むかごの日記Ⅱ

70歳を過ぎてにわかに植物観察に関心を持ち、カメラを提げて、山野を歩いています。新・むかごの日記より引っ越しました。

ジャノメエリカ:蛇の目エリカ(荒野を彩る?) 

2016-02-27 15:44:26 | 植物観察記録

公園にジャノメエリカ:蛇の目エリカ(ツツジ科エリカ属)が紅紫色の花をつけています。
エリカは南アフリカ、ヨーロッパ原産の常緑の低木で、数百種類の原種が分布し、花形は筒形からつぼ形、球形などさまざまです。ヨーロッパではヒースランドと呼ばれる荒野に自生する木として知られ、また詩や小説などの文学作品にも登場して独特の世界観を与えています。中でもエミリー・ブロンテの長編「嵐が丘」では、ヒースが生える厳しい荒野を舞台にして展開される暗鬱なストーリーでよく知られています。
エリカは園芸上通称ジャノメエリカとよばれ、日本に輸入されたのは大正時代とされます。
小枝がこんもりとよく分枝し、杉の葉状の葉は小さく、11月頃から春にかけて枝先に咲く花は、長さ4㎜の細かいピンクのつぼ形で、中心に黒色の葯があり目立ちます。園芸種としては様々な花色があります
和名は小さい花から覗く黒い葯が蛇の目に見えるところからきているといいます。
また属名のEricaはギリシャ語の「ereike(裂ける)」に由来し、この植物に胆石を砕く薬効があるから、またはギリシャ語の「erion(軟毛)」の意でこの植物に軟毛のある種類が多くあることからといわれています。
それにしても、ヒースランドと呼ばれる荒野に多いというヒース(エリカ)が、こんなにかわいい花であるのかどうか、一度確かめてみたいものです。

ツバキ・Rozae flora(世界最小?)

2016-02-25 14:12:53 | 植物観察記録

服部緑地公園でごく少輪のツバキがありました。ガイドさんの話では世界最小のツバキということでした。ほとんど平開しない花の長さを測ってみますと花弁の長さは2㎝に満たないものでした。
名札には。Rozae Flora とありどうやら舶来もののようです。
ツバキでいえば縮み思考の日本ではワビスケなど小型のものが好まれるに対し、日本原産の花卉類が海を渡ると普通は大きく派手な花になって帰ってくるものなので、海外でも小型思考の改良がおこなわれることもあるのだなと思ったりしました。

オオシロショウジョウバカマ:大白猩々袴 (南西諸島で減少)

2016-02-24 09:08:46 | 植物観察記録

植物園の湿地にオオシロショウジョウバカマ:大白猩々袴(シュロソウ科ショウジョウバカ属)が咲いていました。
徳之島、沖縄島北部、石垣島、西表島に分布し、渓流沿いの水がしみ出た岩の壁面や、滝の周辺など湿った岩盤に生える常緑の多年草で、葉の大きさが15cmほど、花の高さが約10cm、花は白く、淡い薄紫色が混じります。
全国的に分布するショウジョウバカマの花色は淡紅色から濃紅紫色、茶色など多彩ですが、(‘09年4月17日記事)
変種にシロバナショウジョウバカマと名がついたものもあります。(‘10年4月16日)南西諸島に分布するオオシロショウジョウバカマは個体数が少なく、環境省、沖縄でのRDBでは絶滅危惧種Ⅱ類に分類されています。



マツバラン:松葉蘭(江戸古典園芸で人気) 

2016-02-23 12:41:33 | 植物観察記録

植物園にマツバラン:松葉蘭(マツバラン科マツバラン属)が胞子葉を伸ばし、丸い胞子嚢をいっぱいつけていました。
マツバラン科の小形の常緑性シダ植物で、暖地の岩上や樹上に自生し、束生し高さは10~30㎝になります。
茎だけで葉も根ももたず、胞子体の地上部は茎だけで、茎は半ばから上の部分で何度か2又に分枝します。先端部の分岐した枝の側面のあちこちに粒のような胞子嚢をつけ、嚢は3つに分かれており、熟すと黄色くなります。
胞子体の地下部も地下茎だけで根はなく、あちこち枝分かれして、褐色の仮根が毛のように一面にはえており、菌類が共生していて、菌根となっています。
今では好事家の間だけで栽培される松葉蘭ですが、江戸時代には、斑入りや形変わりなどが、いわゆる古典園芸植物の一つとして、イワヒバ、セッコク、フウラン、ヤブコウジなどとともに、人気を呼び大いに、珍重されました。
幕末前後に来日した多くのプランハンターたちが、これら矮小品のジャンルは、日本人独特の美学として驚いたとことが伝わっています。
各地で自生が見られなくなっており、絶滅が危惧されている植物になっています。

スノードロップ (雪の名で春を呼ぶ)

2016-02-22 17:22:10 | 植物観察記録
長らく冬眠状況でしたが、急に暖かい日が来て久しぶりで公園へ出かけました。
一面落ち敷いた枯葉の中にスノードロップ(ヒガンバナ科ガランサス属)が可憐な白い花をつけています。
冬の終わりから春先にかけ花を咲かせ、春を告げる花として知られています。
花は白で、3枚ずつの長い外花被と短い内花被を持つ六弁花で、夜になると花を閉じるのは、昼間吸収した温かい空気を保存するといいます。
早春の風に身を寄せ合うように咲いている一群のスノードロップは、すぐ近くの春を呼んでるようでした。