むかごの日記Ⅱ

70歳を過ぎてにわかに植物観察に関心を持ち、カメラを提げて、山野を歩いています。新・むかごの日記より引っ越しました。

ハマウド:浜独活(山陰海岸で)

2018-06-12 18:21:04 | 植物観察記録

山陰海岸ジオパーク浦富海岸の岩陰に人の背丈より高い立派なハマウド:浜独活(セリ科シシウド属)の群落があり、大きな花序に沢山蕾をつけていました。

関東地方以西〜沖縄の海岸に生える高さ1〜1.5mの多年草で、茎は太くて暗紫色を帯び、上部で枝分かれします。葉は大型の1〜2回3出羽状複葉で、葉柄の基部はふくらんで鞘状になり、小葉は卵状楕円形で厚くて強い光沢があります。4~6月枝先から複散形花序を出し、白色の小さな花を密につけます。

ウドの名がついていますが、ウド: 独活のウコギ科に対しこちらはせり科です。もっともこちらも食べられるそうです。また、若芽を食用にするアシタバに似てなくはありませんが、アシタバよりはるかに大型でいかつい感じであり、花期もアシタバの秋に対し、ハマウドは初夏、アシタバのように茎を切っても黄色い汁が出ないなど大きく違っています。


ハマダイコン:浜大根(山陰海岸で⑤)

2018-06-11 13:15:33 | 植物観察記録

夕暮れの山陰海岸牧谷海水浴場の草原にハマダイコン:浜大根(アブラナ科ダイコン属)が遅い花を着けていました。

海岸の砂地に生える2年草で、高さは30~70㎝、ダイコンに似ているが根はあまり太くならず、堅くて食べられません。

花期は4~6月、茎の先に直径2㎝ほどの十字形の花を多数つけます。花色はダイコンより濃く、淡紫色をしています。

果実は長さ5~8cmで、種子のところで数珠状に膨れ、水に浮かんで散布される構造になっていようです。

海岸に限らず琵琶湖湖畔などにも群生しているくらいで、全国どこにでも見られる草のためか、何回も見たり、写真を撮ったりしていながら、今までこのブログに取り上げていないことがわかり、夕暮れのおぼろげな写真での初登場となりました。

あまりり見る機会もない日本海側の海浜植物でしたが、太平洋側と何も変わらないのは、少し不思議な感じでした。

 


メマツヨイグサ:女待宵草(山陰海岸で④)

2018-06-10 09:44:27 | 植物観察記録

              メマツヨイグサ

山陰海岸ジオパーク巡りの泊まりは鳥取県岩美町の牧谷海水浴場のすぐ近くでした。夕食をすまして夕景を見ようと海岸に出たときはすでに日没後で、見ているうちに夕映えから黄昏、夕闇と一帯は光を失ってゆきました。暗くなった浜でほのかに浮かび上がっていたのがマツヨイグサの仲間の黄色い花でした。

暗いので仔細はわかりませんでしたが、大きい花はメマツヨイグサ:女松宵草小さい花はコマツヨイグサ:小待宵草(いずれもアカバナ科マツヨイグサ属)と見ました。

               コマツヨイグサ

始めてみる夕闇のなかに浮かび上がる松宵草のほのかな黄花は、なるほど名前にふさわしいと感じさせられていました。


タイトゴメ:大唐米(山陰海岸で③)

2018-06-08 16:57:03 | 植物観察記録

山陰海岸ジオパーク城原海岸にタイトゴメ:大唐米(ベンケイソウ科キリンソウ属)生えていました。

関東地方以西〜九州の海岸の岩上に生え、茎は長く這って多く分枝し、葉は密に互生し、長さ3~7㎜で先は丸くなります。花期は5~7月、茎の上部に濃い黄色の星形の花を3~10個つけます。

