Justice! 社会正義の実現!所得充実政策!ワクチンより検査を積極的に推奨! / 薬剤師・元参議院議員・消防団
ひらがな5文字の「はたともこ」ブログ
新型インフルエンザ:「タミフル」備蓄の真の目的
新型インフルエンザの世界的大流行に備えることは、政府の責任です。しかし、いたずらに国民の不安をあおり、実際には不必要(無意味)な対策を国民に強いることは、国民に対する国家の重大な裏切り行為です。政府が打ち出している新型インフルエンザ・パンデミックへの対応の中で、どうしても私が納得できないのが、抗インフルエンザウイルス薬「タミフル」の備蓄についてです。
世界各地で続発する鳥インフルエンザウイルス(H5N1)が人に感染後、変異を繰り返し、大流行が予想されるのが、「新型インフルエンザ」です。しかし、政府が備蓄を強く推奨・推進する抗インフルエンザウイルス薬2剤のうち特に「タミフル」は、現実にはH5N1型鳥インフルエンザウイルスの人への感染症例に効果をあげておらず、ましてや新型インフルエンザに対して有効であるという保証はまったくないのです。にもかかわらず政府は、地方自治体にも、声高に「タミフル」の備蓄を呼びかけています。不思議でなりません。
現段階で政府および地方自治体が備蓄する「タミフル」の総量は、2,800万人分とされています。総人口から考えても、極めて中途半端な備蓄量です。備蓄の主眼がどこにあるのか、理解できない数字です。「タミフル」は1人5日間投与が基本ですから、薬価を基準に計算すると、2,800万人分で1,086億円というコストがかかっています。これは、「タミフル」の販売元である中外製薬の、半年の売上高(平成20年6月中間期)の約8割に相当します。
周知のように、「タミフル」は中外製薬の親会社であるスイスのロッシュが製造していますが、元々の開発会社であり特許を持つのは米国のギリアド社です。ギリアド社の役員であったラムズフェルト元国防長官ら政治家のインサイダーはいまや明白で、「タミフル」の世界の売上の8割を買い占める日本政府が、年次改革要望書とはいかないまでもその筋のなんらかの圧力を受けているであろうことは、今更言うまでもありません。勿論「タミフル」に絡んだ、厚労省の役人の天下り、即ち官業癒着の構図も、この期に及び否定する理由がありません。
更に言えば、ロッシュ本社のあるスイス・ジュネーブに本部を置く、かのWHOが、新型インフルエンザ対策として「タミフル」の備蓄推奨を勧告している事実は、世界の保健衛生が、政治家の利害によって左右されている実態を、如実に物語っています。WHOは、ご丁寧にも、発展途上国に対しては「タミフル」のジェネッリク薬を勧める念の入れようです。
厚労省は、「タミフル」服用により子どもの飛び降りなどの異常行動が相次いで報告された問題について、先月7月10日、「タミフルと異常行動との関連は検出できなかった」と最終報告を出しました。ところがその喉元もすぎぬ今月5日、調査のデータ処理にミスが見つかったとし、調査結果を再検討すると発表しました。合わせて、「調査結果への影響は大きくないと考えられるが、科学的議論に万全を尽くすため、影響がないかを確認する」と付言しているのですから、わざとらしく不自然なポーズとしか言いようがありません。
発病直後ではなく、症状に差のでない発病後2日~7日までのデータを繁用し、異常行動の発生頻度を薄めた経緯のある厚労省の調査を、今更信用しろというほうが無理ですし、異常行動の6倍以上の頻度で発生する「タミフル」服用後の突然死について一切触れない厚労省の対応にも、疑問が残ります。
