格差是正が世界共通の課題となった

メルマガで毎号考察している格差是正問題について、一部紹介します。

11月6日に放送されたNHK・BSドキュメンタリー「エマニュエル・トッド 混迷の世界を読み解く」は、なかなかでした。トッド氏はフランスの人口学者・歴史学者ということですが、トマ・ピケティ氏と同様、明快でインパクトのある言葉が沢山ありました。

中でも私の印象に残ったのは、
「グローバリズムの理想は世界中の人々が皆平等になることでした。だが実際にグローバル化がもたらしたのは、社会の分断と格差の拡大でした/もっと国という枠組みを意識する必要があります。エリートと大衆の断絶をなくし、同じ国の仲間だという意識を持って、ひとつにまとまるべきです」。

トッド氏の言う通り、トランプ次期大統領の勝利と、クリントン氏の敗北・サンダース氏の善戦も、英国のEU離脱も、そしてトッド氏が予言するEUの崩壊・中国の崩壊も、グローバリズム=強欲資本主義がもたらした社会の分断と格差の拡大が原因だと思います。

今や格差の是正は世界共通の課題となりましたが、これを解決するには、国という枠組みの中で、民主主義の実現という方法で、格差を是正していくしかないと思います。そして、すべての国々が国内に格差の是正という課題を抱えていることを認識して、国民国家の連合としての国連(United Nations)を中心として、すべての国々がwinwinとなるような国際関係を構築していくべきだと思います。

私がTPPに強く反対して、一定の国境措置を認めて、消費者・市民も含めて参加各国すべてがwinwinの関係を構築できるRCEPを推進すべきだと主張する理由もここにあると思っています。

 

●はたともこブログ「財政投融資資金を格差是正政策に活用

●はたともこブログ「TPPではなく、日本主導のRCEPを!

●はたともこブログ「官製ワーキングプア問題をどう解決するか

 

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

財政投融資資金を格差是正政策に活用

10月11日に成立した平成28年度第2次補正予算でJR東海のリニア中央新幹線に、2年間で3兆円の財政投融資資金による低利融資が決まりましたが、もちろん私は、このJR東海の「有害無益」な事業に対する公的資金の投入には、大反対です。

私は、超低金利の財政投融資資金を格差是正政策に活用すべきだと思います。一定の利子補給金を予算化すれば、その数百倍の資金を政策実現に活用できます。

第一に行うべきは、有利子奨学金を全て無利子化することです。現在、(独)日本学生支援機構の奨学金の財源となっている約6兆円の財投債を、現在のマイナス金利の財投債に借り換えれば、平成28年度85万7千人の有利子奨学金貸与者を、即座に全員、所得連動型返済猶予・免除型無利子奨学金にすることができます。

さらに、生活困窮者自立支援策として、大学や専門学校で資格取得して就職するための特別奨学金も充実させるべきです。

第二に行うべきは、(独)都市再生機構(UR都市機構)及び地方公共団体による低家賃公営住宅の供給です。URについては、現在の有利子負債約12兆円を、全てマイナス金利財投債に借り換えて、低家賃公営住宅供給を最優先とする組織改革を行うべきです。

若いカップルが結婚して子育てをするためにも、十分な年金がない高齢者の生活保障のためにも、ワーキングプアと呼ばれる人たちの支援のためにも、月2~5万円程度の低家賃公営住宅の大量供給が必要です。さらに、URは、20年後には全国で2000万戸超になると推定される「空き家」対策・活用機関としても活動すべきだと思います。

第三は、非正規・派遣労働の人たちを短時間正職員として採用する、都道府県単位の「人材派遣公社」を設立することです。保育士さんを例にとると、現在は約6万人が、地方公務員の臨時・非常勤職員です。保育士さんの給与の基準は国家公務員福祉職1級の待遇で、週3日の短時間正社員となれば、東京23区の場合、短大卒30歳で年収259万円、40歳で年収302万円、50歳で年収323万円で、短時間2人で1人分の年収ということになり、一種のワークシェアリングです。

そして、この短時間正職員の人たちを都道府県単位で、人材派遣公社所属とし、フルタイムを希望する場合は、残りの2日を臨時・非常勤あるいは派遣で働くか、あるいは他の仕事と兼業するということになります。

財務省HP「平成28年度財政投融資計画のポイント」(H28.1.22)

 

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

官製ワーキングプア問題をどう解決するか

官製ワーキングプアの問題を、保育士を例に考えてみたいと思います。

総務省の調査では、平成28年4月1日現在、地方公務員の臨時・非常勤職員は全国で64万4725人、女性が48万2438人(74.8%)、男性が16万2287人(25.2%)でした。職種別では、事務補助職員が約10万人、教員・講師が約9万人、保育所保育士が約6万人、給食調理員が約4万人、図書館職員1.7万人、看護師約1.6万人、となっています。

