽ナビでは、地番はキー入力だ。なら同じ方法でもよいだろうと思う。

 この他の検索方法としては、AVIC-T10 の場合は「登録した場所」「ジャンル」「最近探した場所」「周辺施設」「マップコード」がある。
 EN-4500 の場合は「登録地点」「ジャンル」「最近検索」「周辺情報」「地図から検索」「緯度・経度」「目的地履歴」「登録ルート」「駅名検索」がある。
 この中で、AVIC-T10 に無くて困るのは、「駅名検索」だ。大ざっぱに場所を見つけるには駅名検索は便利で、EN-4500 ではよく使っていただけに、残念だ。
 同社の楽ナビでは、施設名検索時にジャンルによる絞り込みができる。これにより駅名検索と同等の検索ができるのだろう。


<経路検索>

 本格的には丸一日で500km強の走行でしか使っていない中ではあるが、大きな問題は無いと感じている。高速を含めてあっちへ行ったりこっちへ行ったりと何度か行き先を指定して検索してみたが、普通に使えるルートを出してきていると思う。
 もちろん変な経路を出すこともあるが、それは他の PND でもそうだろうし、今はまだ仕方の無いことだと思っている。
 ある程度走行したときの検索(例えばオートリルート時)では、進行方向に沿ったルートを優先的に出してくるようだ。ナビによってはUターンさせたり直近の交差点で曲がらせて逆方向に走らせようとするものもあるが、そういうナビとは一線を画するものだと思う(AVIC-T10 を他のナビと比べて、最も感心したのはこの点だった)。

 探索の種類は、「推奨」「距離優先」「幹線優先」で、それぞれに「有料道標準」と「有料道回避」があるので、6種類から選べる。実際どの程度違いがあるのかは別にして、選択肢で言えば EN-4500 の4種類(「おすすめ」「高速優先」「一般優先」「距離優先」)から比べると多い。
 この探索の種類のどれを通常使うかは、機能設定であらかじめ設定する。探索のモードを変えるには、一旦通常使用している条件で検索をかけたのち、改めて条件を変更して探索をすることになる。条件を頻繁に変える場合は使いづらいが、あまり変更しないのであれば問題は無いだろう。わたしの場合は有料回避はよく使うので、ちょっと面倒かもしれない。
 経由地は5ヶ所設定可能。NV-SB250DT では各経由地ごとに探索条件を指定できたが、AVIC-T10 では EN-4500 同様、全てに同じ探索条件が適用される。もちろん NV-SB250DT のように細かく指定できれば、ある場所までは必ず一般道で走行し、その先は高速も使う、という条件設定ができるので便利ではある。が、AVIC-T10 や EN-4500 のように一括指定でも、まぁそれほど困る訳ではない。

 経路探索の早さやリルートの早さには、大きな問題は感じず十分に早いと思う。EN-4500 では経路が複雑になると極端に経路探索が遅くなり、同様にリルートも遅くなるという問題があったが、AVIC-T10 ではそのような遅さは感じない。
 しかし正直なところ、「早い」というキーワードで AVIC-T10 をほめられるのは、この点くらいなものだろうか・・・

 参考までにだが、検索の時間を書いてみたい。
 例えば勝沼ぶどう郷駅~羽生駅間。AVIC-T10 では5秒程度。EN-4500では1分程度かかった。
 銚子駅~小山駅間。AVIC-T10では7秒程度。EN-4500では1分55秒程度かかった。
 こんな具合に、ルート探索は AVIC-T10 が圧倒的に早い。


<地図スクロール>

 ここでは、AVIC-T10 の大きな問題点の1つ、地図スクロールについて挙げておきたい。
 地図のスクロールは AVIC-T10 も EN-4500 も、タップした場所が中心になるように移動する形だ。個人的にはタップしてドラッグする地図方式の方がわかりやすいと思っているので、そういう点では両方ともイマイチではある。

 EN-4500 では基本的に、タップすると瞬時に地図が移動する。動作は軽快だ。
 AVIC-T10 では、タップして移動が完了するまでに1秒はかかる。反応は鈍く、正直なところ常用できる反応速度ではない。一応はタップし続けるとその方向に移動し続ける機能はあるので、これをうまく使うしかないだろう。


<昼夜表示>

 昼モード、夜モードの画面切り替えは、AVIC-T10、EN-4500 ともに時刻による。オートディマーはついていない。
 ただ、AVIC-T10 の場合は、昼モード、夜モード、電池使用時、それぞれに液晶の輝度を設定できる。EN-4500 では全て一律だ。このあたり、AVIC-T10 のキメは細かい。

 パイオニアの6万もするカーナビにオートディマーがついていないのは、残念ではある。ちなみに NV-SB250DT にはついていて、便利に使えた。


<デモ走行機能>

 AVIC-T10 にはナビゲーションのデモ走行機能がついている。これを何に使うのかと問われれば、実際のところはこのようなレビューにしか使わないのだが(苦笑)
 AVIC-T10 のデモ走行機能は、速度が可変だ。これは EN-4500 も同様。ただ体感では最大速度まで上げても大して速くないので、もう少し速く設定できるようにして欲しい。
 巻き戻しや案内地点へのジャンプなどの機能も欲しいところではある。

