むかごの日記Ⅱ

70歳を過ぎてにわかに植物観察に関心を持ち、カメラを提げて、山野を歩いています。新・むかごの日記より引っ越しました。

ゴボウ:牛蒡(なじみの薄い花) 

2014-07-30 18:39:47 | 植物観察過去ログについて
ゴボウ:牛蒡(キク科ゴボウ属)が赤紫色の花をつけています。
ヨーロッパから中央アジアが原産地と考えられている越年草で、日本では盛んに栽培されて、肥えた土地で雑草化することもあります。
野菜としては春に播種し、秋から冬に主根を収穫します。真っ直ぐに伸びる多肉の主根は品種によっては長さ40~150㎝になります。日本では主根のほかに若芽や葉柄も食用にされます。
2年目の夏には茎は1.5mほどにものび、上部で枝分かれして丸い頭花がつきます。花は筒状花ばかりで、外側の総苞片はかたくて先端がかぎ状にそり返り、衣服などに引っかかります。
種子は漢方で牛蒡子と呼ばれ解熱、解毒、去痰、麻疹、風疹などに用いられます。

ハマハナセンブリ:浜花千振(南港らしい花)

2014-07-26 07:52:19 | 植物観察過去ログについて
大阪南港にハマハナセンブリ:浜花千振(リンドウ科)が咲いていました。
人工島である大阪南港に目立つのが貨物船に紛れて渡来したらしい帰化植物ですが、その中でハマハナセンブリは可憐な花で目につきます。
地中海沿岸の原産で日本では1988年に神奈川県で前に報告されたという比較的新しい帰化植物です。
比較的湿り気の多い場所にはえる1年草または2年草で、高さは20~30㎝、直立してよく分枝し、茎には4稜があり、全体に無毛、葉は柄はなく十字対生して、長さ2~3㎝の楕円形~倒卵形で茎を抱きます。
夏から秋にかけて、直径8㎜ほどの桃色で5裂した花を茎の上部に散形状に幾重にもつけます。
センブリの名がついていますが、あまり苦くはないそうで、薬効があるということは聞きません。



ノラニンジン:野良人参?(野生化か原種か) 

2014-07-25 09:32:26 | 植物観察過去ログについて
これも大阪南港のあちこちに群生していたノラニンジン:野良人参(セリ科ニンジン属)です。
ヨーロッパ原産の多年草で高さは0.5~2mになります。
栽培されているニンジンが逃げ出して野生化したものとされていますが、その逆で野菜のニンジンの原種ではないかとの説もあります。
根が白くて肥大しない点を除いて、茎葉や花の形などはニンジンと大きい差はありません。
葉は2~3回3出複葉で、小葉は細かく裂けます。
茎の先から複散形花序をだし、白色の小さな花を密生します。花の中心部では花弁は同じ大きさで、周りの花では外側の花弁は大きくなります。
ノラニンジンの名は“野良”からきているとすれば、あまり良い印象はありませんが、海の向こうではQueen Anne's lace (アン女王のレース)といかにも上品な名前があるそうで、あるいは園芸で人気のあるレースフラワーはこの改良種かもしれません。

シナガワハギ:品川萩(利用価値多い帰化植物) 

2014-07-23 16:09:04 | 植物観察過去ログについて

大阪南港の土手に咲いていたのがシナガワハギ:品川萩(マメ科シナガワハギ属)が黄色い花をつけています。
東京の品川付近で見つかったといわれてこの名があるといい、原産地はユーラシア大陸で、江戸時代末期にすでに渡来し、明治初期から全国的にひろがり、沿海地を主とし、川岸や道端などにも生えています。
茎はよく枝分かれし高さ50~90㎝になり、3出複葉の葉は互生します。
5~10月、茎の付け根に長さ約5㎜の黄色の蝶形花が長さ3~5㎝の穂になって多数つきます。
メリトールの別名があり、全草にメリトール酸、クマリンなどの薬効成分があり、血管拡張と血流増大などの作用があり、消炎、血栓症などの治療薬としても用いられます。
日本植物園協会発行の薬草ガイドブック(野外編)に、シナガワハギが載っています。野生帰化植物がこの冊子に載るのは珍しい例です。
ミツバチの蜜原、家畜の飼料や牧草など利用価値の多い帰化植物です

ハチジョウナ:八丈菜(当然?不思議?南港に生える)

2014-07-22 12:41:39 | 植物観察過去ログについて

植物観察グループについて大阪南港を歩きました。
海辺に近いというものの、埋立地のこととて外来植物が目立っても、海辺の植物があまり見あたらいなかで、どういうわけか北国の海岸に多いというハチジョウナ:八丈菜(キク科ノゲシ属)が花をつけていました。
八丈島の原産と誤認されてこの名があるというハチジョウナは、特に北方に多く、海岸の砂地や荒地に生える高さ30~80cmの多年草で、地下茎を長く伸ばしてふえます。長さ10~20cmの長楕円形でふちに欠刻状の歯牙があります。基部はやや丸く張り出して茎を抱き、裏面は粉白を帯びます。
花は夏から秋、茎の先に直径3~4㎝の鮮黄色の頭花を数個つけます。
ナズナ、ヨメナ、アマナなど、一般に“菜”のつく野草は食用になるので“菜”がついているといわれていますが、ハチジョウナの場合本当に美味しく食べられるかどうかは分らずじまいです。

