ちいさなちいさな いのりのことば

 * にしだひろみ *

極上の本*日々のつれづれ*

2017年08月01日 | Weblog

少しずつしか読めない、そんな本に、時々、出逢います。


一語一語、噛み締めながら読む本。

そうしないと、溢れ出して、消化できないような本。

少し読んでは、ため息をついて、本を閉じて、

少しして、また開いて。


家で読んでも十分素敵なんだけど、

森のなかや、静かなカフェで読んだら、どんなにいいかしら・・・。

そんな本。



例えば、この一冊。



『詩の樹の下で』(みすず書房)
長田弘 著


(いつかは私の本棚にも・・・と想いながら、図書館から借りて読んでいます。)




「大きな木から下げられたブランコは、漕げば漕ぐほど木の影のなかへ、じぶんが音もなく没してゆくような感覚に引き込まれる。

木のなかへ、木の時間のなかへ、木のひろがりのなかへ、意識が浮き上がっては、またすぐに沈んでゆく。

(中略)

木のブランコをずっと漕いでいてはいけないのだ。

われを忘れて漕ぎつづけていると、きっと自分を見失ってしまう。」


(「ブランコの木」より)





幼いころ、たのしくてたのしくて、でもちょっとだけ怖かった、あの感覚を、

この人は、なんと的確に表現するのでしょう。



ああ、わかる・・・

そうなの、

きっとそうなんだわ・・・


何度もため息をつきました。




ようやく半分ほどまで読んだ、昨日、

パタン、と本を閉じました。



続きは、どこか、素敵な場所で・・・。


素敵な本を読んだ、素敵な記憶を、より素敵に仕舞いたくなったのです。











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