むかごの日記Ⅱ

70歳を過ぎてにわかに植物観察に関心を持ち、カメラを提げて、山野を歩いています。新・むかごの日記より引っ越しました。

タイワンツバキ:台湾椿(早や咲きだが寒さに弱い) 

2016-12-26 09:25:55 | 植物観察記録

京大理学部植物園にタイワンツバキ:台湾椿(ツバキ科タイワンツバキ属)が咲いていました。
台湾。中国南部、ベトナムなどに分布する常緑高木で、ツバキ科ですが、ツバキとは属は異なりゴルドニア属に属し、ゴルドニアの名流で流通していることがあります。
互生する葉は長楕円形で、葉質は分厚く艶があり、縁にはわずかに鋸歯があります。
開花時期は10月から2月で、花径は約10センチで、真っ白な花が順次咲き続けますが、寒さに弱く霜に当たる傷んで縮みます。

ウンナンロウバイ:雲南蠟梅(師走に満開) 

2016-12-23 12:53:32 | 植物観察記録

京都植物園でウンナンロウバイ:雲南蠟梅(ロウバイ科ロウバイ属)が満開です。
中国雲南省原産とされる落葉低木で高さ2~5m、花被片の外側は透き通ったベージュ色、内側ははっきりした赤褐色で、よく知られている同属のロウバイとソシンロウバイに比べて内側花被片の濃い赤褐色色が目立ちます。
蠟梅は1~2月、通常葉に先駆けて開花しますが、京都植物園のウンナンロウバイは、気候のせいか今年の葉が残ったまま開花していました。
もともとロウバイは、中国中部原産で、江戸時代後水尾天皇のときに渡来し、真冬に咲く黄色い花と香を賞して好んで庭に植えられる落葉小木です。花は前年枝の葉脇に1個ずつつき、花の径2~3cmで、花被片は多数、外側は淡黄色、内側の花弁は短くて普通暗紫色で、 最近では内側まで黄色いソシンロウバイ(素心蠟梅)といわれる品種が人気のようです。
中国では迎春の花として重んじられ、絵画の中で蠟梅と水仙あるいは蠟梅と南天が配された構図が”歳寒の二友“として好んで描かれるそうです。
蠟梅の名は黄色く透き通った花が蝋細工に似ているところからきたとされていますが、臘月(12月)に咲くから臘梅だとする説もあります。
別名に唐梅、九英梅、南京梅などがあります。

モンキーオーキッド(さよなら申年)

2016-12-15 09:26:41 | 植物観察記録



植物園案内に、この時期必見のモンキーオーキッドが温室で咲いていますとあったので見てきました。
モンキーオーキッドは、通常の蘭の展示場所ではなく、特別の部屋に大事そうに吊り下られていました。一年前には来年の干支ということで、マスコミにも取り上げられて、写真を撮る人の長い列ができたといいますが、今年は時々ああこれかといった感じで写真を撮る人もパラパラといった感じでした。
学名は、異様に長い萼片から、小さい竜の意のDracula gigasとなっており、ドラキュラ伯爵の連想から吸血鬼の意ともなっています。
南米の雲霧林の樹木などに着生するランです。
Dracula属のランの仲間は、花弁、唇弁、側萼片に、中央部の濃褐色の模様が合わさって猿顔状に見えることから愛好家の中で「猿のラン」「モンキーオーキッド」として親しまれているそうで、確かになるほどと思わせるほどの猿面顔です。

マルバノキ:丸葉の木(好みは葉?それとも花?4) 

2016-12-12 20:28:57 | 植物観察記録

丸い紅葉

茶花や生け花としても使われ、千利休が愛したといわれ利休七選花という花木の一群があります(*)。
そのなかに、あまりポピュラーではありませんが、秋の鮮やかな紅葉とユニークな紅色の花がほとんど同時に見られるマルバノキ:丸葉の木(マンサク科マルバノキ属)があります。
葉が丸いのでこの名があるマルバノキは産地の谷間などに生える日本固有種の落葉低木で,紅葉が美しいので庭木として植えられることもあります。分布地は三重、岡山、広島、高知など比較的限られており、各地で絶滅危惧種に登録されています。
高さは2~4m、葉は互生し、長さ5~10㎝の円形または卵円形で、基部はハート形、葉の裏は白っぽくなります。
花期は10~11月、葉が落ちるころに暗紅色の星形の花を2個ずつ背中合わせにつけます。花色からベニマンサク:紅万作の別名もあります。
この小さく可憐な花、背中合わせも面白いですが、ドクダミそっくりの匂いがするのも独特です。

背中合わせつく花

丸い紅葉、紅色の花いずれも茶花として趣があり、七選花に選ばれたのも大いに納得できますが、利休が好んだのは葉なのか、花なのか、あるいはその両方なのか知りたいところではあります。

(*)利休七選花
ハクウンボク(白雲木・エゴノキ科)
ヤマボウシ(山法師・ミズキ科)
ムシカリ(レンプクソウ科)
ナツツバキ(夏椿・ツバキ科)
マルバノキ(紅満作・マンサク科)
シロワビスケ(白侘助・ツバキ科)
オオヤマレンゲ(大山蓮華・モクレン科)

ナタオレノキ:鉈折れの木(名前で驚くが実は…) 

2016-12-10 18:11:24 | 植物観察記録
モクセイより細長いナタオレノキの葉
太く大きいい樹幹」
これも京都大学理学部付属植物園教えてもらった面白い名のナタオレノキ:鉈折れの木(モクセイ科キンモクセイ属)です。
この名を聞けば材がかたい木なんだろうとすぐ気が付きますが、初めて聞く名前です。
植物園でこの木を見た後、引き続き京大渡辺弘之名誉教授のご案内で京大近傍の社寺、名所を巡り、名刹真如堂の境内で大きく丸く剪定された緑の樹木を指してあの木は何かわかりますかと質問されました。
モクセイのようにもみえますが、それなら改めて質問されることもないはずと思っていたら、あれはさっき見てきたナタオレノキだと教えてくださいました。
首をかしげながら近づいてみると名札があってシマモクセイとありました。ナタオレノキはモクセイの仲間だったのです。
ナタオレノキにはシマモクセイ、ハチジョウモクセイ、サツマモクセイ、ナタハジキなどの別名があり、本州福井以西、四国、九州にも分布しますが、多くは別名のとおり、南九州、八丈島、小笠原、沖縄など西南部に分布します。
高さ15m、幹の直径1mにもなる常緑の高木で、対生する葉は長さ7~11㎝、幅2~4㎝の狭長楕円形で、先端は尾状に伸びて鋭くとがります。
雌雄別株で、10~11月葉脇に白い小さな花を束生します。
真如堂のシマモクセイにも、散り残った白い小さな花がわずかに残っていました。

見事に刈り込まれた真如堂のナタオレノキ


セッケンノキ:石鹸の木(真正石鹸の木?) 

2016-12-07 11:38:17 | 植物観察記録

京都大学理学部付属植物園で教えてもらったセッケンノキ:石鹸の木(マメ科)とその果実です。
セッケンノキといわれる木は、一般には果実にサポニンを含むエゴノキやムクロジの別名として知られていますが、
この植物園のは本名がセッケンノキで、中国原産のマメ科の木本、学名がGYMNOCLADUS CHAINENSISとありました。
落ちていた肉厚の果実は見かけも石鹸によく似ていて、サポニンはこの厚めの果肉の部分に含まれています。
果実を截ち割ってみると内側を触るだけで粘りを感じました