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花壇にはやくも花をつけたセキチク:石竹(ネデシコ科ナデシコ属)の若苗が植えこまれていました。
野生のナデシコの代表がカワラナデシコ
(‘10年7月17日記事)とすれば、栽培種の代表はこの石竹といえるでしょう。
中國の華北から揚子江流域の各省に分布、日本には平安時代に渡来した、高さ30㎝ほどの多年草で、ふつうは秋蒔きの1年草として育てられています。
細いが堅い茎を直立させ、線形で先端が尖った葉を対生します。茎の上部はまばらに分枝し、その茎頭に直径4~6㎝の白色や紅色の美しい花をつけます。筒状の萼葉先が5裂して尖り、萼の基部に4個の苞がつきます。花弁は5個、拡大部の先には浅い切れ込みがあります。
カラナデシコ: ・唐撫子とも呼ばれる石竹は、古くから栽培されて、多くの改良育成種があり、花壇を賑わせています。
これに対しカワラナデシコは、撫でたいくらい可愛い花ということで万葉の昔から歌にも詠われ、大きな改良をされることもなく、自然のままの姿で人々に愛されているようです。
清少納言は枕草子で、「草の花は 撫子。唐のはさらなり、大和のもいとめでたし」と日本の撫子よりも中国渡来の唐撫子をまず挙げています。
平成の園芸好きのご婦人たちも、次から次へと新しい改良種を求める傾向が強いそうですが、渡来まもない珍しい石竹を日本古来種よりも先に挙げた清少納言の心情とどこかで相通じるものがあるのでしょうか。