「タミフル」と異常行動との因果関係について最終的な結論を出す安全対策調査会の開催は、9月以降に延期されましたが、私には、最初に結論ありき、すなわち「異常行動とタミフルとは因果関係なし」、「タミフル」の備蓄に太鼓判を押そうとする厚労省の魂胆が丸見えで、不適切極まりないと思えてならないのです。一方で、東大教授を含む製薬会社とは一線を画し中立あるいは患者の立場に立つ専門医らは、異常行動や突然死は「タミフル」が引き起こした症状と考えるのが妥当と判断しています。自然な判断というものです。リスクコントロールとは、本来そういうものでなければなりません。
そもそも抗インフルエンザウイルス薬「タミフル」は、インフルエンザ感染後48時間以内に服用した場合、発熱期間が1~2日短縮されるという程度の作用しかありません。「タミフル」は、第三者への感染を防ぐものでもなければ、パンデミックを抑える薬剤でもないのです。万が一新型インフルエンザに感染してしまったら、外出せず安静に寝ていることが一番の対策なのです。むしろ政府が備蓄を推奨すべきは、検討ハズレの「タミフル」などではなく、ウイルスを防御するためのマスクや手袋であってしかるべきです。
新型インフルエンザ・パンデミックに対する国家戦略の大きな柱が、明らかに官業癒着にプライオリティをおいた「タミフル」の備蓄であることは、まさに国民不在の厚生労働行政の、典型的な事例です。いざというその時、「タミフル」は無用の長物です。地方自治体が競い合って「タミフル」を備蓄する様は、中外製薬やロッシュ、天下りする役人、そしてギリアド社やその関係者に、どれほど滑稽にうつっていることでしょう。
パンデミックが予想(想像)される新型インフルエンザに対して、厚労省は正しい施策を講じなければなりません。去る8月4日、東京都内の病院では、医療関係者に対するプレパンデミックワクチンの接種が始まりました。万が一、大流行したとき、ドンピシャリの効果を保証するものではありませんが、現状で為し得る最善の策です。政府は今年度内に、3,000万人分のプレパンデミックワクチンの備蓄を表明していますが、本気で対策を練る気があるのなら、関係機関に更に積極的に働きかけて、国民すべてに行き渡るくらいの勢いで、ワクチンを生産すべきです。
馬鹿を見るのは、いつも日本国民です。社会保障費の抑制という大きな困難に直面する一方で、無用の長物である「タミフル」の備蓄に、1千億円以上もの税金を投入する政府は、国民に不利益をもたらす政府です。一刻も早く打ち倒さなければなりません。政府肝いりの消費者庁も、消費者ではなく業者保護を目的に創設されることを、まだ多くの国民は気付いていません。「クローン牛」であるか否かの表示はしないことを、いずれ消費者庁は決定します・・・。そして何よりも、只今現在、「タミフル」の備蓄に疑問を投げかける現職国会議員がいないことに、私はむなしさを覚えずにはいられないのです。
「BSE・タミフル・耐震偽装」と民主党 12月18日
BSE問題に関する、厚労省や農水省の対応はあまりにも酷い。ついに輸入再開された米国産牛肉は、いまだにその安全性は科学的に証明されていない。特にSRM(特定危険部位)から作られた肉骨粉が野放し状態の飼料に対する規制は、最悪だ。米国産牛肉の輸入再開問題を議論したはずの食品安全委員会・プリオン専門調査会だが、実際には、日本政府は米国からの圧力に屈し、当初から輸入再開ありきの出来レースだったことは、今更言うに及ばずだ。
米国の畜産農家は、日本とはスケールが違う。常識的に考えて、大手パッカーが流れ作業の中で、厳密に月齢を見分け、SRMを除去できるとは到底思えない。飼料規制が業界の反対で実現されず、安全が科学的に証明されない米国産牛肉が食卓に上らなくても、私たち日本国民は、まったく困らない。にもかかわらず、米連邦議会からの強力な要請に屈し、輸入再開を強行する日本政府を、私たちは信じることができるだろうか。
