ちいさなちいさな いのりのことば

 * にしだひろみ *

『あめが ふるとき ちょうちょうは どこへ』*わたしの本棚*

2015年06月24日 | Weblog

一冊の絵本があります。


『あめが ふるとき ちょうちょうは
どこへ』



サファイアブルーのうっすらとした絵と、穏やかで優しい言葉が少し。

本全体が、霧雨そのもののよう。







雨が降るとき蝶々はどこへ?


読者への問いかけではじまります。





次に、ほかの動物や虫たちが、雨が降ったらどうするのか、その行動を振り返ります。


なるほど、なるほど、

見たことはないけれど、想像ができるものばかり。






でも、蝶々は・・・?

わたしにも、わかりません。




興味をひかれ、読み進めていくと、



“でも、ちょうちょうは
どこへいけば みつかるのかしら。
わたしは、あめのとき
そとで ちょうちょうをみたことが
ないのですもの。

みなさんは どうかしら。”



本は、終わってしまうのです。

こたえのないままで。









作者の目的は、雨が降るときの蝶々の様子を伝えることではないのですね。

作者の願いは、終わりから2ページ前の、この言葉にこめられています。




“あめが こぶりになったら すぐに、
わたしは そぉーっと きのところへ
いってみようと おもうの。

きっと きにとまっている
ことりが みつかって、
あめのとき、ことりが どうしているのか わかるのではないかしら。

それに、たぶん ちょうちょうも
みつかると おもうの。
そうすれば ちょうちょうが
あめのとき どうしているのか
わかるのではないかしら。”






自然へと、そっと、子どもたちをいざなう美しい本。

絵も素敵ですし、文章も、翻訳も本当に素敵です。





先日も、雨の日に開いていたら、

わたしが本を閉じるのを待って、息子が言いました。


“ぼく、しってるよ。
雨の日の蝶のこと。”




その後わたしは、わからないままだったこの謎を、息子から教えてもらいました。


わからないままでもよかったかもしれませんが・・・

わかってみると、心打たれるものですね。






あめがふるとき、ちょうちょうはどこへ?


長い雨の日に、こんな問いに心委ねてみるのも、素敵です。













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