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HIBARIピアノ教室レッスン日記♪

ピアノのレッスン日記、その他ヒバリ先生が見聞きした音楽関係・芸術関係etcの日記。

雨だれの前奏曲・天上と地底のスイッチ🎵

2025年05月27日 | クラシック曲

1か月に1度だけレッスンに来る べっきー君(メンズ)。

今日は「雨なので」と「雨だれ(ショパンのプレリュードOp.28 No.15)」を持参しました。

おおー、こういうとこがべっきー君のロマンチスト&おしゃれな所なんだよね。

ショパン大好きなべっきー君ですが、「雨だれ」は 今日初めてです。

なのにもう最後まで完全に弾きこんであって、さすがヒバリ教室特待生。

ちなみに「雨だれ」というのは 前奏曲28-15の通称なのですが、その名の由来はこうです。

全曲を通して、ある一つの鍵盤が淡々と打ち続けられ、その音がポタポタと落ちる雨だれを連想させる、というもの。

その「一つの鍵盤」は、図にあるように「3本並んだ黒鍵の真ん中の鍵盤」、「ラ♭」です。

この鍵盤が最初からずーっと鳴り続けます。

♩ ♩ ♩ ♩ ♩ ♩ ラ♭、ラ♭、ラ♭、ラ♭、ラ♭…

 この「雨だれの前奏曲」は変ニ長調(フラット5つ)で、弾く音はほとんど黒鍵ばかり、という調性なので、楽譜を見ただけでうわー、難しそう…と敬遠する人も多いかもしれませんが、弾いてみたら、こんなに甘く柔らかくロマンチックな調性はまたとないほどです。

「雨だれ」の他に変ニ長調の有名曲を挙げると、ショパンのノクターンのうち その美しさで人気ナンバーワンの「8番」、ドビュッシーの「月の光」、リストの「ため息」などがあります。

いずれも夢のように美しい曲ばかりなのがお分かりいただけると思います。「変ニ長調」は、まさに天国へ誘(いざな)われるかのような至上の美しさを持った調性なのです。

さて、ポタ、ポタ、ポタ、ポタ、ラ♭、ラ♭、ラ♭、ラ♭、ラ♭…と続いてきた美しい音楽が中盤に来たとき、バックに流れる曲調は一転、暗く重い世界へと変わります。調性は変ニ長調から 同主調の「嬰ハ短調」となって、今までラ♭だとばかり思っていた♩ ♩ ♩ ♩ ♩ ♩…の音はソ♯と名を変えている!

「変ニ」=レのフラット、「嬰ハ」=ドのシャープってことだから、両者は同じ音なのよね。

同時に「ラのフラット」と「ソのシャープ」は同じ音なのね。


実はこの「嬰ハ短調」こそ、調性の中で最も暗く重く陰惨と言われる 恐怖の調なのです。

嬰ハ短調の代表的な曲を列挙すると、ベートーヴェンのピアノソナタ「悲愴」、「月光」、ラフマニノフの前奏曲「鐘」など。

どうです。暗黒ミュージックオンパレードではありませんか。

「雨だれ」は、この真っ暗な嬰ハ短調へ転調された後 また元の 明るく透明な変ニ長調へ転調し、何もなかったかのように終わっていきます。

同じ一つの曲の中で、至上の天国と 暗黒の世界をスイッチしている「雨だれ」。

光と影が 同じ一つの鍵盤を介して交錯している、巨匠ショパンの「雨だれ」を、梅雨に向かうこの季節、あなたも是非堪能してくださいませ。

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1ヶ月で「エリーゼ」弾こうよ!最終回🎵

2025年03月30日 | クラシック曲

3月いっぱいでピアノレッスンをいったん「終了」するはなちゃん(小4)。

その申し出があったのが3月の初めだったので、「残った1ヶ月間(4回)のレッスンで『エリーゼのために』のメインテーマ部分を弾こうよ」と提案して、レッスンしてきました。