ウシ血清由来の原料を使用する医薬品の扱いについても、厚労省の対応はおかしい。抗リウマチ薬エンブレル注使用者にクロイツフェルト・ヤコブ病が発症しているにもかかわらず、科学的に無関係であることが証明されないまま、開発・販売元のワイス社の言い分を鵜呑みにして、即座に因果関係は非常に低いと判定し販売を認めた薬事・食品衛生審議会安全対策部会伝達性海綿状脳症対策調査会のあり方にも、疑問が残る。この調査会とプリオン専門調査会とに、なんと5名もの委員がダブっている事実を見逃すことはできない。
新型インフルエンザ対策として備蓄が進められるタミフルのカプセルの原料についても、米国産ウシのゼラチンが使用されている可能性はいまだに残っている。質問に対して厚労省は、「エンブレルと同様に生物由来原料基準適合性について薬事・食品衛生審議会の意見を聴いた上で薬事法に基づく承認が行われた事例」には、タミフルカプセルは該当しないと答えた。前提条件をあえて限定し、核心を避けて回答しているとしか思えない対応だ。タミフルについては、ラムズフェルト国防長官やシュルツ元国務長官、前カリフォルニア州知事のインサイダー疑惑を否定できず、世界的な備蓄の流れが、米国の国家戦略であるとの見方を否定できない。
耐震強度偽装問題での国交省の対応も、不可解そのものだ。偽装発覚後いまだに耐震強度が公表されない「グランドステージ池上」の地元自治体である大田区のあまりにも遅い対応は、いったいどういうことなのか。大田区の構造計算書の保管期間がたったの1年であることも、極めて不自然だ。何故、大田区だけが「異常に短い保管期間」と「異常に遅い対応」なのか、あらぬ詮索もしたくなる。北側国交大臣の歯切れの悪さには、いい加減うんざりだ。
姉歯物件に鹿島や大林など大手ゼネコンの名が挙がったことは、事態が「総研・木村・ヒューザー」シンジケートに留まらない可能性を示唆している。あってはならないことだが、阪神大震災の際、短期間で再建されたビルの一つ一つの耐震強度は、本当に大丈夫なのかと、ついには疑いたくもなる。
BSE問題も耐震強度偽装問題も、本来、役所が果たすべき役割が、まったく果たされていない。政官業の癒着により、チェック機能が完全に麻痺しているのだ。この状況で、日本を平和な先進国と自負できるだろうか。テロリストの行為よりも、ずっと国民に危害を及ぼす行為を、日本の役所は働いていると言える。
マスメディアも、今夏の総選挙が顕著であったように、連日ピンボケ報道が続く。今日のサンプロも酷かった。確信犯である総研・内河氏の独占インタビューに、何の意味があるというのだろう。内河氏は、明らかに加害者なのだ。一方的な内河氏の主張を、ロクに追及もせず視聴率かせぎに走るテレビ局は、本当にどうかしている。視聴者をみくびっているのか。NHKがヒューザーの小嶋氏を擁護したのと同様に、サンプロは内河氏を擁護したのだ。馬鹿げている。
真実を追究し、悪を暴き、真に国民の生命と財産を守ってくれるのはいったい誰なのか。民主党は、その任を果たせるのか。小泉政治と区別がつかなくなった前原代表を、この先どうやって支えていくのか、いよいよ民主党の真価が問われている。集団的自衛権の行使のための憲法改正議論など、民主党にはまったく期待されていない。政官業の癒着構造にドップリと漬かっている自公与党にも役所にも、弱い立場にある国民を守る能力も資格もない。BSE問題と耐震強度偽装問題で、民主党は早急に立ち直り、真の安全と安心を国民にもたらす責任ある政党となることを、心から願う。
「タミフル」中外製薬の嘘 11月26日