勤務時間別では、フルタイム約20万人(31.4%)、フルタイムの4分の3超約21万人(31.8%)、フルタイムの4分の3以下約24万人(36.7%)です。

給与については、この調査(速報版)にはありませんが、フルタイムでも、正規職員の1/2~1/3とも言われています。

そこで、私の提案ですが、短時間正社員制度を活用して、希望者全員を例えば週3日の短時間正社員として採用したらどうでしょうか。短時間正社員は、
1.期間の定めのない労働契約(無期労働契約)を締結している
2.時間当たりの基本給及び賞与・退職金等の算定方法等が同種のフルタイム正社員と同等の短時間正社員で、社会保険も適用となる、というものです。

例えば、保育士さんを例にとると、東京23区の場合、保育士さんの給与の基準は国家公務員福祉職1級の待遇で、短大卒20歳で年収323万円、30歳で年収431万円、40歳で年収504万円、50歳で年収538万円、54歳がピークで年収546万円、これが60歳定年まで続きます。

週3日の短時間正社員となれば、30歳で年収259万円、40歳で年収302万円、50歳で年収323万円、ということになります。短時間2人で1人分の年収ということになり、一種のワークシェアリングです。

そして、この短時間正社員の人たちを都道府県単位で、人材派遣公社の所属とし、フルタイムを希望する人は、残りの2日を派遣で働くか、あるいは他の仕事と兼業するということになります。

総務省HP「地方公務員の臨時・非常勤職員に関する実態調査」(速報版)H28.9.13

 

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

「小泉進次郎・大田弘子」ラインの農協解体論に断固反対

政府の規制改革推進会議(大田弘子議長)の農業ワーキング・グループは、11月11日、「農協改革に関する意見」を発表しました。強烈な農協解体論で、特に信用事業(金融事業)を行う地域農協を3年後を目途に半減させるという、農協の信用事業解体論となっています。

規制改革推進会議意見・抜粋)
農協が生産資材購買事業や農産物販売事業の改革を推進することを強く期待するが、
「着実な進展が見られない場合には、真に農業者のためになる新組織(本意見に基づく機能を担う『第二全農』等)の設立の推進など、国は更なる措置を講ずるべきである。」
「地域農協の信用事業の農林中金等への譲渡を積極的に推進し、自らの名義で信用事業を営む地域農協を、3年後を目途に半減させるべきである。」
「農林水産省は准組合員の利用規制の在り方についての実態調査・研究を加速すべきである。」
「今後の農協の自己改革の進捗状況によっては、国として、その改革の実現を確実にするためのあらゆる措置を講ずるべきである。」(抜粋ここまで)

これに対して、11月17日付の農協新聞「電子版」JAcomが、
「改革の狙いはJA『解体』/農業者の自主的な協同組織の在り方まで踏み込んだ内容で断じて容認できない」と反論し、「真に農業者の立場に立った改革」の必要性を訴えています。

自民党の小泉進次郎農林部会長も、この規制改革推進会議と並行して、農業改革・農協改革を主張しています。世界的に、グローバリズム=強欲資本主義は否定されているのに、アベノミクスは、周回遅れの新自由主義・グローバリズムを推進しようとしています。その先頭に立っているのが、CSIS(戦略国際問題研究所)副理事長マイケル・グリーン氏の代理人である小泉進次郎議員と、竹中平蔵氏の代理人である大田弘子議長なのです。

このアベノミクス=新自由主義(強欲資本主義)による農協解体論に、私は大反対です。農協は信用事業をむしろ強化して、農協全体をパワーアップさせて、農協が地方創生と日本の食料自給率と自給力を向上させる歴史的使命を担う組織になってほしいと思います。

農林水産省の資料「農協について」(平成28年11月)によると、
平成27年度末の農協数は691
組合員数は1026.8万人(平成26事業年度/正組合員449.5万人、准組合員577.3万人)、
農協職員数は20.7万人(平成26事業年度/信用・共済事業が約46%を占める)です。
正組合員の5割近くが、70歳以上となっています。

農協の部門別損益は(平成26事業年度)、1組合当たり、
信用事業が3.83億円の黒字
共済事業は2.02億円の黒字
経済事業等は2.38億円の赤字
合計すると3.47億円の黒字で、信用・共済事業の黒字で、経済事業等(購買・販売・営農指導・その他)の赤字を補っていることになります。

