教育相談室 かけはし 小中連携版

ある小学校に設置された教育相談室。発行する新聞「かけはし」が、やがて小・中3校を結ぶ校区新聞に発展しました。

映画『どんぐりの家』を観て

2006年08月08日 | 障害者とともに
6月18日の5.6時間目、人権学習の一環として映画『どんぐりの家』をよみうり文化ホールで観ました。この映画は耳が聞こえないために言葉を持たず、そのうえ知的障害がある圭子ちゃんの誕生と成長の日々を、家族や聾学校の仲間それに先生たちとのかかわりを通して描いたものです。

奇声や叫び声をあげ暴れまわる圭子ちゃんの行動がスクリーン一杯に映し出された時、しばらくは生徒たちの中から、それを面白がる笑い声が聞こえてきました。しかし自分の子どもを理解することができず、地域の人たちとのトラブルに疲れ果てていく両親の苦しみが伝わるにつれ、会場の雰囲気は一気に真剣なものに変わっていきました。

障害がある子どもとともに生きていくことは、多くの場合、家族にとっても容易なことではありません。しかし子どもの施設入所を考えたり、時には死をも考えながら、それでも子どもとともに困難を乗り越え自分も変わっていこうとする家族が紹介され、私自身も映画の中に吸い込まれていきました。しかし障害がある本人がいくら努力をしても、またいくら家族が支えても、社会全体が障害者を受け入れないものであったなら、小さな個人の頑張りは、すぐに吹っ飛んでしまいます。「子どもが大きくなるのが怖い」「この子を残して死ねない」「この子より一日長生きしたい」映画の中で繰り返し語られた親たちの言葉です。

障害者とその家族を追い詰めている福祉の貧困は、競争社会の中で子どもたちが抱えている不安や、大型倒産・大量リストラ時代を迎え大人たちが感じている不安と、実はつながっているように思えます。映画が終わって「オレ、泣かんように必死になっててん」と担任の先生に話していたいつもは元気な生徒の言葉が聞こえてきました。子どもたちもこの映画から多くのものを学んでくれたように思います。
東町中学校生徒指導部だより「千里馬」15号1998年6月25日発行


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