牛肉を食するという、ある意味短絡的なルートによって、BSEは人に感染する。プリオン専門調査会ですら「科学的根拠はない。米国産牛肉を買って食べるか否かは、消費者の選択だ」と言い放つ現状では、米国産牛肉の安全性は、極めて怪しいと考えざるを得ない。ましてや、現実に米国在住者の中から変異型クロイツフェルト・ヤコブ病の感染者が新たに報告されたからには、やはり、今一度輸入再開が妥当な決断であるのか否か、再考すべきである。
人間の生命にかかわる重大な問題を、看過する政府はどうかしている。武部自民党幹事長は今日、耐震設計の偽造問題を言及して、「悪者探しに終始すると、マンション業界がつぶれる。地震がくるとつぶれると聞かされるた住民は、心配で夜も眠れない。」と、いったい誰の味方なのか、そして何が目的なのか、さっぱりわからない意味不明なことを言い、その際、BSEを引き合いに出し、変異型クロイツフェルト・ヤコブ病を怖い怖いと騒ぎ立てて、牛肉を食べないのはナンセンスだと言わんばかりの発言をした。この人ほど、無責任な国会議員はいないと思う。こうして現実に、米国在住の男性が新たに、感染してしまっているではないか。
話はかわるが、ある雑誌記者に中外製薬は、「タミフルは完成品の状態でロッシュから仕入れ、日本では箱に詰めているだけにすぎず、カプセルに使うゼラチンの状態がどうであるかまでは関知できない」と答えたそうだ。私が聴いた話とはまったく異なり、中外製薬の狼狽のほどがうかがえる。
「日本からスイスにカプセルを持ち込み、薬を充填して持ち帰る。カプセルの原料として、以前は米国産ウシ由来のゼラチンを使用していたが、BSEが問題になって以降BSEが発生していない国を原産とするウシのゼラチンに切り替えた。ゼラチンにはアルカリ処理を施しているので、仮にBSE感染源が混入していたとしてもその段階でリスクは除去できる。」と、私の質問に対してコメントしていた中外製薬のこの豹変振りはいったい何なのだろう。
米国での検査(サーベイランス)の実態は勿論のこと、ウシの飼料あるいはレンダリングの状況を、日本政府はどこまで理解しているのか。医薬品についても、当事者である製薬会社の言うがままではないか。厚労省は、反芻動物由来原料の原産国を、BSE感染の報告のない国に切り替えるよう指導はしたもののその後のフォローもなく、結局は製薬会社の思惑通りに事は運んでいる。薬害エイズの教訓が、まったく生かされていない。リスクをはらんだままの見切り発車は、政府関係者の当事者意識が希薄であることに起因する。被害に遭うのは、いつも弱い立場にある国民なのだ・・・。
耐震偽造マンション問題は、社会のチェック機能が完全に崩壊してしまっていることを顕著にあらわしている。本来、チェックすべき立場にある人々が、まったくその役割を果たさなくなってしまっている。国会議員も例外ではない。心地よい椅子に、安穏と胡坐をかく議員は必要ない。私利私欲を追求する議員も必要ない。公正中立な社会の番人たる議員を、私たちは求めているのだ。「年金」に代表されるように、一般国民より国会議員のほうが優遇されているなんて、絶対におかしいのだ。
タミフルのカプセル 11月23日
タミフルの剤形は、子ども用のドライシロップ(顆粒のようなもの)と大人用のカプセル剤とがあるが、ゼラチンカプセルのタミフルは、そのゼラチンの原料を以前は米国産のウシに依存していたことがわかっている。タミフルの場合、日本のカプセルメーカーが製造したカプセルを中外製薬がスイスに持ち込み、薬を充填し日本に持ち帰るという方法をとっている。昨年のBSE騒動より以前は、米国産ウシをゼラチンの原料に使用していたが、BSE騒動をきっかけに、「BSEの発生した米国・カナダ・日本以外のウシに切り替えた」と中外製薬は公表している。更に、ゼラチン精製過程でアルカリ処理を施すので、仮にBSE感染源が混じっていたとしても、その段階でリスクは消えるとしている。
これに関して、2003年、抗HIV薬フォートベイスカプセルの改訂にともない、同社は次のようにコメントしている。
