夜にはすっかり涼しい風が吹くようになった。
歳をとってくると、次第に、秋が哀しく感じられるようになる。
秋そのものは美しく、また食材豊かな季節でもあるのだが、そのあとには寒く陰鬱な冬がやってくるのである。
冬はジンセーの終焉を連想させる。人はいつか死ぬものだが、それを目の当たりにはしたくないものなのだ。
“お米は障子のガラスに映るうららかな日影をすかして見て、
「ほんとうにありがたいわね。ようやくのこと春になって」と言って、晴れ晴れしい眉を張った。宗助は縁に出て長く延びた爪を切りながら、
「うん、しかしまたじき冬になるよ」と答えて、下を向いたまま鋏を動かしていた”
夏目漱石『門』 価格:¥ 380(税込) 発売日:1948-11 |
おっ、いかんいかん。今年もまた秋風に吹かれて、必要以上にしんみりとしてしまった。
今回もNoritanからのお土産、ポーランド缶の紹介をさせていただきたいのである。例によって判読不能の文字が載っているが、彼の訳によれば「豚や牛などの合挽肉」の缶詰なのだそうだ。
またまた迫力の300g。勇気りんりんパキリとプルトップを引っ張ると、ややや、またぞろ汁が出てきてしまった。
しかしポーランド缶はもう経験済みの私なのである。汁が飛ぼうと洟が垂れようと、悠然たるものである。
「たとえ死の影の谷を歩もうとも、我恐れるまじ。ヤルゼルスキ」
かくのごとし、近くば寄りて目にも見よ。
巨大な肉塊にしばし感動し、なぜか合掌してしまった。恥ずかしい。誰も見ていないのが嬉しい。うやうやしくフォークを取り上げ、ぷすりと差し入れる。
なんというソフトリー&レイジー。すごく柔らかいです。例えてみれば、レトルトのぶくぶくミートボール加熱後といった柔らかさである。
口中に入れると、合挽独特のかほりが立ち昇る。普段口にしている合挽とまったく同じかほりなのである。
味付けは塩胡椒のみ、と思われる。そこに、わずかに鳥肉の旨味も感じられる。ともかく柔らかく、歯でかまないうちからほろりほろりと崩れていく。
断面を観察してみると、かなり大きめの脂肪の塊がいくつか入っている。これが柔らかさの秘訣のようである。
さて、こいつをこれからどうしようか知らん。ずっと眺めていると、何とな~くマルシンのハンバーグにも見えてくる。
「いっちょう焼いてみっか!」と明るくつぶやいて窓外を眺めれば、羊雲が遙か高くに整列していた。
原材料名:豚肉、牛肉、鳥肉的なもの(多分)
内容量:300g
原産国:ポーランド