信用事業の
預貯金残高は95兆円平成27年度/比較:ゆうちょ銀行177兆円・三菱東京UFJ138兆円・三井住友113兆円・みずほ111兆円)、
共済事業のうち生命保険保有契約高131兆円平成27年度/比較:日本生命167兆円)、
総資産56兆円平成27年度/比較:日本生命63兆円)、
さらに損害保険の収入保険料2.37兆円平成27年度/比較:損保ジャパン2.22兆円)。
いずれも日本トップクラスの巨大金融事業で、それが強欲資本の標的となっている理由でもあります。

信用・共済事業なしでは、20万人の職員を持つ農協組織は成り立ちません。逆に言えば、信用・共済部門がバックアップして、購買・販売・営農指導等の事業を支えているのです。

私はむしろ、信用・共済事業を強化して、購買事業などは無理に収益を上げようとせず、組合員農家のために奉仕する姿勢が必要なのではないかと思います。販売事業については、農業の6次産業化を進め、安全・安心で品質の高いJAPANブランドの農畜産品を日本と世界に全面展開することによって、組合員と農協が共に収益を上げ、winwinの関係をつくるべきだと思います。

日本の農業、特に中山間地域の農業には大きな発展性があり、そのための重要インフラとして、農協の存在は非常に重要です。地域の農協の職員・組合員のみなさんとともに、「真の農業者の立場に立った改革」を目指していくべきだと思います。

規制改革推進会議HP「農協改革に関する意見」(H28.11.11)

農業協同組合新聞「電子版」JAcom
2016.11.17「規制改革推進会議 農協改革の「意見」 改革の狙いはJA「解体」(上)(下)

農林水産省HP「農協改革について(H28.11.18)の資料5「農協について」

 

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

トランプ大統領誕生で、日本はどうするか

(1)日米関係のリバランス
米大統領選挙で、11月8日、ドナルド・トランプ氏が勝利しました。来年1月20日には、トランプ大統領が誕生します。今年6月にEU離脱を決めた英国の国民投票と同様に、グローバリズム=強欲資本主義に反対する民主主義の投票結果だと思います。これをポピュリズム(大衆迎合主義)と言う人もいますが、グローバリズムの終焉は歴史的必然です。

トランプ氏のスローガン「MAKE AMERICA GREAT AGAIN」は、1980年のレーガン大統領と同じで、トランプ氏はレーガン大統領を目標にしているようです。

トランプ氏のもう一つのスローガン「アメリカファースト」(アメリカ第一主義、アメリカの利益が最優先)が、これまでの日米同盟・日米関係を直撃しています。「日米安保条約は不公平だ/日本が駐留米軍経費を全額負担しなければ在日米軍は撤退する/日本が核武装してもよい」「日本が牛肉に38%の関税をかけるなら、日本の自動車に38%の関税をかける」などと、選挙中に発言しました。トランプ流の「アメリカファースト」は建前なしの実利のみ、氏の人生哲学そのものを表す発言です。

トランプ氏は、オバマ大統領が推進してきたTPPからの撤退を公約しています。トランプ政権では、TPPによって新たな段階に入ろうとした安全保障と経済の日米同盟・日米関係が、見直されることは必至です。日米関係のリバランス(再均衡)が必要となるのです。

安全保障では、米ロ関係・日ロ関係の進展が予想されるので、対北朝鮮・対中国が問題となりますが、対北朝鮮では、6ケ国協議の枠組みで、日米韓中ロで、北朝鮮の暴発を抑止していくしかないと思います。日本の原発即ゼロも、安全保障政策の1つになります。

中国に対しては、TPPの考え方に表れているように、日米同盟を基軸に中国包囲網を形成するのではなく、RCEP(アールセップ。東アジア地域包括的経済連携/ASEAN+6(日中韓印豪NZ))の考え方で、中国を含めた地域的集団安全保障体制を構想すべきです。その枠組みで、航行の自由など国際法のルールを遵守し、中国がこれに違反したら、全体で経済制裁する仕組みです。その上で、アメリカ、ロシア等も加わったAPECに枠組みを拡大していくことについて、日米間で合意すべきです。

トランプ氏は、実業家として波乱万丈とはいえ成功した人物です。その行動原理は「ディール(取り引き)」ということのようです。日本がトランプ次期大統領の公約である、米国内のインフラ整備、製造業の回復に、積極的に協力することで、日本の主張への理解も求めて、まさにwinwinの関係をつくりあげていくことが、日米関係のリバランスではないでしょうか。


(2)「ドル・ドル基金」で、トランプ公約「アメリカ製造業回復」に協力を
トランプ次期大統領の勝因と指摘されているのが、ラストベルト(Rust Belt)と呼ばれる中西部地域、ミシガン・オハイオ・ペンシルベニア・ウィスコンシン各州等の白人労働者の支持です。ラストとは金属のさびのことで、使われなくなった工場や機械を指し、国外移転や国際競争によって衰退した自動車・鉄鋼などの重工業・製造業の中心だったこれらの地域が、ラストベルトと呼ばれる地域です。

