むかごの日記Ⅱ

70歳を過ぎてにわかに植物観察に関心を持ち、カメラを提げて、山野を歩いています。新・むかごの日記より引っ越しました。

サデクサ(粧う果実) 

2013-11-28 09:03:45 | 日記

枯れ草の枝先になにやら小さい紅色の蕾のようなものがついていました。
季節的に蕾であるはずがないと近づいていてよく見るとどうやらサデクサ:摩草(タデ科タデ属)の果実のようです。
花期は7~10月、枝先に白い小さな花を数個ずつ集まってつけます。花のあと花被が紅色になって褐色のそう果を包んでいるのです。
イヌタデなどに見られるようにこの仲間が、赤い花被が花のあとも残ってそう果を包むのは、すでに終わった花も、その赤い色でまだ咲いている花のための宣伝看板になっていると考えられています。
せっかくの看板も肝心の花が終わっていては意味がないのですが、それはそれで奇妙な美しさがありました。
サデクサは沼地などの水辺に生える1年草で、高さは30~100㎝、には下向きの鋭い刺があります。
葉に面白みがあり、長さ3~8㎝、幅2~7㎝の鉾形の葉は、基部が耳状に左右にはりだし十字槍のようになります。托葉鞘の形が変わっていて上部が葉状に広がり先が粗く切れ込むのがこの草の特徴になっています。

ツルグミ:蔓茱萸(蔓で垂れる)

2013-11-15 16:32:51 | 日記

ツルグミ:蔓茱萸(グミ科グミ属)が花をつけていました。
本州福島県以南から琉球、台湾、中国の暖帯に分布、山野に生えるつる性の常緑低木。高さは1.5m~2mで、幹は長い枝を分枝し垂れ下がり、小枝は逆枝につきます。
枝も葉裏も赤褐色の星状鱗片を密生し、互生する葉の長さは4cmぐらいで卵状長楕円形になります。
10~11月に咲く花は葉脇に数個垂れ下がり、淡褐色、萼筒は細く、長さ4~6cm、基部に向かって次第に細くなります。
グミの仲間は長く伸ばした枝が自然に垂れ下がることが多く、ツルグミと区別しにくいことがありますが、垂れ下がった枝から出る小枝が上向いて伸びることで判断するとよいようです.

マルバノホロシ:丸葉のほろし(足元で区別)

2013-11-14 10:00:13 | 日記
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山道に赤く光る実を沢山つけて垂れ下がっていたのがマルバノホロシ:丸葉のほろし(ナス科ナス属)です。
本州、四国、九州および琉球の山地に生える多年草で、茎はまばらに分枝し、つる状になって広がります。ヤマホロシに似ていますが、葉は茎とともに無毛で、ヤマホロシの基部の葉が3~5片に深く切れ込むのに対し、マルバは切れ込まず、このことが和名の由来となっています。
秋実る果実は液果で、径8~10mm、紅色の球形で有毒です。

シロシキブ:白式部(白いコムラサキ)

2013-11-13 10:09:57 | 日記

庭に植えたシロシキブ:白式部(クマツヅラ科、ムラサキシキブ属)が名のとおり白い実をつけています。一昨日園芸店ではコムラサキをムラサキシキブとして売っていると書きましたが、その伝で単に白い実がなるからシロシキブとしているコムラサキの変種と思っていました。
ところが、念のために手元の図鑑であたって見ますと、ムラサキシキブの項に“果実の白いものをシロシキブという”とあります。
意外に思って庭に出て確かめますと、ムラサキシキブと区別するときのコムラサキ特徴である葉の鋸歯が上半分にあり、花序の柄が葉脇より上についています。
どうやらその図鑑はシロシキブをコムラサキの変種とするべきところを間違ってムラサキシキブの変種としてしまったようです。
シキブというなに幻惑されたのかもしれません。ちなみに式部を辞典で引くと②として女官の呼び名とあり、色には関係ないもののようです。

ムラサキシキブ:紫式部(“紫式部”に負けないムラサキシキブ)   

