むかごの日記Ⅱ

70歳を過ぎてにわかに植物観察に関心を持ち、カメラを提げて、山野を歩いています。新・むかごの日記より引っ越しました。

フジバカマ:藤袴(珍しい野生種・原種?) 

2016-09-25 14:36:12 | 植物観察記録

フジバカマ:藤袴(珍しい野生種・原種?) 9月25日
京都大原野にフジバカマ:藤袴(キク科フジバカマ属)の野生種を育成したフジバカマ園があるというので行ってきました。
秋の七草は古く万葉の時代に山上憶良が歌にしたことで始まるとされていますが、その中の藤袴は、憶良自身が香草、薬草として中国から持ち帰ったのでPRのために詠いこんだという説まであるくらいで、当時から野原の何処にでも見られる草ではなかったようです。“日本のフジバカマはこの用途で意図的に輸入、栽培されたものが園外に脱出し野生化したもので、もともと原生植物ではなく野生ではまれにしか見られない。ただ日本にはごく近い野生の近縁種がたくさんあるのでそれを普通のフジバカマと誤認している“(中尾佐助、花と木の文化史)などの説があります。となるとそもそもどれがほんとのフジバカマかわからないことになり、本当のフジバカマは山野では見られないのではないかの声もあります。
1998年に大原野で発見されたという野生種とは何を根拠にしているのか、園の係りの方に尋ねたら、村田 源先生に同定していただいたとのことで、この野生種以外の園芸種や類種のヒヨドリバナなどとの交雑を防ぐために、花が結実する前にすべて摘花し、繁殖はすべて挿し芽で行っているとのことでした。
野生種であれば、環境省RDBで準絶滅危惧種、京都府RDBでは絶滅寸前種となっています。
園芸店などでフジバカマとして売られているの多くはフジバカマとサワヒヨドリ交雑種でサワフジバカマといわれるものといいます。
フジバカマは別の名を蘭草といい、茎や葉を生乾きにするとよい香りがします。これは桜餅の葉と同じクマリンが含まれているからでフジバカマ判定点の一つです。中国では古くから乾燥した葉を湯につけて沐浴や洗髪に用いられており、馬王堆からも出土しているそうです。
京都市内を展望できる西山の高台に咲くフジバカマは大事に育てられている珍しい野生種と信じて写真に収めて帰りました。

ヒナノカンザシ:雛の簪(想像力の名づけ))

2016-09-04 16:12:26 | 植物観察記録

いつぞやヒナノカンザシ:雛の簪(ヒメハギ科ヒナノカンザシ属)が咲いていると聞いて滋賀県のある湿地へ見にいったのにとうとう見つけることができないまま帰ったことがありました。
そのヒナノカンザシに同じ滋賀県の鏡山山麓で出会いました。
日当たりのよい原野の湿ったところに生える1年草で、高さ10~15㎝、直立し細枝をだし、葉の長さは5~7㎝になります。
花期8~9月、花はごく小さく長さ1~2㎜、茎の下から咲きあがってゆきます。蕾は紅赤色ですが、開花につれて先端以外の色は淡くなります。花弁3個は基部が合着します。
最初、名前を聞いたときは“鄙の簪”かと思いましたが、本当は、美しく可憐な紅紫色の花をつける総状花序の形を“雛の簪”に見立てたものと知りました。ならば、この簪をつけるお雛様はまたいかほど小さく可愛い姿なのかと思ったりしました。
昨日のアイナエのようになかなか気がつかないような小さいヒナノカンザシもまた各地で絶滅が危惧されている種となっています。


アイナエ (足元に注意) 

2016-09-03 09:10:48 | 植物観察記録

滋賀県竜王町鏡山山麓のハイキングコース、炎天続きで乾ききった砂地にアイナエ(マチン科アイナエ属)が健気に小さい花をつけていました。
本来は日当たりのよい原野の湿り気のあるところに生える高さ5~15㎝の小さな1年草で、葉は茎の下部に~2~4対つき、長さ7~15mm、幅3~6㎜の卵形または長楕円形で3本の脈があり、先はやや尖りまばらに短毛があります。
花期は8~9月、茎の上部の鱗片状の苞葉の脇から細い花柄をだし、白い小さな花をまばらにつけます。ここ滋賀県では希少種に指定されており、多くの県でも絶滅または絶滅危惧種に登録されています。
よほど注意しないと気が付かずに踏みつけそうになる小さい小さい絶滅が心配されるアイナエでした。