先日の『福島モノローグ』に続き、『ゼロエフ』。
2020年、開催されるはずだった”復興五輪”の期間に
古川日出男は福島を歩く。
『福島モノローグ』のいとうせいこうは
震災後、早い時期に『想像ラジオ』を書いていて、
『ゼロエフ』の古川日出男も
『馬たちよ、それでも光は無垢で』を書いている。
書きつづけ、関わり続け、考え続けているのだ。
たとえば大きな災害の陰で
ほとんどニュースにもならない災害もまたあり、
もちろんそこにも被災者がいる。
私もこの本を読むまで知らなかったことや忘れていたことがある。
たとえば「うちはたいした被害じゃなかった」という言葉の背後に
「あそこに比べれば」という言葉があると考えられるかどうか。
耳をすまし、想像力を働かせること。
日々の中でつい鈍ったり閉ざしたりしがちなものを
読むことで何度も呼び戻す。