むかごの日記Ⅱ

70歳を過ぎてにわかに植物観察に関心を持ち、カメラを提げて、山野を歩いています。新・むかごの日記より引っ越しました。

コシオガマ:小塩竃(道路わきでの無事を祈る) 

2014-09-30 08:27:26 | 植物観察記録
能勢妙見口から黒川を経て近畿自然歩道を一庫のダム西岸への道端でコシオガマ:小塩竃(ゴマノハグサ科コシオガマ属)が咲いているのに出会いました。10年ほども植物観察をしていながら、この花に出会うのは初めてで、ちょっとした感激ものでした。
最初見た時はママコナではないかと思ったのですが、図鑑で見ると日当たりのよい山地に生える半寄生の1年草とあったので、似ているのも不思議はないと納得しました。
高さは30~60㎝、茎や葉などにやわらかな腺毛がおおく、触るとべとつきます。
対生する葉は羽状に深く切れ込み、ふちには不揃いの尖った鋸歯がありシオガマの仲間特有の形をしています。
花期は9~10月、上部の葉の付け根に淡紅紫色の唇花を1個ずつつけます。花の長さは2㎝ほどで、上唇の先は上にそり返り、下唇は3つに切れ込みます。よく見ると下唇の中央裂片に紅紫色の斑点のあるふくらみが2個あり、白い毛が生えていることが、一見ママコナと思いちがいした理由でした。
奈良県、京都府、滋賀県ではレベルが違うもののRDBにリストアップされています。車が通る道路のガードレールの下に1本だけ咲いていたコシオガマ来年も無事ここに生えるか心配です。

モッテノホカ:以っての外(食用に特化) 

2014-09-28 05:56:43 | 植物観察記録
薬品会社の薬草園に食用菊のもってのほか(キク科キク属)が咲いていました。
食用菊の王様と呼ばれ、山形県名産として知られるこの菊は、“もってのほか”という変わった名前でもよく知られています。この名前の由来は、「天皇の御紋である菊の花を食べるとはもってのほか」だとか、「もってのほか(思っていたよりもずっと)おいしい」といったことだとかいわれていますが、正式には“延命楽”という品種です。
食用菊は花びら(花弁)の部分を食べますが、“もってのほか”の花びらは筒状になっているため、茹でても形が崩れず、しゃきしゃきした歯触りがあるそうです。
料理としてはこの花びらの和え物、おひたし、酢の物、てんぷら、吸い物など様々で、茹でると鮮やかな紅紫色に変わりいろどりでも楽しめるといいます。

ジャコウソウ:麝香草(香りは花でなかった) 

2014-09-27 08:28:27 | 植物観察記録
高槻北部の小さな不動堂への道にジャコウソウ:麝香草(シソ科ジャコウソウ属)が咲いています。
山でこの草を見るのはほぼ10年ぶりで、こんなところに咲いていると、ちょっぴり感激でした。
北海道、本州、四国、九州の谷間や木陰に生える多年草で、茎は四角て束生し、高さ60~100㎝、葉は長さ0.5~1.2㎝の葉柄を持ち長さ10~20㎝、茎とともにまばらに毛があります。
花は夏から秋、上部の葉脇に短い柄をだし、1~3個の紅紫色の唇花をつけます。花冠は長さ4㎝位で花柄と葉柄はほゞ同長になります。
麝香草というからにはと、期待をもって花の香りを嗅ぎましたがほとんど香りはありません。
不審に思って帰ってある図鑑で確かめますと、和名は茎葉をゆすると麝香のようなよい香りがすることによるといわれているとあり、いまひとつあいまいな表現です。今度行ったら確かめることにしましょう。

アキニレ:秋楡(冬が来る前に) 

2014-09-25 08:30:29 | 植物観察記録
アキニレ:秋楡(ニレ科ニレ属)の花が咲いている同じ枝に早くも緑色の翼果が大きくなっています。
本洲中部以西から名琉球、朝鮮、台湾、中国の温帯から亜熱帯地方に多く分布し、山地や川岸に生える落葉高木で、どちらかというと日本の北部に多く、春に花が咲くハルニレに対して、アキニレは名のとおり初秋9月ごろに、黄色い小さい花を枝先に集まってつけます。花被は鐘形で基部近くまで4裂し、4個の雄蕊の花糸は花被からのびでます。
11月ごろ熟す果実は扁平広楕円形の翼果で、翼の中心に長さ約5㎜の種子があります。
飢饉の時にはこの種子を食べたという話があり、ぷちっとした食感がありちょっといけますが、食べではなく、腹の足しにするには並大抵ではなさそうです。
9月に花をつけて、冬落葉する前に種子を実らせる忙しいアキニレです。
褐色の樹皮は、老木になると鱗片状に剥がれ独特の模様になり、 材がケヤキのように堅いことからイシゲヤキ、また川原に多く生えるところからカワラゲヤキなどの別名があります。

ホウセンカ:鳳仙花(もう辛抱できない) 

2014-09-25 08:20:26 | 植物観察記録
ホウセンカ:鳳仙花(ツリフネソウ科ツリフネソウ属)が、実をつけ始めています。
今は亡き島倉千代子は「鳳仙花」で、“鳳仙花、鳳仙花 はじけてとんだ花だけど 咲かせてほしいの あなたの胸で”と歌いました。ホウセンカの実は熟すと触れるだけで莢がはじけて、種子が飛び散ります。
そのことから学名もImpatience balsaminaで、果実が辛抱たまらずすぐはじけることを示しています。
中國南部からインドを原産地とする1年草で、江戸時代に渡来し、花壇や庭にごくふつうに植えられます。
みずみずしい茎は太くて、鋸歯のある長めの葉を密に互生します。高さ50㎝位になり、葉の付け根に直径4㎝ほどの左右対称の5弁花を2~3個つけます。花色は白、桃、赤、紫などで、八重咲きもあります。
赤い花で爪を染める子供の遊びがあり、ツマベニなどとも呼ばれます。
最近、園芸でよくみられるアフリカホウセンカは、学名そのままインパチェンスと呼ばれています。