さらに、この地域は、鉄鋼業や鉄道を発達させた豊富な石炭産出地帯ですが、オバマ大統領の環境政策(米国内のCO2削減の具体策=クリーンパワープラン)による厳しい石炭火力規制で、大きなダメージを受ける地域でもあるのです。

私は、トランプ次期大統領の公約である、ラストベルト地域の「製造業回復」に、日本が協力すべきだと思います。TPP撤退後は、トランプ大統領が、日本に対して、厳しい二国間交渉(日米FTAを含む)を仕掛けてくることが予想されますが、従来の対日要求に対応するのではなく、積極的に日本から、winwinの原則で仕掛けていくべきだと思います。

トヨタや新日鉄住金などが、ラストベルトに工場を建設したり、最新型高効率火力発電所(トランプ流ならIGCC・IGFC・CCSなど)や新幹線の建設等を、日本の民間企業の投資だけで実行することは、難しいと思います。そこで、国際財政投融資のアメリカ版として、私が以前から主張している「ドル・ドル基金」を提案したいと思います。

現在、日本政府が保有している米国債は約120兆円ですが、毎年米国から2兆円超の利息収入を上げるだけでは、もったいないし、持続可能性にも問題があると思います。そこで、日本政府保有の米国債を担保として、ニューヨーク連銀からドル資金を借り入れて、50兆円規模の「ドル・ドル基金」をつくり、米国内での財政投融資資金に充当するのです。塩漬け状態にあるNY連銀の日本国保有の米国債の有効活用にもなり、日米winwinのシナリオではないでしょうか。

日米安全保障条約は、第2条で、日米の「経済的協力を促進する」と明記しています。日本が、アメリカの製造業回復に全面的に協力することによって、日本の食料自給率・自給力の向上、食と健康の安全・安心、著作権法の現状維持・戦時加算撤廃等については、アメリカの協力・譲歩を求めるのが、winwinであり、「ディール(取り引き)」だと思います。


(3)沖縄基地問題、トランプ次期大統領と「ディール」を
トランプ次期大統領は、選挙期間中に、日本が駐留米軍経費負担を全額負担しなければ、在日米軍の撤退もあり得ると発言しました。大統領就任後に、どういう方針となるか不明ですが、少なくともこれまでの日米両政府のように、普天間基地移設問題について、「辺野古新基地建設が唯一の解決策」ということにはならないのではないでしょうか。

翁長沖縄県知事は、トランプ次期大統領に祝電を送り、その中で「大統領就任後はアメリカと沖縄との関係について話し合う機会をつくっていただき、双方にとって良い結果となるよう、強力なリーダーシップを発揮されることを期待しております」と訴えたそうです。

米国の安全保障の専門家の中にも、沖縄は北朝鮮や中国から近すぎてミサイルの標的となりやすい、重要なのは嘉手納基地であって、普天間や辺野古の重要性は低い、海兵隊の訓練基地としては沖縄や日本は使い勝手が悪い等の意見が、既に出ています。

沖縄には、海兵隊のローテーション基地のみ残して(キャンプ・ハンセン)、残りはグアム、ハワイ、本土に引き上げる構想にも、合理性があります。その際、グアムに近いテニアン島に、辺野古新基地建設と同程度の費用(数千億円)を日本政府が負担して、海兵隊の新訓練基地を建設する構想をトランプ次期大統領に伝えるべきだと思います。それがアメリカにとって利益になると判断すれば、トランプ次期大統領は方針転換を決断するかもしれません。もちろん、先の見えない安倍政権は、そんな提案はしないでしょうから、次期衆議院総選挙で政権交代することが非常に重要です。現状では自身の任期中に何も前進しない沖縄の現状よりも「マシ」だとトランプ大統領は判断するかもしれません。

「アメリカファースト」のトランプ次期大統領は、今後は、バイの交渉でTPP以上の高いハードルを日本に突き付けてくるかもしれません。日本が「ディール(取り引き)」の材料をそろえておくことは重要です。日本が積極的に互いがwinwinとなる方策を提示できなければ、いつまでも日本は米国追従路線から脱却することはできません。そんなことを、私は望みません。

 

外務省HP「日米安全保障条約」

はたともこブログ「WEBB上院議員への手紙」

 

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

憲法改悪~「緊急事態条項」は必要ありません

国民主権、平和主義、基本的人権の尊重の三大原則が貫かれた、リベラルな「日本国憲法」を、何としても破壊したいアベ改憲派(日本会議派)は、憲法改悪の突破口として「緊急事態条項」の新設を考えています。

