どんな宗教でも厳しく戒めるのが「盗み」行為でした。
社会を成り立たせる基本的な条件の一つが所有権なので、他人の所有物を同意なく奪う「盗み」行為を禁じるのは、当然でしょうか。
そしてこの「盗み」は「その社会での相互信頼性の度合い」に関係しています。
互いの信頼性をなくしたまま盗みに厳罰を科しても、効果はまったくないでしょう。
ただし
「コンピュータ犯罪とは、コンピュータ本体を盗むことではない」、くらいなら、もう誰もが理解している時代となりましたか(笑)。
さて賢者が「盗み」をどう見ているか、ご紹介しましょう。
中国のある港では、外人墓地を管理する者が誰もいないと分かるや、塀のレンガは1つ残らず持ち去られてしまった。
北京の紫禁城〔故宮〕の屋根を葺いた銅も広範囲にわたって盗まれたが、それが分かって大騒ぎになってからまださほど多くの年月は経っていない。
中国全18省の中で皇帝ほど騙し易い人はいない、という考えは中国人に広く行き渡っている。
:P.126 アーサー・H・スミス「中国人的性格」石井宗晧・岩﨑菜子訳 中公叢書
120年も昔の清(中国の旧称)も今と同じ「だましあいの国家」ですね。
「万里の長城」のレンガが盗掘されるので、それを修復すると、たちまちのうちに持ち去られるため、もうあきらめて、盗みに任せてしまい、荒れ放題・ずさん工事が当たり前になっている、とのことです。
道路の敷石が盗まれるやら、中国人には公的財産を守る心が欠けていると人は言うのですが・・・・・・
私は、そういう社会を作ってきた2000年以上の中国の国家運営に深刻な問題があった、と考えています。
中国人自身にも問題があると言えますが、極めて長い間、すべての中国人がそういう環境下で生まれ過ごしているのであり、政府がいくら変わっても何ら変わらなかったその極めて悪質なマナーの責任は、やはり為政者にあるとみなさなければなりません。中国人が、万里の長城を自慢すればするほど、そのひどさが分ってくるのでした。
今の中国を理解する上での貴重な示唆であり、中国人はこの調子で世界をみていると言えます。
つまり中国は欠陥国家のまま、人口が爆発的に増えてしまいました。
この国民性が
世界の警察官であったアメリカがフィリピンから撤退すると、南シナ海の埋め立てを始めて領有権を主張し始めた
のとどういう関係があったのか、興味のあるところです。
次期米大統領に内定しているトランプは
- アメリカは世界の警察官の役割を果たさない。
- ロシアには接近するものの、中国には厳しく当たる。
ようですが、これまたどうなるか分かりません。
中国に関しては
盗癖は、庶民のみならず、国家にもみられるのです。
中国共産党は、この盗癖を治すどころか、「屁理屈を編み出して、その盗癖を正当化する」始末です。みじめとしか、言いようがありません。
中国漁船が世界各地で違法操業を繰り返したり、サンゴを密漁するなど、その悪質さが知られていますが、中国共産党がそれを徹底的に取り締まるという気配はありません。国ぐるみの違法さを見ていると、しみじみ中国・ロシアは似ていると思わざるを得ません。
特に中国は、国際法を無視して「歴史的に中国の領土だった」などと「法治国家」ではあり得ない領有権を主張するなど、盗癖を正当化しております。
あぁそうか失礼、失礼、中国は「法治国家」ではなかったのでした。ですから中国が欧米をWTOへ提訴するなど落語のようなのですね(笑)。失礼しました!
ロシアのジョーク:
欠乏品について不満をこぼす人に対して「なんの不満があるんだ。私たちは売られてないものを食べ、店にない服を着ているじゃあないか。誰もが盗みをはたらき、国はどんどん豊かになっているじゃないか。」
:P.195 ロイス・フィッシャー=ルーゲ「ソ連市民200人との対話」平凡社
やや古い本からの引用です。
今ロシアでは、部分的に豊かな生活圏を設定しており、それ以外での貧困にあえぐ地域では取材に制限を加えているようです。
北朝鮮でもピョンヤンだけの取材しか認めていないようで、庶民の生活が困窮などしていない、と虚勢を張りたいからでしょう。
いま中国ではどうか。上の両者の特徴に加えて、互いのだましあいが極限に至っており、「盗み」体質は中国の本質ともなっています。盗み体質は健全な国家の運営を不可能にし、非効率な停滞社会を招いています。もう二度と再生できないのではないかと思われます。
【北京・西岡省二】国連安保理が対北朝鮮決議を採択したことを受け、北朝鮮外務省は16日、声明を発表し、今回の決議を「米国の対北朝鮮敵視政策の産物」と位置づけ「いささかも拘束されないだろう」と表明した。その上で「自衛的な戦争抑止力をあらゆる面において強化していく」と主張し、ミサイル再発射の可能性を示唆した。
声明は、安保理での論議に対して「いかなる国際法にも抵触しない我々のミサイル発射を反則と規定して国連に持ち込んだこと自体、全く不当で強盗のような行為だ」と非難した。
また、今月9日のインドによる長距離弾道ミサイル発射実験を引き合いに出し「米国の承認さえ受ければ、ミサイルを撃っても核実験をしても見逃され、国連に上程されないのが現実だ」と不満をあらわにした。
そのうえで、核問題をめぐる6カ国協議に触れ「朝鮮半島非核化を対話と協議を通じて平和的に実現しようという我々の真心と誠意ある努力をもてあそんだ米国が、いまになって、我々が6者会談(6カ国協議)に出れば懲罰せず、出なければ懲罰するというのは、どう考えても正当化できない破廉恥な詭弁(きべん)だ」と批判した。:毎日新聞 2006/07/21
10年も前の記事ですが
北朝鮮の主張にも一理あるとも考えられるものの、論理の多くは、すでに破綻しているようです。多くの問題を露呈してしまったのですね。
米国の手法が「破廉恥な詭弁」とするに至っては、どうやら自らが詭弁に走っていることを理解していないように思われます。
これは「非尋常な人に限って周辺を非尋常とみなしがち」という原則を思い出させます。
さてさて、皆様はどう思われますか。