今日はいよいよ第4回、最終回です。

先週まででメインテーマが弾けるようになり、目標に手が届いたので、最後にもうひと踏ん張り、ダメ押しをつけることにしました。

フィニッシュ近くのこの部分です。


ここは派手に聞こえますが、実はAmの基本形和音を3オクターブの上行アルペジオで弾き、続いて半音階進行で降りて来るだけ。既にバーナムで学習済みのパターンばかりなので、仕組みがわかれば「ナーンだ」というくらい簡単に弾けるのです。今日は、

①まずAmのアルペジオを何度か練習して流れをつかむ

②半音階の下降で「メインテーマ」の始まりの位置まで降りることを確認

③Amのアルペジオに左手の伴奏(Amの基本形)を合わせる

④アルペジオで上行〜半音階までスムーズにできたら、最後にアルペジオに入る前の和音(E7)を添えて、「フィニッシュパーツ」の完成。

さあ、出来上がったフィニッシュパーツを先週までに出来た「メインテーマ部分」に繋げ、その後 もう一度 最後のメインテーマを弾いて…そして最後は、曲の一番最後の音、Amの和音をジャーンと弾いておしまいです。

「よしっ、初めから全部通して弾いてみよう!」

先生に言われて、はなちゃんは最初から今付け加えたフィニッシュパーツ、そして最後の締めくくり和音まで、全部続けて弾きました。

「いいじゃない?コレで『エリーゼ』が出来上がりだ 」

はなちゃんも満足そうににっこりしました。

何かの時、ピアノ弾いて!と言われたら、これで充分「エリーゼのために」だから、レパートリーにできるように何度も練習しておいてね。

そして、いつか…中学生とか、高校生とか、大学生とか…になって、メインテーマ以外の部分も弾きたくなったら、その時弾けばいいんだよ。

コレで「1ヶ月で『エリーゼ』弾こうよ計画」の目標達成です!

はなちゃん、遠くから通ってよくがんばりましたね。

これからは吹奏楽や鼓笛隊がんばって、音楽を楽しんで続けていってね

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1ヶ月で「エリーゼ」弾こうよ!3週目🎵

2025年03月25日 | クラシック曲

はなちゃん(小4):

ピアノに来るのは今月末まで。「残された4回のレッスンで『エリーゼのために』のメインテーマを完成しよう!企画」3回目の今日は、今までの2回のレッスンのまとめとして、「メインテーマ」を初めから通すのが宿題でした。

はなちゃん全部弾けました!レッスンを今日・来週と2回残しての快挙です。こんなに早く弾きおおせたのは がんばって練習した成果。よくがんばりましたね

「メインテーマを弾く」という目標がもう達成できたので、レッスンの余裕ができました。今日・来週と あと2回レッスンができます。

「そんなら」と先生は思いました。

まだやれることあるじゃん。

そこで今日のレッスンでは、ヒバリ教室のお家芸である「フレーズの呼吸」と「アタック→ リリース(抜き)」のワザを徹底伝授することに。

「手首から抜く!」「指先は最後!」「手首を持ち上げるんだよ!ここまで!このぐらい高く!」と、ビッシリ30分間たたき込まれて、はなちゃんの「エリーゼ」は、初日とは別人のように美しくなったと思います。

はなちゃん、ぜひとも このヒバリ教室秘伝の「抜き」のワザを体にしみ込ませて持ち帰ってもらいたいです。

今日、3回目レッスンの奮闘の甲斐あって「エリーゼのためにメインテーマ」が 見事に美しく仕上がりました。

でも、まだあと1回、来週のレッスン日があるんだよね。

「だからさ、ココもやろうよ。それで終わりってことにしよう。ねっ?」

 先生が示したのは、終盤近く 華やかに駆け上がるアルペジオから一気に駆け降りる半音階進行の部分です。


あと1週間がんばって、この部分を付け加えて仕上げ、としようよ。

たった5小節だからさ。はなちゃん、ぜひともがんばって練習して来てね

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1ヶ月で「エリーゼ」弾こうよ!2週目♪

2025年03月17日 | クラシック曲

はなちゃん(小4):