自民党のHPにある「日本国憲法改正草案」では、第9章緊急事態が新設され、第98条(緊急事態の宣言)、第99条(緊急事態の宣言の効果)の新条項が2つ並んで、特に目立っています。
第98条(緊急事態の宣言)
内閣総理大臣は、我が国に対する外部からの武力攻撃、内乱等による社会秩序の混乱、地震等による大規模な自然災害その他の法律で定める緊急事態において、特に必要があると認めるときは、法律の定めるところにより、閣議にかけて、緊急事態の宣言を発することができる。

2 緊急事態の宣言は、法律の定めるところにより、事前又は事後に国会の承認を得なければならない。

3 内閣総理大臣は、前項の場合において不承認の議決があったとき、国会が緊急事態の宣言を解除すべき旨を議決したとき、又は、事態の推移により当該宣言を継続する必要がないと認めるときは、法律の定めるところにより、閣議にかけて、当該宣言を速やかに解除しなければならない。また、百日を超えて緊急事態の宣言を継続しようとするときは、百日を超えるごとに、事前に国会の承認を得なければならない。

4 第2項及び前項後段の国会の承認については、第60条第2項の規定を準用する。この場合において、同項中「30日以内」とあるのは、「5日以内」と読み替えるものとする。

第99条(緊急事態の宣言の効果)
緊急事態の宣言が発せられたときは、法律の定めるところにより、内閣は法律と同一の効力を有する政令を制定することができるほか、内閣総理大臣は財政上必要な支出その他の処分を行い、地方自治体の長に対して必要な指示をすることができる。

2 前項の政令の制定及び処分については、法律の定めるところにより、事後に国会の承認を得なければならない。

3 緊急事態の宣言が発せられた場合には、何人も、法律の定めるところにより、当該宣言に係る事態において国民の生命、身体及び財産を守るために行われる措置に関して発せられる国その他公の機関の指示に従わなければならない。この場合においても、第14条、第18条、第19条、第21条その他の基本的人権に関する規定は、最大限に尊重されなければならない。

4 緊急事態の宣言が発せられた場合においては、法律の定めるところにより、その宣言が効力を有する期間、衆議院は解散されないものとし、両議院の議員の任期及びその選挙期日の特例を設けることができる。
(以上)

はっきり言って、こんな憲法改悪案は、全く必要ありません。
緊急事態法制としては、既に災害対策基本法原子力災害対策特別措置法国民保護法事態対処法等が揃っており、不備があるなら、法改正か新法制定で対応すれば、何の問題もありません。

国会議員の任期については、憲法第54条に、「衆議院が解散されたときは、参議院は、同時に閉会となる。但し、内閣は、国に緊急の必要があるときは、参議院の緊急集会を求めることができる。前項但書の緊急集会において採られた措置は、臨時のものであって、次の国会開会の後十日以内に、衆議院の同意がない場合には、その効力を失ふ」とあって、参議院の緊急集会が、日本国憲法に用意されており、これも全く問題ありません。

むしろ、内閣不信任決議案が可決されてもいないのに、むやみに解散権を振り回す安倍総理こそが問題で、万が一の緊急事態に備えるためにも、安易に解散権を行使すべきではありません。

要するに、この「緊急事態条項」は、緊急事態宣言をすれば、国会の議決なしに、内閣が法律と同一の効力を有する政令を乱発し、財政支出もいくらでもできるようにしたいという、ナチスドイツ、アドルフ・ヒトラーまがいの反民主主義的憲法改悪で、国民主権・平和主義・基本的人権の尊重の憲法三大原則を破壊しようとするアベ改憲派(日本会議派)の悪辣な挑戦で、断固反対するしかありません。

 

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

ヒラリー・クリントン大統領で世界はどうなるか~グローバリズムと民主主義との闘い

11月8日投票の米国大統領選挙は、「ウソツキ」対「セクハラ」の中傷合戦、
史上最低の大統領選と言われる展開となりましたが、
最終盤になって、トランプ候補が失速気味で、ヒラリー候補が優勢の模様です。

ヒラリー・クリントン大統領誕生で、世界はどうなるのか。
米一極支配体制の弱体化、世界の多極化、
中国・ロシアの進出などが進行することは当然考えられますが、
私は、
ヒラリー&ビル・クリントン大統領が、グローバリズム=強欲資本主義、軍産複合体を、
米国内の反対勢力(サンダース+トランプ)に対して、どのように維持するのか、
に注目したいと思います。

その最大のポイントがTPP協定で、グローバリズムvs民主主義の闘いだと思います。
ヒラリー候補は選挙戦で反TPPを主張しましたが、大統領になれば、
TPP批准か再交渉を狙ってくることはほぼ確実で、
再交渉の場合は、当然その標的は日本ということになります。

