むかごの日記Ⅱ

70歳を過ぎてにわかに植物観察に関心を持ち、カメラを提げて、山野を歩いています。新・むかごの日記より引っ越しました。

白花のヘビイチゴと白花のヤマルリソウ 

2014-04-27 17:17:57 | 植物観察過去ログについて

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高槻北部の田舎道を歩いていると、シロバナのヘビイチゴに続いてシロバナのヤマルリソウを見かけました。
シロバナについては、シロバナホトケノザ(3月29日記事)で、少し詳しく取り上げています。こちらは、ネットではシロバナホトケノザという品種名で載っているくらいで、顕花植物の中で、本来は色のついた花を咲かせるはずの種で、花弁において色素が形成されず、白い花を咲かせる白花変種といわれる個体で、アルビノと異なり、正常な個体なので、遺伝情報に白花である事が既に含まれており、遺伝的には安定しているものにあたると考えられますが、道ばたで見た白い花のヘビイチゴやヤマルリソウなどは、これだけ多く見かけるとなれば、単なる色の変化にすぎないということかもしれません。
こちらのほうも1年後、同じ場所で同じように白く咲いているかどうか、できたら確かめたいものです。

ドウダンツツジ:満天星躑躅・灯台躑躅(なるほどの和名) 

2014-04-23 10:06:28 | 植物観察過去ログについて

庭のドウダンツツジ:満天星躑躅・灯台躑躅(ツツジ科ドウダンツツジ属)が白い花をつけています。
今では庭園などでしか見られないドウダンツツジですが、本州伊豆半島以西、四国、九州の山地の蛇紋岩帯などにまれに自生するそうです。
4~5月、葉の展開と同時に枝先に白色の花を1~5個下向きにつけます。花冠は長さ7~8㎜の壺形で浅く5裂し、裂片は反り繰り返って訪れたハナバチなどがつかまりやすくなっています。
小さい花の内部は結構凝ったつくりで、10本ある雄蕊の葯には角が2本ずつつき、狭い花の中では20本もの角がひしめき、ハナバチが蜜を吸おうとすると口を伸ばせば必ずこの角に触れてしまいます。角はいわばセンサーで少しでも角にふれると葯が揺れ、先端の小さな穴から花粉がこぼれ落ちます。こうして花粉は花の入り口まで伸びている雄蕊の柱頭に運ばれてゆきます。またこうすることで、さらさらの花粉は下向きの花なのに無駄にこぼれ落ちないような仕組みになっています。
花は下向きでも秋に熟すさく果は上向きになり種子を飛ばします。秋の紅葉も見事です。
和名のドウダンツツジは分枝の形が結び灯台の脚に似ていることからきており、これが転訛したものとされてます。満天星はたくさん釣り下がる小さな花を満天の星になぞらえたものと思われますが、粋な名前といえるでしょう。

ナンキンナンカマド:南京七竈(ややこしいナンキンの名)

2014-04-21 12:38:39 | 植物観察過去ログについて

西宮山口町の丸山(378m)の頂上近くの木に、紅茶色の葉がのびだして、蕾がついていました。
ナナカマドのらしいその木を見て、詳しい人が即座にナンキンナンカマド:南京七竈(バラ科ナナカマド属)だといいました。
関東地方以西、四国、九州の山地に分布する落葉低木で、高さは2~3m、幹は細くひょろひょろした樹形です。
互生する葉は長さ7~16cmの奇数羽状複葉で小葉は3~4対、長さ2~5.5㎝の長楕円形で、上半分に鈍い鋸歯があり、裏面は粉白色を呈します。花は5月ごろ、黄白色で直径約1㎝ほどで多数つきます。
ナンキンナナカマドと判定した決め手は花序の下につく扇形の托葉の存在でした。この托葉は果期にも残ります。
ナンキン(南京)と名がつくからには、中国原産かと思いきや、ナンキンは小形のものに冠する語だということでした。念のために広辞苑で当たって見ると、南京は①中国江蘇省の首都、②中国または東南アジアから渡来したものに冠する語、③カボチャの異称とあって、④に、珍奇なものや小さく愛らしいものに冠する語とありました。わざわざ紛らしい語をつけなくてもいくらでも類語があるのに思ったりしていました。


ヒメフタバラン:姫二葉蘭(よくぞ見つけた)

2014-04-20 12:39:45 | 植物観察過去ログについて

比叡山坂本側の坂道の側に生えていたのがヒメフタバラン:姫二葉蘭(ラン科フタバラン属)です。
本州から琉球にかけての常緑林下の少し湿ったところに生える多年草で、高さ13~22㎝、年々1茎を出し、中ほどに三角状卵形で長さ1~2㎝の葉を対生状につけます。葉は主脈だけ裏へ隆起し、先が尖ります。
3~5月、紫色を帯びた2~6個の花をまばらにつけます。基部の突起は同属他種と異なり後方にそり返り、芯柱を抱くというのですが、写真ではよくわかりません。
和名は優しいフタバランという意味ですが、姫といっても同属種の中では大型に入るそうです。
草も花も地味で小さく全く目立たないこの蘭を見つけるとは、よほど優れた観察眼の人と感心しますが、手持ちのデジカメでは、いくらねばっても満足な写真は撮れずじまいでした。
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メグスリノキ:目薬の木(歴史を動かした?)