「エリーゼのために」完成目標まで、今日を入れてあとレッスン3回です。

カバンの中を探して「楽譜忘れた…」と💧

「じゃいいよ。うちの楽譜でやろう」と教室の楽譜を出して、今日やろうと思っているページを透明クリアファイルで覆(おお)いました。

今日のレッスンはここに書き込みしていくのです。

先週やった「A」の部分と同じように、フレーズとコードネームを書き込んでいきます。

こうして「フレーズをひと息で弾く」「フレーズの終わりはスッと抜く」などのレッスンを何度もやって、はなちゃんの「エリーゼのために」は ずいぶんエリーゼらしく、数段のバージョンアップを果たしました。

帰りに、書き込みをした楽譜(正確にはクリアファイル)の写真を撮ってママのスマホに送り、「はなちゃん楽譜を忘れてきたので、このように書き込みを転写して練習してください」とLINEしました。楽譜を忘れたのは、きっと何度も練習してたため ピアノの上に置いてきてしまったのでしょう。

ママに聞いたら、やっぱりその通りで「ずっと弾いてました。ピアノの音で目が覚めました」とのことでした。

はなちゃん、目標の「4回」よりずっと早く、「エリーゼのために」完成できそうだね。2回目レッスンの今日で ほとんどの目標まで弾けるようになったもんね。

あとレッスンは残り2回。

素敵な「エリーゼ」がレパートリーとなるように頑張ろうね

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1ヶ月で「エリーゼ」弾こうよ!1週目🎵

2025年03月09日 | クラシック曲

はなちゃん(小4):

3月いっぱいでピアノレッスン終了、とのことなので、それまでの1ヶ月の持ち時間で、みんなの憧れ「エリーゼのために」を弾こうよ!ということになりました。

弾くのは、繰り返し現れるテーマの部分です。

今日はその第1回目のレッスン。

はなちゃん「右手だけはやってきた」

「それじゃあ伴奏つけてあげるから、一緒に弾こう」

先生と二人連弾で弾いたら、ほうら、素敵な「エリーゼのために」です。

今日は最初の繰り返し部分までをやることに決めて、楽譜を分析します。

右手は大体弾けてるので、左手の伴奏を見てコードネームをつけます。

「ほら、ラミラ がAmでしょ、そして次のミミソ♯はE。 次はまたAm」

と見ていくと、最初の部分はAmとEが交互に出てくるだけ、意外にシンプルなのです。

ラミラ! ミミソ♯!をなめらかに、そしてヒバリ教室秘伝の「抜き」にはこだわって何度も練習し、それからペダルも付けて、きれいな伴奏ができるようになりました。

そこで、さっきの右手と合わせるよ。

ほうら、「エリーゼ」ができた!

はなちゃんも嬉しそうにニッコリ。

「意外と簡単でしょ?」と先生。

「うん、意外と簡単だった」とはなちゃん。

来週は繰り返しの後の「シドレミー🎵」の所をやろうね。そうしたらもう、すぐ目標達成できそうだよ!

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幻想即興曲-力を「抜き」、手首を「抜く」🎵

2025年03月02日 | クラシック曲

久しぶりに特待生のべっきー君(メンズ)が、初お目見えの「幻想即興曲」持参でレッスンに来ました。

ホホゥ、今回はコレに着手なんだ?と思ったら、もうずっと前から密かに(でもないか)練習を重ねていたそうです。

冒頭からいきなり始まる急速なパッセージを、べっきー君全部暗譜して弾きこなしててさすが。たくさん練習した証です!



