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HIBARIピアノ教室レッスン日記♪

ピアノのレッスン日記、その他ヒバリ先生が見聞きした音楽関係・芸術関係etcの日記。

表現するということ

2009年10月03日 | 音楽のツボ
かえでさん(大人):
ハロウィーンコンサートで弾く「ノクターン」を練習しています。

もう、暗譜はほとんど出来上がり、ピアノの音色もしっとりと、大人らしい美しさを増してきました。
あとは、前半に比べてまだ弾き込み回数の少ない後半を、前半に追いつくレベルまでもっていくのが目標でしょうか・・・

レッスン時間が終わりに近づいたころ、
「あのう・・・前から聞きたかったことがあるの」と、かえでさんが言いました。
「この、前半から後半に入るところ・・・急に転調して、違った雰囲気になってくるんだけど・・・ここで、いつも違和感があって・・・どう弾いたらいいのか迷ってしまうの」
というのです。
なるほど、前半の終わりで 一度曲が終わったような感じになり、けれどもすぐに転調された後半が続いて出てくるので、きっと聞いているお客さんも当惑するだろうし、弾いているかえでさんも、どう弾いたらいいのかわからない、ということなのですね。

私は言いました。
「かえでさんは、いつも人形劇や朗読で、たくさんの表現を 人前でやってるでしょ。その時は、文章をそのまま、同じテンポや抑揚で読んだりしてないでしょ。セリフや文章の内容によって、ゆっくり読んだり、早口で読んだり、声の色合いを変えたり、間をあけたり、たたみかけるように読んだり・・・ ピアノだって、それは同じなの。なにも、四分休符が書いてあるからって、1拍きっちりのテンポで休んだりするんじゃなく、その1拍だって、たっぷり休んだり、だんだんゆっくりしたり、曲の内容によって いろいろ表現するのよ。
今言ってた、この、前半と後半をつなぐ部分・・・ここは、大きく曲調が変わるところだから、一度 しっかり落ち着いた感じに納めてから、一息いれて、『さあ、つぎが始まります!』という感じに、決然と弾くところ。ほら、オーケストラだったら、指揮者が、全員を見て、大きくサッ!と指揮棒を振り上げるところ」
「ああ、それだったらよくわかる。じゃあ、そのように表現してもいいの?」
「もちろんよ。 どんなものでも、伝えたいことは同じ。心は一つなの。自分の気持ちやメッセージを、ピアノ演奏で表現したり、文学や芝居で表現したり、絵画で表現したり・・・どんなジャンルでも、自分の思いを どうやったら人に伝え、感動を分かち合えるか、と工夫して、抑揚や間合い、声音なんかで表情をつけるのよ。かえでならよーくわかってるでしょ、そういう気持ち」
「うん、わかってる。だけどピアノで、そんなことしちゃいけないのかと思ってたの。でも、もう、自分なりに弾いていいんだってわかったから、工夫していろいろやってみます」

かえでさんには、目標が見えて 道が明るく開けたような気がしました。
芸術の心・・・魂はひとつ、美しいものに感動する心です。
それを表現するのに、みんな自分の分野、得意な方法で、美しい魂を表現しているのです。
自分の気持ちを表すのに、遠慮はいりません。自分の感動に正直に、すてきな表現をしてください。

ハモプリ10月の練習

2009年10月03日 | コーラス・合奏サークル
いよいよ、コーラス・ハモプリ(ハモカミプリンセス)の練習も、10月・・・最終月に突入しました。
月1の練習なので、あっという間に本番が迫ってしまいます。

ABBAが歌い、ミュージカル「マンマ・ミーア」でブレイクした「ダンシング・クイーン」。そして同じくABBAの曲「マイラブ・マイライフ」。
もう歌詞はしっかり入りました
声にも自信が出てきて、堂々と歌えるようになってきました。
「ダンシング・クイーン」は 振りも練習して(みんなも知ってる、おなじみのあのダンス)生き生きと華やかに。
そして「マイラブ・マイライフ」は 切々と歌い上げるバラード。

・・・なんですが。

自分たちの歌を録音して聴いてみたら、「とにかく元気!元気いっぱい!」という声。
「健康なお色気」があったらいいなー、という「ダンシング・クイーン」は「お色気」なしの健康オンリー。
別れに向き合った女性の 揺れる心や深い悲しみ、プライドなどが美しく歌えたらいいなー、という「マイラブ・マイライフ」も 失恋しても食欲は落ちまい、といった感じの あくまで健康、爽やかな声。

