M子さん(大人):
「練習が思うようにできなくて、ちっともうまくならないで・・・」
月に2回のレッスンのたびに、M子さんは恐縮して言うのです。
「まだこの前と同じ曲なんです。いつまでたってもおんなじで、先生いやになっちゃうでしょう?」
いいえ、全然いやになったりなんかしませんよ。生徒みんな、一人一人それぞれの個性があって、もちろんM子さんもその一人ですし、毎回楽しみですよ。
そのように説明するんですが、生来まじめで誠実なお人柄のM子さんは恐縮することしきりです。
主婦で、お家のこともいっぱい、その他に毎日会社へも行って、そのお仕事もあるんですから、子どもたちみたいにたっぷりの練習時間なんか取れっこないのです。
「今日は練習できてなくて申し訳ないから、お休みしようかと思ってたんです」と言うM子さん。
そんなこと言わないで、練習できてなくても、休まずレッスンしましょうね。
レッスンってね、どれだけやってきたか、どれだけ完成してるか、を採点する時間じゃないの。
30分なり1時間なりの時間、その生徒さんとの「音楽の時間」として有意義に過ごす貴重なひとときなのです。
せっかく日常から切り離して取り置いてある音楽のひとときなのに、休むなんてもったいない。
1回1回のレッスンは、その時次第。
練習して上手になってれば更なる目標や課題を提示することもあるし、弾けなければ弾けるようになる練習法をアドバイスして一緒に練習することもあるし、即興でセッションしたり歌ったりすることもあるし、私が演奏して聴いてもらうこともあるし、音楽談義をすることもあるし・・・
レッスンは「生き物」なので、フタを開けてみないと、今日のレッスンがどのように展開するかわからないのです。
一期一会、今日のレッスンは今日だけの、2度と来ない貴重な時間。
今日、M子さんはショパンの「ノクターン」とバッハの「主よ、人の望みの喜びよ」を楽しくレッスンしました。
電子ピアノの録音と再生の方法も確認できたし、私がお手本を録音しておいてあげることもできたし、「次はこれを」という目標曲を決めることもできたし、その曲の由来もお伝えすることもできた。
いろんなことがいっぱいできました。
「よかった・・・楽しくなってきました。頑張ります。お休みにしないでよかったです」
M子さんは言いました。
ねっ、お休みしないでよかったでしょ?
M子さんに限らず、大人の人は、思うように練習できないことを必要以上に恐縮される人が多いです。
大人の世界なら、数字達成とか期限厳守、みたいなことが当たり前だからなのかもしれませんが、レッスンの世界ではそんな心配いりません。
怒られる!とか 恥ずかしい!とか考えず、「できてないことをできるようにしていく過程」をご一緒に楽しんでいく気持ちで、リラックスしてレッスンにご参加ください。
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