むかごの日記Ⅱ

70歳を過ぎてにわかに植物観察に関心を持ち、カメラを提げて、山野を歩いています。新・むかごの日記より引っ越しました。

オオウラジロノキ:大裏白の木(西宮で出会った珍しい木)

2013-10-29 21:11:32 | 日記

知人が経営する西宮北口IC近くのレストランで食事をするついでに、窓から見える丸山(375m)に登りました。
登山道沿いの樹木植生が豊かで、小さい山ですが結構楽しめました。
珍しいオオウラジロノキ:大裏白の木(バラ科リンゴ属)が果実をつけていました。
山地に生える高さ約10mの落葉高木で、葉裏が白い綿毛でおおわれていて、ナナカマド属のウラジロノキに似て、果実が大きいのでこの名があります。個体数が少なく、花も地味なので、なかなか出会うことない樹木のひとつです。
ズミに似て果実が大きいので別名にオオズミ:大酸実があり、ヤマナシ、ヤマリンゴとも呼ばれます。かつては梅雨期に樹皮を剥ぎ取り染料のズミ汁を採るために栽植されていたそうです。
果実は直径2~3cmの球形のナシ状果で、頭頂部に萼片が残ります。10月ごろ黄緑色から淡紅色に熟します。ヤマリンゴの別名もあり、果肉は緑色を帯びた白色で、石細胞がありリンゴのような酸味があり食べられるとあります。木の下に落果が散らばっていたので、ためしに口に入れてみましたがまだ未熟だったのか、酸っぱさと渋さが勝って美味とはいえませんでした。

フユザンショウ:冬山椒(雌株だけでも実ができる) 

2013-10-29 08:41:22 | 日記
フユザンショウ:冬山椒(ミカン科サンショウ属)が赤い実をつけています。
山地に生ええる常緑低木で、枝や葉柄の基部には対生する棘があり、奇数羽状複葉の葉軸に翼があるのが特徴です。
赤褐色に熟す果実は2個の分果に分かれ、分果は直径8mmほどの卵球形で、表面にいぼ状の突起が多く、中には黒く光沢のある種子が1個入っています。
図鑑では雌雄異株だが日本では雄株が見られないというのですが、どうして雌株だけで実が生るのかはどの本も説明はありませんでした。
例によって葉と実を食べてみましたが、イヌザンショウのようないやなにおいではなく、むしろサンショウに近い感じでした。実際には食用にされることはないそうですが、果実を漢方では秦椒とよび薬用になっています

クソニンジン:糞人参(変な取り合わせ) 

2013-10-27 09:06:27 | 日記

秋が深まり各地で菊花展が開催されています。
まだつぼみ中心ですが見事な扇形に仕立てられた千輪仕立ての菊の隣解の解説板を見て驚きました。そこには“この作品は中国に自生するキク科ヨモギ属(中国名・黄花嵩)を台木に大菊を穂木として接いで摘心を繰り返し脇芽を目的数まで増やす仕立て方です”とあったからです。
優雅な千輪仕立ての菊が、およそ語感のよくないクソニンジンを台木としているという思いがけない取り合わせだったのです。
葉をもむと強いにおいがするのでこの名をつけられたクソニンジンは、古い時代に薬用植物として中国から渡来し、今では野生化して人家付近や都市周辺の荒地、道端などに生えている高さ0.8~1.5mの1年草です。よく分枝し、葉は3回羽状複葉に細かく全裂し、ニンジンの葉に似ます。8~10月円錐状に多数つく頭花は球形で直径約1.5mmとごく小さいものです。

ホウライチク:蓬莱竹(花を見ればなるほどイネ科) 

2013-10-26 14:28:47 | 日記

植物園の竹園で竹が花をつけたのに出会いました。
名札にはホウライチク:蓬莱竹(イネ科ホウライチク属)とあります。
竹が花をつけるのは大変珍しく、たとえばモウソウチクは67年に1回咲くなどといわれています。
そんなに珍しい開花に出会うのはラッキーといったら傍らの人が、竹は竹でもバンブーの仲間では花をつけるのはそう珍しいものではないといいます。
確かな花の構造はわかりませんが、苞頴、小花、雄蕊、雌蕊と確かにイネ科の花の特徴を備えていて、タケ類がイネ科に分類されているのが納得できます。
ネットによると、タケの原種はアマゾンが原産とされており、大陸移動にともないコンゴ~インド、中国・日本に渡り進化したと言われています。遺伝学的に言えば、タケの原種は2倍体、日本・中国のタケは4倍体、熱帯地域のバンブーは6倍体という区別ができ、バンブーはタケ類の中でも進化した種といえるそうです。多年生常緑竹のホウライチクは、地下茎を伸ばさず株立状となるためバンブー類に分類されます。東南アジアから中国南部にかけての熱帯地域を原産とし、桿の繊維を火縄銃の火縄の材料とするため日本へ渡来し、中部地方以西に植栽され、川原や山麓に逸出しているそうです。
葉の縦脈だけが発達して、横脈が発達しないので格子状にならないのが特徴です。

アブラチャン:油瀝青(割れた果皮の造形)

2013-10-22 20:18:40 | 日記

山道を歩いいて頭上に面白い形をした白い物を見かけました。
その木は早くも来春の小さいつぼみをつけているアブラチャン:油瀝青(クスノキ科クロモジ属)です。
最初は面白い形をした“むしこぶ”かなんかと思いましたが、あたりをよくよく見ると半分果皮がはじけたようになっている果実がぶらさがっていたので、この奇妙なものは、熟した果実が不規則に割れた残骸で、中にあった種子が落下した後とわかりました。

