PSE議懇 3月27日

本日行われた民主党PSE議懇には、8名の議員本人が参加した。警察庁・環境省・経産省(清水製品安全課長)からヒヤリングし、絶縁耐力試験機メーカーのデモンストレーションも行ったそうだ。警察庁は、3月24日の経産省と中古販売事業者の団体である「PSE問題を考える会」との了解を踏まえ対応するということで、この了解に沿っているかぎり違法ではないので、取締りは行わないということのようだ。

今日の議懇で、経産省が配布した資料を以下にアップする。ポイントは、3月24日付の「電気用品安全法に関する中古電気用品の問題について」という文書だ。同日付の「PSE問題を考える会」の記者会見配布資料と同じ内容だが、経産省が「それまでの間は(検査ができる体制が整い次第、検査を実施するまでは)、事業者はレンタル方式を活用して、営業を継続する。これについて、経済産業省は、レンタルは法的規制を受けない旨再確認した。」と述べ、あくまで「レンタル」であることを強調しているのに対して、「PSE問題を考える会」は、「販売後の検査やレンタルなどの工夫をすることによって、現実に在庫として抱えている中古品の販売が継続できることを当局に要望し、了解されました。」との見解を述べている。営業の継続は、「販売」なのか「レンタル」なのか、あるいは「みなしレンタル」なのか、現状では、まったくのグレーゾーンだ。

いずれにしても、数ヶ月の間は、グレーゾーンは違法ではないとみなし、実質的な猶予期間の延長とするしかない。やはり一刻も早く、中古電気用品を正しく位置づけたPSE法の法改正を実現するしかない。今国会での、PSE議懇の一層の奮闘を期待する。

平成1827 経産省配布資料主党SE議懇

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電気用品安全法(PSE法)と松下電器 3月26日

電気用品安全法(PSE法)に関する3月24日(金)の経産省の対応は、考えれば考えるほど、法治国家としての日本に対する冒涜としか思えないものだ。国会は、法治国家の根底を覆すような経産省の横暴を、このまま看過してはならない。経産省は、法律をねじ曲げてわけのわからない解釈をしようとしているが、法律の解釈を是か非か判断するのは、経産省ではなく司法だ。明らかな脱法行為を経産省自らが中古品販売業者や消費者に押し付ける3月24日の経産省解釈の矛盾を、国会は追及し、最終的にはねじ曲げた解釈をしなくても良いように法改正する必要がある。

PSE法に関する経産省の一連の対応は、不可解な点が多い。やっと今年1月、経産省は内閣法制局と相談して、中古品もPSE法に含まれるとの判断を下し、同月20日その旨を正式に発表した。それまで経産省は、PSE法では中古品をまったく想定していなかったのだ。何故、この時期、経産省がこのような判断を下したのかというと、昨年大騒ぎになった、松下電器産業(ナショナル)の石油温風暖房機による死亡事故問題が関係しているのではないか。

TVコマーシャルで回収を呼びかけ、日本国中の全世帯にハガキを出す異常さからも、この問題が非常に深刻であることがうかがえる。が、昨年来回収を呼びかける松下の対応は、実は遅きに失しているのだ。1985年製~1992年製の石油温風暖房機が対象機種だと松下側は発表しているが、一連の機種は、1980年の時点で欠陥が発生していることが判明している。当時、青森県八戸市にあったマンデーという量販店は、当該機種を381台仕入れ、200台以上を販売したところ、次々に苦情が寄せられた。温まらないとか、点火しないなどの他、なんと出火したケースもあったようだ。

マンデーは、顧客から寄せられた返品商品の引取りを松下に要求したが、松下はこの申し出を拒否した。その後、マンデーと松下との間で話し合いがもたれていたが、松下から解決策が示されることもなく音信不通になってしまう。修理や返品など顧客からのクレームに対応するためにマンデーが負担した金額は1億円とも言われ、信用も失墜し、1988年マンデーは倒産する。マンデーの社長は、その後、新たな事業に転身するも行き詰まり、2003年7月、ガソリンをかぶり焼身自殺を遂げる。

