むかごの日記Ⅱ

70歳を過ぎてにわかに植物観察に関心を持ち、カメラを提げて、山野を歩いています。新・むかごの日記より引っ越しました。

ロウバイ:蠟梅(やはり冬の花) 

2014-02-16 14:34:43 | 植物観察過去ログについて

2月14日~15日、九州から東北、北海道にかけて日本列島太平洋岸全域に、ところによっては120年ぶりという大雪がありました。
高槻でも夜明け頃から降りだした雪は、またたくまに一面銀世界に変えてしまいました。
庭のロウバイ:蠟梅(ロウバイ科ロウバイ属)の花にも白い雪が積もっています。早春の青空に咲いて春を感じさせる花として愛でられますが、雪をかぶったロウバイもまた美しく、やはり冬の花という感じです。
ロウバイは、中国中部原産で、江戸時代後水尾天皇のときに渡来し、真冬に咲く黄色い花と香を賞して好んで庭に植えられる落葉小木です。花は前年枝の葉脇に1個ずつつき、12月~2月、葉に先がけて開きます。花の径2~3cmで、花被片は多数、外側は淡黄色、内側の花弁は短くて、普通暗紫色です。
最近では内側まで黄色いソシンロウバイ(素心蠟梅)といわれる品種が人気のようです。
中国では迎春の花として重んじられ、絵画の中で蠟梅と水仙あるいは蠟梅と南天が配された構図が”歳寒の二友“として好んで描かれるそうです。
蠟梅の名は黄色く透き通った花が蝋細工に似ているところからきたとされていますが、臘月(12月)に咲くから臘梅だとする説もあります。
別名に唐梅、九英梅、南京梅などがあります

サンシュユ:山茱萸(雪の中に春の兆し)

2014-02-15 09:55:16 | 植物観察過去ログについて
2月15日、南の低気圧と北の寒気が合体して、ここ高槻でも朝から降り出した雪で、見ている間に雪景色となりました。
家の前の土手に植えたサンシュユ:山茱萸(ミズキ科ミズキ属)の赤い実が今も残って、雪をかぶって震えているようです。
カメラをもって近づくと、真っ赤な実と白い雪が、幻想的ともいえる姿がファインダーに写っていました。
早春3月葉に先立って黄色い花をつけるので春黄金花、秋は赤い実で秋珊瑚と季節によって呼び名が変わります。果実は鮮やかな赤色でよく目立ちますが、鳥にとってもあまり美味しくないのか、年を越えてもよく残っています。
赤い実が残る枝の先に、花芽が丸く膨らんでいます。間もなく、葉に先立って30~40個の黄色い十字花弁の花をひらき、木全体が黄色の霞になります。
雪の中に確かな春の兆しが見えています。


タマミズキ:玉水木(玉に見立てる真っ赤な果実) 

2014-02-12 19:11:18 | 植物観察過去ログについて
東近江市の岩山赤神山の中腹に鎮まる阿賀神社(通称太郎坊宮)の本殿は742段の石段を喘ぎ喘ぎ上り詰めたところにあります。
巨大な岩を背に僅かなスペースに建つ本殿から眼下に東近江市の町並みが広がります。
そのパノラマを僅かに遮っていたのはタマミズキ:玉水木(モチノキ科モチノキ属)の真っ赤な実でした。
本州静岡県以西、四国、九州などに分布し、山地に生える落葉高木で、成長が早く高さは10~15mになります。比較的珍しい樹木ですが、西日本では点々と自生しているのが見られます。
雌雄異株で、晩春、葉脇に緑白色の花を多数つけますがあまり目立ちません。なんといってもこの木が目立つのは、冬から早春にかけて、色彩の少ない冬の林の中で、花が咲いているかと見まがうほど赤い果実を枝の上に群がってつけることです。
よく目立つといってもたいていは高く遠いところにあるものですが、太郎坊宮から眼前に見下ろすタマミズきの赤い実は、果実を玉に見立てたという名前の由来に大いに納得でした。

シュウメイギク:秋明菊(キク科ではないが)

2014-02-09 09:00:25 | 植物観察過去ログについて

冬枯れした庭の草の先に、綿毛のようなものが絡んでいました。
あまり見かけないものなので、どこかからか飛んできたごみ屑か何かと思っていましたが、よくみるとあちこちに見える綿毛は、いずれも花が終わったシュウメイギク:秋明菊(キンポウゲ科イチリンソウ属)の枯れた花茎の頂きについているのに気づきました。
近づいてルーペでみると、綿毛に包まれて種子のような黒い点が見えました。
キンポウゲ科でアネモネなどと同じ仲間ですが、菊の花に似ているのでキクの名がついています。
図鑑では普通果実はできず地下匐枝で増えるとありますが、庭で見たものは不稔かどうかは別にして種子以外のものではないと思います。綿毛の中の種子を見ると、キンポウゲではなく和名のとおりキクの仲間ではないかと思えてなりませんでした。
京都貴船に多かったのでキブネギク(貴船菊)の名もあるこの草は、古い時代に中国から入ってきたと考えられている多年草で、庭などに植えられていますが、野生状態になっているのもよく見られます。
高さは50~80cm、根生葉は3出複葉、茎葉は2~3個ほど輪生し上部の方ほど小さくなります。
9~10月に咲く花は直径約5cmで、花弁のように見えるのは萼片で20~30個あります。雄蕊は多数で葯は黄色、雌蕊も多数で球状に集まります。(’06年10月5日記事)

