むかごの日記Ⅱ

70歳を過ぎてにわかに植物観察に関心を持ち、カメラを提げて、山野を歩いています。新・むかごの日記より引っ越しました。

リョウブ:令法(花より蕾?)

2014-06-26 08:51:05 | 植物観察過去ログについて
6月中旬というのに、高原にあって季節の遅い岡山県立森林公園では、リョウブ:令法(リョウブ科リョウブ属の若芽に包まれた蕾お先が僅かに紅色の染まって、遅い夏の到来を告げていました。
古来若葉を湯がいて飯に刻み込むリョウブ飯に、乾葉は、備蓄して飢饉に供えたので、領主がみだりに取ることを禁じたことから、法令→令法→リョウブとなったといわれています。夏、白い房状の花をつけます。
リョウブは、葉の落ちた冬の期間も、なめらかな赤褐色の樹皮が白い雲紋状にはげる独特の木肌でもよく知られています。冬芽もまた独特で、頂に小さい笠をかぶっています。この笠のようなものは芽鱗といわれるもので、触れるとはらりと落ちて、裸芽が現れます。(’06年2月13日記事)
ロウブ飯や木肌や冬芽が話題になるほどには、白い総状の花や、褐色に熟す果実はあまり話題にはならないようです。
穂先に紅をさした蕾は、私も忘れないでといっているようです。

ハスノハイチゴ:蓮の葉苺(異色の木苺)    

2014-06-24 13:37:41 | 植物観察過去ログについて

岡山県立森林公園の小さな渓流の向こう岸に、見慣れない葉と花のようなものをつけた低木を見かけました。例によって飽くなき探究心?にかられて、仲間のとめる声も無視して、半ば谷水に靴を浸しながら近づきました。
大きめの五角形の葉の間に見えていたのは、花ではなくて萼片のようで、裏をめくって見たら、指先のような形をした未熟な苺が見えました。
帰って調べてみるとハスノハイチゴ:蓮の葉苺(バラ科キイチゴ属)とわかりました。
本州中部以西、四国、九州の半ば日当たりのよい山地に生える落葉小低木で、高さ1mくらい、無毛で刺があり、花柄は15~30㎝、粉白色を帯び、短い刺がまばらにあります。
互生する葉の長さは10~25㎝の五角形で浅く3~5裂します。葉柄には刺があり、葉身に対して楯状につくことが和名の蓮の葉苺の由来になっています。
果実は集合果で、3~4㎝の円柱型、表面に褐色の毛が密生し、8~9月白く熟します。
色も形もキイチゴとしては異色というハスノハカズラの果実は、独特のよい香りがあるといいます。一度味わいたいものですが、見かけたのが岡山とあっては試食もできないのが残念です。

サンインクワガタ:山陰鍬形(果実が鍬形状)  

2014-06-22 10:13:41 | 植物観察過去ログについて

岡山県立森林公園の遊歩道にサンインクワガタ:山陰鍬形(ゴマノハグサ科クワガタソウ属)が、小さい花をつけていました。よほど注意してみないと見過ごしてしまいそうなはかなげな花です。
京都~島根の山地の木陰に生える多年草で、茎は長く這い、立ち上がって高さ5~15cm。葉は卵形で、低い鋸歯があって対生し、上部のものは大きく長さ2~3cmになります。
花期は5~6月、上部の葉腋に短い花序を出して数個つき、直径0.8cm、花冠は薄桃色の皿形で4裂します。
鍬形の名は萼片のついた三角状扇形の果実が兜の鍬形に似ているところからきているといいます。

クワズイモ:不食芋(空海の七不思議)    