↑の所もちゃんと弾き分けていたのはすごい。

A譜とB譜、楽譜は同じですが、よく見るとアクセントの位置が違います。

それをちゃんと弾けば メロディーが違ってくるのですが、それに気がついてない人がけっこう多いです。

「はい、YouTubeとか見ても ちゃんとやってない人がけっこういました」とべっきー君。

さすがヒバリ教室の特待生だ!すばらしい

ただ、優等生だから逆にはまってしまいがちな落とし穴があって…

それは、一言一句間違えないように!と一生懸命に練習し過ぎるあまり、力が入って音が平坦になってしまうこと。それに、疲れる。

べっきー君には、↓このように、譜面の「けた」一つに対して一つ、手首のアクションを使って、ゆっくり練習してみて、と助言しました。


そしてアクションは決して力で弾かず、手の重みを乗せて それを移動していくつもりで弾き、フレーズの終わりはふんわりと「抜く」こと。

「抜き」は、ヒバリ教室の「合言葉」、伝家の宝刀なので、べっきー君、ゆっくり落ち着いて弾けば見違えるように美しい音色で弾けると思います!

次回は  幻想即興曲の中間部、べっきー君の最も得意とする ゆったりと美しい部分なので、「抜き」を大事に、素敵に弾いてくれるのを楽しみにしてます

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1ヶ月で「エリーゼ」弾こうよ!🎵

2025年03月01日 | クラシック曲

はなちゃん(小4)が、ピアノを卒業することになりました。

はなちゃんは毎週遠くから電車で通ってきていて、いつも大変だなあ、と思っていたのですが、去年から学校のウインドオーケストラにも入って練習がいっぱいになったし、学年が上がったらもっと大変になるだろうし、今までよくがんばってきたと思います。

「残念💦 上手になったのに…いつまで来れるの?」

「3月まで…」

「そっかぁ…3月なら、あと4回これるね… じゃあ、なにか好きな曲弾いて終わることにしようよ。そうだ!」

先生はいいこと思いつきました。

「『エリーゼのために』とか弾かない?!知ってるでしょ?」

「うん、知ってる」

みんなの憧れ「エリーゼのために」。

全曲は長いし難しい部分もあるけど、冒頭の一番有名な部分だけだったら、はなちゃんがちょっと頑張れば弾けるよ、きっと。

逆に、「エリーゼ」といえばよく知られているのはこの部分だけで、ちょっと弾くにはここだけで充分通用します。

はなちゃんのために、先生は「エリーゼのために」の一番有名なリフレイン部分を弾いてあげました。

「この部分だけだったら弾けるよ!1ヶ月頑張れば。どう?!」

はなちゃんは嬉しそうににっこりしました。

「弾いてみたい」

「よしっ、じゃあ決まったね。

来週から、普段の練習曲とかやらなくていいから、さっそくエリーゼやろう!」

その場で冒頭部分の楽譜を渡して「できるとこだけでいいからやっといで!」と言って送り出しました。

さあ、4回のレッスンで「エリーゼのために」。

はなちゃん、がんばろうね!

みなさん、応援してください

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「エリーゼのために」に歌詞をつけてみた🎵

2025年02月12日 | クラシック曲

前の記事の続きです。

「わかりにくい符割りには『歌詞』をつけてみる」というのが、ヒバリ教室の戦略の一つです。

これまでにも、生徒のみんなのリズムクリアのため、難解なラテンリズムや、イレギュラーリズムの曲などに歌詞をつけて乗り切ってきました。


さて、それでは「エリーゼのために」にも歌詞をつけてみましょう。

まず、みんなが勘違いしているノリはこうなっていると思います。歌詞をつけるとこんな感じ。


そして、正しく3拍子で弾く場合のノリはこうです。歌詞をつけるとこんな感じ。


今回は色の名前で統一して歌詞を作ってみました。

勘違い(4拍子)バージョンでは赤、白、青、緑、と4色並んでいたのが、正しいリズムでは赤、青、緑、と3色になってるのがポイントです。

歌いながら弾くと、ノリとリズムが「勘違いバージョン」とは全く違ってくると思うんだけど… どうかなあ

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「エリーゼのために」は何拍子?🎵

2025年02月12日 | クラシック曲

ピアノをやってない人や子どもたちでも、「エリーゼのために」の冒頭はほとんどの人が知ってますよね。

何ならピアノやキーボードで弾くことだってできる。

🎵ミレ♯、ミレ♯、ミレ♯、ミレ♯、…

あれ?何回「ミレ♯」って弾くのかな?