私たちは、現状のTPP協定が、グローバリズム=強欲資本主義の協定で、
消費者・市民の利益に反するものとして、反対しているわけですから、
現協定より米国益=(グローバリズム)を強化する再交渉に賛成できるわけがありません。
米国内でも、
グローバリズムに反対する反TPPの人たち(サンダース+トランプ支持者)が
多数となったのですから、私たちも日米だけでなく、TPP参加国全ての市民と連携して、
反TPPの運動を進めていかなければならないと思います。
これは、グローバリズムvs民主主義の闘いなのです。

クリントン政権も日本の安倍政権も、
TPPは対中国の安全保障政策でもあると主張するでしょうが、
軍産複合体が要求する安全保障政策には賛成できません。

むしろ、私が主張するRCEP(東アジア地域包括的経済連携ASEAN+6=日中韓印豪NZ)
の枠組みで、各国がwinwinの関係を築き、食と健康の安全・安心を確保し、
消費者・市民の利益を重視した経済協定を締結して、
そこに航行の自由や国際法の遵守、領土・領海の紛争処理等のルールを作り、
中国がルール違反を行えば経済制裁するなどの仕組みづくりが、
重要ではないでしょうか。

その上に、APEC加盟の米国、ロシア、カナダ、チリ、メキシコ、パプアニューギニア、
台湾、香港などが参加した、
アジア太平洋地域の集団的安全保障体制を構築すべきです。

ヒラリー・クリントン大統領に、提案があります。
国際人道法に違反する空爆を即座に中止することです。
オバマ大統領はノーベル平和賞を受賞しましたが、米軍の空爆によって、
何十万人もの非戦闘員市民(女性・子どもを含む)を殺害しておいて、
平和賞はあり得ないと思います。
空爆による市民殺りくが、どれだけ米国の道義、利益を傷つけているか
はかり知れません。
空爆は即刻中止すべきです。


コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

2013年 年頭の決意

年頭の決意

2012年は激動の一年となりました。ご支援を頂いた皆さまには、変わらぬご支援に感謝申し上げますとともに、ご心配をおかけ致しましたことに心よりお詫び申し上げます。

民主党を離党し「国民の生活が第一」を結党し、その後「日本未来の党」に合流し、総選挙をたたかいました。しかし、残念ながら多くの同志が落選という結果になりました。総選挙で各地を応援して回った私といたしましても、痛恨の極みです。

去る12月28日「生活の党」となり、再出発をすることが決まりました。1月下旬に開催予定の「生活の党」党大会において、詳細が決定されることと思います。

私は、総選挙の最大の敗因の一つは、脱原発政策について、原発代替即戦力として天然ガス・コンバインドサイクル火力発電や最新型石炭火力発電の推進が、強力なメッセージとして国民の皆さまに伝わらなかったことだと思います。世界最新鋭の天然ガス・コンバインドサイクル火力発電は既に国内でも普及しており、石油火力をはじめ旧式火力をこれら高効率の天然ガス・コンバインドサイクルやUSC・AUSC・IGCC・IGFCトリプルコンバインドなどの最新型石炭火力にリプレース(置換)していくこと、そしてそれらを世界展開していくことこそが、新しい「原発ゼロの成長戦略」となり、増税によらない経済成長にもつながっていくものであり、3.11を経験した日本がとるべき今後の道だと思います。

夏の参議院選挙では、「国民の生活が第一」で取りまとめた「ただちに原発稼働ゼロとする」をはじめとする第2次基本政策検討案を軸に、「生活の党」の政策を、迷いなく国民の皆さまに伝えることが何より重要だと思います。

子ども手当・月2万6千円は、決してバラマキなどではありません。人口減少社会に成長なし。特に地方では、子どもを2人3人と産み育てるインセンティブになります。都市部や核家族世帯において育児を支援する体制の推進・充実もあわせて行うことで、日本の人口減少に歯止めをかけなければなりません。現在、児童手当は年間2兆円強を要していますが、あと3兆円の財源を確保すれば月2万6千円は実現できます。外為特会など特別会計が保有する500兆円の政府金融資産の毎年の運用収益は、これまで財務省を筆頭とする官僚が支配する聖域となり、手をつけられませんでした。財務省は、政府保有金融資産500兆円の利息を低いまま運用し、利益をあげる努力をしていません。2%で回せば10兆円の財源が確保できるのに、それを怠り、自らの無能を棚に上げて、消費増税を国民に強要しようとしているのです。