足元を見ると、たしかに赤褐色の種子がたくさん転がっています。
それにしても、あの小さい果実が割れると、あのような形に展開した果皮が残るとはおどろきでした。

ヒメウラジロ:姫裏白(本当に白い)

2013-10-21 18:38:42 | 日記

日当たりのよい石垣に珍しいヒメウラジロ:姫裏白(ウラボシ科またはホウライシダ科エビガラシダ属)を見かけました。
山中の岩上、石垣などに生える多年草で、寒い地方ではほとんど枯れます。葉は高さ10~20cm、葉身はやや厚く、裏面に粉状物を密につけるので白く見えます。同属のエビガラシダとはまったく違う姿ですが、石灰岩地を好んで生育します。乾燥する環境ではしばしば葉を巻き上げて耐えます。
和名にウラジロが入っていますが品種的にはウラジロとは無関係で、ヒメは単に裏が白ところが可愛いとの意といいます。
環境省絶滅危惧Ⅱ類(VU)に分類されています。

サルナシ:猿梨(猿にはもったいない味) 

2013-10-19 16:50:33 | 日記

山道を歩いていると、つる植物が不自然に垂れ下がっており、その下に棍棒のような長い木の枝が2~3本散らばっていました。
見上げると、垂れ下がっていたのはサルナシ:猿梨(マタタビ科マタタビ属)で、丸い果実がたくさんなっています。

失礼してその枝を使い、いくつかを叩き落して口に入れました。思いがけないほどジューシーで甘い果汁が口中に広がりました。
果物として人気があるキーウイフルーツは、主に東アジアに自生するサルナシのうちシナサルナシという中国原産の植物を改良したものだそうですが、うわさのとおりサルナシの果実はキーウイよりも確かに甘くて美味でした。
日本各地の山地の林内に生える落葉つる植物で、茎は長く伸びて枝分かれし、太いものは径15cmにもなり、長さ2~8cmの葉柄は淡紅色を帯びます。雌雄異株で、5~7月上部の葉腋に白い花を下向きにつけます。(09年6月20日記事)つるは丈夫で徳島祖谷にかかるかずら橋でも、シラクチヅル(カズラ)といって、このつるが使われています。 和名は果実がナシに似て猿が食用にするという意味で、コクワの別名もあります。

ハマスゲ:浜菅(マッスで見ると美しい) 

2013-10-06 12:24:29 | 日記

淀川左岸毛馬の閘門周辺の土手にハマスゲ:浜菅(カヤツリグサ科カヤツリグサ属)が生えていました。海岸に多いことでこの名があり、海岸や畑、道端などの日当たりのよい乾燥地に多い高さ15~40cmの多年草で、地中に細い匍匐のばし、先端に塊茎をつくって殖えます。この塊茎は香りがよく、乾燥したものを漢方で香附子といい、婦人薬になります。
7~9月、茎の先に花序より少し長い苞が1~2個あり、そのあいだから1~7個の枝を出して、先端に赤褐色の小穂を3~8個つけます。
めだたない草ですが、マッスで見ると結構美しく見えます。

オニバス:鬼蓮(葉に比べて小さい花) 

2013-10-03 18:40:18 | 日記
亀岡市の北東部平の沢池は、嵯峨の大沢・広沢とともに、「京の三沢」といわれています。
道路を挟んで二つの池があり、一つは普通のハスですが、もう一つは日本でも珍しいオニバス鬼蓮(スイレン科オニバス属)の自生地として知られています。夏の頃車で何回か通りかかりましたが、大きい葉ばかりで花らしいものを見たことがありません。
そのオニバスが薬科大学の植物園で咲いていました。大きい葉なので花も大きいとばかり思っていたのに、意外にもずいぶん小さい花です。これでは平の沢池でも気づかなかったはずです。
オニバスは池や沼に生える1年草で、葉や葉柄などに鋭い刺があるのでこれを鬼にたとえこの名があります。太い葉脈が大きい葉を支えています。
夏に咲く花は、直径4cm、萼片は緑色で刺が多く、内側は紫色を帯び、花弁も紫色で多数あります。昼に開き夜閉じます。
寫眞でよく見る、葉の上に子供が乗っているのは、南アメリカ原産のオオオニバスやパラグアイオニバスで、いずれもオオオニバス属であり、オニバスとは異なる属です。

ブドウホオズキ:葡萄酸漿(不思議な芽生え) 

2013-10-02 09:16:32 | 日記


初夏の頃、庭に置いたプランターに覚えのない草が固まって芽生えていました。単なる雑草とは思えない様子だったので、1本を残して育ててみることにしました。
夏になって花が咲くと、ナス科とわかりました。9月、その花が果実になりホオズキの形になっていました。
図鑑などを調べると、よく似たのに帰化植物のブドウホオズキ:葡萄酸漿(ナス科ホオズキ属)というのが見つかりました。
図鑑によると、原産地は南アメリカで、日本へは明治年間の初期に果実を食用にするために導入されたがあまり広がらず、帰化植物として関東地方から沖縄県にかけて散発的に見られるとあります。
全体に軟毛が密生し、茎は直立してまばらに分岐し高さ約1mほどになります。夏から秋にかけて直径1.5cmほどの黄白色で中心が黒紫色の5角形の花を葉腋に一つずつつけます。果実は直径2cmほどで、袋状の萼に包まれます。中に入っている橙色の実は甘酸っぱくて食べられるそうです。
芽生えの状況からして、種ではなく果実がそのまま落ちたものと思われますが、この植物がどうして庭のプランターに芽生えたのか、いくら考えても心当たりがないままです。