まあいいや、大体こんな感じ!

って、みんな弾いて楽しんでる。

それはそれでいいんだけど、じゃあ、実際には何回弾けばいいのか? そもそも「エリーゼのために」って、何拍子の曲なのか? 

一般の人はもとより、ピアノをやってる生徒や人たちでも、ここの所がちゃんとわかってない、あるいは適当にやってる人が意外と多いのよ。譜面を見ながら弾いてても、実際のノリとしてこんなふうに感じてる人が、けーっこういると私はにらんでる。


どう?

結果、変拍子(転拍子)続出のイレギュラーリズムとなって、「アレ?次のミレ♯ミレ♯は何回弾くのかな」みたいになっちゃってる。

みなさん、「エリーゼのために」は初めからずーっと3拍子ですよ!

ぶんちゃっちゃ、というリズムです。そしてアウフタクト(弱起)です。


/ミレ♯ミレ♯ミシ レド /ではなく

ミレ♯/ミレ♯ミシ レド / なのです。

と言われても、わかったようなわからないような…でしょうかね?

みんなが混乱する原因は、元はといえば作曲者のベートーヴェンさんが1小節目に伴奏をつけなかったってことで、みんなが適当に解釈しちゃってるということがありますね。

けど、その「つかみどころのない」ところが不思議な魅力の一つでもあったりするわけで…

ヒバリ的には、弱起部分に続く1小節目、伴奏こそ書いてありませんが、ここは機能的にはE 7(ドミナントコード)だと思ってますけどね。

でも、あまりにもみんなが迷うので、何とかわかりやすくならないかと思って考えたので、次の記事でそれを書こうと思います。

To be continued…

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月の光・ペダルが大事🎵

2024年09月17日 | クラシック曲

ドクター(メンズ):

ドビュッシーの「月の光」を練習中です。

コツコツと練習を重ねて数ヶ月、もう曲の最後まで、なんとか弾けるようになりました!

淡い色彩が溶け合った水彩画のようなドビュッシーのサウンドを美しく表現するためには、ペダルがとても重要です。

ピアノの一番右の「ダンパーペダル」は 踏むことによってピアノの音色(ねいろ)にいくつかの効果を与えることができますが、その一つに「音をつなぐ」役割があります。

例えば下の譜例:


左手はバスの付点二分音符音を弾いたあと、すぐさまジャンプして内声の連続和音を弾きに行かなければなりません。なので「付点二分音符」ぶんたっぷり音を伸ばしておくためには、ペダルを踏んだままにしておかなければならないんですが、ドクターは長年の経験上、メロディーや伴奏がにごらないように、弾きながら無意識のうちに小刻みにペダルを踏み換え、クリアなサウンドを作っていくことが身についていて…

どうしても、右手メロディーの起伏に合わせて 素早くペダルを踏み換えてしまう。それも無意識に。

「ペダル踏み換えないで。ガマンして踏んでてね… おおっと、離さない!」と声をかけるんだけど、どぉーしても長年の習慣で 反射的にペダルを踏み換えてしまう。結果バスの音が伸びず プツッと切れてしまう…

のが前回のレッスンでした。

そして今日。

ドクターが弾いた「月の光」は…

バスの音、聞こえるかな…

わーい、聞こえる聞こえる!

