むかごの日記Ⅱ

70歳を過ぎてにわかに植物観察に関心を持ち、カメラを提げて、山野を歩いています。新・むかごの日記より引っ越しました。

イワヤツデ:岩八手(丹頂の頭に似るというが) 

2015-03-31 18:52:00 | 植物観察記録

庭のイワヤツデ:岩八手(ユキノシタ科アセリフィラム属)が長い花茎を延ばして白い花をつけるのを追っかけるように、八手状の葉が広がってきました。
朝鮮半島から中国東北部原産で、ときに観賞用として栽培される多年草です。早春新しい葉と花茎をだし、花茎は高さ10~30㎝、先は分枝します。花は春、白色で花枝の先ははじめ外側に巻きます。
岩場に生じ葉がヤツデ状になるのでこの名がありますが、小さい花の中心を見ると花の底が赤くなっています。これが別名のタンチョウソウの由来というのですが、よく見ないと気付かないくらいで、少々大げさな名づけのようにも思えます。

オガタマノキ:招霊の木・小賀玉の木(香りもまたよし) 

2015-03-21 19:26:17 | 植物観察記録

公園の斜面にかなり大きいオガタマノキ:招霊の木(モクレン科オガタマノキ属)があり、下から見てのではわからなかったのですが、上から見ると小さい白い花がいくつか咲いていました。
和名は枝を神前に供えて神霊を招くということからきており、神に捧げるサカキの本物はこの木だという説もあるくらいで、神社の境内などにはよく植えられていますが公園では珍しい木です。
高さ15m以上にもなる常緑高木で、早春径3cmほどの香りのよい小花を葉腋に1個つけます。
花の少ない此の時季、高いところに上向きにつく小さい花に気が付かないことが大きく、ちゃんと写真に撮る機会が少ないものです。
和名は招霊(おきたま)の転訛で、枝を神前に供えて神霊を招祷(おき)たてまつるというのに基づきます。神に捧げるサカキの本物はこの木だという説もあるくらいで、神社とこの木は密接な関係があります。加えて、秋に実る房状の果実が(’09年10月18日記事)巫女さんの振る神鈴に似ていることも名前の由来に関係しているといいます。
一時、この木が、一円アルミ貨のデザインに使われているという説が流布したことがありましたが、造幣局では単なる若木をデザインしたものとしています。この図案をよく見るかぎり、オガタマノキなら互生であるのに、対生の葉が混じっているなどで、一円貨オガタマノキ説は根拠のないことは明らかです。
小さい花ですが、しっかりモクレン科の花の構造を備えていて、よい香りもしていました。

イヌコリヤナギ:犬行李柳(単なる犬でもない) 

2015-03-18 10:43:09 | 植物観察記録

公園の池端にイヌコリヤナギ:犬行李柳(ヤナギ科ヤナギ属)が花をつけていました。
水辺にふつうに生えますが、乾燥地でも見られます。雌雄別株で、3月、葉の展開前に花をつけます。
花序は細い円錐形でほとんど無柄、雄花序(写真)は長さ2~3㎝、雄蕊は2個、花糸は合着して1個、葯は紅紫色になります。
イヌコリヤナギは犬行李柳と書きます。イヌの名がつく草木は、イヌマキ、イヌツゲ、イヌビワ、イヌシデなど似て非なるもの、役に立たないものを意味することが多いのですが、この木も柳行李にするコリヤナギに似るが、役に立たないという意だそうです。
しかし、若葉、成葉、紅葉いずれも美しく、斑入りもあって、園芸のほうでは「白露錦」という名で珍重されているそうです。犬の名がありますがかなずしも役立たずではなさそうです。

キャベコン? (大根の上がキャベツ) 

2015-03-15 17:11:07 | 植物観察記録

奈良の馬見丘陵公園の館内に面白いものが展示されていました。
下部が赤いダイコン、上がキャベツという怪物です。
説明版では、ダイコンとキャベツを本葉が出始める時期に、お互いを水平に切り、ダイコを下に、キャベツを上にして接ぎ木をします。接ぎ木後は真っ暗に密閉し、徐々に外の空気に触れさせて育てます。
この作業はかなり難しく、成功率はかなり低く10%以下といいます。
この作業は当然のことですが同じアブラナ科どうしでできることで、ニンジンとキャベツでは無理な相談です。
キャベコンのほか、ダイコンとブロッコリー、ハクサイ、なども展示されていました。この合体野菜、味の方はどうなのか説明はありませんでした。


パンダカンアオイ:熊猫寒葵  

2015-03-09 10:12:14 | 植物観察記録

先日TVで白浜アドベンチャーワールドでの双子のパンダの子育て奮闘記が放映されていました。無事育てられた双子のパンダも、父母の母国である中国へ送られるとのこと。パンダの保護、繁殖のための約束とかですがすこし寂しい気もします。
TVを見ていて、先日大阪府花の文化園で見たパンダカンアオイ:熊猫寒葵(ウマノスズクサ科フタバアオイ属)を思い出していました。
パンダカンアオイは、中国の中部、湖北省から四川省に分布し、葉は広卵形から狭卵形で、基部は深い心形、長い葉柄がつき、またくすんだ緑色のなかに白い斑紋が混じることがあります。4月から5月ごろ、花弁のない萼片だけの黒紫色と白色の花を咲かせます。3個の萼片は合着して壺形になり先端は広がります。パンダの名の通り、周辺は黒紫色、内側が白色、咽元は紫色です。
こちらの方は繁殖容易で、園芸店でよく売られているようです

クロガネモチ:黒鉄黐(黄実もあった)

2015-03-01 17:47:17 | 植物観察記録

月ヶ瀬梅林を訪れた時のこと、お目当ての梅はほとんど咲いてなく、殺風景な景色のなか、クロガネモチ:黒鉄黐(モチノキ科モチノキ属)と思われる木が、金色の実をたわわにつけていました。
赤い実をつけるクロガネモチは、その名前がカネモチ(金持ち)に通じるというので、縁起の良い木として庭や公園などによく植栽されます。この金色の実をつけるクロガネモチは、さしずめ黄金をもたらす本当のカネモチの木ですから、一段とめでたいということになります。