フユサンゴ:冬珊瑚(長く楽しめる果実) 

2014-02-06 14:23:21 | 植物観察過去ログについて

色の少ない冬の景色のなかに、赤や黄色の丸い実をつけた低木が目につきます。
フユサンゴ:冬珊瑚(ナス科ナス属)です。タマサンゴ:玉珊と瑚とも呼ばれ、ブラジル原産と考えられている常緑低木です。
暖かい地方では庭木に、寒い地方では主として冬の鉢物として、赤く熟した果実を鑑賞します。
よく枝分かれして、長円形の小形の葉がこんもり茂ります。
夏に白い星形の花をつけ、晩秋、熟す果実は直径1.5cmほどになり、翌年の春まで残るので長く楽しめます。
一本の木に緑、朱、赤と熟し具合によって異なる色の果実が同時に混在するのも面白いですが、果実が橙色の品種もあります。

シタキソウ:舌切草?(名前は草でも見た目は木?)2月5日

2014-02-05 13:55:46 | 植物観察過去ログについて

太くて長い茎?>


シキタソウの葉

植物園で太く長い幹を、高木にまじって葉が見えないくらいまで高くはい登っているつる植物がありました。名札にはシタキソウ(ガガイモ科シタキソウ属)とありました。
ソウがつくからには草本ということのようですが、冬というのに枯れることなく、太くて長く伸びるつるを見ているととても草とは思えません。図鑑では暖地の海岸近くの山林内にはえるつる性の常緑多年草で、葉は対生し長さ6~17㎝の卵形または丸状楕円形、全縁で厚みがあり、古い茎は茶褐色で木質化するとあります。
これが草なのかと、広辞苑をみると、草本=植物のうち地上部が柔軟で木質を為さないものの総称。俗に草と称するもの。木本=木質の茎(木幹}を有する植物。高木と低木とに分かれる。ふつう木(き)と称するもの。とありました。これなら区別は簡単なようですが、植物学的にはいろいろ定義がされてるものの、実際には中間的なものも多く存在し、草本と木本を明瞭に区別することは難しいとあり、個々の分類を決める時、なにを基準に決めているのかわからないのが多く戸惑います。
ここのシキタソウの葉っぱは高木の上になっていて定かには見えませんでしたので、地上に落ちていたのを撮影しました。
牧野図鑑では一名舌切草で和名はそれを省略したものであろう、とありますがそれが何なのかはわかりません。
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マサキ:柾・正木(美しい裂開果実) 

2014-02-03 12:11:48 | 植物観察過去ログについて

色彩の少ない冬の道端で葉の緑と鮮やかな対比を見せて目立っているのはマサキ:柾・正木(ニシキギ科ニシキギ属)の橙紅色の果実でした。
日本各地に分布し、海岸近くの暖地に多い常緑低木で、高さは2~3mになります。
葉は対生、まれに互生し、長さ3~8㎝の楕円形で、縁には浅い鋸歯があり、厚い葉質です。
6~7月に咲く花は4数性で、直径約7㎜、黄緑色~緑白色でそれほど目立ちません。
11~2月に淡紫色に熟す果実は果で、直径6~8㎜の球形で4裂します。種子は橙赤色の仮種皮に包まれ、落ちずにぶら下がります。本来4個の種子がはいっているはずですが、栄養などの関係か、4個揃っている果実は少ないようです。
50年前結婚した時の最初の家の生け垣は斑入りのマサキでした。葉がきれいで、芽生えの頃伸びた新枝がいつの間にか誰かに摘み取られていたという事件もありましたが、うどんこ病がひどく、結構手がかかりました。そんなことからか、このごろマサキの生け垣は少なくなっているような気がします。

アメリカヅタ:アメリカ蔦(残る紅葉)

2014-02-02 09:07:26 | 植物観察過去ログについて

建物の壁面に植え付けられているつる植物が冬の最中というのに真っ赤な紅葉を残していました。
最近園芸でよく使われているアメリカヅタ(ブドウ科ツタ属)のようです。
バージニアツタなどの別名もあるこの蔦は、落葉性のつる性小木本で、互生する葉は、掌状に5裂します。
鉢植えなどの園芸では斑入りのものが愛好されているようですが、普通の葉の見事な紅葉もよいものです。