「すごく良くなってる!ペダル…、離さないように、すごくガマンした?」

「ガマンした。😅」とドクター。

その甲斐あって、ちゃんとバスの流れが聞こえて奥行きのあるサウンドができてきました。

そしてちょうど明日は「中秋の名月」の日です。

ドクター、月見酒でも一杯やりながら、「月の光」弾いてくださいな

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カッコーワルツ〜カッコウの驚くべき生態

2024年09月14日 | クラシック曲

ヨーロッパで「春を告げる鳥」として親しまれているカッコウですが、その長閑(のどか)な鳴き声からは想像つかないような、驚くべき生態をもっているのです。

それは「托卵(たくらん)」。

自分で卵を温めず、よその鳥にその役目を押しつけてしまうことです。

カッコウのメスは、他の鳥がまもなく卵を産む巣をリサーチし、その鳥のお母さんが卵を数個産んだ直後、スキをねらって自分の卵を1つ、ちゃっかり産み落とします。そして代わりにその鳥の卵を1つ持ち出して捨て、自分は育児放棄してどこかへ行ってしまいます。

そして何も気付かず卵たちを温める鳥の母親に、紛れ込ませた自分の卵も一緒に温めさせるのです。

ズルくな〜い?!

これだけでもひどいけど、さらにひどいのはこれからだ。

カッコウの卵はもともとそこにあった卵より少しだけ大きく、また少しだけ早く孵化(ふか)します。だってそのタイミングを見計らって産んでるんだから。

数個あった卵の中で一番に孵(かえ)ったカッコウのヒナは、あろうことか背中で他の卵を巣の縁へ押し出していき、高い木の上からみんなポイポイ落としてしまうのです!

そして自分だけ残って天下を手に入れたカッコウのヒナは、毎日大口を開けてよその鳥のお母さんから餌をもらい、親鳥よりもデカく育って(だってカッコウだから)、羽根が生え揃ったら、あばよ!とばかり巣から飛び立っておさらばしてしまうのです。

親が親なら子も子だ!

私はもう何年前だか忘れたけど、テレビで巣から卵を落っことすカッコウのヒナの映像を見て、その衝撃がいまだに忘れられません。

みなさん、もし興味が(勇気が)あれば、ネットやYouTubeで「カッコウ」「托卵」を検索してごらんなさい。

その恐るべき画像や映像、そしてカッコウについての解説を見ることができますよ。

昔のヨーロッパの人たち…カッコウを「春告鳥(はるつげどり)」と呼んで、たくさんの歌や音楽で親しんできた昔の人たち…こんなこと知ってたかのなあ?

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カッコーワルツ〜カッコウにちなんだクラシック曲いろいろ🎵

2024年09月12日 | クラシック曲

「カッコーワルツ」のタイトルになっている鳥 カッコウ。

ヨーロッパでは昔から身近に親しまれている鳥のようです。

「カッコー!カッコー!」という独特の鳴き声を模した楽曲が、民謡やクラシック音楽でたくさんあります。

ちょっと思い浮かべてみても、かっこうワルツ、小学校で習うかっこう、キャンプなどのレクリエーションでよく歌われるしずかなこはん、クラシック曲では、バロック時代のかっこう (クラブサン曲)がありますし、ベートーヴェンのピアノソナタ25番は、途中にカッコーの鳴き声に似た部分があるため俗称「 カッコーソナタと呼ばれています。

生活の中でも「カッコウが鳴くと春が来る」という「春告げ鳥」として親しまれ、時計からカッコウが飛び出して時刻を告げる「カッコー時計」なども作られています。

映画「サウンド・オブ・ミュージック」の「さようなら、ごきげんよう」という曲の中で、カッコウ時計の声や姿を模して子どもたちが歌ったり。

カッコウがこれだけ、西洋諸国で身近であるということを知れば、たくさんの曲があることも時計に取り入れられていることにも合点がいきます。

一方 わが日本でのカッコウの立ち位置といえば、その鳴き声も身近に感じてる人はそうはいなくて、高原やキャンプに行った時に聞かれたりする、むしろ「夏の鳥」…

「春を告げる鳥」なら、日本ではだんぜんウグイスでしょ。

昔からの日本では、カッコウは別名「閑古鳥(かんこどり)」と呼ばれていて、西洋では明るく春を呼ぶイメージの鳴き声も、日本ではなんか寂しい、とか閑散とした、というイメージでとらえられていたようです。