欠陥商品の引き取りを要求するマンデーの申し出を拒否した松下は、中間卸業者のマンデーの直接の仕入先である「八戸液化ガス」を丸め込み、当該機種が欠陥商品であることを隠蔽するために、八戸液化ガスが1,500万円で全品買い取る旨を、八戸液化ガスからマンデーに対して提示させている。マンデー社長はそれには応じなかったが、八戸液化ガスは合意文書を勝手に偽造し、予定通りことが運んだように見せかけ、なんと八戸液化ガスが1,500万円を着服してしまったのだ。この偽造は直ちに発覚するが、マンデーに対して松下は開き直り、八戸液化ガスが作成した「偽造契約書」をたてに、マンデーからの引き取りに応じず、結果的にマンデーを倒産に追い込んでしまった。

この松下のスキャンダルは、当時の警察幹部によってもみ消されてしまい、以降昨年末までの数年間、欠陥商品である当該機種への松下の不作為は続く。昨年、一酸化炭素中毒による死亡事故が連続して発生し、やっと事の重大さに松下も気付き、経産省に泣きつき、11月29日、「消費生活用品安全法第82条による緊急命令」を発動させ、当該機種の本格回収に乗り出したのだ。

昨年9月に経産省消費経済部長に就任した消費者寄りのポーズをとる谷みどり氏は、松下の事例を引き合いに出し、「電気用品の安全確保のためには中古品もPSE法に入れる必要がある」と連発した。しかし、松下事件の真相を正確に理解すれば、温風暖房機事故と中古電気用品の安全とは、なんら関係のないことがわかる。温風暖房機はそもそもが欠陥商品、新品の段階での事故なのだ。松下がすがった「消費生活用品安全法」は、電気製品に限らず、あらゆる生活用品を対象とする法律だ。本来なら、1980年欠陥発覚以降昨年11月まで欠陥商品である事実を隠蔽し販売を継続してきた松下の行動は、本法の趣旨に反し、当然罰せられてしかるべきなのだ。

経産省が1月20日、PSE法に中古電気用品も含まれるとの見解を発表した背景には、本来まったく関係ない事例ではあるが、松下石油温風暖房機事故が大きな影響を与えたことは間違いない。にもかかわらず、先週末、経産省は、法律の解釈をねじ曲げて、中古電気用品を事実上数ヶ月間PSE法の適用除外にする見解を発表した。中古電気用品に対する適用が延長されることは、中古販売業者にとっては朗報だが、一連の経産省の対応に、全く一貫性のない点が大きな問題だ。「電気用品の安全」を本当に主眼に置いているのか否か、さっぱりわからない経産省の対応ではないか。法改正の実現のために、今後も国会でしっかりと追及して、経産省の対応にきっちりと白黒つけていく必要がある。
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電気用品安全法:経産省のでたらめ 3月24日

3月24日金曜日の今日、経産省はとんでもないことを言い出した。PSE法での中古電気用品の解釈を、自主検査をせず消費者に売り、販売後に検査を行う約束をする場合、検査を行うまでの期間をレンタルとみなし、販売後に検査をしたかどうかは確認しないという、まったくもって解釈不可能な「解釈」を持ち出して、中古品販売業者の方々の理解を得ようとしたのである。中古品販売業者の方々でつくる「PSE問題を考える会」の代表小川浩一郎氏は、今夕、経産省消費経済政策課長と並んで記者会見に臨み「事実上、猶予期間の延長を勝ち取った」と述べ、安堵の表情を浮かべていたが、私は益々、経産省のやり口に不信感が募る。

経産省が今日になって打ち出した中古電気用品に対する「解釈」を要約すれば、中古品販売業者が脱法行為をしても罪には問いませんよ、ということになる。天下の日本の法律を、時の経産省がこのようにねじ曲げて解釈することは、断じて許されるものではない。経産省は、裁判所ではないのだ。子どもだましのような法解釈を真に受けて、脱法行為で販売された中古電気用品が、万万が一事故を起こしでもしたら、いったい誰が責任をとるのだろうか。