大唐米とは小粒の下等米のことで、厚みのある小さい葉を大唐米に見立ててこの名があります。
高さは10㎝足らずですが、海岸の岩場や礫地におおい多年草で、岩に張り付くように広がり、とくに花のころはよく目立ちます。ちょうど今盛りでした。秋には全草赤く色づきます。
タイトゴメと聞いて、あるいは大唐米と読んで、今では下等米と理解する人はまずいないでしょうから、この草は名前での不名誉を免れているといえます。

 

 

 


ハマボッス:浜払子(山陰海岸で②)

2018-06-07 10:47:49 | 植物観察記録

 鳥鳥取県岩美町の城原海岸の岩場の隙間にへばりつくように咲いていたのがハマボッス(サクラソウ科オカトラノオ属)です。

海岸の岩場や崖などによく見られる越年草で、茎は赤みを帯びることが多く、根元でよく分枝して、高さ10~40cmになります。

5~6月茎の先に総状花序をだし、白い花を多数つけます。花は直径1cmほどで、葉のように見える苞の脇に1個ずつつきます。

 果実は直径5mmほどの赤い朔果で、先端に花柱の跡が残り、基部の苞は指輪の立て爪のように見えます。果皮は硬く、熟すと尖った先端の小さな穴から稜のある楕円形の種子を放出しますが、そのあとも枝にそのまま残ります。

 和名は浜払子で、全体の様子を仏具の払子に見立てたというのですが、ぴったりといった感じではありません。

 


ハマヒルガオ:浜昼顔(山陰海岸で①)

2018-06-06 15:38:46 | 植物観察記録

山陰海岸ジオパーク(むかごの高槻参照)を訪れた際、ふだん見る機会がない海浜植物のいくつかに出会える余得がありました。

鳥取県岩美町の城原海岸に咲いていたのがハマヒルガオ:浜昼顔(ヒルガオ科ヒルガオ属)です。海岸に咲く花といえば、ハマナスについで知られているのがこのハマヒルガオです。

海岸の砂に生える多年草で、白く太い地下茎を砂の中で伸ばし広がってゆきますが、他の草木に巻きつくことはあまりありません。丸くて艶のある葉は、酷熱や乾燥など海岸特有の過酷な環境の中で水分の蒸発を防ぐようになっています。
5~6月ごろ咲く花は、葉より長い花柄を持ち、ラッパ状の花冠は直径4~5cmで、淡い紅色です。萼片は5個、オシベ5個とメシベ1個は花冠に納まって付いています。
白い縞の入ったピンクの花は艶やかな濃い緑の葉とよく合って、珍しいほどのナギという日本海の微風に揺れていました。


バイカモ:梅花藻(清流にのみ生きるかよわさ)

2018-06-06 09:29:11 | 植物観察記録

久しぶりの投稿です。

6月2日、急に思い立ち兵庫県新温泉町にある田君川バイカモ公園へ行ってきました。バイカモ:梅花藻は、湧水など、年間を通じて15℃前後の水温が保たれる、浅くてきれいな流水中だけに生えるキンポウゲ科の多年草です。

7年前にあるグループで訪れてその見事さ感銘し、一度妻に見せたいと思っての訪問でいた。近くでは滋賀県の醒ヶ井や高島町針江などが知られていますが、規模は小さく、水面上に出るわずかな花を撮影に苦労するのに、田君川では川一杯に咲いていて驚いたものでした。

期待を込めて行った田君川でしたが、7年前と打って変わって、清流こそ同じですが、バイカモはところどころ咲いているという状況で少なからずがっかりでした。

地元のの古老のお話では、子供のころは何も手入れをしなくても川一杯に咲いていたのが、アシなどが生え茂り一時衰えたのを官民挙げての再生活動で、保護育成が進み復活していたのが、昨年の大雨で流されてしまい淋しくなっているとのことでした。

この多君川のバイカモは、本来は群落の規模の大きいことで抜きんでており、河口からわずか4㎞、標高10mのところに生育していることと併せて学術的にも貴重なものとされています。再び以前の見事さに戻ることを念じながら淋しい水面を撮影していました。

 

下の写真は2011年6月撮影のものです。