対外的には純債務402兆円を主張し、EUやIMF、日韓スワップなどに多額の拠出金を出している一方で、国内的には、日本の債務は約1,000兆円(粗債務)と危機感を煽り、消費増税を強要しているのが財務省です。1,000兆円の90%以上は日本国民が買っている日本国債です。海外には政府・企業等の金融資産は250兆円以上あり、こんな日本がギリシャのように破綻するはずがありません。

政府保有の米国債は約100兆円です。その半分の50兆円でも担保にしてNY連銀からドル資金を調達し、これを基に海外投融資基金を設立し、日本企業の世界展開、例えば天然ガス・コンバインドサイクルや最新型石炭火力のプラント・技術・ノウハウの輸出などの資金にあてれば良いのです。

政府金融資産の運用収益などは、最低保障年金月7万円の実現のための財源にもつながります。最低保障年金月7万円の実現のための案は、「新政研・社会保障勉強会」で検討し取りまとめました。月5万円の全額税負担の基礎年金と月1万5千円の年金保険料との組合せで実現可能です。(新政研報告書

参議院選挙に向けて、まず、私は、「国民の生活が第一」の第2次基本政策検討案を、「生活の党」の基本政策とすべきだと思います。その上で、さらに私は、「原発ゼロの経済政策・成長戦略」「月7万円の最低保障年金」「月2万6千円の子ども手当等の財源を捻出するための、国と地方を合わせた行財政改革(年額20兆円以上)」「増税なき財政再建(歳入庁・共通番号・インボイス)」等々の政策を提案していきたいと思います。

生活の党は、「即原発稼働ゼロ」「消費増税廃止凍結」「反TPP」を主張しますが、ただ反対するだけでなく、「天然ガス・コンバインドサイクル火力発電等の高効率火力の推進」「増税によらない経済成長=原発ゼロの成長戦略や、国・地方合計20兆円以上の行財政改革」「TPPでなくASEAN+6(日中韓印豪NZ)=RCEP」等の対案・代案を提案します。それが他党と大きく違うところです。

今年は、私自身の参議院全国比例区の改選の年となります。生活の党「はたともこ」として、全力で頑張ります。皆さま方には、私の活動へのご支援・ご協力をどうぞよろしくお願い申し上げます。

2013年 元旦 はたともこ

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

国民の生活が第一・参議院議員はたともこ第180回通常国会活動報告

第180回通常国会が終了しました。                                                                                                                                                        昨年11月に西岡武夫参議院議長のご逝去により繰り上げ当選となって10ケ月、委員会質疑13回のほか本会議で20分間の討論も行わせていただきました。日中議員会議での発言、米国Webb上院議員への意見書提出など、初めての国会活動は大変でしたが充実していたと思います。(一覧

(質疑等)                                                                                                                                                       ①   3/5行政監視委員会参考人質疑・自由質疑(10分)                                                                                                                          歳入庁、共通番号、インボイスについて

②   3/22内閣委員会質疑(40分)                                                                                                                                     新型インフルエンザ等特措法案、東京電力料金値上げ・関西電力電力不足問題、天然ガス・コンバインドサイクル発電(LNG・MACC)と最新型石炭火力発電、漢方について

③   3/22日中議員会議発言(5分)                                                                                                                              TPPよりASEAN+6、著作権保護期間は70年ではなく50年を国際標準に

④   3/23予算委員会質疑(20分)                                                                                                                                          歳入庁、最低保障年金、東京電力料金値上げ・関西電力電力不足問題、LNG・MACC等について

⑤   4/6米国Webb上院議員に意見書提出                                                                                                                             辺野古ではなくグアム・テニアン、海上保安庁強化等

⑥   4/12内閣委員会参考人質疑(10分)                                                                                                                               新型インフルエンザ等特措法案について

⑦   4/17内閣委員会質疑(47分)                                                                                                                                                新型インフルエンザ等特措法案について

⑧   4/23行政監視委員会参考人質疑(10分)                                                                                                                      国と地方、広域自治体と基礎自治体の役割分担について

⑨   6/19内閣委員会参考人質疑(10分)                                                                                                                                    暴対法改正案について

⑩   7/26外交防衛委員会質疑(15分)                                                                                                                                 オスプレイ配備について

⑪  8/10本会議(20分)                                                                                                                                  議長不信任決議案賛成討論(野田総理を問責する6つの理由)

⑫   8/20行政監視委員会質疑(15分)                                                                                                                       原子力規制委員会委員長・委員人事案件について

⑬   8/27東日本大震災復興特別委員会質疑(23分)                                                                                                                汚染水処理、菅総理ヘリ視察直前に官邸にSPEEDI情報が送付されていた件について

⑭   8/27決算委員会質疑(23分)                                                                                                                            違法ドラッグ・脱法ハーブの取締り強化について