昨日のブログにも書いたように、新品を製造する業者の中にも、PSEマークを貼付しなければならない事実を知らない人がいる。コンセント付き家具にPSEマークを貼付しなければならない事実を、なんと、家具工業組合を所管する経産省日用品室の担当者が昨日まで知らなかったことが、今日になって新たに発覚した。経産省内も、実は、大混乱しているのだ。新品に関しても、PSEマークを貼付していなくても脱法ではないと経産省が仮にみなすのであれば、いっそのこと法改正をするほうがよっぽどわかり易い。脱法行為を、ある意味推奨するような経産省の解釈は、根本的に正義に反し、最終的には、中古品販売業者や消費者に多大な不利益をもたらすものだ。

日本の音響メーカーが世界的競争力を失ってしまった原因は、経産省が「部品の保存期間を7年間」と決定したことにあると、ある音響機器ベテラン中古販売業者が述べたそうだ。つまり、日本の音響メーカーは、部品保存期間だけもつ音響機器を作ればよいということにして、「7年もてばよい」というような代物ばかりが生産されるようになったのだ。これでは、世界ブランドになり得るはずがない。

それに引き換え、日本の自動車メーカーの強さは、幾度にもわたり中古販売されるほどの強い車体を武器に、世界に冠たる一流メーカーへと飛躍していった。国内で複数のユーザーを満足させた日本車は、途上国などへ輸出され、さらに有効活用される。絶対に壊れない世界NO.1の自動車メーカーが日本に君臨する一方で、音響機器や家電の類は、今回のPSE法を機に、使い捨てに拍車がかかる。これらの業界の国際競争力をそぐのは、他ならぬ経産省なのだ。

中古販売業者の方々の4月1日の混乱は、ひとまず回避することができるかもしれないが、天下国家の法律をこんなにもねじ曲げて解釈する前例とならぬよう、一刻も早く法改正して、まともな解釈で中古電気用品がPSE法の適用除外になるよう、全党あげて国会で議論する必要がある。この問題は、今日で一区切りではない、今日から新たな闘いが始まったのだ。子どもや孫たちの見本に、まったくならない経産省の対応を正さなければ、法治国家日本は近い将来かならず崩壊する。

2006年3月24日午後4時15分から、PSE問題を考える会(小川浩一郎代表)が、経済産業省で行った記者会見配布資料(経済産業省福田消費経済政策課長同席)

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電気用品安全法:新品にPSEマークが貼られていない! 3月23日

電気用品安全法(PSE法)は、益々不適切な法律であることがわかってきた。経産省は、自分たちの都合の悪いことは絶対に言わないから、そのつもりでリサーチしなければ法の不備を指摘することはできない。

再び今日は、坂本龍一氏ら音楽家の代表が、経産省への抗議行動の記者会見を行った。「音楽をつくるための楽器や音響機器を選ぶのは音楽家であって、役所ではない。楽器や音響機器を使用していて事故に遭ったなんて話は聴いたことがない。」との坂本氏の発言は、非常に説得力のあるものだった。なるほどと、思った人も多いはずだが、経産省の役人に響いたかどうかは疑問だ。

坂本氏らは、今日の記者会見でも、楽器のみならず電気用品全般について、PSE法の適用からはずすよう求めると、明言した。さすがである。坂本氏らのグループには、小室哲哉氏も参画したそうだ。「無理が通れば道理引っ込む」と、経産省はいまだに思っているかもしれないが、経産省が無理を通そうとすればするほど、利害関係者や消費者は、益々納得がいかなくなるのだ。そろそろ経産省も、中古電気用品を想定していなかった非を認め、矛盾のない法律に軌道修正する構えを示すべきだ。連日、PSE法の矛盾をつく記事を掲載していた毎日新聞が、読売・朝日に次いで今日はついに社説でこの問題を取り上げた。TV各社は勿論、新聞各社も非常に高いレベルで関心をもっているのだ。

家電・楽器・音響機器などが、PSE法に関連する中古電気用品の主体だが、反対運動リーダー格の荒井哲夫氏の情報によれば、インテリアのハヤミズの経営者の方の指摘によって、家具業界にも波紋をよんでいることが今日判明した。電気部品が付属する家具やコンセントの付いている家具は、照明や鉛筆削りのついた子どもの勉強机・洗面台・リクライニングベッド・マッサージ機など挙げたらきりがないくらい存在するが、PSE法では、新品については最初からPSEマークを貼付しておく必要がある。ところが、ハヤミズの経営者の方の話では、店にある新品の家具に、PSEマークが貼られていないというではないか!

