むかごの日記Ⅱ

70歳を過ぎてにわかに植物観察に関心を持ち、カメラを提げて、山野を歩いています。新・むかごの日記より引っ越しました。

カンザキアヤメ:寒咲菖蒲 (名の通り雪に咲いて)

2017-02-11 16:03:04 | 植物観察記録

地球温暖化というのに今年の冬は近年にない度重なる寒波襲来です。
1月末の豪雪に続き、またまた各地で前回をうわまわる降雪です。
11日の朝、積雪はそれほどではありませんが気温が低いのか、日が昇ってもなかなか融け去りません。
庭の片隅で咲いているカンザキアヤメ:寒咲菖蒲が雪の中に薄紫色の花を咲かせています。
地中海の東部沿岸に分布するアヤメ科アヤメ属の多年草で、本来乾燥した岩礫地の斜面に生え、高さは20~30センチになります。葉の幅は約3㎜と非常に細く、晩秋から冬の終わりにかけて花を咲かせます。花はふつうスミレ色ですが、まれにピンク色や白色もあります。花披片の真ん中には、オレンジ色の筋があります。
冬に咲くアヤメとして珍しい花で、あちこちの庭で見られますが、季節的に違和感があるのかあまり人気のある花とはいえないようです。とはいうものの雪が降った庭に咲いている姿は健気で、がんばりやと声をかけたくなりました。

青色のコチョウラン:胡蝶蘭

2017-02-05 10:42:43 | 植物観察記録

2月4日、大阪のホテルで松下幸之助花の万博記念賞授賞式と記念講演会がありました。
会場の一角に策に囲まれたガラスの箱に納められた青色のコチョウランがあり、二人のガードマンが見張っているのが目につきました。
少々ものものしく異様な感じがしていましたが、受賞者の三位正洋千葉大学名誉教授の記念講演のお話の中で、この正体がわかりました。
花卉園芸植物を始め多くの有用植物を遺伝子組み換え手法で作出してきた先生が、ツユクサの遺伝子を組み替えることで作出したのがこの青色のコチョウランで、2013年に法律に則り厳重な制約のもとに展示が可能になったものといいます。
この法律というのは、2003年6月に制定された「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律(いわゆるカルタヘナ法)で、遺伝子組換え技術の発展により、生物に新たな形質を付与することが容易となったが、遺伝子組換え技術は、人類が抱えるさまざまな課題を解決する有効な手段としての期待がある一方で、形質次第では、野生動植物の急激な減少などを引き起こし、生物の多様性に影響を与える可能性が危惧されているので、遺伝子組換え生物等を使用等する際の規制措置を講じるという主旨のものです。
これにより、遺伝子組み換え生物等の使用については、これが生物多様性に影響がないかどうか厳しく審査され問題がないと評価された場合のみ公開または使用が可能となります。
この青いコチョウランについては、遺伝子組換え生物等を、環境への放出が生じない空間で使用することが承認されている段階なので、このような厳重な管理が行われているということです。
ちなみにすでに商品化されているサントリー開発の青いバラは、2008年カタルヘナ法で承認されたものです。
青いコチョウランの商品化もさほど遠くない時期ということで、大いに期待されるところです。


松下幸之助花の万博記念賞授賞者
右から2人目藤井伸二人間環境大学助教授、1人おいて三位正洋名誉博士、左から2人目フラワーエコロジスト田中肇氏