厚労省通知(平成15年4月14日付け)により医薬品・医療用具等へのウシ由来原料としての脊髄の使用が禁止された。ただし、低リスク国由来原料を使用しアルカリ処理したゼラチンは、その限りでないとされ、本剤は低リスク国であるアメリカを原産とする牛の脊髄を含む骨を原料とし、製造工程で酸処理を行ったゼラチンを使用している。EU委員会科学運営委員会では、酸処理とアルカリ処理との感染物質に対する除去率は、ほぼ同等と評価されている。加えて、同年8月に出された厚労省通知が示す安全ラインを本カプセルはクリアしていると判断する・・・
中外製薬はこのように述べ、その安全性を主張したのだ。
その後の平成17年3月31日の厚労省告示・生物由来原料基準 第4「動物由来製品原料総則」の1『反芻動物由来原料基準』によって、使用可能な原産国のリストから、BSEが発生したアメリカは除かれることとなった。しかし、反芻動物に由来する原料であってもアルカリ処理してあれば、その限りではないとされ、タミフルについては、米国・カナダ・日本以外の原産国(同告示に準じた原産国を使用しているとみなさざるを得ない)に切り替えた上に、アルカリ処理したゼラチンを使用しているので、BSEのリスクはないとするのが中外製薬の主張である。
当該厚労省告示では、同時に、品質及び安全性の確保上必要な情報が確認できるよう、
ア 原産国
イ 原材料を作成した年月日
ウ 原材料の由来となる反芻動物の飼育又はと畜の状況
エ 原材料について伝達性海綿状脳症を防止するための処理及び作業の経過
オ 原材料のロット番号
について、記録・保存するよう義務付けている。 アとウについては、トレーサビリティそのものであり、タミフルカプセルが、ゼラチンの原料を米国産牛からいつ切り替えたのか、その時期が重要なポイントとなる。更に、アルカリ処理すれば米国産牛を使用しても良いと解釈できるにもかかわらず、何故米国産牛の使用を中止したのか、確認すべき点は他にもある。
タミフルの製造には6~8ヶ月間を要するが、原料の精製過程を考慮するとタミフルが市場に出回るまでには、トータルで2~3年を要するそうだ。カプセルへの充填は最終工程だが、現在市場に出回っているタミフルのカプセルのトレーサビリティを知ることは、国民の安全の確保の観点からも厚労省に課された使命と責任であると私は考える。
英国に1日でも滞在した人の献血を禁止するくらい慎重な一面を持つ反面、医薬品や牛肉に関する規制にはあまりにも緩慢な日本政府。牛肉は消費者に選択の権利が残されているが、医薬品となるとそうはいかない。BSEは、変異型クロイツフェルト・ヤコブ病を発症すると脳症の果てに致死するという、重大なリスクをはらんでいる。医薬品に副作用はつきものだが、ことBSEに係る問題に関して、ベネフィットがリスクを上回ると単純に判断することはできないのだ。
政府の責任として、抗リウマチ薬エンブレルにしてもタミフルカプセルにしても、100%BSEのリスクのないことを証明することが必要だと私は考えている。天下り先である製薬企業の利益を優先するあまり、承知の上でBSEリスクを看過することは、薬害エイズに匹敵するくらい反人道的な行為であり政府の傲慢だと考えざるを得ない。安易に例外が認められ、例外がいつしか本流にならぬよう、リスクに厳格に対応する姿勢が、政府には求められるのだ。
タミフルと異常行動 11月12日
タミフルには、重大な副作用として「異常行動」や「意識障害」が報告されている。これらの事故が、タミフルとどのような因果関係にあるかは不明だが、「無関係」と断定することはできない。インフルエンザによる脳炎・脳症でも、意識障害からくる異常行動が見られることから、タミフルとの因果関係よりもむしろ、インフルエンザ脳炎・脳症の可能性のほうが高いのでは、とする小児科医もいる。
