むかごの日記Ⅱ

70歳を過ぎてにわかに植物観察に関心を持ち、カメラを提げて、山野を歩いています。新・むかごの日記より引っ越しました。

ヒメシャガ:姫射干・姫著莪(車道で自生) 

2014-05-30 16:05:25 | 植物観察過去ログについて


期待ほどの花に会えなかった白山スーパー林道でしたが、あちこちで珍しい自生のヒメシャガ:姫射干・姫著莪を見かけたのは収穫でした。
本州では関西地方以東の日本海側、四国、九州のやや乾いた山地の斜面に生える多年草で、シャガ似て全体に小形で、葉も柔らかいことからこの名があります。
観賞用として庭に植えられたりしますが、自生地は少なくなっており、環境省RDBで準絶滅危惧種になっています。
春から夏にかけて、高さ15~30㎝の花茎に径4~5㎝の淡紫色の花を2~3個つけます。花被は全縁、外花被は大きく、中央は白色で紫色の脈と1個の黄斑がります。外花被は長楕円形で淡紫色です。
3倍体のシャガと違って、ジメシャガはよく結実し、径約8㎜の球形の果となります。
スーパー林道では、側壁の高いところにあったり、落石止めの金網に守られていて、盗掘を免れているように見えます。もっとも車専用の道路なので、この小さな花がドライバーの目にとまることもないのでしょうが・・・。



ノビネチドリ:延根千鳥(ガイドも見てなかった)  

2014-05-29 07:07:15 | 植物観察過去ログについて
border="0">10年ぶりで開通前の白山スーパー林道ウオークに参加しました。
前回いくつか見られた雪解け後すぐに成長開花するいわゆるspring ephemeralsが今年は雪解けが早かったということで姿がなく少しがっかりでした。
それでも道沿いを探しながら歩いていると、淡紅紫色の花をつけたノビネチドリ:延根千鳥(ラン科テガタチドリ属)を見つけました。
四国、本州、北海道などの低山帯上部から亜高山の樹林下に生える多年草で。高さは30~60cmになります。花は春、茎の先に淡紅紫色の花を長さ10㎝ほどの穂状につけます。
和名は根が延び走るチドリソウという意味で、チドリソウが手形の根を持つのに対して、本種はそうでないところからきています。
ウオークを終えて下山したところで、地元のガイドさんを見かけ、今年は花が少ないので少し淋しかったが、収穫は1本だけノビネチドリを見かけたことだなどと話をしますと、ガイドさんが今年はまだ見ていないといいます。あらかたの場所を教えてあげながら、専門家も見ていないのを自分が見つけたことでちょっぴり嬉しくなりました。

セイヨウトゲアザミ:西洋刺薊(強い繁殖力) 

2014-05-28 09:43:36 | 植物観察過去ログについて

神戸市地下鉄伊川谷駅近くの道端でセイヨウトゲアザミ:西洋刺薊(キク科アザミ属)を見かけました。
ヨーロッパ原産で、南半球を含めて世界の寒帯~温帯に広く分布する雌雄異株の多年生草本です。
茎は直立し、上方で分岐して高さ30~150㎝、茎の稜上や葉縁に鋭い刺があります。
茎の上部に盛んに分岐して淡紫色のアザミ形の頭状花を上向きにつけます。
日本には昭和40年代後半以降に帰化したといわれ、種子と土中深く伸びて横走する地下茎により繁殖するので、各地で強害雑草に挙げられています。
よく似た名前のアメリカオニアザミは、葉が明るい緑色で深裂し、鋭い刺を持つ長卵形の総苞を持つことで区別されます。

クスダマツメクサ:薬玉詰草(薬玉というほどは) 

2014-05-27 14:14:25 | 植物観察過去ログについて

西神戸伊川谷駅周辺の堤防敷を一面黄色に染めていたのがクスダマツメクサ:薬玉詰草(マメ科シャクジソウ属)です。花序が薬玉のように見えることからこの名があるというのですが、薬玉に擬するほど立派な花とはいえず、仲間のコメツブツメクサのあまりにも小さい花に対比したということでしょうか。
ヨーロッパ原産の1年草で、1943年に横話で見つかり、いまでは全国的にひろがり河川敷や市街地の空き地などにしばしば群生しています。
コメツブツメクサに似ていますが、花序に50~60個の花が集まり、受粉すると花が下向き花弁が大きくなるのが特徴です。この形がホップの雌花に似ているというのでホップツメクサの別名もあります。


キクノハアオイ:菊の葉葵(あるところにはあった)

2014-05-26 15:38:25 | 植物観察過去ログについて

最近の観察仲間がキクノハアオイというのを見かけたというので、一度見たいものだと思っていたら、神戸市伊川谷町の太山寺の近くの道端に群生しているのに出会いました。
キクノハアオイ:菊の葉葵(アオイ科)は、北アメリカから熱帯にかけての原産で、ハワイやオーストラリアに帰化している1年草です。
茎は横に広がってよく分枝し、長さ70㎝ほどになります。葉は卵形で5~7に掌状に浅~深裂し鋸歯があり、長い柄があって互生します。
春から夏にかけて葉脇に短い花茎を出し、直径1㎝ほどの橙色の5弁花を1個ずつつけます。
1913年に横浜市で発見され、関東地方以西で散発的に見つかっているとありますが、ここでは足の踏み場もないほどの群生でした。


ホザキマンテマ:穂咲マンテマ(マンテマとは何の意味?)