お店などがはやらなくて、お客が入らず閑散としてることを「閑古鳥が鳴く」といいますよね?アレですよ。

だから西洋から伝わってきた「クックー」と鳥が飛び出す「カッコウ時計」も、日本では「閑古鳥が鳴くなんて縁起でもない」ってことで「鳩時計」という名に変えられてしまったんだよね(笑)

西洋では「陽」、と日本では「陰」っぽい印象のカッコウ。

だけど、西洋人もびっくりの恐るべき習性を、カッコウは持ってるんですよ。

それでもいいのか、西洋?

その習性については、また明日…

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カッコーワルツは「懸垂」の連続🎵

2024年09月11日 | クラシック曲

ひまわりちゃん(中3):

中3の受験生真っ只中ですが、ピアノレッスンはゆとりを持って続けています。

12月の発表会曲はとっくに仕上げてキープしてあり、なおかつ3月の学校行事「合唱コンクール」のピアニストになるため 伴奏も一人で練習・完成して余裕。えらい。

そしてレッスンでは、受験まではあまり負担のかからない軽くて楽しめる曲を色々弾こう、ということで、今回は「カッコーワルツ(ヨナーソン)」です。

親しみやすいメロディーが軽やかなワルツのリズムに乗って流れ、その合間を縫って「カッコー!カッコー!」の囀(さえず)りが散りばめられています。


オーケストラ演奏では、メロディーと「カッコー!カッコー!」の合いの手は それぞれ別のパートが弾くんですが、ピアノアレンジでは(そう、この曲はもともと管弦楽曲として作曲されたもので、ピアノ楽譜は『アレンジ』なのよ)その両方のパートを一人で弾かないといけません。

しかも、左手は ぶんちゃっちゃ、の伴奏に専念してるので、残った右手だけでメロディーと「カッコー」2つのパートを弾かなきゃいけないのです。

下に中間部の楽譜を貼ったので見てくださいね。


緑の◯で囲んだ部分が「カッコー!カッコー!」ピンクのラインがメロディーです。

「ここは『懸垂(けんすい)』の連続だからね!メロディーの音が切れないようにしっかり残して。『カッコー』は軽やかに。」と先生。

「うわー 懸垂だ〜」とひまわりちゃん。

「懸垂」は テクニック教本「バーナム」の中の 音の保持のための課題です。

「カッコー」を軽やかに投入しつつ、メロディーをなめらかに、しかも音が途切れないように弾いていくためには、寄せ指、あけ指、替え指などのテクニックをフルに使って重心配分にも気をつけ、まさに「懸垂」連続で乗り切らないと。

さあ、やってみようね。

「あっ、切れた。もう一回」とまゆうちゃん。

「指替えの準備を忘れたよ!」と先生が指摘。

もう一回。

「あ〜切れた〜」

「重心を移してないから動けないんだよ」と先生。

今度こそ!

「あ”〜」 

こうして何度もトライアルを繰り返し、「メロディー」と「カッコー」2つのパートがきれいに出来てきました。

正直ここまでのきれいな弾き分けを要求しなくてもいいし、実際 YouTubeなどを見てもテキトーに弾いて平気でUPしてるひとはいっぱいいる。

だけどひまわりちゃんは実力もセンスもあるんだし、ヒバリ教室の重鎮でもあるし、妥協しない最上級の演奏をしてもらいたいです。

来週までにパーフェクトな演奏をしあげてきてください。

ところで、「カッコーワルツ」および「カッコー」については、いろんなトリビア満載なので(それでひまわりちゃんを驚ろかしたので)、つづきはまた明日書きます。

ではとりあえず今日はここまでで。

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ヒバリ教室伝家の宝刀「手首の抜き」!