鳥インフルエンザが世界的流行の兆しを見せ始め、タミフルは広く一般に知れ渡ってきた医薬品だが、タミフルが絶対ではない。むしろ、ウイルスは刻々と変異しているため、タミフル1剤に頼りすぎると、瞬く間にタミフル耐性ウイルスが横行する危険をはらんでいる。
今日判明した、新型インフルエンザに対する政府の行動計画では、大流行が起こった場合の、治療の優先順位が示されている。タミフルは罹患者全員には行き渡らず、その投与順位は、①新型インフルエンザによる入院患者②感染した医師や社会機能維持者③心疾患などの緊急性の高い患者④児童・高齢者⑤一般の外来患者、となっている。ここで言う社会機能維持者とは、交通・通信、石油・電力などエネルギー産業、警察・消防などが該当するらしい。
その他、海外への渡航や緊急性のない大規模な集会などの自粛が、対策の柱の一つとして盛り込まれている。今から、うがいや手洗いを励行し、人の多い場所への外出を控えるなど、国民一人一人が自覚を持って、自主的な防衛策を始めることが大切だ。風邪をひいたらマスクをする、この至って当たり前の行為が実はなかなか行われていない。ちょっとした仕草や行動で、周囲に対する思いやりの心が計られるのだ。
タミフルは、絶対ではない。しかも、服用により異常行動を引き起こす可能性も秘めている。備蓄もままならない現状で、「マスク」と「うがい」を社会の常識とするために、政府は「アンチウイルスビズ」の大キャンペーンをはるべきだ。
そして、何よりも重要なのは、鳥インフルエンザそのものだ。鳥への蔓延を防ぐことに、最大限の努力を払うことが重要だ。極めてリスクの高い地域は、鶏とともに暮す東南アジアや中国。特に中国で大流行した場合、日本にとっても対岸の火事というわけにはいかない。中国や東南アジアの更なる公衆衛生の向上に、日本は寄与することが出来るはずだ。世界各国がタミフルを奪い合いロッシュにぼろ儲けさせる前に、まずは家禽類対策を徹底することが先決なのだ。
鳥インフルエンザ と タミフル 11月6日
わが国では、2004年初頭、H5N1型による家禽の大量死が起こったが、全殺処分により感染防止対策がとられた。鶏への感染を隠蔽し、最終的には会長夫婦が自殺に追い込まれた京都府丹波の浅田農産の事件は、記憶に新しい。今年の6月には、茨城県でH5N2型の鳥インフルエンザが確認され、感染防止のため注視されていたが、先月末、再び同地方での鳥インフルエンザが確認され、その推移が見守られている。
世界に目を向けると、連日どこかの国で報告されており、鳥インフルエンザが新聞記事にならない日はない。特に、ベトナム・タイ・インドネシア・カンボジアでは、2004年6月以降59名のヒトが、鳥インフルエンザに感染し死亡している。ヨーロッパやロシア・韓国・北朝鮮でも、家禽類への感染が認められ、世界規模で、可及的速やかに鳥インフルエンザへの対策が求められる状況にあるのだ。
鳥インフルエンザが突然変異した「新型インフルエンザ」が、人間社会で大流行する最悪の事態に備えて、9月、米国のよびかけで対策のための「国際パートナーシップ」が発足し、10月24日、オタワで各国の厚生労働大臣による国際会議が開かれた。当然、会議での最大の関心事は、ワクチンと抗ウイルス剤の開発・供給体制にあった。
現在、鳥インフルエンザには、スイスの製薬メーカー・ロッシュが開発した「タミフル」という薬剤が効果的とされている。インフルエンザと言えばタミフルが処方されるくらい、近年、日本の医療現場でも多用されている薬剤だ。しかし、タミフルは非常に高価な薬剤のため、感染のリスクが高い途上国で、十分に確保ができないことが懸念されている。ロッシュは当初、タミフルの製造・販売の権利を独占していたが、政府が独自にタミフル様薬剤の開発を手がける途上国が出てきたこともあり、いよいよ供給が間に合わないと判断して、製造を他のメーカーにも委託する方針に変更した。