家具製造業者がPSE法について認識したのは、2月に入ってからだという。あたふたしているうちに現在に至り、今尚まったくお手上げ状態にあるのだそうだ。本日入手した経産省の資料によると、仏壇仏具なども同様の状態である可能性がある。当然、他も推して知るべしで、PSE法が関連する各業界の隅々にまで浸透しているとは、とても思えない。それでも、経産省は、無理矢理押し通そうとしている。権力を不当にかざし、民主主義に反する行為を無理強いしようとする経産省に対して、民主党は全党挙げて本格施行に待ったをかけて、法改正を求めるたたかいを挑むべきだ。

おそらく既に経産省でさえも、本法の不備に気付き、与野党問わずかなりの数の議員が、このまま不作為に4月1日の本格施行を迎えることには無理があると認識しているはずだ。あとは決断できるか否かだ。PSE法は国民のためにある。役所や政党のために存在するのではない。間違った規制緩和こそ、事故のもとなのだ。郵政民営化法案のときと違って、国民の側から法改正を求める声が上がり、日増しにその声は大きくなっていっている。国会は、国民の声を傾聴し、今一度、立ち止まって考えるべきだ。

「電気用品安全法における旧法(電気用品取締法)表示製品の販売猶予期間について」通知先一覧経済産業省製品安全課

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民主党PSE法議員懇談会発足 3月22日

今日、民主党に電気用品安全法議員懇談会(PSE議懇)が立ち上がった。4月1日の本格施行まで残り僅かとなった今、出来ることは何か。4月1日から実際に影響を受ける中古品販売業者がどのくらい存在するのか。また中古電気用品の市場規模はいったいいくらぐらいなのか。経産省も把握していない状況で、よりリアリティのある対策を講じていくために、PSE議懇は急遽設立された。

議懇の顧問に鳩山幹事長が就任したことで救われたが、民主党執行部には、まだPSE法をよく理解していない議員もいる。なんとしてもスピーディに民主党議員全体の理解を得て、経産省の失態を中古品販売業者や消費者に押し付けることのないよう対処していかなければならない。

経産省は、中古品販売業者の一部のグループに対して、どうやら、4月1日以降いろいろと配慮をするから協力して欲しい、というような内容の話をしているらしい。法的に非常に立場の弱い中古品販売業者は、製造物責任を問わないからというような話を聞かされると、少しは肩の荷をおろそうかという気にもなるが、しかし、経産省担当者のそんな口約束をみすみす信用して後でツケを払わされるのは紛れもなく中古品販売業者であり消費者だ。経産省自らが、脱法行為を認めるような発言をすること自体異常であり、この法律が中古電気用品を想定していなかったことを如実に物語っている証拠だ。

PSEマークを貼付するための「外観検査」「通電検査」「絶縁耐力検査」の3つの自主検査のうち、「絶縁耐力検査」について、PSE議懇の設立総会の場で専門家の新たな見解が報告された。経産省は、この検査に使用する検査機器を無料で貸し出し、必要なら係官が出向いて検査する無料出張サービス(6ヶ月間)を提示しているが、この絶縁耐力検査というのは、素人が気軽に行えるような検査では決してないのだ。測定者は、まさに絶縁マットの上に立ち、絶縁手袋をしなければ感電してしまう危険があるのだ。安全の証であるPSEマークを貼付するための検査で、全く素人の測定者が事故に遭うリスクがあるということで、まさしく本末転倒。事故が発生してからでは後の祭りなのだ。経産省は、そこまで予測しているかどうは、非常に疑わしい。

PSE議懇の衆議院議員荒井聰会長は、
① ヒアリング:3月28日(火)午前中、警察庁・環境省・絶縁耐力検査機メーカー・経産省
② 実態の数字の確認:中古販売業者の数・販売額・点数・PSEマークのない在庫など
③ 当面の対策:猶予期間の延長・取締りの手続きの明確化など
④ 法改正:中古電気用品についての条文を新たに規定するなど
の4本柱を活動方針とすることを表明した。

