むかごの日記Ⅱ

70歳を過ぎてにわかに植物観察に関心を持ち、カメラを提げて、山野を歩いています。新・むかごの日記より引っ越しました。

ミソナオシ:味噌直し(驚く古人の知恵) 

2014-01-31 16:38:41 | 植物観察過去ログについて

植物園に奇妙な名前の木がありました。名札にミソナオシとありました。
枯れ残ったマメの鞘には毛が多いのか、くっつけてみるといくつも連なってぶら下がります。
変わった名前が気になって調べてみると、ミソナオシは“味噌直し”で、古くなったみその風味を回復させたり、みその鮮度を保ったりすることができるとの民間の伝承が名前の由来となっているとありました。
驚いたことに、ある大学の教授がミソナオシに白かび発生を抑える効果のある成分が含まれていることを実証し、名前通りの効果が成分の面から裏付けられたと生薬の学会で発表したそうです。 
ミソナオシはマメ科ヌスビトハギ属の低木で、関東以西の山林などに生育しますが、レッドデータブックの絶滅危惧種に分類している県もあります。
昔は葉や茎をみそおけの中に入れて味が落ちるのを防いだり、みそにわいたウジ虫を殺したりする際に使われたといい、含まれているフラノボイドに酵母の発生を抑止する効果があることが実証されたというのですから、昔の人の知恵には驚くばかりです。

ツルコウジ:蔓柑子(つる状のヤブコウジ)

2014-01-28 13:55:14 | 植物観察過去ログについて

度重なる異常寒波の襲来で、すっかり出不精になってしまい、気が付けば“むかごの日記”もすっかりご無沙汰となっていました。
冬ざれの今でもここなら何かはあるはずと京都植物園へ行ってきました。
足元に赤い実をつけたつる状のものが見えました。ツルコウジ:蔓柑子(ヤブコウジ科ヤブコウジ属)です。
アジアの暖温帯南部から亜熱帯に分布し、わが国では房総半島以南から琉球までの木陰に生える常緑小低木で、茎の下部は地上をはい、上部は斜上した高さは10~15㎝になります。初夏に花が咲き、果実は冬に紅熟し、年明けの春まで残ります。
和名はヤブコウジに似て茎がつる状であることからきていますが、茎や葉に軟毛があることでも両者は区別できます。

カンボタン:寒牡丹(本当の寒牡丹はこれ) 

2014-01-03 10:41:12 | 植物観察過去ログについて

二上山麓、当麻寺の近くで、これも中将姫伝説にゆかりのある石光寺ではいま寒牡丹(ボタン科ボタン属)が咲いています。
ボタンは普通5月頃に咲くものですが、冬に咲くボタンは寒牡丹または冬牡丹といわれ、寒さよけの三角のワラズド(藁苞?)の中にひっそりと咲く姿が、華麗な春咲きのボタンに劣らず愛好されます。
本来の寒牡丹は2季性のものを特別な栽培法で初冬の頃に開花させるもので、基本的には然に時期が来れば花が開く性質をもち、花は咲いても茎は短く葉もほとんど伸びないのが特徴で、石光寺の寒牡丹は全てこのタイプですが、観光地などでよく見られるものは、通常のボタンを冷蔵庫や温室を使って人工的に季節の変化を作り、ボタンに春と錯覚させて開花させるもので、茎の長さや葉のしげり方は普通のボタンと同じになります。
石光寺を訪れた日の朝、珍しく当麻の里に雪が降りました。ところが寺へ着いた頃には融けてしまって、雪を被った藁覆いと寒牡丹という絶好の撮影チャンスを逃したのは返す返す残念でした。

(テンプレートに採用しました)