2014-04-19 13:49:07 | 植物観察記録

人気の大河ドラマ“軍師官兵衛”の祖父黒田重隆が、黒田家の本願である北近江に伝わっていた目に効く薬を、移住した播磨で、各地に神符を配って回る御師と呼ばれる集団に売りさばかせることで、黒田家隆盛の財政基盤を築いたといわれています。
その目薬について、司馬遼太郎が“播磨灘“に、「葉に山に毛の生えているカエデ科の木がある。北近江では目ぐすりの木というのだが、その樹皮をとってきて砕き、それを赤い絹の袋につつんで煎じ、その袋ごと目にあてて煎じ汁を滴らせる。樹皮の煎じ汁が効くのか、それとも赤い袋には殺菌効果があってそれがために効くのかよくわからない。」と書いています。
そのメグスリノキ:目薬の木(カエデ科カエデ属)今万博公園の空中回廊”ソラード“のすぐそばで
芽生え始めています。
メグスリノキは、日本のカエデ属の中では珍しく複葉で、3枚の小葉からなります。この変わった名前は、樹皮を煎じて洗眼薬として用いられたことからきたれっきとした標準和名です。
3枚セットになった葉とピンク色に紅葉する独特の色合いで秋の季節なら見分けやすい木といえるでしょう。(‘05年12月5日記事参照)
チョウジャノキという別名もあります。もしかしたらこれで大儲した氏黒田家のことをいうのかもしれませんが、図鑑ではその由来は不詳とありました。

 
1週間後、同じ場所のメグスリノキの新芽はぐんと伸びていました。


ヒトリシズカ:一人静(愛を貫いた静)

2014-04-14 20:14:58 | 植物観察過去ログについて

山野草を庭に植えても土質や気候のせいかいつの間にか消えてゆくのが多い中で、ヒトリシズカ:一人静(センリョウ科センリョウ属)は世話をしないでも自然に増えてゆく強さがあるようです。株分けして植えておいたヒトリシズカが芽生えたと思ったらすぐに白い花をつけました。
センリョウ:千両(06年7月8日記事)と同科同属とはどこでどうつながっているのかと思いますが、両者を花で比べるとなるほどと頷けます。
センリョウ科は雌蕊1個と1~3個の雄蕊だけという簡単な構造の花をもちます。ヒトリシズカの花も花弁と萼を欠き、緑の球に見える子房に突き刺さったように、白い糸のような雄蕊が付き、その根元に黄色い葯があります。どちらも進化の道程での古い形のまま生き残っている植物なのです。
光沢のある葉の間に白い花穂が立つ姿を、悲劇のヒロイン静御前にたとえてこの名がついたといわれています。
吉野で義経と別れ京へ戻った静御前は捕えられ、文治2年(1186年)3月に母の磯禅師とともに鎌倉に送られます。同年4月8日、静は頼朝に鶴岡八幡宮社前で白拍子の舞を命じられた静は、“しづやしづ しづのをだまき くり返し 昔を今に なすよしもがな”と義経を慕う歌を唄い頼朝を激怒させますが、妻の北条政子のとりなしで命がたすかったという話が吾妻鏡にあります。静が義経に縁のある吉野の勝手神社で舞を舞ったという話から吉野静という名のほか眉刷草の別名もあります。

コバノミツバツツジ:小葉三葉躑躅 

2014-04-13 07:34:34 | 植物観察過去ログについて

何年か前に家の前の小山の田んぼの縁に近い木が伐られました。一つには松枯れ病が広がったこと、また雑木が大きくなって田んぼの日当たりが悪くなっていたことと思われます。
その結果、今まで気づかなかったコバノミツバツツジ:小葉三葉躑躅(ツツジ科ツツジ属)がところどころで咲いているのが見えてきました。木の陰で見えなかったのが見えるようになったというよりは、日当たりがよくなって樹勢が強くなったからと思われます。


ミツバツツジは外見がみな同じように見えるのでツツジ科の中でも最も分類が難しいとされておりますが、関西から西はコバノミツバツツジ、東海地方はミツバツツジ、関東地方ではトウゴクミツバツツジ、北陸地方ではユキグニミツバツツジが多くみられるなど、地域によっていろいろな品種があることでも知られています。ツツジ属の中では最も開花が早く、桜とともに春の訪れを実感させてくれる紅紫の花です。



オランダフウロ:和蘭風露(真冬の紅葉が春には)

2014-04-12 09:29:56 | 植物観察過去ログについて

1月17日


4月3日
1月の中ごろ、京都嵯峨野へ雪見のいた時のことです、廣澤の池近くのあぜ道できれいに赤く紅葉したロゼット状の草が気になり、何かと思いながら写真をとって帰りました。
4月に入って同じところを桜見物に通りますと、小さな花が咲いていて独特の尖った果実がついていてフウロの仲間とわかりました。の低い姿からはすぐには思いつかなかったのかもしれません。
何のことはない12年5月5日に取り上げていたオランダフウロ:和蘭風露(フウロソウ科フウロソウ属)でした。本種は茎は長く伸びて斜上し、上部は立ち上がると図鑑にあったので、嵯峨野ではノコギリソウのような冬の葉が見事に紅葉していたことと、よく踏まれるところからか、地面に這いつくばった形だったので、すでに知っていた草だとは気が付かなかったようです。
ヨーロロッパ、南北アメリカ、中近東、ヨーロッパ、アジアなどに広く分布する越年生草本で、江戸時代末期の嘉永年間に観賞用に輸入されたといい、今では全国各地の道端や畑の周辺に散発的に見られます。 全体に白毛があり、茎は基部で分岐して横にひろがり、対生する葉は羽状複葉で、小葉は細かく裂けます。春、葉脇に長い花序を出し、直径5㎜ほどの淡紅色の5弁花を数個散生します。
面白いのは、長さ3~5cmの嘴状の果実です。さながらヨーロッパなどでよくみられる、林立する尖塔のようです。