むかごの日記Ⅱ

70歳を過ぎてにわかに植物観察に関心を持ち、カメラを提げて、山野を歩いています。新・むかごの日記より引っ越しました。

ウラジロマタタビ:裏白木天蓼(解せない名づけ) 

2015-07-20 09:47:06 | 植物観察記録

箕面才ケ原でウラジロマタタビ:裏白木天蓼(マタタビ科マタタビ属)を見ました。
マタタビの名がついているのに、見たものはサルナシそっくりの姿と果実でした。
サルナシの変種で、葉の裏が粉白色を呈することからウラジロマタタビの名があるというのですが、葉裏が白いというだけで、どう見てもサルナシそのものなのに、木天蓼の名がつけられているのか全く解せません。
本州関東地方以西、四国、九州に分布し、必ずしも珍しくはないそうですので、今までサルナシと見てきたものの中にもウラジロマタタビがあったのかもしれません。

カヤラン:榧蘭(身の丈に近い長い果実) 

2015-07-13 13:48:45 | 植物観察記録

雨上がりの朝,高槻川久保渓谷沿いの道端で杉の葉についたカヤラン:榧蘭(ラン科カヤラン属)を拾いました。
拾ったものを何回か持ち帰り庭の木陰につけておいても、いつも2年くらいしかもたず、去年咲いた株も、今年はくすんだように枯れてしまっていたので、ちょうどよかったと喜んで持って帰りました。
樹木や岩に着生し垂れ下がる常緑の多年草で、葉は長さ2~3cmの披針形で、光沢はなく、表面に縦の溝があります。左右に開いて着く葉の形が針葉樹のカヤに似ているというのでこの名がありますが、葉はむしろイヌガヤに似ています。
花期は4~5月、上部の葉のつけ根から細い花柄をのばし、淡黄色の花を数個ずつつけます。花は直径7~8mmで、1日でしぼみます。(’08年5月16日記事)
カヤランそのものはそれほど珍しいものではないのですが、家へ持って帰ってもよほど日照や湿気などの条件が合わない限り長期の栽培は難しいようです。
今回拾ったカヤランは、茎丈の3分の2ほどもの長い果実をいくつもつけているなど、全体としてはかなり育ちの良い株のように見えます。来年の花が楽しみです。

クモラン:蜘蛛蘭(根だけで光合成)

2015-07-12 07:41:39 | 植物観察記録

高槻川久保渓谷沿いの道端で、観察仲間が、拾った杉の枯れ枝にごく小さいクモラン(ラン科クモラン属)がついているのを目ざとく見つけました。
樹木の枝に着生する多年植物で、葉はなく、四方に張り出した緑色の根で光合成しているといわれ、この張り出した根の形をクモの足に見立ててこの名があります。
花は初夏、中心部から立ち上がる1cmにも満たない花茎上につき、緑色で2mm程の長さしかないため、全く目立たず、よく見ないとあるのかどうかも分からないといいますが、写真では花柄の跡と思われるものが写っています。
クモランは着生場所から引き離した場合、絶対と言ってよいほど再活着しないそうで、樹皮に棲む菌類と共生関係にあるからではないかともいわれています。そうであれば、採集するなら枝ごと持ちかえれば発芽する可能性があるということになりますが、着生したままの枝を持ち帰った仲間が、はたして来年花を咲かせることができたかどうか、ぜひ聞いてみることにしましょう。

キヨスミウツボ:清澄靱(石ころ地面がお好き?) 

2015-07-11 09:43:06 | 植物観察記録

高槻川久保渓谷沿いの道ばたでキヨスミウツボ:清澄靭(ハマウツボ科キヨスミウツボ属)が、果実をつけているのに出会いました。昨年6月の初めに京都北部の足谷で初めて見かけたこの寄生植物が(’14年6月17日記事)、赤茶色に縮んでしまい、直径数㎜の白い卵形の果実がみえます。
日本各地の山地の木陰に生える寄生植物で、カシ類、アジサイ、マタタビ類の根によく寄生するといわれています。 高さは5~10㎝、茎は群生して、肉質の鱗片葉が互生に着きます。
花は初夏、5~10個束になり、始め白色のちに黄色に変化します。花冠は筒状で長さ2㎝位、先は唇形になります。
和名は千葉県の清澄山で見つけられ、花穂の形が矢を入れる靭に似ていることからきています。別名にこれも花の形から来た黄筒花(オウトウカ)があります。
ほかの木の根に寄生するというのですが、足谷で見たときもそうでしたが、どういうわけか周囲にあまり木が生えていない礫地に生えていました。遠くにある木から伸びた根に寄生しているということでしょうが、石ころの地面が好きなのか、たまたまなのかはよくわかりません。
環境省では未指定ですが、30を超える県で、レベルの差はありますが絶滅危惧種に指定されています。

ヤナギイチゴ:柳苺(素直な名づけ) 

2015-07-05 09:14:14 | 植物観察記録
7月1日のハマクサギの記事と同じ植物観察仲間が淡路島でヤナギイチゴ:柳苺(イラクサ科ヤナギイチゴ属)を食べて美味しかったという話を聞きました。これも6月はじめ京都植物園で実をつけているのを見かけたものの、園内のものは食べるわけにもゆかず、気になっていただけにちょっぴりうらやましく思いました。
本州関東以西、四国、九州、沖縄などに分布する落葉低木で高さは2~3m、海岸近くや、湿った谷沿いの岩場などに生えます。
葉は互生し長さ10㎝くらい、表面は葉脈がくぼんでしわがあり、裏面は白い綿毛があります。
果実は花の後の花被が肉質化してそう果を包み込み、これが多数集まって集合果となります。
果実は初夏に橙黄色に熟し、多汁で甘みがあり食べられます。
和名は葉がヤナギに、果実がイチゴに似ているところからきていますが、見たままの素直な名づけです。

ハマクサギ:浜臭木(クサギとはずいぶん違う) 

2015-07-01 09:27:34 | 植物観察記録

植物観察仲間の一人から淡路島でハマクサギ:浜臭木(クマツヅラ科ハマクサギ属)の果実を見たとの報告がありました。
6月8日、京都植物園でこのハマクサギを見たときはまだほとんど蕾ばかりでしたので、季節の移り変わりの早さなのか、地理的な気温の差なのかなどと考えたりしていました。
本州近畿地方以西、四国、九州、沖縄などに分布する落葉小高木で、普通は2mほど、中には10mに達するものがあり、京都植物園のはその中間くらいの高さがあります。
対生する葉は、長さ4~12㎝、幅2.5~7㎝の広卵型で、名前のとおりもむとかなりの臭気があります。
5~6月、枝先から円錐形の花序をだし、淡黄色の小さな花をまばらにつけます。
花冠は長さ5~10㎜の筒状で、上部は4裂し、やや唇形になります。
和名は海岸に生えて、葉に悪臭があるからつけられていますが、ふつうに見られるクサギ属のクサギとは、葉、花、果実の形や臭いなど、大きく異なっています。