PCのYoutubeで、この歌が歌われている動画を いろいろ見てみました。
そしたら。
当時 20代前半であったと思うABBAも、キャピキャピアイドル キャンディーズ(歌ってたんだ、キャンディーズが)も、うちらハモプリより ずーっとお色気アリ、セクシー&しっとり&女っぽい

まけた

・・・っていうか、うちらに「お色気」は 一生縁ナシであろう・・・

イメージを表現してみよう

2009年10月03日 | 音楽のツボ
S子ちゃん(小5):
「ブルクミュラー」やモーツァルトのソナチネを勉強しながら、並行して「バーナム・ピアノテクニック」を使っています。
今、S子ちゃんは茶色の表紙のバーナムをメインとし、緑のバーナムを「ルーレット・アトランダム弾き」に使用しています。

今日は、ルーレットの番号が「4」と出たので、グループ1の4、グループ2の4・・・と弾いて、最後にグループ5の4にきました。

この練習曲は「側転」。アルペジオの練習のための課題です。
いろんな種類の和音のアルペジオが、低い音から高い音に向かって 何回も上ります。
アルペジオの流れは こうです。

Cdim(ディミニッシュ)、 C6、 Cdim、 C6、

Gdim、 G6、 G7、 C! C! C! ド!(Cは和音で降りてくる)

ディミニッシュ、というのは、テレビのサスペンス劇場とか、不安なシーン、不気味なシーンなどで使われるような、とても不安定で怖い感じの和音です。

先生は言いました。
「ねえ、この曲は、特にフォルテとかピアノとか、クレッシェンドとかいう記号は書いてないけど、アルペジオやってると、自然とクレッシェンドとかがついちゃうと思わない?」
「うん、自然に、ふくらませたりっていうのが、ついちゃう」
「それでいいのよ。自分で感じた通りに、弾いてみたら。 強弱の記号が、何も書いてないってことは、弾く人が好きにつけていいんだから」
「えっ、そうなんですか?」
「そうよ。たとえば」
先生は、課題4を弾いてみました。
「こうやって、ディミニッシュ・・・シックス・・・ディミニッシュ・・・シックス・・・って交互に弾くと、なんか、暗くなったり、明るくなったりするような感じにならない? そしたら、暗いところは不気味にふくらませながら弾いて、明るいところはキラキラした感じに弾くとか・・・」
「うわあ、全然 音がちがう!
「でしょ? 最後のG7のところなんか、とっても明るくて、安心したような感じになるし、その後のCの和音で降りてくるところは・・・」
先生は、だんだん弱く、だんだんゆっくり、とけ込むように弾いてみました。
「こうやって、だんだん静かにしていくと、『ああ、よかったね~』っていう感じで終わるし、逆に、こう、ダン!ダン!って強くして終わると、『ばんざい、悪をやっつけた!』って感じに聞こえる」
「ああ、ほんとだー」

「こうやって、音から感じたものをイメージして、自分なりに表現してみるの。
ほら、この、最初の方なんてさ、『リトルマーメイド』の場面みたいじゃない? アリエルが、海の底の魔女・・・アースラに魔法の薬をもらって、飲むところ。薬を飲んだとたんに、恐ろしい魔法が起こってきて 苦しんでる・・・」
「うんうん」
「ついにアリエルは、自分の声とひきかえに、足をもらうのよね。そうして、このG7のところ・・・夢が叶って足をもらい、静かな浜辺にうち寄せられてるアリエル。そこへエリックがやってくる」
「ほんとだ」
「ね、こんなふうに、自分でいろいろ、イメージを考えて表現してごらん。」
「はい
S子ちゃんにとって、この練習曲は、前に1度マルになったものなわけですから、弾くことに努力はいりません。
しかし、こうして すでに弾きこなしている曲から、さまざまなイメージを描き、表情豊かな演奏を工夫して弾きこんでいく勉強は とても大切。

とかく、子どもにはよりテクニックのつく曲、より難しい曲へとどんどん進むようにと、親も教師も考えがちですが、テクニックばかりが音楽の勉強ではないのだということを、私たちは忘れてはなりません。
美しいものや 心の中の色彩、喜怒哀楽、そういったものを、音楽の中に見いだし、表現するという学習は、進歩が形に現れにくいものかもしれませんが、テクニックと同様、いやそれ以上に、絶対大切なものなのです

S子ちゃんは、この「グループ5の4」を、自分で工夫して、一つの演出作品として仕上げてくる、ということを宿題としてやってくることになりました。
さあ、来週、どんな演奏を聴かせてくれるか 楽しみです。