ヒノキゴケ:桧苔(別名の方がよくわかる) 

2014-09-24 08:28:58 | 植物観察過去ログについて
四国八十八ケ所、第45番岩屋寺は、切り立った水成岩を背にする山寺です。
老年には少々厳しい山道を登っていると、ふわふわした緑色の苔が目につきました。ヒノキゴケ:桧苔(ヒノキゴケ科)です。
本州から琉球にかけての比較的暖かい地方の林床にしばしば大きい群落をつくる美しい大形の苔です。
針状の細い葉を持ち、茎の上部は動物の尾のように曲がります。この形からイタチノシッポという別名があります。
京都の苔寺にも植えられていますが、街なかで育てようとしても茶色くなって枯れることが多いといいます。

カモノハシ:鴨の嘴(“鴨の嘴の”2段活用) 

2014-09-23 11:04:07 | 植物観察過去ログについて
center>大津市瀬田公園の池畔にカモノハシ:鴨の嘴(イネ科カモノハシ属)が花穂を立てていました。
この変わった名前は、花序が単純な穂状に見えるのに、実際には小穂が密集した穂が2対ありこれがぴったりくっついています。この変わった名前は、花序の形が鴨の嘴のようだというところからきていますが、同じ名前の卵生の哺乳類のカモノハシの嘴は本当に鴨の嘴に似ているのに比べ、こちらはそれほど似ているとも思えず、少し無理をした名づけのようです。魚と樹木で同じ名前にゴンズイなどもありますが、植物が動物と同じという珍しい例です。
カモノハシは、主として各地の海岸の砂地や湿地に生える多年草で、高さ60㎝ぐらいで束生し、下部は節で曲がります。
花は夏から秋、長さ5㎝ほどの紫赤色を帯びた2個の穂状花序をつけ、小穂は6mmくらい、芒はありません。
雌性期の小穂は、紫色のブラシのような柱頭がのび出ます。
同じ場所に白い柱頭を持つ小穂もありました。初めは白く、熟すと紫色になるという話もあり、両者はオナジカモノハシのものと見立てました。

イトイヌノヒゲ:糸犬の髭(長い花茎を犬の髯に見立てた) 

2014-09-21 20:15:56 | 植物観察過去ログについて
三重県立上野森林公園の湿地にイトイヌノヒゲ:糸犬の髭(ホシクサ科ホシクサ属)細長い花茎の天辺に小さな花をつけていました。日本各地の水田や湿地に生える1年草で、葉は束生して、長さ10~15㎝、
7~10の脈があります。
花期は8~9月、高さ5~30㎝の花茎の先に白いちいさな頭花を1個つけます。頭花は直径3~7㎜で、白っぽい緑色の総苞片で囲まれ、頭花には雄花と雌花がまじってつきます。
和名はイヌノヒゲ(にくらべて花茎が糸状に長いことからきています。
頭花より総苞片が長いニッポンイヌノヒゲは、‘11年9月13日に取り上げています。
イトイヌノヒゲは非常に変異が多く、やせた土地に生えたものは小型で数も少ないといいます。

数日後滋賀県の瀬田公園で見たのは、上野森林公園のより大きい花でした。両者は栄養に違いによる単なる変異なのか、あるいは別種なのかわからずじまいです。

ミズギボウシ:水擬宝珠(仲間で最も細い葉) 

2014-09-17 08:39:30 | 植物観察過去ログについて

三重県立上野森林公園の湿地帯に咲いていたミズギボウシ:水擬宝珠(ユリ科ギボウシ属)です。
本州中部以西の湿地や水際などに生える多年草で、葉身は線状倒披針形、長さ17~30㎝、幅1.7㎝。別名をサジギボウシ、コバノギボウシといわれるくらいで、日本のギボウシ属の中では最も狭い葉を持ちます。
花茎は高さ40~60㎝となり、長さ3.5~4.5㎝の淡紫色で筒状鐘形の花を3~5個横向きにつけます。
花の内側に濃紫色のすじがあり、花の基部の苞は舟形にくぼみます。
湿地の草に隠れて咲いてるミズギボウシの葉は撮れなかったので、水辺の陸地に咲いているのを撮りましたが、発育状態が悪いのか、葉の細さはわかりましたが、長さは短くて、基部が翼状になって葉柄に流れるという、本来の形ではありませんでした。


ミズトンボ:水蜻蛉(湿地に咲く蜻蛉と千鳥)

2014-09-16 07:00:32 | 植物観察過去ログについて
三重県立上野森林公園の湿地帯にミズトンボ:水蜻蛉(ラン科ミズトンボ属)が咲いていました。
日当たりのよい湿地に生える多年草で、茎は三角形で高さ40~70㎝、葉は茎の下に数個ついて長さ5~20㎝の線形、茎の上部では鱗片状になります。
7~9月、茎の上部に淡緑白色の花を多数つけます。
図鑑では花の構造は、背萼片は円心形、背萼片はねじれた倒卵形、側花弁は長さ2~3㎝で3裂して十字形になり、側裂片はふつう斜上するとあり、写真で見るとそうかなと思えるくらいの複雑な形です。
唇弁とともに名前の由来である距は約1.5㎝、先端は球状にふくらむのは、明らかに見てとれます。
別名にアオサギソウがあります。