⑮   8/28内閣委員会質疑(10分)                                                                                                                               漢方薬の原料である生薬の国内栽培について

⑯   9/3決算委員会質疑(20分)                                                                                                               電力不足がなかったことの証明、原子力規制委員会委員長・委員人事案件について    

 

是非、会議録要点をご一読頂きたいと思います。それぞれ短い時間でしたが、全ての質疑において十分に準備をして可能な限り数多くの質問をしました。質疑の結果、役所の意識・取組みが前に進んだものもあると思います。中でも、3月の質疑で総理にも質問したLNG・MACC=天然ガス・コンバインドサイクル発電は、7/11結党した新党「国民の生活が第一」の第一の政策「原発ゼロ」へ!を実現する為の原発代替ベースロード電源として位置付けられる結果にもなりました。また、電力不足がなかったことを明らかにしたことは、脱原発が今すぐにでも可能であることを証明したと思います。9/3決算委員会では、ついに枝野経済産業大臣が、今夏も電力は十分に余力があったことを認めました。

薬剤師としては、新型インフルエンザ等特措法案の審議過程において、薬剤師会等からの要望を伝え、豚サーベイランスの重要性、適切なワクチン調達・準備体制の構築、デュアルユースのリスク、麻黄湯など漢方製剤の活用などについて提起しました。また、現在大きな社会問題となっている違法ドラッグ・脱法ハーブの取締り強化についても質疑しました。質疑以外では、厚生労働省に働きかけ、結果、7月に大臣告示された「第2次・健康日本21」の地域の健康課題を解決するための効果的な推進体制の拠点として、「薬局」の文言が明記されることとなりました。

また、漢方薬・生薬認定薬剤師として、日本の伝統医学である「漢方の真価」について質問し、漢方を日本の国家戦略・新成長戦略とし、原料である生薬の国内栽培を推進していくことの重要性を力説しました。そのためにも漢方薬の薬価は、西洋薬とは別概念とするよう厚生労働省に提案し、健康局長から、関係学会等の要望や生産コストなどを精査した上で医薬品の安定供給が可能となるような適正な算定に努めていきたいとの答弁を得ました。

さて、私は、7/3に離党届が受理され7/11結党した「国民の生活が第一」に参加しました。国際社会での交渉力を持ち、官僚組織を統率できるのは「小沢総理」と信じているからです。新しい党では「増税の前にやるべきことがある」政策を提案しました。即ち、震災復興・防災、新成長戦略による名目3%・実質2%以上の経済成長でデフレ克服、定数削減等の身を切る改革を含む行財政改革、天下り根絶・ムダ削減・公務員人件費2割減等で財源を確保し09マニフェストを実現する、更に財投特会・外為特会等の運用収益を政治決断で活用する、また経済成長による税収増、歳入庁・共通番号・インボイス等で税・保険料収入増をはかり財政再建を実現する、インボイスで複数税率となれば、軽減税率(含む中小零細企業対策)も可能となります。

これらのことを行った上で、消費税5%増税は、月7万円の最低保障年金と後期高齢者医療制度廃止等の社会保障充実のためだけに使うということを確定すべきだと思います。

TPPについては、9/7に発表された基本政策検討案でわが党は反対姿勢を明確に示しました。基本政策検討案の第1章「エネルギー政策の大転換」では、原発ゼロを皆の共通認識とするために、松崎哲久座長のもと私は事務局として議論・とりまとめに参画しました。基本政策検討案は中間とりまとめであり、今後も引き続きブラッシュアップしていくものです。

閉会中は、次期国会のための仕込みの充実と、来るべき衆議院総選挙と私自身の参議院全国比例区選挙の準備のために、新しくしつらえた街宣車による街宣活動も積極的に行う予定です。

 

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

6月19日 内閣委員会 暴対法改正 参考人質疑

6/19内閣委員会で、「暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(暴力団対策法、暴対法)改正案」(法案概要 法案要綱)に関する参考人質疑で質問。

(参考人)

北橋健治北九州市長

疋田淳弁護士

小林節慶應義塾大学法学部教授

 

私の質問は3点。

①生活保護問題と暴力団との関係

・暴力団関係者の不正受給と貧困ビジネスについて

・憲法25条と生活保護の関係について

②違法ドラッグ・脱法ハーブ販売と暴力団について

③組織犯罪対策法の共謀罪と参加罪について

大阪から来られた疋田弁護士は、貧困ビジネスや違法ドラッグ・ハーブに暴力団の関与が強く疑われる、とのご意見。小林教授は、共謀罪に大反対で、「参加罪というお考えは誠にもっともだ」と言って頂きました。

 

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
« 前ページ 次ページ »