 このあたりは EN-4500 も同様で、速度は可変だ。


<VICS>

 AVIC-T10 の大きな利点の1つは、VICS 相当の渋滞情報に加え、パイオニアのスマートループによる渋滞情報が使えることだろう。
 従来はケータイ NAVITIME による VICS 渋滞情報を利用していたが、このシステムでは情報の無いところも渋滞していないと認識してしまい、渋滞回避をしても渋滞につかまってしまうことが少なくない。
 なので、スマートループによる渋滞情報には期待しているところだ。
 また、ネットワーク経由の VICS 渋滞情報はFM多重・光・電波ビーコンを合わせた情報を得られるものだと思っているのだが、どうなのだろうか?(楽ナビのマニュアルを見ると、少なくともビーコン同等の情報ではあるらしいが?、他機種では本体内蔵らしい FM VICS 相当情報はどうなのだろうか)
 ただ、実際のところ本当に使えるのかは、7月に予定されている通信サービスが始まってみないことには、何とも言えない。

 EN-4500 は渋滞情報を得る仕組みは無い。


<運転中の制限>

 AVIC-T10 はクレードルに設置された場合、GPS 測位結果で時速5km以上の速度が出ていると検知された場合、制限がかかる。具体的にはワンセグが見られなくなったり(音は聞こえる)、複雑な操作ができなくなったりする。
 なお、自宅でもクレードルに置いてしまうと、同じように制限がかかる。家の中は GPS での測位にとっては厳しい環境であり、ちょっと測位結果が狂うとナビにとっては移動したように見えてしまうので、ワンセグを見ている途中にいきなり映像が止まる、ということがあるかもしれない。
 その回避策はあるとのこと。

 EN-4500 は起動時に助手席ナビか運転手の使用かを選択することができ、助手席ナビであれば制限はかからない。ワンセグ視聴については特に制限は無い。

 望ましいのは EN-4500 のように使用者の責任で決められることだと思う。が、AVIC-T10 の方法でも構わないと思っている。
 面倒なのはミニゴリラ NV-SB250DT のようにパーキングブレーキ結線を要求するものだ。持ち運びが便利な PND なのになぜパーキングブレーキに線を接続しないといけないのか、理解に苦しむ。


<総合的な使い勝手まとめ>

 最後にまとめとして、総合的な使い勝手について書いてみたい。

 これは購入時からずっと書いていることだが、AVIC-T10 の最大の問題は、レスポンスの悪さだと思う。一番ひどいのは地図のスクロールで、これは使う気を削ぐほどのレスポンスの悪さだ。また、地図の拡大・縮小もとてもレスポンスが悪い。
 地図描画のみが遅いのかというとそうでは無く、ボタンをタッチしたときの反応も悪い。
 UIは、使用者の満足感に大きく影響を与えるものだろう。このレスポンスの悪さは、満足感を大いに低下させていると思う。

 もうすぐアップデートがあり音量が小さい問題は改善される見込みだが、レスポンスの改善はハードウェアの制約もあるだろうし、かなり難しいと考えざるを得ない。

 その他、細かいところを挙げると、このレビューで記載したようにいくつかの気になるところがある。
 エアーナビは、楽ナビのマニュアルを見る限りではこれと似ている点も多い。そしてエアーナビの使いづらさの1要因は、これら同社ナビの機能を移植するにあたり、取捨選択を間違ったことにあるのでは、と思えてならない。
 例えば、前回のレビューで「○○m先右方向、その先左方向」といったような案内が無い、ということを書いた。今、楽ナビのマニュアルを見ていると、一般道路走行時にこのような案内があることが明記されている。そしてエアーナビでこのページに相当する部分を見ると、確かにそのような案内が省かれて記載されている。そんな具合だ。

 実際に使ってみると、カーナビゲーションとしての基本機能は十分使えるレベルにあると思う。それだけに、レスポンスの悪さと一部UIの使い勝手の悪さが、とても惜しい。
 使いづらい UI も、アップデートで何とか改善できないだろうか?


 韓国製ナビの1つである EN-4500 と比べると、ナビとしての使い勝手の面では EN-4500 の方が上のように感じる。もちろんこれまでのレビューで挙げたように AVIC-T10 の利点も多くあるのだが、比べてみると EN-4500 はよくできていると改めて思うし、ルート探索を除けば動作は軽快で、この軽快さは AVIC-T10 を使った後だとさらに快適に感じる。
 ちなみにこの EN-4500 よりもミニゴリラ NV-SB250DT の方がカーナビとしての使い勝手の面ではよかった。
 しかし、ミニゴリラはちょっと価格が高いし、パーキングブレーキ結線があって PND なのに PND としての考え方に難がある。AVIC-T10 の使い勝手が普通によければ、発表されたときに期待したように、PND ではそこそこに売れる機種になったかもしれないし、PND 全体の価格低下に寄与したかもしれないのだが・・・


(電話番号入力)


(検索結果)


(検索結果から詳細情報を閲覧)


(施設名入力)


(施設名検索時のエリア指定)


(施設名の検索結果。ここで決定すると電話番号の検索結果とほぼ同一の画面となる)


(施設名検索結果の、詳細表示)


(住所入力1)


(住所入力2)


(住所入力3)


(住所入力4)


(住所入力5。この後は電話番号の検索結果同様、地図表示画面となる)
コメント