ウイローオーク:柳葉楢(柳葉のどんぐり)

2014-07-21 10:43:00 | 植物観察過去ログについて


孫娘が全国中学通信陸上競技に出場するというので応援しに長居のヤンマースタディアムへ行った時のこと、競技場のすぐ近くに見られない樹がありました。名札がついていてウイローオーク:ブナ科とあります。
調べてみるとWillow oakまたはヤナギバナラという北米産のレッドオークグループの一樹種で、コナラ属に属し、木材やパルプ用の重要資源であり、緑陰樹としても好まれ、移植が容易で都市部で広く利用されつつあるとありました。
葉は細長くヤナギに似 て 、大きくなると円錐形~横広がりの樹形になり、春には淡い緑の芽出し、やがて光沢のある濃緑色となり、密な樹冠を作り、秋には黄色~赤橙色に紅葉して美しい といいます。
庭木や公園樹として有望といいますから、今後はあちこちで見られるかもしれません

ハナスベリヒユ:花滑り莧(地味な野生から大変身) 

2014-07-20 13:32:54 | 植物観察過去ログについて

夏の日差しを浴びて庭先の小花壇に植えたハナスベリヒユ:花滑り莧(スベリヒユ科スベリヒユ属)が真っ盛りです。
雑草としてどこにでも見られるスベリヒユ(’05年9月14日記事)を1982年にアメリカで改良してつくられたものとされており、暖かい地方の花壇や庭に草花として広く普及しています。
園芸店では属名であるPortulacaそのままにポーチュラカで売られているほか、ヘラバマツバボタン(箆葉松葉牡丹)の別名もあります。
スベリヒユの仲間は、葉は厚ぼったく、光沢がり、茎も多肉質であり、日中は気孔を閉じて水分の蒸散を防ぎ、夜間に気孔を開いて二酸化炭素を吸収して炭素固定を行うというベンケイソウ型代謝をするCAM植物に属し、暑さや乾燥に強い対応能力を持っています。このため茎を噛むと中間物質であるリンゴ酸由来の酸味があります。
そんなことで、水やりを気遣う必要もなく、茎をちぎって土に挿すだけで根付いて殖えるなど、世話いらずでお徳用な草花です。
ハナスベリヒユの花は陽があたると開き、径2cmから3cmくらい、色は多彩で白や黄、桃色、薄紅色などの種類があります。
ハナスベリヒユの雌蕊は雄蕊より長くて、花芯の縁に傾いてつき、同種交配を避けているように見えます。面白いことに雄蕊に軽く触れると刺戟した方向に曲がります(傾震運動)。小さいスベリヒユの花ではよく見ることができないこの現象も、大きいハナスベリヒユの花でははっきり見ることができます。

オウゴンオニユリ:黄金鬼百合(対馬特産)

2014-07-15 15:23:46 | 植物観察過去ログについて

知人から頂いた珍しいオウゴンオニユリ:黄金鬼百合(ユリ科ユリ属)の苗が成長して黄色い花をつけました。なんでもその人は対馬でもらったむかごを何年かかけて育て、花をつけるようになった苗をみんなに分けて楽しんでもらっているとのことでした。
オウゴンオニユリは世界で対馬だけに出現した珍しい花ですが、野生状態ではほぼ絶滅しており
現在は公共施設や個人の愛好者の庭で見ることができるそうです。
草丈は1-2m程となる大型のユリで、葉は互生し、小さめの披針形で先端はゆるく尖ります。
花気は6月から7月で、6個の花弁は強く反り返り、黄地に赤の斑点を生じます。三倍体で種子ができませんが、オニユリと同じく葉の付け根につくムカゴで繁殖します。
最近同じ名前でオニユリとの人工交配種が販売されているそうですが、我が家に咲いたオウゴンオニユリは、素性正しい生粋の対馬産なので、大事にしようと、うまく行くかどうか自信がないものの、むかごを土に埋めて育てることにしました。

コジキイチゴ:乞食苺(乞食ではなく甑?) 

2014-07-12 12:49:17 | 植物観察過去ログについて

島本町若山神社から尺代へ抜ける道端にコジキイチゴ:乞食苺(バラ科キイチゴ属)が色づきかけていました。
本州中南部、四国、九州、などに分布する落葉低木で、高さ1mくらいになり、全体に腺毛を密生し、かぎ状に曲がったとげをまばらにつけます。互生する葉は長さ10~20cm羽状複葉で、1年目の葉は、花の付く枝の葉より多くなります。
このような羽状複葉を持つのはこの仲間では珍しいものです。
特に黄色くて長楕円形の実は熟すと直立し他の木苺類と著しく異なります。
図鑑によると、美味だが内部が空洞で、食べでがないなどと書かれています。乞食ぐらいしか食べないからこの名があるのかと思っていましたが、コジキイチゴの名は、実が集合果で中が空洞になっている形が甑(コシキ:米を蒸す底に穴の開いた器)に似ていることからコシキイチゴ、これが転訛してコジキイチゴなったという説があり、これならおおいに納得できます。地方によってはフクロイチゴと呼ばれているそうです。