すばやい動きと適切な活動方針だが、このPSE議懇の活動と民主党執行部の動きが一刻も早く連動するよう、執行部は事態を正しく理解して欲しい。若林秀樹ネクスト経産大臣は、3月15日、「民主党として、今後、販売者や消費者等の意見・状況を踏まえ、本法律の改正も含めた対策を立てる予定である」と公式にコメントしている。朝日新聞(3月21日付)・読売新聞(3月20日付)が立て続けに、経産省の対応を批判し4月実施の凍結や猶予期間の延長を、社説で主張している。民主党全体として、この問題に敏速・的確に対応して、中小企業と消費者そして環境のために、まだ使える電気用品をゴミにしようとする口先だけの「MOTTAINAI」運動を展開する小泉政権と、敢然とたたかって欲しい。
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WBC「イチローに乾杯!!」 3月21日

終わってみれば、WBCは非常に面白かった。正直、当初はたいして関心を持っていなかった私だが、今日の決勝戦には、結構夢中になってしまった!!

なぜ今日の試合に関心を持ったのかと考えてみると、やはり、イチローのリーダーシップが、予想外に際立ち、いやらしいほどに目立っていたことがすべてだと思う。ライトのファールフライを、イチローが得意のフライングキャッチしようとした瞬間、韓国ファンが邪魔になって思うに任せなかった対韓国第2戦直後、「自身の野球人生最大の屈辱」と言い切ったイチローの強烈な口調に、傍観者でしかなかった私は、気が付けばイチローワールドに引き込まれてしまっていたのだ。これまで、はがゆいほどに冷静かつ個人主義で、言葉を選びに選び抜いてきたイチローが吐く言葉だろうかと、耳を疑う発言だったからだ。

しかし、終わってみれば、あのイチローの過激発言は、計算しつくされた、戦略の一部であったことがうかがい知れる。優勝決定後の記者会見でのイチローは、180度変貌し、いつものイチロー節に戻って、極めて冷静な分析発言をしていたからだ。韓国を挑発するかのようなイチローの過激な発言を、どうかなと思った瞬間は確かにあったが、イチローがあそこまでヒーローではなく「ヒール」に徹しなければ、王ジャパンの士気をピークパフォーマンスに持っていくことはできなかったのだ。すべては、イチローの計算ずくだった。アッパレ、イチロー!!

思いがけないイチローのリーダーシップと王監督の知的采配とが相まって、チームジャパンは、持てる力の最大限を発揮することができたのだ。松坂大輔のMVPも、イチローの迫力なくして有り得なかった。その証拠に、松坂大輔は、イチローに心腹しきりだった。

突然アメリカがWBCを企画した当初は、誰もがこんなに盛り上がるなどとは想像もしていなかった。ヤンキースの松井が参戦しないことを決断したことからも、WBCは単なるイベント、シーズンを目前に控え、必死に取り組むような代物ではないという印象が強かった。「どうせ、アメリカかドミニカの勝利でしょ」と、多くの人が思っていたに違いない。ところが、世界最強のアマチュア球団であるキューバが参戦したことによって、WBCの価値が一気に高まって、徐々に選手たちの空気も変わっていった。日本は、メキシコ・韓国だけではなく、キューバにも感謝しなければならない。

任天堂がオーナーであるマリナーズのイチローは、日本チームに合流しやすかったに違いないが、確かにヤンキーズの松井は、微妙な立場だったのだと思う。この晴れ舞台に、松井が居ないことは非常に残念だが、松井には松井の判断(結果的には正しい判断ではなかったかもしれないが)があったのだ。松井には、今シーズンの活躍を期待するしかない。

韓国に負けても負けても這い上がり食い下がって、粘りに粘って手にしたワールドチャンピオン。私たちが忘れかけていた、「ひたむきさ」を思い出させてくれた日本チーム。王監督とともにチームを引っ張るイチローの、「全力疾走」には脱帽だ。真のMVPは、間違いなくイチロー。過激な発言が、チームメイトの甘えを一掃していたのだ。

松坂大輔も良かったが、上原浩治あっての松坂の勝利だ。松坂大輔は、これからの3年間、日本野球界のまさに代表であることを胸に秘めて、一球入魂しなければならない。最後に韓国の監督が、「組織力ではナンバーワン」と日本野球を評価する発言をした重さをかみしめて、WBCを両国の友好にも役立てていかなければならないとしみじみ思う、なんとも言えない勝利の1日だった。
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