むかごの日記Ⅱ

70歳を過ぎてにわかに植物観察に関心を持ち、カメラを提げて、山野を歩いています。新・むかごの日記より引っ越しました。

オニシバリ:鬼縛(冬の陽で成長)

2017-03-30 11:20:06 | 植物観察記録
春先の木の下にオニシバリ:鬼縛(ジンチョウゲ科ジンチョウウゲ属)の黄緑の花が咲いています。福島県以南の本州、四国、九州の山林に生えるジンチョウゲ近縁の低木で、高さは1m前後、直立してあまり分枝しません。樹皮が強く鬼をも縛るというのでこの名があります。
雌雄異株で4月ごろ枝の上部の葉脇に黄緑色の花が群がって咲きます。花弁がなく萼が筒状で大きく4裂し、雌花は雄花より小さくなっています。
枝先に集まって互生する長さ5~10cmの倒披針形の葉は、秋に出て夏に落ちるのでナツボウズ:夏坊主の別名もあります。
落葉樹の林の中で暮らすオニシバリは、低木のため、夏の間は高木に日光を遮られて光合成できません。その林の中が暗くなる夏には葉を落として休眠に入り、秋落葉樹の葉が落ちて林床が明るくなりはじめると、芽吹きし、冬の陽を浴びて成長します。
同じジンチョウゲ属のジンチョウゲやミツマタの仲間ですが、両者は中国由来の植物であるのに対してオニシバリは日本の固有種です。
オニシバリは、セツブンソウ、カタクリ、ニリンソウなど春の妖精(Spring Ephemerals)と呼ばれる草本の一群と同じような周年生活を送っているのに、オニシバリやナツボウズという荒くれた名前のせいか、あまり可愛気のある植物とは思われていないようです。