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三味線弾きの日常

津軽三味線弾き唄い。
ときどき地歌・上方唄。
あるときは義太夫三味線。
三味の音を一人でも多くの人に届けたい。

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技術力と表現力。

2021年10月15日 | 三味線のはなし
 
これは別に相反する要素というわけではなくて
演奏家にはどちらも必要なものだけれど、
それぞれのレベルとバランスの問題で
どちらかに傾いて見えることもある。
つまり、達者に弾くけど情感がないとか
上手ではないけど心動かされるとか
極端に言うとそういう類のこと。
 
昔、ヤマハのグレード試験でも
演奏では技術点と表現点みたいな二つの評価軸があって
小学生とか中学生の頃の私は
どちらかというと技術点の方が高いタイプだった。
いつぞや誰かに書かれてたけど
それこそ”楷書体”的な演奏だったと思う。
 
ところが最近は逆転傾向にあって、
情緒があるとか、風景が見えるとか言ってもらえることが増えた。
 
自分で思うに、転換点は学生時代の声楽のレッスンだった。
”歌う”ことの楽しさとかフレーズの意識、
そして、歌はすべての音楽の基礎であることを
先生自身の歌から身体の中に取り込むことが出来たと思う。
ピアノも三味線も、何も考えなくても音が鳴ってしまう楽器だからこそ
自分のなかに歌を持つことがとても大事。
 
今の自分が持っているものはそのまま伸ばしつつ、
足りてない部分はバランスよく引き上げていこう。
技術だって当たり前に必要なことだからね。