2013-11-10 09:56:08 | 日記

今年は当たり年なのか、豊作の木の記事が続きます。
高槻北部川久保の上流にもムラサキシキブ:紫式部(クマツヅラ科、ムラサキシキブ属)が例年にないほど見事な紫色の果実をつけていました。
ムラサキシキブは丘陵や低い山にふつうに見られる落葉低木で、高さは2~3mになります。
優美な紫色の実を紫式部の名を借りて美化したといわれるとおり、花はごく地味ですが、秋、葉の付け根につく紫色の実は、葉が落ちたあとも枝に残りとても美しいものです。
園芸店で売られ、庭によく植えられている“紫式部”といわれるものは、多くは正しくはコムラサキシキブ(小紫式部)別名コシキブ(小式部)で、園芸種だけあって実付きはよいのですが、ムラサキシキブの実つきは必ずしも良くなく、日照や気候条件、地質などが関係するのか、このようにたくさん実をつけるのはむしろ珍しい感じがあります。
園芸店がコムラサキをムラサキシキブと偽表示する営業上の都合でしょうが、本物よりも小ぶりで形も実つきもよいのですから、今問題になっている食品の偽装ほどは実害もなく、目くじらを立てるのも大人気ないというところでしょうか。

ウラジロノキ:裏白の木(今年は豊作?)

2013-11-05 17:12:18 | 日記

西宮北口近くの小山・丸山の遊歩道にウラジロノキ:裏白の木(バラ科ナナカマド属) が何本か枝いっぱいに赤い実をつけていました。
山地に生える落葉高木で高さは10~20m、5~6月枝先や葉腋から複散形花序をだし直径1~1.5cmの白い花を多数つけます。
葉の裏が白い綿毛におおわれるのでこの名があり、広楕円形で縁に欠刻状の大きい鋸歯がある葉が特徴的で見てわかりやすい木といえます。
10~11月に赤く熟す果実は、長さ5~8mm、卵状楕円形のナシ状果で、ナシに見る細点があります。
バラ科の特徴をもつこの果実、食べてみるとわずかにリンゴのような味と食感です。
ウラジロノキの果実は、過去に2~3回このブログで取り上げていますがこのようにたわわに稔っているのは初めてです。昨日の記事のマユミといい樹種によっては今年が当たり年かもれません。なんにせよ豊作の姿を見るのはうれしいものです。

マユミ:真弓(赤い花木と見まがう)

2013-11-04 14:12:21 | 日記

比婆道後帝釈国定公園の我妻山(1239m)の山腹のあちこちに、何の花かと見まがうくらい赤い実をびっしりつけていたのがマユミ:真弓(ニシキギ科ニシキギ属)です。
雌雄異株で、我が家の庭にある雌株は、近所に雄株がないためか、毎年心細いほどまばらにしか実をつけないの見ているだけに、同じ木とは思えないほど実のつき方でした。
日本各地の山野に普通にはえる小高木で、小枝は緑色ときに黄褐色をおび、老幹には深い裂け目がはいります。
 果実は果で直径1cmほどの倒三角形で、4個の核があり、10~11月に淡紅色に熟して、4裂して橙赤色の仮種皮に包まれた種子が顔をだします。
和名は、昔この材で弓を作ったことに由来します。

シマカンギク:島寒菊(島ではなく谷あいで見た) 

2013-11-03 16:25:53 | 日記

名勝帝釈峡の遊歩道沿いに、シマカンギク:島寒菊(キク科キク属)の黄色い花が乱れ咲いていました。
白や紫系がおおい野生の菊のなかで、黄色い此花は よく目立つ存在です。
本州近畿地方以西、四国、九州、琉球に分布し、島の名がついていますが、日当たりのよい山麓に生える多年草です。牧野図鑑では島地を好まないのでシマカンギクは適当でないとして、アブラギクを正式名としています。
地下茎は横にはい、茎の下部はやや倒れて高さ30~60cm、互生する葉の長さは3~5cm、幅2.5~4cmで、5中裂し表面は光沢があり、下面に軟毛があり淡緑色を呈します。
花は秋から初冬、茎の先に直径2~2.5cmの黄色の頭花を散房状につけます。
江戸時代に花を油に浸したものを薬用にしたことからアブラギクの別名があり、ほかにハマカンギクの名もあります。
属名のindicumは古代ギリシャ名からきた黄金色と花の意だといいます。