むかごの日記Ⅱ

70歳を過ぎてにわかに植物観察に関心を持ち、カメラを提げて、山野を歩いています。新・むかごの日記より引っ越しました。

ハチク:淡竹(不思議な形の若い筍) 

2015-05-30 07:47:44 | 植物観察記録

土の中から一瞬猟奇事件か思わせる人間の手首状のものが突き出ていました。
よく見ると土から顔を出したばかりのハチク:淡竹(イネ科モウソウチク属)の筍でした。
節ごとに互生する竹の皮がまだ広がらず筍の先端にかたまって水平に並んでいるのが、ちょうど人間の手の指のように見えていたのです。
ハチクは、もともと原産地の中国から渡来し、本州から九州に植栽されたものが広がったとされますが、山中に野生化したものがあるので、もともと日本に自生していたという考えもあります。
マダケより一回り細いハチクは材が緻密で粘りがあるので、茶筅やすだれなどに用いられ、モウソウチクヨリ少し遅れて出てくる筍は、香りがよく、モウソウチクの筍より美味という人もいます。
少し隣に伸び始めた筍があり、普通の形をしていたので何やらほっとしました。

ツルガシワ:蔓柏(大きい葉のつる)  

2015-05-27 09:03:15 | 植物観察記録


植物園に大きな葉をつけたつる植物があり、上の方に小さい紫色花がかたまりになってついていました。ツルガシワ:蔓柏(ガガイモ科イケマ属)です。
本州、四国の山の木陰に生える多年草で、茎は60~100㎝、下部は直立し、上部はつる状になります。長さ2~6㎝の柄があり、葉は長楕円形で長さ12~28㎝と大型で、まばらに毛があります。
花は6~8月、花冠は径6~8㎜で5裂に、裂片の内側には綿毛があります。
和名はカシワ(柏)に似た大型の葉を持つつる植物ということからきています。

ニワフジ:庭藤(イワがニワに?) 

2015-05-26 08:39:16 | 植物観察記録
center>ニワフジ:庭藤(マメ科コマツナギ属)が咲いています。
本州の中部地方、近畿地方、四国、九州に分布し、もともとは渓流沿いの岩場に生える小低木ですが、今では野生種にはなかなかお目にかかれなくなり、見かけるのはもっぱら庭先などに植えられているものです。
イワフジ:岩藤の別名があり、ニワフジの名もイワフジから転訛したともいわれています。
根元からよく分枝して高さは30~60㎝、細い枝に奇数羽状複葉が互生します。小葉は4~6対、長さは2.5~4cmの長楕円形で薄くて柔らかく裏面は白っぽくなります。
5~6月紅紫色の蝶型花が長さ10~20㎝の花穂にびっしりつきます。

ハナミョウガ:花茗荷(やはり実より花) 

2015-05-25 06:51:07 | 植物観察記録
ハナミョウガ:花茗荷(ショウガ科ハナミョウガ属)の花が咲いています。
このブログで検索すると2度取り上げていましたが、いずれも冬の赤い実の磁気で、花時に見てみたいものだなどと書いていました。(’07年12月21日記事)
暖地の林の中などに生える常緑の多年草で、高さは30~60cm、根茎は分枝し、茎の節には鱗形状葉があります。長さ15~40cm、幅5~8cmの広披針形の葉の裏面には軟毛が多く、ビロードのような手ざわりです。
5~6月、10~15cmの花穂を立て、白地に赤い筋の入った卵形の唇弁の花をつけます。
晩秋、長さ1.5cmほどの広楕円形で赤色の果実を熟します。中にある種子を伊豆縮砂と呼び健胃などに用います。
冬の赤い実も印象的ですが、ショウガの仲間としては珍しい赤と白のしゃれた花は、花茗荷の名に恥じないものでした。

ナツロウバイ:夏蝋梅(夏に咲く蝋梅)   

2015-05-24 08:31:06 | 植物観察記録

亀岡市大本花明山植物園に見慣れない木の花が咲いていました。
名札にはナツロウバイ:夏蝋梅(ロウバイ科)とありました。
中国原産のロウバイ科ナツロウバイ属の落葉低木で、5~6月、枝先にクリーム色と黄色の半八重咲きの花をつけます。
原産地の中国浙江省では山岳地帯植物とされ、中国名は夏梅(シャラメイ)、いまでは絶滅危惧種に指定されているといいます。
この植物園への導入経路がタキイ種苗店からだというナツロウバイ、情報は不足していますが、きれいな花なのでもう少し広がってもよい気がします。


サンインクワガタ:山陰鍬形(名前のの由来は果実の形) 