「国際パートナーシップ」を呼びかけた米国ブッシュ大統領は、イラク戦争やハリケーンで失墜した政権への信頼を取り戻そうと、ワクチンや抗ウイルス薬の開発のために71億ドル(約8,200億円)の予算を計上すると発表した。そのうち10億ドルが、タミフルの備蓄に充てられるそうだ。
日本では厚労省が、全人口の25%が新型インフルエンザに罹患すると想定し、最大で2,500万人が受診するとし、現在その分のタミフルの備蓄が進められている。
このように、鳥インフルエンザ対策として世界を挙げて「タミフル」が重用されているわけだが、現実には、先月10月15日、ベトナムで鳥インフルエンザに感染したヒトから、タミフルに耐性のウイルスが確認された。即ち、「タミフル神話」は崩壊し、タミフルは絶対ではないのだ。ベトナムの例では、別の抗ウイルス薬「リレンザ」を投与したところ、効果が認められたそうだ。
タミフル重用が過ぎれば過ぎるほど、いらぬ詮索もしたくなる。効果的か否かの根拠が曖昧なまま、各国にタミフルが供給され、得をするのは製薬メーカーのロッシュだけだ。果たしてそれが、効果的な鳥インフルエンザ対策と言えるだろうか。
ところで、この時期、医療機関では、特に体力が低下した高齢者に対して、インフルエンザの予防接種が勧められる。インフルエンザワクチンの製造には半年以上の時間がかかるため、昨年流行した型など予想の範囲でワクチンは製造される。従って、製造したワクチンが必ず的中するとは限らず、実際に流行してみないと、ウイルスの遺伝子の変異を見極めることは出来ず、ワクチンの有効性もわからないというのが現実なのだ。それなのに、ワクチン接種は積極的に勧められる。
実際、ここ数年、遺伝子は急激に変異している。むしろ、インフルエンザウイルスに罹患しない対策を、厚労省は大々的に打つべきなのだ。環境省のクールビズを見習って、政府をあげてインフルエンザ予防の大キャンペーンをはる必要がある。効きもしないワクチンを接種し、また、不運にも罹患したら高価な抗ウイルス薬(例えばタミフル)を使用する・・・明らかに医療費の無駄遣いだ。みんなが手洗い・うがい、あるいは感染の可能性のある場所を極力避けるなどの予防対策を徹底することが、実は最も効果的な方法といえる。
鳥インフルエンザの鳥からヒトへの感染は、主に羽や粉末状の糞を吸入することにより起こる。生卵や鶏肉の摂取からは、感染しないとされている。しかし、国立感染症研究所は、不安なら卵は加熱し、生の鶏肉はそもそも衛生上の観点から勧められないとしている。最近では、スーパーでも卵のトレーサビリティははっきりしている場合が多い。消費者の知恵で、鳥インフルエンザのヒトへの感染を予防することが重要だ。
となると、ここでもやっぱり一番心配なのが、学校給食だ。米国産牛肉は使用されはしないか、卵は安心か、子どもを持つ保護者は気が気ではない。「食の安全」は、子どもに選択の余地のない学校給食にこそ、問われている。政府は、日本国民の利益のためにある。米国や特定の製薬メーカーの利益のためにあるのではない。BSEしかり、鳥インフルエンザしかり、医療制度改革しかり、本当に国民にとって有益な対策がとられていると言えるだろうか。昨今、特に厚労省と農水省には、国民が犠牲を伴うような対策が目に付く。国民の代弁者たる国会議員は、気張って気張って、国民の利益をしっかりと守らなければならない。その意識を、すべての国会議員が持つことが肝心だ。
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