ロマンチック男子のりらつくまさん(メンズ)。
憧れの「めぐり逢い」(アンドレ・ギャニオン作曲)という曲を弾きたい一心で電子ピアノを購入し、ヒバリ教室の門を叩き、練習に励んで、ついに数ヶ月経った今では「めぐり逢い」が最初から最後まで上手に弾けるようになったのです。すばらしい!
今日は まず最初から全部通して弾いてもらいました。
優しく懐かしく歌われる右手のメロディー。
そのバックに流れる左手は8分音符がアルペジオ風に連続するパターン。低音から高音へ、色彩豊かな和声感を演出しながら、時には細かく動き、時には大きくジャンプして…
ハァ〜、左手難しいよね…
指づかいも難しいし、音を探すのも難しいし…
「あのね…やっぱり、左手に気を取られちゃう?」
弾き終わったりらつくまさんに私は聞きました。
「あー、そうですね…」とりらつくまさん。「間違えないように、一生懸命になっちゃいますね…
やっぱり…そうなんだね。
右手はメロディーだから、比較的弾きやすい。好きな曲だし,ましてやよく知ってるメロディーだし。
だけど左手は、やったこともないような伴奏パターンで、メロディーにもなってないし和音はあるし、音はあちこち飛ぶし、指は思うように動かないしで、間違えまいと左手ばかりに集中して弾いてしまう。
そうしたらね、なんか、左手の伴奏ばかりが前に出て主役になっていっちゃうのよ。
右手はとりあえず弾けるから目をくれず、真剣に左手を見つめ、一生懸命。左手を正確に弾くことが目的になっちゃう。
それじゃ残念だ。
「めぐり逢い」のメロディーが好きだからこそ、この曲を習い始めたはずなのに、その大好きなメロディーがなおざりになってるなんて。
せっかくのメロディーなんだから、もっともっと楽しんで弾いたらいいのよ。そして左手は、そんなに頑張らないで、リラックスして。
その時、私の頭に浮かんだのは「クール・ブレイン(ヘッド)&ウォーム・ハート(冷静な頭脳と温かい心)」という言葉です。
これは有名な言葉で、確か指導者たるものこうあるべき、という内容のセリフだと記憶しています。(※ イギリスの経済学者アルフレッド・マーシャル (1842-1924)が講演で言った言葉だそうです)
冷静な頭脳と温かいハート、この両方が必要。それは指導者だけとは限らない。
ピアノもね、間違えないように、正確に、とか 高度なテクニックを、とかクールブレイン(冷静な頭脳)面ばっかり気にして、肝心のウォームハート面、温かい感性を忘れたら本末転倒だから。
間違えないで弾けるように練習するのも大事だけど、そればっかりに気を取られないで、大好きなメロディーを 気持ちよく味わうことを、もっともっと楽しんで欲しいです。
とはいえ、生徒のみんなにとって、やっぱり左手伴奏は難しいんだ…
右手だけならけっこう気持ちよく弾けても、左手が入るとたちまちギクシャクしてしまう。
私たち指導者は右手も左手も同じように楽しんで弾けるけど、それはテクニックもさることながら、曲の構成や和声の流れや その他のことがよくわかることも一助だから。だから生徒のみなさんが、テクニックも身についてない上チンプンカンプンな左手伴奏を弾くのは、右手に比べてとっても難しいんだということが、ここへ来てよーくわかってきました。
以前は「生徒のみんなにとって左手伴奏は右手の2倍くらい難しいんだね」と思っていたけど、そんなもんじゃないです。
左手(伴奏)は右手(メロディー)の100倍むずかしいよ!
だから生徒のみなさん、上手く弾けなくても教師は怒らないし(笑)、弾けない気持ちわかってるから、焦らず自然体で ゆっくり練習を楽しんでください。
「クールヘッド」はできても「ウォームハート」を忘れちゃうことがないように。
HP HIBARIピアノ教室
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