2024年08月19日 | クラシック曲

久しぶりに、特待生のべっきー君(メンズ)のレッスンです。

いつもと変わらず 一人でコツコツと努力を積んでいるべっきー君(本人は『練習できてません😞と言ってますが』)、本日の曲はメンデルスゾーンの「プレストアジタート」です。

左手が終始 怒涛のようにうねるアルペジオを奏で、その上に右手の和音がメロディーを歌っていく…  12月の発表会には これを弾きたいとのことで、べっきー君の好きそうなタイプのドラマチックな曲です。

左手のアルペジオが複雑ですが、それに気を取られてしまわないように。常に、「柔らかな手首の抜き」を忘れずにね。

だってね、べっきー君がうっかり「音取り」に気を取られて音色が固くなっていても、「抜き」のことを思い出して弾いてもらったら、たちまち打って変わって、滑らかで美しい音色に激変するんだから。

「柔らかな抜き」は、ヒバリ教室の「伝家の宝刀」なので、10年選手で特待生のべっきー君には、ぜひともそれを忘れずに 美しい音色を自分の得意技としてほしいです。

もう1曲、ピアノに入門したその時から「いつかは弾きたい」と目標にしている ショパンの「バラード1番」。

少しずつ少しずつ、夢の実現に向かって練習を始めました。

さすが大好きな曲、丁寧に心を込めて弾いてるので 超難曲にもかかわらず、とても美しい音色で弾けています。

こちらは発表会で弾くなどの期限もないので、焦らずゆっくり、今のペースで積み重ねていってほしいです。

バラード1番… ピアノの最高峰だと思うけど、コツコツ積み重ねていけば、必ずや弾きおおせる日は来ると思います!

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チャイコフスキー「四季」より6月・舟歌 その2

2023年06月10日 | クラシック曲

前回の続き、ヒバリの脳内の「舟歌」ドラマです。

初夏の爽やかな気候の中、小さな手漕ぎボートで川下りデートのカップル。

まだ知り合って間もないので、ボートを漕ぐ彼氏も、向かい合って座る彼女も、緊張気味です。

話題もいまいちうまく出てこず、どうでもいいお天気の話などしていますが、ボートが進むにつれ 岸辺の景色は美しく移ろい、二人の緊張も次第に和らいできます。曲も、冒頭の短調から伸びやかな長調へと広がっていきます。

二人のおしゃべりも少しずつ日常や趣味の話などへと広がり、笑顔も出てきます。

さあ、ボートが木々の枝間をくぐり抜けたら、一気に川幅も広がり、美しい田舎の風景が開けました。

気持ちも高揚して、ここで一気に情熱的な言葉へ、と思ったその時、何かに引っかかり、大きく揺れるボート。

あわや転覆の大パニック!

オールも取り落とし、水しぶきがキラキラと飛び散り、大きな波紋がボートを中心に波立って広がります。

数秒ののち、無事転覆は免れ、オールも拾い上げ、波紋も静かに収まり、またボートを漕ぎ始める彼氏。

さっきの「事件」のおかげで緊張は一気に解け、二人の会話は がぜん はずみ始めます。

その証拠に、冒頭から何度となく登場するモチーフのメロディーに、低音のフレーズが、合いの手のように掛け合いで畳み掛けてきます。

これが生き生きとした恋人同士の会話でなくて何でしょう。

おしまいは、すっかり熱い恋人同士となった二人が、この楽しい川下りがもうすぐ終点に着いてしまうことを惜しみ、いつまでもこの時間が続きますように、と願いを込めて余韻を味わってる、その二人を乗せたボートが、だんだんだんだん遠ざかっていく…   FIN

こんな感じです。

チャイコフスキーさんの暗い夜のイメージとは全然違うけど、ま、イメージは 弾く人が好きに描けばいいんだから。

ちなみにヒバリのイメージは、ロシアじゃなくて多分 子どもの頃からいろんな本で読んだり映画で見たりした、「イギリスの田舎の川下り」の様子なんだと思います。

「たのしい川べ」とか、「不思議の国のアリス」の誕生現場とかね。


あなたも、自分のイメージで、曲を楽しんでね。

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