2014-05-25 19:01:49 | 植物観察過去ログについて
font size="2">昨日の記事の続きです。伊川谷の堤防に咲いていたのがホザキマンテマ:穂咲マンテマ(ナデシコ科)です。ヨーロッパ原産で、北アメリカ、オーストラリアやアジアに帰化している越年草で、全体に短毛があり、茎は基部でよく分枝して斜上し高さ1mほどになります。
春から夏にかけて茎の先端に長さ20㎝ほどの穂を出し、著系1.5㎝ほどで白色から淡紅色の5弁花を1方にかたよってつけます。
今では全国に帰化し、市街地から山地までの道端などに発生します。
いかにも外来種らしい名前のマンテマは渡来してきた時点の呼び名マンテマンが短縮化したものといいますが、そのマンテマンは何を意味するのかはどこにも書いていません。

イヌコモチナデシコ:犬子持撫子(これでも撫子?) 

2014-05-24 04:52:06 | 植物観察過去ログについて

神戸地下鉄の終点西神中央の一つ手前の伊川谷で降りて川沿いに太山寺までの川沿いの道を歩きました。
駅を出るとしばらくすると、駅近くの都会の景色に代って田園風景となりますが、土手では、一目でそれと見える外来種が優先しています。地下鉄が通り、新しい都市が建設されたときに、工事に付属して多数の外来種が住みついたものと思われます。
イヌコモチナデシコ:犬子持撫子(ナデシコ科)もそのひとつです。ヨーロッパ原産の2年草で、茎は下部で分岐し、散網があって高さ20cmほどになります。葉は線形で対生し基部で合着し鞘状になります。
春、球状の花序をつけ、直径1㎝ほどの淡紅色の5弁花を苞片の間から出します。花弁の先端が2裂します。
変な名前は、同じく外来種のコモチナデシコに似ているということでしょうが、ナデシコというにはああまりきれいな花とはいえないようです。

ノビル:野蒜(花に代る珠芽) 

2014-05-23 07:06:15 | 植物観察過去ログについて


田圃の畔のノビル:野蒜(ユリ科ネギ属)の花茎が伸びて蕾を包んだ総苞の先が曲がって嘴のようになっています。本来はこの花茎の先に淡紅紫色の小花を散形状に多数つけるはずですが、花序にしばしば珠芽がつき、ときには珠芽だけで花がないのもあります。
となりにその珠芽(むかご)がすでに緑の芽を伸ばしているのがありました。花を咲かせ種をつくる工程を省略し、そのままむかごで繁殖する戦術のようです。
以前ヤグラネギというのを取り上げていますが(‘12年5月29日記事)このノビルの親方筋にあたるもののようです。
食べる野草としてのノビルは‘09年2月6日にとりあげています。


キショウウブ:黄菖蒲(どの図鑑にも認知された) 

2014-05-21 05:53:33 | 植物観察過去ログについて
あちこちの水辺に黄色も鮮やかなキショウウブ:黄菖蒲(アヤメ科アヤメ属)が咲いています。
ヨーロッパから西、シベリア、近東、北アメリカ原産の多年草で、世界各地の水湿地で観賞用に栽培され、日本には明治時代に渡来し、全国的に繁殖力が強いため、今では日本全土の湿地に野生化しています。
ハナショウブに似ていますが、やや背が高く、近年いくつかの交配種が作られています。
一見して外来の園芸種とわかるキショウブですが、あまり園芸種を取り上げることのない植物図鑑も、さすがこれだけ広く野生化すると無視するわけにゆかないのか、どの図鑑を見てもちゃんと取り上げられています。


ホオノキ:朴の木(若葉に目立つ薄紅色の托葉) 

2014-05-20 06:03:09 | 植物観察過去ログについて
少し高い山中にホオノキ:朴の木(モクレン科モクレン属)が浅緑の葉を展開していました。葉柄の付け根に2個の薄紅色のものが垂れ下がっています。毛筆形の冬芽を包んでいた2枚の托葉が役目を終えた姿です。
各地に分布する落葉高木で、材は狂いが少ないので、下駄の歯、版木、家具、細工物、刀の鞘など広く利用されますが、大きい葉もなかなか有用で、別名のホオカシワは、昔葉に食物を盛ったり包んだりしたことにちなむといい、今でも盛ったり包んだりしてその香りを楽しむことが行われており、岐阜県高山地方の名物、朴葉味噌は有名です。