2014-06-21 17:45:14 | 植物観察過去ログについて

四国八十八ケ所遍路旅のバスが室戸岬に近づくころ、先達ちさんがこんな話をしました。
「むかし、土地の老婆がを洗っているところに一人の遍路(空海)がとおりかかり、お腹がすいたのでその芋をくれないかといったところ、老婆はいかにもみすぼらしい僧の姿を見て、“この芋は苦くて食べられない”といって断った。老婆がその芋を食べようとすると、苦くて食べられない芋に変わっていたそうだ。(空海の七不思議)その後この芋はクワズイモと名付けられた。」
その芋は四国24番室戸山最御崎寺(ほつみさきじ)の本堂脇に植えられていました。周辺で手入れしている地元の婦人に聞きますと、食べてみたことはあるが苦くてとても食べられたものではないとのことでした。
この名前クワズイモは、空海伝説による地元での通称かと思いながら、図鑑で当たって見るとちゃんとクワズイモ:不食芋(サトイモ科クワズイモ属)として載っていました。
四国、九州、琉球、および南朝鮮、台湾などの亜熱帯から熱帯にかけて分布し、湿った木陰に生える多年草で、高さは0.5~1m、葉の長さは60㎝位、初夏、長さ15~25㎝の花柄に下部は雌花、中ほどは不実性の花、上部に雄花をつけます。
和名の不食芋はサトイモに似ているが食用にならないことからきています。
くだんの説話は、他人にいけずをすると、その禍は自分に帰るとうことの戒めとは思いますが、空海ともあろう人が、そんな意地悪をしたという話は少々いただけない気がします。

イワギリソウ:岩桐草(鉢植えですが・・・)

2014-06-20 17:38:41 | 植物観察過去ログについて
3年前の秋、奥出雲立久恵峡の温泉にとまった時のこと、出発するバスを見送りに出てきた宿の主人が教えてくれたのが、水しぶきのかかる高い岩場に生えているイワギリソウ:岩桐草(イワタバコ科イワギリソウ属)でした。
近畿地方以西の深山の渓谷の岸壁に生えるというこの草は、自生のものが少なく今では珍しい草になっているということで、“今後自生のこの草を見る機会もないと思い、望遠でぼけた最低の写真ですが備忘的に取り上げました。”というのが'11年9月25日の記事でした。
そのイワギリソウが、鉢植えですが洛北雲ケ畑の料亭の庭先に咲いていました。
毛の多い葉や花の形がキリに似ていて、岩上に生えるのでこの名があります。
初夏、長さ10~20㎝の花茎の先に、紅紫色の長さ2㎝ほどの漏斗型の花をつけます。洛北の山奥で見たイワギリソウの花は、深山の渓谷にまれに生えるという草にしては意外に派手な感じでした。

ベニバナヤマシャクヤク:紅花山芍薬(やはりきれいな紅花)

2014-06-19 07:05:19 | 植物観察過去ログについて


去年(’13年6月7日記事)に続いて洛北雲ケ畑足谷のベニバナヤマシャクヤク:紅花山芍薬(ボタン科ボタン属)を観察しました。 守る会が大事に保護しているベニバナヤマシャクヤクは、蕾や半分閉じた花弁の縁に僅かに紅をさしているくらいで、ほとんどは白花です。
白花なのにどうしてベニバナなのかというと、花柱の数がヤマシャクヤクの3個に対し、 ベニバナヤマシャクヤクの花柱は5個、第1葉のつく位置と花柄の長さがベニバナの方が明らかに長く、ベニバナの花期は山より約40日も遅いなど明らかな違いがあり、 花色にかかわらず、ヤマシャクヤクとベニバナ芍薬はこれらの点で弁別・同定されています。
ベニバナヤマシャクヤクといっても白花が基調で、実際に、ベニバナヤマシャクヤクで地域おこしをしている美山内久保地区でも、開花株の7割は白色だそうです。
環境省絶滅危惧種Ⅱ類VU、近畿絶滅危惧種A、京都府では絶滅寸前種で「京都府希少野生生物」に指定されているというベニバナヤマシャクヤクですが、足谷では守る会の手入れもあって、去年より花を持つ株数多くなっているように思いました。


雲ケ畑の料亭の前にいろいろな山野草が育てられている中に、本当に紅色のベニバナヤマシャクヤクが咲いていました。花期、葉の付き方、花柄の長いことなど足谷で見た白いベニバナヤマシャクヤクと同じです。清純な白花も、あでやかな紅色も、いずれも魅力的なベニバナヤマシャクヤクでした。


