宇宙そのものであるモナド

生命または精神ともよびうるモナドは宇宙そのものである

叢小榕『老荘思想の心理学』第8章32「胡蝶の夢――夢と現実の境界」(『荘子』内篇・斉物論):「現実」の荘周が「夢」の中で胡蝶になったのか、「現実」の胡蝶が「夢」の中で荘周になったのか?

2024-02-19 12:22:40 | Weblog
※叢小榕(ソウショウヨウ)編著『老荘思想の心理学』新潮新書、2013年:第8章「夢と現とはどんな関係にあるか」
(32)胡蝶の夢――夢と現実の境界(『荘子』内篇・斉物論)
荘周(荘子)は自分が胡蝶となった「夢」を見た。胡蝶は、まさに胡蝶そのものであって、自身が荘周であるなどという意識は全くなかった。突然、目が覚め「現実」にもどると、そこにいるのは荘周以外の何者でもなかった。「現実」の荘周が「夢」の中で胡蝶になったのか、「現実」の胡蝶が「夢」の中で荘周になったのか、わからない。荘周と胡蝶には区別がある。だが荘周と胡蝶は相互に転化する。
★荘子の「斉物論」は、あらゆる物は本質的に同一であるとする。「夢」も「現実」も本質的に同一であり、相互に転化する。

《参考1》荘子の「斉物論」によれば、現実世界の根源にあってそれを支えている「道」の絶対性のもとでは,現実世界における「万物の多様性」、「価値観の相違」、あるいは「夢」と「現実」などのあらゆる差別相は本質的に意味をもたない。したがって「道」の在り方に目覚め「道」と一体となることによって、何ものにもとらわれない境地(無の境地or絶対的一元的認識)に到達できるとする。(Cf. 麦谷 邦夫)

《参考2》オーストリアの社会学者A. シュッツ(1899-1959)は多元的現実(multiple realities)について語る。至高の現実(paramount reality)、科学(学問)の諸現実、劇など虚構の諸現実、夢の現実。これら諸現実はつながっていない。現実間の移行は跳躍(leap)によってのみ可能だ。

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