2015-05-23 09:38:23 | 植物観察記録

高槻北部の川沿いを歩いているとき、足元にごく小さい花をつけた草の一群に気が付きました。
しゃがみこんでよく見ると、クワガタソウ(ゴマノハグサ科クワガタソウ属)のようです。撮って帰った写真と図鑑を見比べますと、クワガタソウに比べて鋸歯が鈍くて高さも低く、草丈も低いなどから
昨年岡山県立森林公園で見かけたサンインクワガタ:山陰鍬形だと判断しました。
サンインクワガタは、京都~島根の山地の木陰に生える多年草で、茎は長く這い、立ち上がって高さ5~15cm。葉は卵形で、低い鋸歯があって対生し、上部のものは大きく長さ2~3cmになります。
花期は5~6月、上部の葉腋に短い花序を出して数個つき、直径0.8cm、花冠は薄桃色の皿形で4裂します。
以前は、鍬形の名は対になって向かい合う雄蕊の形からかと思っていましたが、図鑑では萼片のついた三角状扇形の果実が兜の鍬形に似ているところからきているといいます。
花のあとしばらくしてもう一度会った時には緑色の若い果実ができていました。透き通って見える果実は確かに鍬形をつけた兜のように見えていました。


キイイソギク:紀伊磯菊?(岬に生えるのは純正種?)    

2015-05-20 14:38:19 | 植物観察記録

志摩半島麦崎灯台の足元に、特徴あるふちと裏面が白い葉をもつイソギク:磯菊(キク科キク属)が生えていました。
海岸の崖などに生える多年草で高さは20~40㎝、頭花は小さく、筒状花だけでできており、黄色が鮮やかで美しく古くから栽培されてます。
葉は密に互生し、長さ4~8㎝、幅1.5~2.5㎝の倒披針形で、上半部はや浅く切れこみ、裏面は銀白色の毛に覆われ、表面のふちも白く縁どられます。
イソギクは、図鑑では千葉県の犬吠岬から静岡県の御前崎までの海岸に生えるとなっており、シオギクの変種のキイシオギク:紀伊塩菊が三重県志摩半島の大王埼から紀伊半島をめぐって和歌山県の日の岬まで生えるとありました。シオギクは栽培菊との交雑種や、キイソイギクとリュウノウギクとの雑種、さらには日御碕付近ではキイシオギクとシマカンギクとの雑種と見られるヒノミサキシオギクなど交雑が進んでいるそうですが、大王埼に近い志摩半島の突端に生えていたのはキイシオギクと思いたいところですが確証はありません。


ハマアザミ:浜薊(牛蒡の元祖?)     

2015-05-19 19:37:36 | 植物観察記録
志摩半島のいくつかの灯台を廻っているとき、あちこちでいかにも海浜植物らしい厚くて光沢がある葉のアザミを見かけました。
ハマアザミ:浜薊(キク科アザミ属)です。案内していただいた方から昔はこの根を食べたものだと聞きましたが、そのとおり別名はハマゴボウで地中に深く伸びる根は食用にされます。
太平洋岸の砂地に生える多年草で高さは15~60㎝、ふちに鋭いとげをもつ葉は厚くて光沢があり、根生葉も茎につく葉も長さ15~35cmで羽状に深裂します。
花は7月から12月ごろまで咲き、基部にある4~7個の葉状の苞が目立ちます。

ヒメユズリハ:姫譲葉(本籍は海岸地) 

2015-05-18 09:15:51 | 植物観察記録

志摩半島、今では少なくなったという真珠養殖筏が浮かぶ英虞湾をのぞむ小さい公園の柵外にヒメユズリハ:姫譲葉(トウダイグサ科ユズリハ属)雄木があり、地味な花をつけていました。
団地の海岸近くに生える常緑高木で、高さは5~12mになります。ユズリハに比べて葉はコンパクトで庭や公園にもよく植えられています。昨日のカジイチゴもそうですが、街でなじみの木も本来の分布地で見かけると好ましくて嬉しくなります。
葉は枝先に集まって互生し、長さ6~12㎝の狭い長楕円形で、表面は光沢のある深緑色、裏面は緑白色、
ユズリハに比べて小型ですが、その割に葉柄はながく、葉の長さの半分ほどもあります。
雌雄別株で花弁はなく、小さな萼片が雄花でふつう4個、雌花で3~5個あります。
写真は雄花で褐紫色の葯が目立ちます。

カジイチゴ:梶苺(本来の自生地で見た) 

2015-05-17 10:53:29 | 植物観察記録

志摩半島最南端の麦崎灯台の近くにカジイチゴ:梶苺(バラ科キイチゴ属)が、黄色い実をつけていました。
人家の庭先に植栽されているのをときどき見かけますが、本来の分布地は州関東から近畿までの太平洋岸や伊豆諸島など海岸か沿海地となっています。内陸の庭や公園にふつうに植栽されている植物を本来の自生地で見かけるのは何やら懐かしい感じで嬉しいものです。
高さ2~3mほどになる落葉低木で、和名の梶苺は、葉の形がカジノキに似ていることからきています。木苺にしては葉が大きいにしても、葉の形や質感は、必ずしもカジノキの葉に似ているとは思えません。
若枝にとげがあり、葉柄、花序にある腺毛、軟毛も古くなるとなくなります。
花は晩春、径約3cmで、白い花を横向きに咲きます。
初夏に熟す黄色の果実は、よそ様の庭のものでは味わうことができませんでしたが、自生地の麦崎では遠慮なくいただきました。大きい葉の割には小ぶりの苺でしたが、なかなかいける味でした。