ツルキケマン:蔓黄華鬘(見たのは1株だけ) 6月18日

2014-06-18 08:22:27 | 植物観察過去ログについて

雲ケ畑で見かけたツルキケマンまたはツルケマン:蔓黄華鬘(ケシ科キケマン属)と思われる花です。
本州中部・関東地方、およびオホーツク沿岸、東シベリアの温帯に分布し、山地のやや湿ったところに生える多年草。地下に塊茎はなく、無毛。葉は互生し、2~3回3出複葉、小葉は3深裂し、長楕円形で長さ1-1.5㎝になります。茎は柔らかで長く伸びて広がり長さ以上にもなります。
枝や花茎は斜めに立ち、夏から秋咲く花は淡黄色で、距は類種に比べて長く、まばらに偏側してつき、花中には両体をなす雄蕊が6本あります。
図鑑では花木が夏から秋となっていて、少し早いのが気になりますが、葉の形などからツルキケマンと見立てました。

キヨスミウツボ:清澄靭(これでも立派な花)

2014-06-17 13:17:06 | 植物観察過去ログについて

洛北雲ケ畑の山道で珍しいキヨスミウツボ:清澄靭(ハマウツボ科キヨスミウツボ属)に出会いました。
日本各地の山地の木陰に生える寄生植物で、カシ類、アジサイ、マタタビ類の根によく寄生するといわれています。
高さは5~10㎝、茎は群生して、肉質の鱗片葉が互生に着きます。
花は初夏、5~10個束になり、始め白色のちに黄色に変化します。花冠は筒状で長さ2㎝位、先は唇形になります。
和名は千葉県の清澄山で見つけられ、花穂の形が矢を入れる靭に似ていることからきています。別名に黄筒花(オウトウカ)があります。
環境省では未指定ですが、30を超える県で、レベルの差はありますが絶滅危惧種に指定されています。

バイカツツジ:梅花躑躅(葉陰にひっそり)

2014-06-16 16:51:17 | 植物観察過去ログについて
バイカツツジ:梅花躑躅(葉陰にひっそり)6月16日洛北雲ケ畑の道端にバイカツツジ:梅花躑躅(ツツジ科ツツジ属)が咲いていました。
北海道南部から、本州、四国、九州の低山に生える落葉低木で、よく分枝し細く高さ1~2m、若枝や葉柄に毛と腺毛が生えます。葉は互生し、長さ3~5㎝の楕円形で、枝先にやや輪生状に集まってつきます。
花は初夏、前年の枝先近くに1花ずつつけ、葉の下に隠れて咲きます。花径は2㎝位、花冠は皿形で5裂し、雄蕊5本のうち上2本は短く白毛を密生します。裂片には僅かに紅紫色の斑点があります。
和名は白く小さい花をウメの花に見立てたものですが、葉陰にひっそり咲くつつましいこの花にはお似合いの名前です。

マツブサ:松房(果実が楽しみ)

2014-06-15 19:24:00 | 植物観察過去ログについて
マツブサ:松房(マツブサ科マツブサ属)の花が咲いているとの情報で、賀茂川源流近くの洛北雲ケ畑へ出かけました。
日本各地の山地に生える落葉つる低木で、茎は長く伸びて他物にからみつきます。
互生する葉は長さ2~6㎝の広卵形で短枝に束生します。
雌雄別株で、6~7月直径1㎝ほどの花が短枝から垂れ下がってつきます。花被片は9~10個すべて黄白色の花弁状、雌花には雌しべが多数並びます。
花托は果時に長く伸びて、青黒色の液果を穂状に多く垂れ下げます。案内してくださった山守の会の方の話では昨年秋には1株でざる一杯も採れたという話でした。詳しくは聞きませんでしたが、果実酒などにしたとのことです。話を聞いて、もう一度秋に訪れてこの実を味わいたいものだとおもいました
和名の松房は、茎を傷つけると松の香りがして、果実が房状になることからきています。
寫眞の花は雄株で、雌株は、遠くて上手く撮れなかったのが残念でした。